知事からのメッセージ 平成20年10月 空約束

知事からのメッセージを紹介します。

平成20年 10月のメッセージ

平成20年10月1日

空約束

 いつまでも暑い暑いと思っていた9月はあっという間に過ぎ、10月の声も聞くようになると、朝晩はめっきり涼しくなりました。9月議会も終わりまして、これから国体の開会式に出て、和歌山県チームを激励し(私は選手団長でもあります)、翌日からスペインで高野熊野の宣伝と観光と物産のプロモーションに行ってきます。スペインには、我が和歌山県の誇る世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の兄弟分でもある、もう一つの道の世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラへ至る巡礼路」がありまして、和歌山県とそこのガリシア州は今、共同プロモーションをやっているのです。同時に日本とスペインは、毎年「日本・スペインシンポジウム」という政府間のイベントをやっているのですが、これがちょうど、サンティアゴ・デ・コンポステーラで開かれていますので、そこでスピーチをさせてもらうことになりまして、高野熊野の宣伝をしてまいります。こうして訪西が決まったのですが、県民の皆さんの貴重な財産の中から高い旅費を出して行かせてもらうのだから、精一杯働いて和歌山の得になることをしようと、これにマドリッドでの観光と物産のプロモーションをくっつけました。有力な和歌山の企業家にも一緒に行ってもらって、マドリッドの大手旅行社とかを回ってPRをするほか、大使公邸をお借りして現地有力企業を呼んでもらって、観光物産売り込みイベントを行います。大沢県議会議長、泉県議もご一緒いただきますが、私が観光企業を回っている間、大沢議長には物産企業を回っていただくということで総動員、全員野球の計画となっています。
 観光に関する限り、今当県への東アジアの観光客数は急増していまして喜ばしいのですが、欧米からのお客さんも実は、数は少ないものの急増中です。欧米の人々にもうんと来てもらえばそれが話題となり、首都圏辺りからもまた人が来るようになります。それだけの潜在力が当県にはあるのです。我々が意識している以上だと思います。まだ実現するかどうかは今の時点では不明ですが、トルコの大統領に続いて、某国の大統領も訪日の際、和歌山を訪問してくれる可能性が出てきました。私が知事に就任してから、外務省が駐日大使の研修旅行の目的地に和歌山を選んでくれ、官民挙げて歓迎したのですが、その時に高野山など当県のすばらしさに感激したある大使が大統領に、和歌山県が一番と推してくれているそうです。当県の皆さんもこの気運に乗じて、おもてなしの心を磨き、工夫をし、このチャンスをビジネスの拡大に結びつけるよう努力していかなければならないと思います。「一歩前へ」です。
 前置きが長くなりましたが、知事からのメッセージは「空約束」です。どうも選挙が近いということで、どういう政策が望ましいか、ということが争われる季節となりましたが、それを巡っていつも思っていることを申し上げたいと思います。

 日本人が世界で最も尊敬される利点は約束を守ることだと私は思います。そして多言を用いませんがこれが日本の経済成長をもたらした要因の一つであると思っています。和歌山県だって、企業が立地したり、観光客が集まるかどうかは、そこにいる人々が約束を守る信頼に足る人々かどうかにかかっていると思います。知事選に出る時、私は空約束だけはすまいと誓いました。それで、夢いっぱいの、かつ詳細なマニフェストなるものを発表して選挙に臨む風潮花盛りの時代に、5つの政策目標という公約だけで県民の皆さんに訴えました。そして、当選させていただいて以来、一心不乱にその実現に努めています。一方では、本当に実現できるのかなと私などが思うマニフェストを掲げて当選して、次々とその実現を放棄してしまうような人もいます。また、この「空約束」には、選挙で訴えたことと、その後の具体的政策の方向が違うという場合もあります。例えば、地方を大事にすると訴えたのなら、その後も地方切り捨てにつながることをしないでもらいたい。企業を誘致して経済力をつけますというのなら、反対している住民の人も説得していかねばなりません。「空約束」は、ウソつきであると思います。「ウソの一つもつけんのか」という意見は間違っていると思います。誠実にコツコツ努力すること、約束したことは必死で守るように全知全能を傾けること、そして、そのためにいつも一歩でも前へ出ること、そういうことを通じて地域の活力も少しずつ取り返せるのではないかと信じています。私の見果てぬ夢は、公約やマニフェストが守られなかったら当選を無効とするという制度ができることです。

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