ようこそ知事室へ 知事からのメッセージ 平成26年1月 「米駐日大使のイルカ漁批判」に対する知事定例記者会見での質疑要旨

知事からのメッセージ

知事からのメッセージを紹介します。

平成26年1月のメッセージ

平成26年1月

「米駐日大使のイルカ漁批判」に対する知事定例記者会見での質疑要旨

去る平成26年1月21日に開催した知事の定例記者会見におきまして、ケネディ駐日大使がツイッターでイルカの追い込み漁に反対する考えを示したことを受けて、記者との間で質疑がありました。その要旨を参考までにお届けします。

ケネディ駐日大使がツイッター上において、鯨漁に対して非人道的と評して反対する意向を表明されていましたけれども、これについて、追い込み漁が行われている和歌山県知事としての見解をお伺いしたいと思います。

知事:ケネディ駐日大使の発言もツイッター上のことですから、いちいち追っかけ回すのもどうかと思うんですけれども、お聞きになられたので、申し上げますと、まず、アメリカという国は捕鯨に反対なんです。だから、ケネディさんも外交官ですから、捕鯨は良いんじゃないでしょうかとはなかなか言えず、反対と言わざるを得ないでしょう。ただ、我々日本人は、何でもアメリカの言いなりになると言うわけにいきませんし、捕鯨を巡っては、国際的に色々議論をして、それで解を見つけてやっていくということが必要だと思っております。
それから、第二に、食文化というのはそれぞれに違いがあります。日本人は、わりあい何でも食べる国民だと思いますけれども、例えば、牛は絶対に食べてはいけないとか、あるいは豚は絶対に食べてはいけないとかいう国もあるし、日本人があまり最近食べないようなものも食べる国民もあると思いますし、それぞれの国で禁忌になっていたり、それから好き嫌いというのもあります。そんなのが色々あると思うんですけれども、我々人類としては、相手の立場を認めようというのが、文明の知恵だと思います。唯一制限をしなければいけないのは、世界的に、例えば資源がなくなっちゃうとか、そういう全体が困るという場合は、やっぱり国際的に話し合いをして、制限をしていかないといけないということだと思いますけれども、そうでなければ普通は相手の立場を認めるというのが良識じゃないかと思います。
我々は、日本人ですけれども、ずっと鯨とか、イルカとか、食べてきたのです。今回は、アメリカの関係ですから、アメリカのことをちょっと言いますと、実はペリーがやってきたのも捕鯨のためですよね。つまりどんどん、大船団で鯨を捕っていた国民なのです。それから、ほとんどの鯨の鯨種は今、捕獲を制限をされてるわけですが、例外的に認められてるような捕鯨もあります。アメリカの国民は、一部の国民ですけれども、沿岸漁獲という形で地域的にその捕鯨を認められていて、これは規制対象鯨種ですけども、これを獲っているんです。今、太地町なんかで獲っている鯨というのは、実は世界的に規制対象になっている捕鯨種でもない、つまり小さい鯨なのです。沿岸にいるこういう小さい鯨は例外ですから、それぞれ勝手にやってください。こういうことなので、規制対象ではないのですけれども、対象種の鯨ですら、一部アメリカでは沿岸漁獲ということで獲っています。そういうことなのだけどと、ちょっと思うこともあります。
それから、第三に残虐の話があります。やっぱり動物を殺すということには私も抵抗があります。全ての動物です。けれども一方では、ジビエもそうだし、それから普通に供される、例えば牛とか、豚とかもそうだし、それからお魚もそうですが、皆さん、命を奪って、我々は生きてるわけです。だからそういう意味で、命を奪うということが「けしからん」と言ったら、我々は生きていけないというふうに思います。残虐というんだけれども、動物を殺す所というのは、みんなそういう意味で多かれ少なかれ同じような意味がある。例えば、と畜場では動物をそこで殺すわけですよね。そっちは目をつぶって、鯨を殺してるところとかイルカを殺してるところだけ残虐だというのは、ちょっと論理的ではないと私は思います。
それから第四に数少ない資源というのは、日本人あるいは和歌山県民は特に大事にしてきたという自負はあります。殺生はやっぱり必要最小限でないといけないということで、乱獲で資源がなくなるような獲り方はしていないつもりです。それから鳥獣害駆除で殺したシカやイノシシをジビエで食べようというのも、そういう考え方なんですけれども、例えば鯨やイルカも自分達人間が生きるためにその命をもらったわけですから、お祀りをしたりして感謝しています。またその命の全てを、すなわち部位で言えばありとあらゆるところを利用させてもらって、それで自然の恵みに感謝するという文化をずっと僕らは続けてきた。それは太地町へ行くとよく分かりますよね。神社かなんかがあってですね、みんなお参りしています。そういうことを全体としてよく理解してほしいなと思うんですけれども、アメリカ大使としては鯨は捕るなと言わざるを得ないのかもしれませんね。

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