ようこそ知事室へ 知事からのメッセージ 平成27年10月 全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」を終えて

知事からのメッセージ

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平成27年10月のメッセージ

平成27年10月

全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」を終えて

 10月24日に皇太子殿下のご臨席を仰ぎ開会した全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」は3日間の会期を終え、10月26日に高円宮妃殿下をお迎えして幕を閉じました。
 国体の陰に隠れてどうしても目立たなくなってしまう障害者スポーツ大会ですが、障害のある人が、色々な困難を克服し、スポーツに親しみ、全国の仲間と堂々と技を競い合うというこの大会は、本当に素晴らしいものだと実感しました。宮様のお供という形でしたが、かなり多くの競技を見させていただきました。国体の時のように、或いはそれ以上に選手の皆さんのひたむきさがよく伝わってきて、心の中で思わず「それがんばれ」と応援をしていました。
 和歌山県には、水泳のメダリスト中村智太郎(なかむら ともたろう)選手や、陸上競技の生馬知季(いこま ともき)選手のような全国に名をとどろかせているような名選手もいますが、そうでない選手も皆さん本当によく頑張ってくれました。
 とりわけ、団体スポーツは、毎年本大会に出るためには、近畿地方でトップにならないといけません。すると大阪や京都や兵庫といったチームが立ちはだかって、中々本大会に行けないという状況が続いていました。その結果競技種目によっては、中々刺激やきっかけが無くて県内にチームもないという種目もありました。主催県は予選無しで出場できますから、せっかくのその好機を生かして、チームを作って出場しようという運動が始まりました。これを指導したり勧めたりする立場にあった県の担当部局の者によれば、選手にならないかと勧められた人は、始めはおっかなびっくりであったが、そのうちとても熱心になり、皆さんスポーツが出来る喜びを感じつつ、必死になって練習をしたのだそうです。その結果選手281人、役員136人という大選手団が結成され、3日間皆さん一生懸命戦いました。
 紀の国わかやま大会において、和歌山県選手団は、全体で127個のメダル(金56個、銀33個、銅38個)を獲得しました。これはこれまでの最高記録である前回の長崎大会の40個の3倍以上、なんと東京都に次いで2位という大成果を上げたのです。
 

 閉会式も素晴らしいものでした。式典が終わり、大会旗が来年の岩手県に引き継がれ、炬火台の炎が消えた後、堀内孝雄さんのステージがありました。選手諸君がステージの前に集まって、本当に皆さん嬉しそうに歌を聞いたり踊ったりしていました。和歌山県の選手団の集団がステージ前から、和歌山県選手団の定位置の方に戻っていったので、混み合っているので遠慮したのかなと思っていたら、グラウンドの空きスペースで皆で堀内さんの歌に合わせて踊り出したのです。そして、その選手達が踊りながら仰ぎ見た観客席に、選手達と歩調を合わせて踊っている人を見た時、思わず涙が浮かびました。きっと観客席には、選手諸君の家族や縁者がいて、息子さんや娘さんの晴れ姿を、心から讃えておられたのだと思いました。障害にも関わらず頑張ってグラウンドに立っている息子さんや娘さん、それをこれまでずっと守り育ててくれた親御さん、その双方が踊っているのを見ると、本当にこの大会は素晴らしいと心から感動しました。
 その後、和歌山県の選手団は、他県の選手団を、きいちゃんの旗で心を込めてお送りしました。グラウンドのそこかしこにまた新しい友情と絆が生まれたことは間違いありません。きいちゃんの旗は大好評で、各県の選手団達のご要望で、彼らの旗やマスコットとの交換がどんどん進んでいきました。
 

 この大会を運営するに当たっては、国体以上に多くの方々のご支援をいただきました。特にこの大会はボランティアの方々の働き無しにはとうてい運営できません。国体以上に多くのボランティアが活躍してくれました。多くの高校生、中学生が補助員として走り回ってくれました。実は、順風満帆のように見えた「紀の国わかやま大会」ですが、ピンチもあったのです。大会1日目の夜には突風が和歌山を襲い、例えばアーチェリー会場の日高川町では、テントや標的が総倒れになるという出来事があったのです。それを関係者の方々が早朝から必死で直して下さり、高円宮妃殿下が御視察になられた時には、すっかり直って選手諸君が技を競っていました。また、県民、市民の方々も大勢競技場に来てくれました。先催県の例では、どうしても開会式や閉会式、特に閉会式の時には観客が少なく、少し寂しい大会になったかなと思う時もありましたが、「紀の国わかやま大会」では両方ともおおよそ満席に近いような方々が選手を励ますために駆けつけてくれました。障害のある人が一生懸命プレーするのを熱心に温かく見守るという和歌山県民の心意気が示せたかと思います。
 

 障害のある方がスポーツに親しむということは、本当にすばらしいことだと思いました。この大会を機に盛り上がった障害者スポ-ツの灯を消してはなるまいと思います。それがずっと続くよう政策当局者として努力をしていく所存です。岩手にもこのままの人々がこぞって行けるようにしたいと思います。と考えて、しかしと言わざるをえません。来年からは再び予選を突破しないと岩手の本戦に行けない。大阪や京都や兵庫がまた立ちはだかる。しかし、しかし、しかし。障害のある人がスポーツの喜びを感じられるのは、何も本大会の場とは限らないと思います。予選だって、皆さん必死でプレーして楽しんでもらえるはずだ。しからば、近畿予選も含めて選手を励ましてあげることはできないものか。そこで考えました。来年の全国障害者スポーツ大会の結団式には近畿の予選の前に行おうと。そうすれば、和歌山県の代表として誇りを胸に精一杯戦ってきてくれと、紀の国わかやま大会に出た選手と同じ数の選手を励ますことができるのではないかと。

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