知事からのメッセージ 平成28年5月 津波災害復興計画の事前策定
津波災害復興計画の事前策定
今年度の新政策で、標記の政策を一つ加えました。
南海トラフの地震津波は必ず起こるから、まずは一人の犠牲者も出さずに、人命を守ることが大事で、人命救助が終わったら次は早期復旧と早期復興だと思っています。
和歌山県は東日本大震災の半年後、紀伊半島大水害に襲われました。その際、人命救助に一段落がついた後、私はとにかく復旧を急ぎました。「一刻も早く」を合い言葉に、県庁が一丸となって走りましたし、国にも協力を求め、JRや電力会社、通信会社にも少し失礼かなと思うような勢いで早期復旧を迫りました。道路啓開、道路復旧、河川の修復、強化、がれきの片付け、産業活動の再開、みんなそうです。
なんで私がそんなに急いだかというと、時間が経つと、人々の復興への意欲が衰えてしまうと思ったからです。本当の意味での復興がうまくいくかは、そこにいる人々が意欲を持って働き、暮らし始めるかどうかです。ハードウェアの復興ができても、時間がかかりすぎると人々の気力が萎えてしまって、地域は元に戻りません。
南海トラフの地震、津波が起こった時の影響は、紀伊半島大水害の比ではないでしょう。だから私は、復旧、復興はこうしようと、地域単位であらかじめよく議論をして復興計画を決めておくべきだと思います。人命救助が終わった後、素早く復興が進んでいけば、人々の心は萎えることはありません。その際、道が細い、下水道が遅れている、緑が足りない、まちをもっと高台に誘導したいなど、その地域に元々ある問題を一挙に解決できるような計画にしておけば良いのです。まだ被害の出ていない現在、仮に地震、津波でまちが破壊された時、どうやって再建するか、あらかじめ考えておくのです。
ただ、いきなり各市町でといっても難しいので、まず今年度は県で市町の参加を得て、予備的検討を行います。その上で、市町で住民の方とよく議論を尽くして具体的計画を作っていただいたらいいでしょう。時代の変化に合わせ、その都度修正をしていってもいいでしょう。そうすれば、ついに大災害が起こった時、和歌山ではいち早く復興の槌音が響くことでしょう。それが、この地で、我々が千年、万年と生き続ける知恵であります。