知事からのメッセージ 平成21年9月

知事からのメッセージを紹介します。

平成21年9月のメッセージ

平成21年9月

むこう側からものを見る

 少し前に和歌山のある民宿の女性経営者から「都会から客が来るんやけど、ししの肉なんか出して失礼にならんのかの?」と聞かれました。私は「都会の人にとって、しし肉はとても珍しいんだから、それこそ喜ばれますよ。失礼なんてとんでもないですよ」とお答えしました。
 和歌山は、自然も、産物も人情も素晴らしいのですが、それを生かして我々の生活を考えていく時には、この和歌山が外から見るとどう映るかということを考える必要があります。
 観光客は、自分の日常とは違うものを発見しに来るのだから、都会にあるようなものを作ってしまうと飽きられます。
 道路の話だってそうです。こちらから見ると家の前の道は舗装されたし、もうこれ以上作っても仕方がないと映る時もあるかもしれませんが、観光客は、何も高速がなくて行くのに時間がかかる和歌山よりもっと早く行ける他所へ行こうということになります。工場の立地を考えている企業は、そんな不便な和歌山より、もっとアクセスの便利な他所にしますよとなってしまいがちです。そうすると、知らず知らずのうちに、働き場所が少なくなり、若者が他所へ行ってしまい、地域は寂しくなっていくのです。
 私は、30年余、他所にいて、郷土和歌山の事態の推移に色々と切ない気持ちを持ちながら、むこうから和歌山を見てきました。その経験を生かして和歌山の現実がよく見えることもあります。そして、その知見のすべてを生かして県の行政の改革と展開をコツコツと実行しています。
 しかし、何もこれは他所に行っていた人ばかりにできることではありません。ずっと和歌山にいる人だって、この素晴らしい和歌山の資源をどうやって世界中、日本中にアピールして我々が栄えることができるかを考え、実行できるはずです。そのためには、ちょっと冷静に「むこう側からものを見る」ということが大事です。そうして色々作戦を練って実行し、さらには、販売促進プロモーションのようにむこう側に出撃して、積極的に勝負することも大事です。さらに「むこう側の人々に」選んでもらえるように、我々自身とこの和歌山を磨くことも大事でしょう。

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