知事からのメッセージ 平成22年1月
知事からのメッセージを紹介します。
平成22年1月のメッセージ
平成22年1月1日
未来に希望を持って
県民の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げます。
さはさりながら、一昨年の秋以来の大不況は、まだまだ収束はしておりません。県民の皆様もそれぞれに心配やつらさを抱えておられる今年の初春であろうかとも思います。長年の停滞から脱却せんものと、県民の皆様とこぞって巻き返しに転じて、各所に明るい兆候が見え始めたと思う間もなく、世界大不況への突入で、和歌山の試錬は続きます。
苦しい中にあっても明日が今よりもきっと良くなると感じることができる時、人々は今の苦しさも耐えることができます。反対に昨日が良かった、今よりもあの昨日に戻りたいと過去に拘泥し始めた時、今の苦しさはずっとつのります。
去る11月に私は県議会議長さん等とブラジル・ペルーの当県出身の移民の方々を励ましに南米へ行ってまいりました。他の仕事があまりにも多く、2泊6日というものすごい日程になってしまいましたが、海の向こうの同胞と心からの交歓ができて良かったと思います。今は成功している人が多い日系の人々も、その祖先も、その昔、移民船に乗った時は、圧倒的な将来への不安と戦いながら船出をしていったことでしょう。その中でも多くの苦難と戦いながら、我々の同胞が頑張り通せたのは、希望を失わなかったからではないでしょうか。
現地の博物館で見学させてもらいましたが、初期の移民の人は、酷熱のジャングルの中で粗末な小屋に住みながら、子孫の教育だけは決して怠らず、それが南米の各国の尊敬される日系人の源となっているということでした。苦労の中でも子どもたちには希望を託し続けたということだったのでしょう。
我が和歌山も苦しい時に、皆がぐっと頑張って県勢が発展してきたという歴史があります。紀州五十五万五千石の地位を失った後、ぺっしゃんこにならずに全国に先駆けて産業革命の波を我がものにしたのも、戦後、焼け野原になった中で、これもいち早く産業復興を遂げたのも和歌山なのです。
長年の停滞の中から立ち上がり始めた矢先の大不況は本当につらいけど、つらい中にこそ明日が今日より良い日であることを信じて、また、それを実現するために、明日への希望を抱いて頑張らなければならないと思います。
その反対は何でしょう。あきらめと無気力、自分より少しでも良い位置にいる人への嫉妬とやっかみ、足の引っ張り合い、不公平な方法で人を押しのけて自分だけが良い目に合おうとすること、などなどです。言うまでもなく、このような心の持ちようからは、地域の全体に力がでません。
しかし、大丈夫だと私は信じます。県内の至る所で、明日が今日より良い日になることを実現しようと希望を抱いて、ビジネスに、学業に、社会奉仕に頑張ってくれている人をいっぱい知るようになりました。
特に若い人々の力には無限の力を感じます。映画「20世紀少年」で昔の青年であった今はおじさんのオッチョが「カンナ、お前は俺たちの希望の星だ」と叫ぶシーンを思い出させてくれるような感動をいっぱい味わっています。お年寄りの方だってなかなかのものです。70代でも80代でも永遠の青年のように未来への希望を持って常に前進しようとしている人々がいっぱいいます。
県民の皆様が未来に希望を持てるように、平成22年度の新政策は「希望」に焦点を当てて編成して行きたいと思います。そして希望を持って頑張ろうとする県民の皆様を、私も、和歌山県も、必死で支えようと思います。