和歌山の人、もの、地域 和 nagomi 紀州手間ひま 2015 vol.27

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根本大塔内陣 根本大塔内陣
中心の本尊は胎蔵界大日如来。周りに金剛界の四仏が取り囲み、16本の柱には十六大菩薩、壁には密教を伝えた八祖像が描かれ、堂内そのものが曼荼羅を立体的に表現している。

天空の聖地 高野山/世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」

Un changing or Changing
根本大塔/大門/御社(みやしろ)/金剛峯寺/奥之院
根本大塔 真言密教の根本道場におけるシンボルとして建立。多宝塔様式としては日本最初のものといわれる。
大門 高野山の入口にそびえ、一山の総門である大門。左右には大仏師・運長、康意作の金剛力士像が安置されている。 
御社(みやしろ) 高野山の守り神として、丹生明神らを祀る社。神仏習合の始まりでもある。 
金剛峯寺 高野山は「一山境内地」といい、高野山全体が金剛峯寺という大きなお寺であるといえる。
奥之院 法大師が入定されている御廟までの参道には、おおよそ20万基を超える諸大名の墓石や慰霊碑が樹齢数百年を超える杉木立の中に立ち並んでいる。壇上伽藍と並び高野山で最も神聖な場所である。

 高野山は1200年前、空海によって開かれた密教の聖地である。冬の凍てつく寒さ、高所が故の落雷の多さ。人々の暮らしから隔離されるかのように、八葉の峰々に囲まれた高野山を開くことは、困難を極めたに違いない。
 空海はまずこの土地の神様、丹生都比売大神とその息子の高野御子大神を守護神として祀り、次に真言密教の修行道場の中心地となる壇上伽藍の建立にとりかかった。そこは、塔や堂により曼荼羅を立体的に再現した高野山で最も神聖な領域となった。その後空海は、奥之院で永遠の深い瞑想に入り、今も世界の平和と人々の幸福を祈り続けているという。
 開創1200年という節目を迎えた天空の宗教都市・高野山に、弘法大師空海の気配が優しく満ちる。そよ吹く風に乗り、聞こえてくる僧侶たちのお経の声。そこは世界中の人々が訪れ祈りを捧げる、空海たちが命を賭して築いた高野山という巨大な曼荼羅世界である。

Key person's Voice/総本山金剛峯寺執行 山林部長 兼 高野山真言宗宗務総長公室長 山口 文章
山口 文章
高野山とは「見えないモノのエネルギー」を感じやすい場所だと思います。風の音や水の音、木の音。月の力や日の力。これら全ては大日如来のエネルギーそのものです。高野山に在るということは、空海が描いた巨大な曼荼羅の世界に存在するひとつの要素となること。常に忙しく時間に追われる現代人にとって安らぎを体感できる場所であるかもしれません。それは高野山で感じる、空海が今も生き、その腕に抱かれるという安堵感とよく似ています。高野山とはそんな、言葉では言い尽くせないエネルギーに満ちた特別な場所であると思います。
博物学者・作家 荒俣 宏 Profile
1961年高野山生まれ。京都府立大学農学部林学科、同大学院農学研究科林学専攻博士課程を経て1993年、高野山真言宗・総本山金剛峯寺奉職。高野山報恩院副住職。

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