知事からのメッセージ 平成23年6月

知事からのメッセージを紹介します。

平成23年6月のメッセージ

平成23年6月

地震・津波防災総点検

 東日本大震災のつめ跡は、まだ日本をおおっています。和歌山県は、日本を襲うもう1つの大敵東海・東南海・南海地震の、残念ながら本場のような所です。これが襲いかかって来るリスクはまったく減っていません。和歌山県では、県民の温かい御協力を得ながら、被災地を支援していますが、同時に自らが生きのびる手立てをもう1度確立しておかなければなりません。そこで4月21日、県民に向けて「和歌山県の防災・減災対策の総点検の実施について」を発表しました。
 今回の津波でも、まあ大丈夫かなと逃げなかった人が多く犠牲になりました。また、逃げ方を知らなかった人、逃げた先が安全でなかった場合、避難指導にもたもたした場合、避難誘導に献身して犠牲になった人・・・・多くの課題があります。
 あの3月11日和歌山県でも、避難勧告があまり聞いてもらえなかったり、指定された避難先では本当に大津波が来ていたら大変だったと思われるケースなどもありました。
 そこで、この総点検では、まず5月下旬まで、市町村と県とで、避難先を見直して、再指定をし、6月末まで、住民一人一人のレベルまでどこに逃げるかを認識しておくという所まで徹底しよう。その他、住宅の倒壊防止、家具の固定、集客施設での落下物防止などすぐ出来ることをすべて見直そう。そして、その結果浮き彫りになってきた対策は、大急ぎで検討して平成23年度補正予算又は平成24年度予算に反映させよう。その上で、中長期対策として大がかりな防災インフラの整備や国の被害想定見直しに応じた対策の見直しを行おう。そのための助言をいただくため津波では日本一の権威と思われる河田惠昭先生をトップとする委員会も作ろう。・・・・ということになっています。
 ということで始めましたが、市町村に避難場所の見直し案を作って提出してもらった所で、まず問題にぶち当たってしまいました。というのは、市町村の防災担当の人々は、「避難所主義」からどうも脱却できないでいるようなのです。すなわち、災害が起こったら、水害でも暴風雨でも、まず避難所を決めてありますから、その小学校なり、公民館なりに来て下さい、来てくれた人は市町村がちゃんとお世話しますという考えなのです。ところが、この避難所が標高の低いところにあったら、ここに逃げ込んだ人は全滅という目に会います。また、串本のような所は地震から6分で大津波が来ますから、遠い避難所まで行っているうちに大波にやられます。大津波の時は、とにかく高いところに逃げる、それが時間的に不可能な所では、近所の堅固なビルの一番高い所へ逃げる方が絶対によいのです。そこで津波の危険の去る半日ぐらいはじっとしていて、それからおもむろに人が集まって面倒を見てもらえる避難所に行ったらよいのです。とまあ、こんな所から市町村と県とで相談をし直そうということで、作業はさらに時間を要しそうです。
 とは言え、皆さん、この機会に地震津波から逃げ切る方法を徹底的に確立しましょう。

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