知事からのメッセージ 平成25年5月

知事からのメッセージを紹介します。

平成25年5月のメッセージ

平成25年5月

チャーチルの言葉

 第二次世界大戦時から戦後にかけての英国の首相チャーチルは「皮肉屋」で有名ですが、民主主義について次のような言葉を残しています。
 「民主主義は最悪の政治形態である。ただし、過去の他のすべての政治形態を除いては。」英国流の皮肉(アイロニーと言います)が効いた中々いい言葉だと思います。民主主義はとても大事なことですが、数学的な真理というような絶対的なものではなく、人類が長く苦しい経験を積んできた中で、一番「まし」なものとして手中にしたものであるということでしょう。民主主義という大上段に振りかぶらなくても、現実の政治や行政には、どこから見ても絶対に一番というものは中々なくて、大抵は、あちらがよいので、やってみようとすると、こちらに副作用が予想されて、どうしようかと迷うようなものがいっぱいあります。とは言え、政治や行政の責任者はそれらを全部考えた挙げ句、肝をくくってこちらと決めなければなりません。大抵たくさんの代替案がありますから、その中で一番「まし」なものを選ぶというのが本当の姿です。
 しかし、現実の、特に政治の世界では、中々そうは思ってはもらえません。派手な人が、大変魅力的なビジョンを語ると、人々は、上記のようなものごとの本質を忘れて、わーっと飛びついてしまう傾向があるように思います。そして熱が冷めると、内在していた現実と論理の復讐が始まるのです。
 だから和歌山県では、我々県政をリードする者は、現実をあらゆる方向からよく考えた上で、一番「まし」な方向を選択し、着実に実行してゆきたいと思います。さらにその選択に当たっては、県民の皆さんお一人お一人にこの方向が本当に一番「まし」なものかどうかよく考えてもらって、その議論の総意を汲んでいきたいと思います。

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