知事からのメッセージ 平成21年2月 聞く耳を持つ行政を
知事からのメッセージを紹介します。
平成21年2月のメッセージ
平成21年2月1日
「聞く耳を持つ行政を」
就任後早や2年が経過しました。平成20年の事跡を「県政の軌跡」にまとめてみました。我ながらよくいろいろやったなあと思いますが、ご興味のおありの方はちょっとクリックしてみてください。その中で、この2年間で一番自慢できるものがあるとすると、県内あちらこちらに出かけ、皆さんの意見をよく聞いたかなということです。この2年で数えてみると県内各地だけで182回出かけ、各地の実状を自分で見て、大勢の方と話ができました。県政ポストには全部目を通し、県庁にお越しの方々も以前よりは格段に増えていると思います。行政の要諦は、目と耳を大きくして実状をつかみ、それに応じた対策を考えて、スピーディに実行することです。第一歩である実状の把握が今一つであると始まりません。また良かれと思う政策も独り善がりではぱっとしません。耳を大きくすることは、知事だけでなく、県庁の産業・企業別担当者制度など県庁全体で努力しています。
産業・企業担当者制度とは、県庁の職員に産業別、企業別の担当を持ってもらって、担当者は担当企業と常にコンタクトをとって、状況はどうか、何か困っていることはないかを聞いてきて、担当の産業の動向はどうなっているかの把握に常に努め、どうすればその産業が発展するかをいつも積極的に考えようというものです。発案者は私ですが、初めとまどいもあった職員もだんだんと慣れ、業界の人々とのコミュニケーションも楽しんでやれる人が増えてきたと思います。これは何も商工行政だけにとどまりません。農林水産業対策も福祉政策もすべて、県民の営みが目の前にあるのだから、それをよく知らないと話にならないと思います。和歌山市小松原通一丁目1番地の建物の中にどっしりと座っているだけでなく、百万人の県民が何を考え、何を困っているのかを積極的につかみに行って対策を考えることが県庁の仕事なのです。そうやって把握している最近の中小企業、県民生活の状況は大変です。一例を挙げれば、ずっと傷んで来た建設業界の窮状など目をおおうばかりです。
何も好きこのんででなく不当廉売に走らざるを得ない企業も多々あります。不当廉売は、公正取引委員会も叱り(しかり)に来るような事業者自身の問題なのですが、県としても何とかそれをしにくくするような制度の改正で業界を支援しようと制度の手直しをしました。本当はもっと無茶をしてでも業界を助けてさし上げたいのですが、他の県民に損をさせるような方法はとれません。わざと高い価格で発注したりすると、それは県民全体のお財布を軽くすることになるからです。聞いたからと言ってすべて要望や不平をかなえられるわけではありません。しかし、聞いてみないと何も始まらないということは事実です。聞いてみると、こうに違いない、こうであったはずだということが外れていることに気がつくこともあります。それはそれでもっと調べてみると理由もあるのでして、理由がわかれば対策もまたとれるのです。しかしながら、よく聞くことなしには、これらすべてが始まらないのです。
先ほどの建設業界の話も、年末の制度手直しでもまだカバーされていない問題もありそうです。したがって、また県庁の組織を上げて、また私自身も業界の現場の皆さんの声をもう一度聞いてみようと思います。県としては聞く耳を持ち続け、県民の悩みを背負い続けるしかないのです。