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和歌山の人、社会、地域 和 nagomi 伝わる・生まれる 〜和歌山人ものがたり 2008 vol.6

シリーズ 紀州の世界遺産 高野山

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」MAP

世界遺産
「紀伊山地の霊場と参詣道」


 修験道の拠点である「吉野・大峯」、熊野信仰の中心地である「熊野三山」、真言密教の根本道場である「高野山」の三霊場と、それらを結ぶ「参詣道」から構成される。和歌山、奈良、三重の3県にまたがる。
 紀伊山地には、中国大陸から請来された山岳密教の霊場をはじめ、日本古来の自然崇拝に根ざす山岳信仰や神道、中国大陸・朝鮮半島から伝来した仏教と道教の融合で形成された日本固有の神仏習合の霊場や修験道の霊場、などが併存している。さらに、こうした霊場が参詣道によって結ばれることで、霊場と参詣道を含む山岳全体が、深遠な比類無き文化的景観となっている。
 人と祈りと自然が共生してきた、平和な民を象徴するこの景観は、人類のかけがえのない宝として、2004年7月世界遺産に登録された。

 高野山は、約1200年前に弘法大師によって開かれた真言密教の修行道場で、高野山真言宗の総本山でもある。標高約900メートルの山上に広がる盆地には、117もの寺院が立ち並び、その多くは宿坊を兼ねている。
 山の入口・大門から約10分ほど歩くと、さまざまなお堂や塔が立ち並ぶ「壇上伽藍」と呼ばれる聖域があり、曼荼羅の思想に基づいて根本大塔、金堂などが配置されている。
 さらに20分ほど歩く一の橋からは、弘法大師の御廟のある奥の院までうっそうと杉の樹の茂る道が続く。道沿いには、太閤秀吉から太平洋戦争の戦没者まで、さまざまな人々の墓が立ち並ぶ。この道を歩いているのは、お遍路さんたちを除けば外国人旅行者が多い。その多くは、史跡巡りというより、”生の密教文化”を求めて訪れているようだ。

 かつてはそんな外国人の1人で、現在は役僧として山内の無量光院で生活しているのが、クルト・厳蔵さんだ。スイス人のクルトさんが高野に入山したのは約10年前。それまでも何度も高野山を訪れ、僧になるまでになった理由は、「ここには生きた文化があるから」だという。
 「例えば、京都には確かに歴史的な町並みや建物はあるかもしれない。でも本物の自然が感じられないでしょう? 高野山には、町並みや建物はもちろん、本物の自然と、そこで生活する人々の息吹がある。高野山は美術館ではない。”生きた文化”があるんです」(クルトさん)
 高野のまちは1200年の時を経た数多くの歴史的事物と、いまを生きる人々の生活そのものが見事に溶け合っている。クルトさんはじめ外国からやってくる人々の目に魅力的に映っているのは、そんな風景なのだろう。

高野山MAP

 高野山を訪れる外国人と日本人の1番の違いは、滞在期間の長さだという。日本人は、バスや車で乗り付けて、壇上伽藍や奥の院などを観て帰ってしまうことが多い。外国人旅行者は最初から3泊以上する予定で宿坊に泊まったり、その時のコースの都合で1泊しかできなくても、「これでは足りない」と再び訪れて何泊もするという。「”観光”を求めてくる人と"本質的な文化"を求めてくる人の違いだと思います」(クルトさん)
 クルトさんは、2008年から国土交通省が任命する「YOKOSO JAPAN大使」に選ばれた。これは、日本への外国人旅行者を2010年までに1,000万人にする目標のもと、日本の魅力を発信している人々を任命するもの。クルトさんは、外国人旅行者や欧米のメディア、旅行会社にフランス語、ドイツ語、英語などで高野山の曼荼羅や仏像、ふすま絵などを解説し、その魅力を紹介。また、ヨーロッパの観光セミナーで高野山を紹介するなど、認知度アップに貢献していることから選ばれた。「高野山を訪れる人には、山内をぜひ自分の足で歩いて欲しい。車で移動することもできるけれど、生きた文化を感じるためには歩くのが一番です。時間はかかるけれど、そのためにも何泊かして欲しいと思う」。
  クルトさんは日本人にこうメッセージする。
 「こんなに素晴らしい生きた文化遺産が国内にある国はそう多くない。もっと多くの日本人が訪れるべきだと思います。高野山に行ったことがないなんて本当に不思議。もったいないね」

平日は意外と歩く人の少ない奥の院へ続く道

平日は意外と歩く人の少ない奥の院へ続く道。晴れても雨に煙っても美しいこの道をぜひ歩いて欲しい。運がよければ散歩中のクルトさんに出会って、高野山にまつわる話が聞けるかもしれない。


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