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和歌山の人、もの、地域 和 nagomi 世界遺産登録10周年 熊野転生 2014 vol.24

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1 号外 2014年(平成26年)7月7日 (月)/nagomi新聞/第24号 和歌山県広報課

大門坂(熊野古道中辺路)
大門坂(熊野古道中辺路)

熊野三山と高野山、吉野・大峯の3つの山岳霊場とそれらを結ぶ参詣道が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録され10年が経った。紀伊山地の自然と人々が千年を超えて築いた広大な祈りの風景。しかし、この間も、自然は容赦なく猛威を奮い、また新たな営みに光を注いだ。次の千年を思い、改めてその価値と行方を探る 心を繋ぐ参詣道/人々が歩き、そして道が生まれた

世界遺産たる価値
 この10年、特に女性を中心に、癒し、パワスポ、スピリチュアルと数多くの本が出版され、神仏への関心も高まっている。世相を反映し、熊野や高野山の知名度は国内外で徐々に浸透しつつある。神仏習合の姿を色濃く遺す紀伊山地が、なぜ世界遺産となったのか。その価値を探るべく、登録年度に発行された「世界遺産 紀伊山地の霊場と参詣道」(発行:世界遺産登録推進三県協議会)を紐解いてみた。世界遺産委員会に提出した「世界遺産一覧表記載推薦書」の本文や写真を再構成したもので、そこに登録資産の価値証明に関する記載があり、その一部に比類なき資産との段をみつけた。

〈比較による価値証明〉

発心門王子
発心門王子
 紀伊山地においては、中国大陸から請来された山岳密教の霊場をはじめ、日本古来の自然崇拝に根ざす山岳信仰又は神道と中国大陸及び朝鮮半島から伝来した仏教及び道教との融合によって形成された日本固有の神仏習合の霊場や修験道の霊場などが同一の山岳地域に併存している。また、これらの三つの霊場が参詣道によって結ばれることにより、霊場と参詣道を含む深遠なる山岳景観が信仰に関連する顕著な文化的景観を形成している。こうした事例は他に類例が無く、価値の比較に関する検討は不可能である。
滝尻王子裏の急坂(熊野古道中辺路)
滝尻王子裏の急坂(熊野古道中辺路)

参詣道

 紀伊山地の「参詣道」は目的地への直線的な利用ではなく、相互に利用しあっていることがとても大切な意味をもつ。また、巡礼道が世界遺産の主たる資産である例は少なく、登録以降、その象徴的な存在として熊野古道(熊野参詣道)が注目された。
 熊野古道には複数のルートがある。なかでも、上皇らによる熊野御幸の道・中辺路は、中世の面影を強く遺すルートとして人気が高い。京から川を下り紀伊路を経て熊野三山に至る道中には、熊野九十九(くじゅうく)王子と呼ばれる熊野権現の御子神を祀った社が特徴的で、数キロごとに建てられた王子は、時に歌会を催すなど旅の休息の場所でもあった。 熊野地図

ダルにご注意

南方熊楠
南方熊楠
 知の巨人、かの南方熊楠も遭遇したという恐ろしい「ダル」。取り憑かれると急にからだが動かなくなり、意識が朦朧として歩けなくなるという。食べ物を口に放り込むと離れていくので行き倒れの霊とも。今でも地元の人たちは「熊野古道を歩くならあめ玉持っていけ」とか「おにぎりはひと口残しておけ」という。脱水症状だろ、とか講釈をいわず先人の智恵に従おう。
海沿いの大辺路
海沿いの大辺路

今も厳しい修験の道も

 熊野古道は、紀伊路、中辺路のほか、伊勢と結ぶ伊勢路、高野山と結ぶ小辺路、風光明媚な海岸沿いを行く大辺路がある。また吉野と熊野を結ぶ大峯奥駈道は、今も修験者たちの法螺貝が響く修行の道。

世界遺産で「道普請」

道普請の様子
道普請の様子
 道は歩けば傷む。そのため、和歌山県では企業や個人のボランティアによる道の維持保全活動の仕組みを作り、サポートを続けている。地元のみならずたくさんの人々の汗により、未来へ繋ぐこの活動は徐々に浸透しつつあり、平成19年度には536名だった参加者が同25年度には約4倍の2138名に登る。(お申し込み、お問い合わせは県世界遺産センターまで。※)

次代に繋ぐために

 熊野や高野山は、人々の暮らしと世界遺産が一体化し呼吸している景観である。言い換えれば、進化も退化もする景観であり、時代の流れに変、不変を繰り返してきた。和歌山県は、難題といえる景観保護のためには文化財の保護だけでは足りないと考え、背景の山並みまで含めた景観条例の制定や自然公園区域の抜本的な見直しなど、あらゆる手段を講じ保全に努めている。この神聖で寛容な空気感を次代に繋ぐために。
和歌山 人・もの・地域 和 nagomi
世界遺産登録10周年
号外
世界遺産登録10周年記念
サンティアゴ・デ・
コンポステーラ
巡礼の道が繋ぐ交流
 5月11日から17日、日本・スペイン交流400周年及び世界遺産登録10周年を記念して、「和歌山県文化交流団」がスペインを訪問。13日にはガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂で和歌山県の伝統文化・精神文化を紹介する「和歌山文化プロモーション」が開催された。大聖堂内では熊野本宮大社の男舞などが披露され、300人を越える市民やマスメディアから大きな拍手が起こった。
熊野本宮大社の神官による男舞
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に奉納された熊野本宮大社の神官による男舞
空海も歩いた
巡礼の道
高野町石道は、高野山麓の慈尊院から高野山上へ通じる表参道で、空海が高野山を開山して以来の信仰の道。道標として木造の卒塔婆が建てられていたが、後に1町(約109メートル)ごとに「町石」と呼ばれる石柱に建て代えられた。高野山への半ばほどには、天野の里と呼ばれる盆地があり、高野山の地主神を祀る丹生都比売神社がある。
高野山根本大塔
高野山根本大塔
高野山の至宝に出会える美術展 高野山開創1200年記念 高野山の名宝

密教美術の原点、空海ゆかりの至宝や、仏教界に新風を吹き込んだ運慶と、仏像としての理想美を追求した快慶の作品を展示。なかでも運慶作の国宝「八大童子像」が八躯※そろっての公開は、関西関東で約10年ぶり。
八躯の漢字の表記について

国宝 八大童子像(制多伽童子像)
国宝 八大童子像(制多伽童子像) 運慶作 鎌倉時代 12世紀 金剛峯寺蔵
[東京]
サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウンガレリア3F
2014年10月11日(土)〜12月7日(日)
[大阪]
あべのハルカス美術館
大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
あべのハルカス16F
2015年1月23日(金)〜3月8日(日)

※和歌山県世界遺産センター/田辺市本宮町本宮100番地の1 TEL 0735-42-1044
 E-mail:e0624002@pref.wakayama.lg.jp  http://www.sekaiisan-wakayama.jp/protect/michibushin.html

 

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