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和歌山の人、社会、地域 和 nagomi 和歌山モノづくりのポテンシャル 2007 vol.4

【紀州を旅する】飛び地 村ぶろ じゃばら 筏下り 小さな村に4つのオンリーワン 水墨画のような北山川。訪れる者を癒してくれる。

 日本で唯一県境を越えた飛び地の村・北山村の「村ぶろ」が、2007年度の日経地域情報化大賞日経MJ賞を受賞した。他にも全国オンリーワンがあるユニークな村らしい。とにかく行ってみようと思い立った。

和歌山県なのに県境越え「全国唯一の飛び地の村」

北山村へのアクセス 新宮市から車で約1時間15分 三重県熊野市から北山村営バスで約1時間

 新宮市北部から国道169号に入ると、すぐに奈良県境を越えた。途中で大きな滝があったり、山中の国道は、昼なお暗い森を縫うように走る。車が北山川沿いに出ると、視界が開け、そこが和歌山県北山村の奥瀞峡だった。岩をかむように水しぶきを上げる急流と、ゆったりした流れが交互に現れる。雨上がりで雲が低くたなびき、まるで水墨画のような風景に息を呑んだ。対岸は三重県。97%が山林、65歳以上の高齢化率が45%を超える過疎の村は、離れ小島のように三重、奈良両県に囲まれている。

バーチャル集会所「村ぶろ」誕生

村ぶろのホームページ

 受賞したのは「村ぶろ」。お風呂のことではない。ブログ(日記風のホームページ)の玄関口・ポータルサイトのこと。自治体運営のブログポータルサイトは日本初だ。
 きっかけは奥田貢村長の「ネットで北山村ファンを増やせないか」というアイデア。村役場の職員は、一方的に情報発信するのではなく会員同士が交流するブログに狙いを定めた。行政の安心感を重視した会員登録制度にし、今年6月にオープンした。
  「筏下り船頭日記」など思わず読みたくなるコーナー、釣り、自然・田舎、手作りパンなどのテーマ別、東京在住の会員が作った「東京都北山村」のような地域別コーナーなど、多彩なコンテンツが次々に登場し、1日5〜6万件のアクセスがある。現在「バーチャル村民」は約6,500人。村の人口520人の10倍以上だ。バーチャル村民が実際に村に足を運び、村民と顔を合わせる「リアルな交流」も始まっている。

花粉症対策にも…幻のフルーツ「じゃばら」村ぶろのキャラクター「じゃばら君」

緑色の状態で収穫が始まるじゃばら

 じゃばらの名称は「邪を払う」から来ており、村では正月料理に欠かせない縁起物だったが、「タネの少ないユズ」という程度の認識だった。しかし、1972年に「世界に例のない新品種」と確認、1979年には農業種苗法の品種登録が認められた北山村にしかないオンリーワン果樹だ。もっとも村外に持ち出しても、なぜか、育たないという。
 村営農場6ヘクタールなど計8ヘクタールで栽培しており、ゆずより豊富な果汁、際だつ香りが特長。安全安心の無農薬で栽培している。6年前、愛用者から寄せられた「花粉症に効く」という情報をモニター調査で確認。4年前には県工業技術センターが、アレルギー抑制効果を持つ物質が含まれていることをつきとめた。年間3,000万円程度だった果実と加工商品の販売額が、それ以後、一気に跳ね上がり、今年度は約2億5,000万円を見込む。財政規模が約12億円の村にとっては貴重な財源だ。ジュースや料理に使う生果汁、じゃばらはちみつ漬なども人気があり、年末には「じゃばら化粧品」も発売の予定だ。11月中旬から筏師も協力して収穫し、じゃばら果実は年内に消費者に届けられる。

村営じゃばら農園。6ヘクタールもある。

爽快「筏下り」が人を呼ぶ

北山川を下る「北山村観光筏下り」(5月〜9月)

 どうして「飛び地」になったのか。数百年にわたって林業が盛んだった北山村は、筏流しで木材を河口まで運んでいたため、その集積地である和歌山県新宮市とは強い結びつきがあった。そのため明治時代の廃藩置県の際、村民は和歌山県に加わることを強く望んだという。元筏師の東渉さん(79)は「収入は普通の人の4〜5倍。新宮の情報をキャッチし、着る物もおしゃれで、筏師はもてたよ」と目を細める。平成の大合併の際にも、県境を越えた合併で飛び地を解消する選択肢もあったが、村民投票の結果、73%の高率で「飛び地の和歌山県民」を選んだ。
  1965年に発電用ダムが建設され、筏流しは終焉を迎えたが、1979年、「観光筏下り」として復活した。これも国土交通省認可の全国オンリーワンだ。手すりはあるものの、丸太を組んだだけの筏で激流を下るスリル、爽快感が人気を呼び、1シーズン7,000人以上の集客力があるが、筏師不足で予約に応じきれないのが悩み。後継者を募集しており、5年前に神戸市から移住した廣川幸一さん(39)は「お客さんの安全を考えながら筏を操るのは難しいけど、ここの生活は快適。100点満点です」と満足げだ。

子どもの元気がこの村を支えていく

北山小学校の複式学級の授業風景。1、2年生は3人だ。

 夕暮れの村を歩いていたら、自転車の中学生5、6人が「こんばんは」と大きな声をかけて追い越していった。
  翌日、北山小学校にお邪魔した。全校児童17人。「北山村が好き?」と聞いたら、全員が元気いっぱいで手を上げた。「将来都会で働きたい人は?」には、10人以上が手を上げたが、「一生都会で暮らすの」と聞くと、声を合わせて「一生は嫌や。北山に帰ってくる」と答えてくれた。
 奥瀞峡の雄大な景観、物音一つしない夜の静けさ。魅力たっぷりの北山村をこの子どもたちが支えていく。北山村は訪れる者を癒し、明るい気持ちにしてくれる村だった。

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