和歌山の人、社会、地域 和 nagomi 躍動する!紀州人のDNA 2008 vol.5

和歌山は第二のふるさと コブクロの夢が育った街

コブクロ(左:黒田俊介/右:小渕健太郎)


PROFILE
 ストリートで歌っていた小渕健太郎と黒田俊介が1998年に結成したフォーク・デュオ。2001年3月、「YELL〜エール〜/Bell」で待望のメジャーデビュー。昨年に出されたシングル「蕾(つぼみ)」はレコード大賞に輝き、今年の高校野球春のセンバツの入場行進曲に。

和歌山が見出し育てたその歌


 1998年。大阪・心斎橋の路上で歌っていた2人組に、和歌山の男が声をかけた。「うちの会社の展示会で歌ってくれませんか?」と。ここから、コブクロと和歌山の深いつながりが始まる。この男が『コブクロ事務所』を和歌山に設立したのだ。そして、手づくり企画「30人ライブ」も始まる。レストランで、ゲーム販売店で、リゾートスポットで…。県内各地に広がったそのライブで、2人の歌は輝きを増していく。
 ある日、地元ラジオ局を2人が訪れた。ギターの弦を新しく張り替える。黒田はいった。「多くの人に聴いてもらえるのがうれしい。いい音で聴いて欲しい」と。DJの小川孝夫は振り返る。「聴いて、まず出てきたのが涙でしたね。歌が心に飛び込んできました」。程なく2人はメジャーデビューを果たした。

毎年の「ファンフェスタ」


 和歌山が「第2のふるさと」というコブクロは、メジャーデビューの翌年から毎年和歌山市で「ファンフェスタ」を行っている。
  その日の和歌山はコブクロ一色になる。JR和歌山駅を降りればまず、巨大な2人の写真がお出迎え。会場までの道にはのぼりが立ち並び、コブクロに引っかけて5,296円のセールをする店もある。このライブに集まったファンは、和歌山市内のコブクロゆかりのスポットも訪れる。そう、デビュー前のコブクロが歌ったお店を、一つひとつ、いとおしむように…。

山の「あったか本屋さん」に行ってきました・・・

イハラ・ハートショップ

 山の中の本屋さんに、子どもたちの元気な声が響いていた。10キロ以上離れた田辺市龍神村の東小学校1、2年生の8人だ。毎年「体験学習」として図書室用の絵本を選ぶ。お気に入りの本を探す目は真剣そのものだ。
 「イハラ・ハートショップ」は和歌山県日高川町唯一の書店。山あいの道路からさらに横道を登った集落は、人影も少なく、「本当にここに書店があるの?」と、初めての人は不安になる。でも、児童書は専門店並みの品揃え。手づくりの温かい空間は、全国の絵本愛好家や出版関係者から注目され、先日は木村伊兵衛写真賞受賞の写真家・編集者の都築響一さんも訪れた。5月4日には都築さんが再び訪れ、サイン会を開く予定だ。
 お店を切り盛りする井原万見子さんは行動的だ。夜行バスで東京へ出かけ、絵本原画展などへの協力を出版社にお願いして回る。地域の子ども達に「ほんもの」に触れてもらう場を作るために…。
 最近扱う商品が増えてきた。周辺の店が次々に閉店してしまったため、地元の要望に応じて、日用品や食料品、野菜の種まで…。
 井原さんは「やめようかなと思うこともあるけど、楽しみにしてくれる人がいるから頑張ります」と話す。地域の文化も、生活も支える「本屋さん」なのだ。