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和歌山の人、もの、地域 和 nagomi 世界遺産登録10周年 熊野転生 2014 vol.24

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俳優 小林稔侍/和歌山県知事 仁坂吉伸
僕にとって和歌山は、家族みたいなもの。/和歌山は僕にとって親父やお袋、そして兄貴そのもの。だから今も故郷に近づくだけでワクワク。そして今も和歌山弁を大切にしています。なんだか温かくっていいじゃないですか。

知事対談 俳優 小林稔侍×和歌山県知事 仁坂吉伸

柿の葉寿司
柿の葉寿司
紀北地方を中心に伝わる柿の郷、かつらぎ町の伝統食。

  僕にとって和歌山は、家族みたいなもの。

仁坂知事(以下仁坂)●小林さんは紀北かつらぎ町のご出身で、私たちはテレビでご活躍を拝見している訳ですが、小林さんの子どもの時の思い出をお話いただきたいと思います。

小林稔侍(以下小林)●小学生の頃は終戦直後で笠田村と呼ばれていました。遊び場はなんと言っても紀の川ですね。本当に自然豊かないいところでした。もちろん山でもよく遊びましたけど。

仁坂じゃあ泳ぎも達者だった訳ですね。しかし幼少の頃、ご病気をされて休学されたと聞きました。

小林●7歳の頃ですね。肺に病を患い治療の為の注射を1年以上毎日打たれていました。しかしその薬が日本に入って来たばかりなので非常に高価でした。我が家はそれほど裕福でもなかったのですが、母方の叔父などが海外でビジネスに成功し、その薬を売る程送ってくれたので、運良く九死に一生を得た訳です。


仁坂海外ではもう普及していたんですね。和歌山には昔から海外移民された方が多くいらっしゃり、成功された方も多かったと聞きます。

小林お袋は元々お経なんてあげない人だったのですが、神仏に頼るしかなかったので、毎日お経を上げてくれ、僕もいつのまにかお経覚えました(笑)。


仁坂お経を聞いて覚えたんですか?昔からやっぱり音感が優れていたのですね。耳がいいというのは、役者さんにとって重要な才能のひとつだといいます。








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  両親に可愛がられそして楽をさせたい

俳優 小林稔侍(こばやしねんじ )
小林稔侍(こばやしねんじ)
かつらぎ町出身。和歌山県立笠田高等学校卒業。第10期東映ニューフェイスに合格し東映に入社。大部屋時代からの恩人高倉健主演の「鉄道員(ぽっぽや)」で、第23回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。現在も数多くのTVや映画に出演。日本を代表する俳優である。
仁坂その後は、和歌山市にある和歌山大学附属中学校へ進学されたと聞いています。

小林●僕たちの学校から附属中学校を受験できるのは、学年で2〜3人程度でした。かつらぎ町から和歌山市は今わずか30キロの距離ですが、当時の30キロは距離感が違う。遥か彼方の都会なんですね。そしてその中学校を受けるという友人が「入学する女子はもの凄く可愛いらしいぞ」と言うんですね。しかし僕の成績は真ん中ぐらい。当然受験できないのですが、一念発起して勉強しました。邪な動機ですが僕の人生の中であそこまで勉強したのは、あの時の1年だけです(笑)。それでなぜだか僕だけが受かりました。

仁坂やっぱり最後の追い込みが凄かったんですね。

小林●運が良かっただけですよ(笑)。

仁坂●それから3年間ずっと汽車に乗って和歌山市まで通われたのですが、当時の和歌山市はどのような状態でしたか?

小林●まだ戦争の爪痕が残っていましたね。焼け野原となった和歌山市。当然お城も焼失してありませんでした。それでも市電に乗って和歌浦まで遊びに行ったのも覚えています。

仁坂そして高校を卒業されて東映のニューフェイスをお受けになられました。どうして俳優の道を目指されたのでしょうか。

小林●裕福ではなかったけれど両親には非常に可愛がられて育ちました。俳優になればお金が儲かるって思っていたんですね。「親父やお袋に家を建ててやり楽をさせたい」という思いで受けました。内情も何も知らずに(笑)。

仁坂ところがこれがまた凄い数で。男女合わせて24000人が受験し、その内受かったのが、男性ではたった4人だったとか。試験にはもの凄く強いですね。

小林●いや、本当に運が良かったんですよ。それから俳優座という養成所に入り、卒業すると肩書きは幹部候補生なんです。しかし撮影所には男だけで300人ぐらいいたんです。縁故も何もないわけですから、やることっていえば「歩き」だけ。

仁坂●ああ、通行人ですね。

小林●そうです。仕事が終わって東映撮影所の門を出る時に、「毎日毎日歩くだけ。まいったなあ。でも俺だけひょっこり入ったんだから、神様はそんな悪戯することないはずだ。何か先にいいことあるはずだ」と自分に言い聞かせていました。





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  飾らず全てを受け入れる和歌山県人の懐深さ

仁坂●それで小林さんが通行人役から現在のような名俳優になられたきっかけは何かあったのですか?

小林●業界に縁故もありませんでしたので、誰かにすがるとかお願いするとかできなかったんです。ところが当時の撮影所というところは、ひとつの釜の中でごった煮状態なんですね。役者だけでなく撮影のスタッフさんとか各部署の人が沢山いました。俳優同士では演じ方などを論じあったり、撮影スタッフならではの違った見方考え方などを知り、互いに切磋琢磨できたように思います。今はそれぞれが異なったプロダクションに所属する個々の状態で、そういうごった煮の釜もなく、そういうことはありませんが、昔はコツコツやっていれば、誰かが声をかけてくれました。

仁坂●なるほど。スタンスが違えば考え方も違う。撮られる側と撮る側両方の考え方を知ることができた訳ですね。それは色んな意味ですごくいい経験ですね。様々な視点で物事を「見る・考える」ということは、「人を思う・思いやる」のと良く似ていて非常に大切なことです。行政においてもそういう異なった視点を持つということは非常に大切なとだと思います。他にも何か苦労されたことはありませんでしたか?

小林●方言というか言葉ですね。現在はテレビなどの影響で、多くの人の言葉は、標準語とは言えなくてもそんなに違いがないですよね。しかし当時は東京から和歌山に電話が通じるまで50分もかかる時代で、地方独自の言葉がはっきりあった時代だったんですね。しかし僕は役者という職業柄、アクセントなんか直さなければならない。だから授業が終ると東京駅に行き、人の話を聞いて標準語を勉強していました。ところがその時、誰かが僕にぶつかると男性でも「ごめんなさい」っていうんですね。地元で「ごめんなさい」っていうのは、上流家庭の女性だけの言葉でした。それで下宿に戻り、壁の前で練習するんですよ。これが全く言えない。自分の「ゴメンナサイ」って言葉に真っ赤な顔になるんですよ。

和歌山県知事 向仁坂吉伸(にさかよしのぶ)
仁坂吉伸(にさかよしのぶ)
和歌山県知事

仁坂●ええ?そうなんですか(笑)。役者というのは誰でもそういうのをパっと演じきれるものだと思っていました。小林さんは相当シャイなんですね。しかしこれは和歌山県人の特有の共通の現象なんですよね。シャイでわざとらしい事をしたくない。そして飾らない。さらにいいところといえば、人情味に溢れ排他的ではないって事です。熊野も高野山もそうですが、多くの巡礼者を分け隔てなく受け入れていた。そしていつのまにか居心地がよくてそこに住み着いてしまう。そんな懐の深さ、器の大きさが和歌山にはあるんですね。小林さんと話していても、和歌山県人が持つ温かさや奥深さを改めて感じますね。




















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  和歌山の魅力はゆったりとした時間

真田庵・善名称院(ぜんみょうしょういん)
真田庵・善名称院(ぜんみょうしょういん)
真田昌幸・信繁(幸村)の隠棲時代の屋敷跡。九度山町にある高野山真言宗の寺院。2016年のNHK大河ドラマでは幸村を主人公とした「真田丸」が放映される予定。
仁坂小林さんにとって和歌山の魅力ってなんでしょうか?

小林●実は凄く好きで大切にしているのが和歌山の方言なんです。家族で話す時も僕だけ和歌山弁です。変でしょう?昔は方言を直すのに苦労していたのに(笑)。地元かつらぎ町はどこを見てもみかんと柿の山でした。僕の同級生の多くも今は農業に専念し、穫れた柿などを送ってくれるんですよ。「おれが作ったんやからな、うまいやろ!」っていうんですよ。「おお。うまいで〜」ってね。そういう電話のやり取りを今でも互いに和歌山弁でやっています。

仁坂昔の同級生と今も仲良くしているっていいですね。それはやっぱり小林さんのお人柄ですね。

小林●そして僕にとって和歌山は親父でありお袋であり兄貴なんです。だから所用で和歌山に戻る事があると、近づくにつれ心が高揚していくんですよ。そして久しぶりに帰ってもそれほど町並みも変わっていない。ところが子どもの頃遊んだ川原の木や道沿いの木が、大きくなってるんですよね。そこに住んでる人たちはあまり分からないかもしれませんが、僕にはすごくしっとりとそしてゆったりした時間の流れを感じることができるんです。

仁坂それはなんだかほっこりする良い話ですね。そういうところにも小林さんの感性を感じます。紀北地方には和歌山が誇る世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の高野山が、また小林さんの地元かつらぎ町にも天野の里がありますが、これらの地もそれぞれしっとりとした癒しの聖地です。今年は「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録10周年を、また高野山は来年開創1200年を迎え、日本はもとより外国からの注目も集めています。さらに、小林さんも何本か出演されたと思いますが、2016年の大河ドラマが真田幸村を主人公とした「真田丸」に決定しました。同じく紀北の九度山町は真田父子が隠棲生活を送った地で、その屋敷跡には「真田庵」があり、真田ゆかりの地として地元は大変盛り上がっています。

小林●へぇ〜そうなんですか。かつらぎ町を含め紀北地方は日本一の柿の生産地ですよね。やはり柿をもっとどんどん出して町おこししないと!ですね。

仁坂これを機にもっと和歌山を売り出していきます。是非、小林さんも和歌山へお越しください。本日はお忙しいところありがとうございました。

 


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