ようこそ知事室へ 知事からのメッセージ 平成27年6月 焼畑農業と都市計画
知事からのメッセージを紹介します。
平成27年6月のメッセージ
平成27年6月
焼畑農業と都市計画
私がこの間まで大使をしていたブルネイでも奥地へ行くと焼畑農業が残っています。畑の地味が痩せてきたら、別の所で森林を切り倒して焼いて農業をするというもので、またそこが痩せてきたら次の所へとどんどん自由自在に移っていくのです。もちろん日本のような近代農業国ではそうはしません。土地を大事に手入れして管理していくのです。
日本の都市は和歌山県だけでなく、どこでもそうですが、この焼畑農業に似ています。次々と外縁部に拡がっていき、元の市街地は建物が廃墟(はいきょ)になったりして中心部が荒れていきます。私は何も中心市街地ばかりが大事とも言えないし、人口が増えている時は、若い世代が住まいを安く入手するにはなかなか良い所もあったと思いますが、そろそろこのような拡大は止めないといけないと思います。
まず外側にどんどん拡がるというのは土地の供給が増えるという事ですが、人口が増えない中で土地需要は増えませんから、土地の価格が下がって、土地の所有者は皆資産価値も下がります。すなわちたいがいの人は財産が減るということですね。また、広くなった市街地で市道や水道、下水など都市施設を作らなければならない市役所は財政が破綻します。第3に皆がバラバラと住んでも車で動ける時は良いけど、お年寄りになって車に乗れなくなったらとたんに悲劇です。
だから、そろそろ都市は外縁部への拡がりを止めて、そのかわり市街地で衰えた所には再開発でもう一度勢いを取り戻す必要があるでしょう。新興都市でも人口を集積させる所はあらかじめ決めておくべきでしょう。
このためには都市計画法などを利用して、土地利用の制限をすることも甘受しなければなりません。これらの政策手段は多く市町村が持っていますが、県もできるだけ積極的に関与していくつもりです。その際、自由な土地利用を制限する分だけ、不利益を被る人も出てくるかもしれません。しかし、和歌山県百年の大計のため手を打っておくべき時だと思います。