知事からのメッセージ 平成22年6月

知事からのメッセージを紹介します。

平成22年6月のメッセージ

平成22年6月

日々の感激

 通商産業省(現在の経済産業省)の一年先輩に田中伸男さんという人がいます。現在、国際エネルギー機関(IEA)の事務局長をしています。日本人で国際機関の長として活躍している数少ない一人です。その田中さんは、私が一年生として入省した生活産業局総務課の一年先輩で、役人生活のイロハを私に教えてくれた人です。通産省という所は、入ったばかりの一年生に大変な役割を与えます。仕事の時間的段取りを考え、全局に指令をする役割です。一年生にそれをやらせながら、仕事のやり方を覚えさせるのです。従って大変な役割と言いましたが、つまるところ雑用の固まりです。それも信じられないほど何でもかんでも来てしまうので、連絡ミスでとちり、やり過ぎてはしかられ、散々な目にあいます。
 こうしてヘトヘトになってしまうのですが、そういう時、先輩の田中さんが「仁坂ちゃん(昔はこう呼ばれていたのですね)、何事も日々の感激だよ」と言ってくれるのです。その通りだと思いました。興味を持って、周りを見続けて行くと、ものすごい多くのことが見えて来ます。新聞の一面を飾るような仕事のほんの小さな断面がチラッと見えることもあります。日常的なことでも感激はたくさんあります。間に合うかと危ぶまれたコピーが、周りの先輩方の応援で夜明け前にできあがったり、少しおっかないベテランのタイピストさんが急ぎのタイプを速技で仕上げてくれたり、大小さまざまの日々の感激があります。
 考えてみたら、私は、こうした日々の感激に助けられながら、ずっと毎日人生を送ってきた感がします。大失敗して真っ青になった時、いつも厳しい局長が「まあよくあることよ」とニッコリ笑ってくださったり、読み筋どおりに事が進んで仕事が成就したり、まさに「日々これ感激」です。
 知事としての日々もそうでした。ウルトラC級の難事業が上手くいった時もそうですが、町行く人に「頑張ってな」と声をかけられたり、エレベーターの中でご高齢の女性に「県民の友を読ませてもらっていますよ」と会釈をされた時など、感激で仕事の疲れなど吹っ飛んでしまいます。

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