事業認定のあらまし

事業認定

1. 土地収用制度について

公共事業を実施する上で、土地を必要とする場合、土地所有者等と任意の協議により用地取得を進めていきますが、事業の目的への不満・土地の境界の未確定・補償金額への不満等の理由で用地取得が出来ない場合があり、事業の施行が遅れることがあります。
そこで、起業者が公共の利益となる事業を施行する場合、当該事業が土地の利用上適正かつ合理的であるときは、土地収用法の定めるところにより、これを収用し、又は使用することで用地取得を進めることが出来るのが土地収用制度です。

2. 事業認定の意義

事業認定とは、起業者(事業者)の申請に基づき、起業者の能力、起業地及び事業計画を検討し、当該事業が高い公益性を有し、かつ土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであることを審査し、当該事業のために土地等を収用する必要があることを事業認定庁が認定する行為です。この事業認定がなされると、個々の事業について、起業者に土地等の収用権が付与されることになります。
なお、都市計画事業(街路、下水道等)については、都市計画法上、都市計画事業認可がされていれば、土地収用法の事業認定がされているとみなされます。

3. 事業認定庁

認定する機関

対象事業(概要)

補足

詳細については法第17条第1項及び第2項を参照して下さい。

国土交通大臣(本省)

  • 国の事業
  • 起業地が2以上の地方整備局の管轄区域にわたる民間事業等

国土交通大臣(地方整備局長等)

  • 都道府県の事業
  • 地方整備局の管轄区域は超えないが、都道府県域を超える民間事業

都道府県知事

  • 市町村の事業
  • 都道府県域を超えない民間事業

4. 事業認定の要件

申請に係る事業が次の各号のすべてに該当するときは、事業認定庁は事業の認定を行うことが出来ます。(法第20条)

事業認定について

号数

要件

第1号

事業が法第3条各号のいずれかに掲げるものに関するものであること。

(申請事業が法第3条各号の事業(収用適格事業)に該当することが第1号要件です)

第2号

起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。

(起業者が申請事業を遂行する法的な施行権能を有すること、必要な資金力、組織・体制等の能力を有することが第2号要件です)

第3号

事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。

(申請事業の施行により得られる公共の利益と失われる利益の比較衡量、代替案との比較等で第3号要件への適合性を判断します)

第4号

土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。

(申請事業を早期に施行する必要性があること、起業地の範囲が公益性の発揮のために必要な範囲であること、収用又は使用の別の合理性により第4号要件への適合性を判断します)

5. 事業認定手続

  1. 起業者は事業認定申請の前に事前説明会を開催する必要があります。(法第15条の14)
  2. 起業者は国土交通大臣又は都道府県知事に事業認定の申請をします。(法第18条)
  3. 起業地の存する市町村長は、事業認定申請書等の送付を受けたときは、直ちに申請書の公告・縦覧を行います。(法第24条・第25条)
  4. 利害関係人は縦覧期間内に事業認定庁に対して公聴会の開催を請求することが出来ます。
  5. 利害関係人から意見書が提出された場合、事業認定庁が第三者機関に意見を聴取します。(法第25条の2)
  6. 事業認定庁が事業認定をした場合は、事業認定庁が起業者の名称、事業の種類、起業地、認定の理由を告示します。(法第26条)

6. 事業認定の効果

起業者に土地を収用又は使用する権限が付与されることとなり、起業者は収用委員会へ裁決申請を行うことが出来ます。

また、裁決が得られると土地の収用又は使用が可能となります。

7. 事業認定の失効

事業認定の効力は、事業認定の告示の日から1年以内に裁決申請しないときに失効します。手続の保留を申し立てた場合は3年以内に手続の開始が必要です。

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