ようこそ知事室へ 知事からのメッセージ 平成20年2月 新長期総合計画と道路特定財源

知事からのメッセージ

知事からのメッセージを紹介します。

平成20年2月のメッセージ

平成20年2月1日

「新長期総合計画と道路特定財源」

ここ1年かけて、県庁を挙げて練ってきた新しい10年間の長期総合計画の原案がようやくできました。和歌山県は、昨年9月に発表しましたように、他府県と同様大変な財政難で、その再建計画も同時に作りつつ、財政の裏打ちのある着実な、かつ、県民の皆さんが十分に県の将来に夢を持ってもらえるような原案ができたと思います。

新長期総合計画原案では、この10年間に和歌山県が目指すべき姿を6つの特色で描きました。それは、

  1. 未来を拓くひたむきな人間力の育成
  2. 生涯現役で誰もが活躍できる社会
  3. 国際競争力のあるたくましい産業の育成
  4. 癒しと感動を与える誇れる郷土づくり
  5. 県民の命と暮らしを守る安全安心の確保
  6. にぎわいと交流を支える公共インフラの整備

そして、その姿をさらに15の具体的な目標に分けて、目標達成のために必要な政策をできるだけ具体的に描き出すこととしました。
その上で、この政策が実現したら、和歌山県はこれまでのような全国有数の人口減少県を脱し、日本全国に先がけて成長できるようになるという見通しを得るに至りました。すなわち、10年後の見通しは人口においては、これまでのすう勢見通しの92万8千人から大きく変化して97万5千人を見込んでおり、県内総生産額は、これまでのすう勢見通しの年率0.72パーセント(一人あたり県民所得1.40パーセント)から大きく上回る2.23パーセント(一人あたり県民所得3.30パーセント)の成長を見込んでいます。
この計画は県民の皆さんと共有すべきものです。したがって、長すぎて、冗長で役人言葉で「何を言うてんのかわからんわー」というのでは困るので、できるだけ簡潔に、具体的に、しかも、何のためにそうするのかという論理がよくわかるようにしたつもりです。
また、計画策定にあたっては責任を明確にするために、原案作成者は県民に選んでいただいた知事と県民に奉仕すべき県当局が心血を注いで作るということにしました。すなわち、有名な何とか総研といった所に原案作成を丸投げするということはやめました。また、審議会という限られた方々の審議に付するという形で、実は限られた県庁の職員がたたき台を作っているという形もとりませんでした。県庁の皆が自分の名で原案を県民に問うことにしたのです。このため、県庁の諸君にはこの1年間大変な労力をかけてきました。15の目標ごとにプロジェクトチームを作って、局長クラスを筆頭に各部局横断的なチームを作りました。
もちろん、他の方々のご意見を聞かねばなりません。各市町村長の会議は何度も、かつ、紀北、紀中、紀南に我々が出かけていって行いました。通常の審議会のような有識者会議も何度も行いました。そして、出た意見はどれを採用してどれを採用しなかったか、一覧でわかるような資料を作って、その次の機会に発表しました。県議会の皆さまにも骨子、素案そして原案と段階を追ってお届けし、その都度ご議論をいただいています。今後、県議会で審議していただき、議決をいただければ、3月には県民皆の10年間の長期計画となる予定です。

しかしながら、和歌山県が必死で描いた夢も大変な危機に直面しています。というのは、参議院で多数派を占める野党が道路特定財源の暫定税率の維持に反対をしているからです。もし、この反対が通ってしまいますと、財源に大穴があきます。高速道路やトンネルなどの大工事を担当してくれる国の道路財源も半分近くがなくなって、事業が総ストップするでしょうし、地方は全体で1.6兆円、和歌山県で120億円、市町村を合わせて170億円の財源が消えてなくなります。当県の見通しによると、道路関係の総支出規模の7分の4がなくなってしまいますので、借金を返したり、補修をしたりするお金を除くと、道路を作るお金がほとんど0(ゼロ)になります。この度の政府の道路の中期計画で、ようやく県民の悲願であった紀伊半島一周の高速道路の完成と、本当に待ち遠しかった他の道路に目途が立ったと思ったのに、今回の騒ぎで本当に財源が失われてしまうと、その夢は、はかなく消えてしまいます。テレビなどを見ておりますと、暫定税率をやめてガソリン代を安くすることに賛成かどうかという議論だけをしていて、その影響などは明らかにされていません。税金が安い方がよいか高い方がよいかという質問だけをされますと、ほとんどの人は安い方がよいと言うと思います。しかも、昨今のように生活は中々よくならないのに、ガソリン価格が国際的原油高でうんと高くなっている時はなおさらで、ガソリン税で言うと、その引き下げに反対する人は、私が先に申しましたからくりと影響をわかっている人か、地球環境を守るためには化石燃料には税金をかけて消費を抑えるべきだという人だけかなと思います。(何故かいつも地球環境問題を強くおっしゃる方々が、今回「ガソリン値下げはとんでもない」と言わないのは不思議ですが。)しかしながら、私は、暫定税率の廃止(ガソリン税引き下げ)に賛成と言っておられる方は、次の4つに分けられると思います。
第1は、ガソリン税が下がると道路を作るお金がなくなってしまうということを意識していない人。こういう人々に事情を説明すると、「それならとんでもない」という人も多いと思います。
第2は、ガソリン税を下げても道路の財源は「政府や県が何とかしてくれらよ」というタイプの方々です。しかし、今度ばかりは何ともなりません。県の場合で言うと、暫定税率がなくなると、道路を作るお金はほとんど0(ゼロ)になるのは前述の通りであります。また、ただでさえ県の蓄えが尽きかけて、これから一層の財政再建をしなければならない時に、120億円がひねり出せるわけがありません。それでも、道路をいくらか作るとすれば、福祉や教育の水準をうんと切り下げなければなりません。そんなことはできません。国も同様です。国も1兆円ぐらいの財源を失います。これを回復するには、消費税を上げるか赤字国債の増発しかないでしょう。後者は、一見できそうに見えますが、財政赤字の残高が世界でもダントツナンバー1になってしまっている日本で、そのような財政運用をすれば、私はおそらく金融に復讐されて株安や金利上昇を通じて、経済が大変なことになるような気がします。
第3は、「道路は多すぎるのと違うか」とか「道路を作らなくても、例えば和歌山県の発展は大丈夫なのではないか」、「あんまり変わらないのではないか」といった考えの方々です。この種の考えは、既に小泉改革の中にもありました。そして、一昨年の12月、政府与党は必要な道路は作るがそれ以外は作らないこととし、何が必要な道路かは平成19年末までに10年間の中期計画で決定し、そのために必要な財源以外の財源は一般財源に回すという意思決定をしているのです。私は、ただでさえ全国の道路ネットワークから切り離されている和歌山県の道路が必要でないと言われたら大変ですから、ワールドビジネスサテライトでおなじみの伊藤元重東京大学大学院教授ら全国の識者を、春から集めて和歌山県道路懇談会を結成し、何が国民にとって必要な道路かという哲学と、それに基づき当県にとって必要な道路を建設するためいくら必要かという算定を行ってきました。その結果は昨年8月に発表するとともに、国土交通省に他県より真っ先に届け、国土交通省のその後の作業の道筋をつけたと考えていますが、ひと言で言うと哲学については人々、道路は特に和歌山のような地方にいる人々にとって、生活をよりよく設計しようとするチャンスを保障するものだということと、それでも何でもかんでも必要というわけにはいかないから選択と集中だということでした。また、その試算は選択と集中により大いに「けちって」も、平成19年度投下額の19倍、すなわちこれまでの10年間の約2倍の資金が和歌山に必要だということでした。私は、こういう試算から見て、全国に和歌山のような所はもっともっとあるでしょうから、政府・与党がこの10年間に59兆円必要と算じた先の中期計画が過剰だとは思えないのです。また、それでも道路は多すぎるという方にとっても、自分にとってあの道路の建設やあそこのボトルネック解消だけは必要と思っておられる人が多いと思いますが、それも今のところほとんど全部できなくなります。さらに、道路と生活の改良は関係ないという人もいるかもしれませんが、この数十年間、目立った企業誘致はほとんど高速道路の真上と言ってもよいような地域で起きていることや、和歌山県もそうですが、高速道路の空白地帯こそ人口減少率が上から数え得るような地域だと申し上げるだけで、道路が地方にとってはチャンスの元だということが、わかっていただけるのではないでしょうか。もちろん、大事な道路予算で遊具を買うといった無駄はやめるべきでありますし、全国で見たら、あの道路投資だけは無駄だというような所もあるでしょうが、だからといって財源を半分にするというのは無茶が過ぎると思います。
第4に「それでもやっぱり道路はいらない」という方もいるでしょう。「自分はもうチャンスを生かそうとは思わない。和歌山のような地方が衰えてもよい。子どもや孫が和歌山で働けなくてもよい。ただ、生活が少しでも苦しくなくなれば、たとえ、月数百円か数千円でも生活のコストが下がる方がよい」そういうふうに考えられる方がいらっしゃるとすれば、その人は少なくとも甘い言葉に欺かれているわけではないと言わざるを得ません。しかし、このような第4の類型の方々がそんなに多いとは、私には思えません。仮に、そういう方々がいれば、私は「皆で和歌山を元気にしましょうよ。そのために、生活は苦しいかもしれないが、我々や我々の子どもたちがチャンスを生かせる基盤だけは作っておこうではありませんか」と申し上げたいと思います。これが新しい長期総合計画の思想であり、私たちがこの和歌山を元気にするための条件だと私は思います。
いずれにしても、全ての情報を出して国民や県民に正しい判断を期待するのが正道です。一方的な情報(今回の場合は、「税金を下げてガソリン代を下げよう」)だけを流して、その影響を知らない地方の人々を誘導していくというのは邪道です。せめて県政だけは、県民に全ての情報を提供して、偽りのない行政をしたいと思います。
なお、燃料価格の高騰などどうでもよいと、県や私が思っているわけではありません。その逆です。和歌山県では、全国で真っ先に原油価格高騰対策を発表して、現在実施中です。(詳しくは、県ホームページ「原油価格高騰相談窓口」を見てください。)ひと言で言うと、県庁に総合相談窓口を設けるとともに、関係部局がそれぞれの業界と影響回避のための相談に入っています。また、県のセーフティネット融資を今年初めから拡大して、燃料高に起因するコストアップによる経営難も融資対象に加えました。さらに、特に困窮している方々に、燃料高による生活苦から大変なことが起こらないように、全県の民生委員等の方々に困っている方々のケアを強化するようにお願いをしているところです。皆さん、必要な方はどうぞこの制度のご利用をお考えください。

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