知事からのメッセージ 平成26年3月
知事からのメッセージを紹介します。
平成26年3月のメッセージ
平成26年3月
経済の好循環に向けて
我が国の経済は長くデフレと円高に苦しんできました。和歌山でもそうであります。とりわけ、長く続く円高は、輸出企業の採算を悪化させ、競争力を失わせてきました。和歌山の産業の大宗を占める中小企業は、直接は輸出をしているわけではなくても、何らかの形で輸出企業に製品を納入したり、運輸、工事、情報処理、印刷など何らかのサービスを請負って事業を展開するものが多くあります。また、直接は輸出企業と取引がなくても、取引のある企業とまた何らかの関係を持つ事によって収入を得てきました。そして、全体のデフレの中で長く停滞してきました。
安倍政権の誕生とともに、経済政策が劇的に変化しました。決然としてデフレからの脱却を図るのだという決意のもとに行われた金融政策によって、まず円高が是正され輸出企業の採算が飛躍的に改善し、競争力の回復とともに徐々に輸出自体も増加の兆しも見えています。
このような改善は、政府の勧めや、財界の覚悟のもと、従業員の給与を上昇させようという動きとともに、段々と全体に波及する方向へ向かうのではないかという期待を抱かせるものであります。
しかし、この動きが雇用する従業員の給与の向上にだけとどまり、広範な下請企業や関連取引企業に及ばなければ、景気回復の波及は限定的に終わってしまうというおそれがあります。
とりわけ圧倒的に中小企業比率が高く、それも輸出企業の下請や取引先であることが多い和歌山県の景気回復に関しては、好影響が輸出企業の中にだけとどまるならば、中々その影響が全体に広がっていかないというおそれもあります。
長い不況の中で、採算を合わすために、取引先への発注価格などをできるだけ切り下げざるをえなかった時代が余りにも長く続いたので、まだまだ景気の先行きに対する不安が輸出企業側に大きいという事情もよく理解できる所でありますが、日本経済がせっかくつかんだ景気回復のチャンスをしぼませないためにも、利益を上げた企業が、その利益の一部を従業員のみならず取引先にも均てんしていただくことによって、全体としての経済の好循環を心から期待したいと思います。
資本主義経済のもとでは、取引の価格は当事者どうしの自由な契約で決するというのが基本的なルールであり、私のような非当事者が口をさしはさむ事は適当でもないし、またさしはさんでも、それを必ず実現することは不可能であろうという事は重々承知しているつもりであります。しかしながら、上記趣旨に鑑み、和歌山県経済の向上のみならず日本経済の回復を十分なものとするため、安倍政権の経済政策により採算の向上した企業におかれては、是非下請や取引先に対して、取引価格を相応に引き上げる等のご処置を願いたいと思います。