ひきこもりとは

A.ひきこもりとは?
B.まずは、ひきこもりについての正しい理解を
 1.ひきこもりの実態は?
 2.本人の甘えやなまけが原因?
C.ひきこもりと関連のある精神疾患
 1.社会恐怖(社会不安障害)
 2.パニック障害
 3.強迫性障害
 4.知的障害
 5.広汎性発達障害(アスペルガー症候群など)
 6.うつ病
 7.統合失調症
D.回復にむけて
 1.家族の対応 ~相談機関とのつながりを~
 2.ご本人へ ~あせらず、あきらめず

A.ひきこもりとは?
 「ひきこもり」についての定義はいくつかありますが、近年、思春期のひきこもりの実態把握がすすめられる中で、次のような定義が提案されています。
 「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交流など)を回避し、原則的には6ヶ月以上のわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしてもよい)を指す現象概念である。なお、ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれる可能性は低くないことに留意すべきである。」(※)
 そのため、ひきこもりと一言でいっても、ご本人やご家族が抱えている悩みや解決すべき問題は多様です。
 どうしたらよいかわからなかったり、先が見えない不安に苦しまれていたなら、どうか一度ご相談ください。
 ひきこもりのご本人が相談に出向くことが難しい場合もめずらしくありませんが、その時はご家族だけでも相談されることが大切です。
 
 和歌山県ひきこもり地域支援センターでは、臨床心理士や精神保健福祉士、保健師などの専門職が随時電話や面接による相談に応じています。
 
ぜひ一度ご連絡ください。一緒に解決に向かいましょう。
 
※斉藤万比古 厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究」平成20年度総括・分担研究報告書
 
 
B.まずは、ひきこもりについての正しい理解を
 現在、「ひきこもり」という言葉は広く知られていますが、「ひきこもりは単なるなまけ」「本人の甘えが問題」のような誤解や偏見がまだまだ残っている実情があります。
 そのために、本人や家族が心理的にも社会的にも孤立してしまい、回復の道が閉ざされていることが少なくありません。大切なのは、まず、ひきこもりについての正しい知識を家族や周囲がきちんと持つことです。
 
1 ひきこもりの実態は?
 厚生労働省がおこなった疫学調査(*)からは、全国に約32万世帯と推定されています。小中学校時の不登校からひきこもりにいたったケースや、いったん就職した後にひきこもりになったケースなど、その状態は多様で、要因や背景がひとつに特定されません。
 生活状態もさまざまで、コンビニへ外出できる場合もあれば、部屋に閉じこもって家族ともほとんど話をしない場合もあります。
 ひきこもりの平均年齢の高齢化やひきこもり期間の長期化が指摘されることもありますが、実態の詳細は不明な点もあり、個人によってひきこもりの状態や必要とされる対応はちがっています。ですが、「本人とってひきこもりからの回復が好ましいこと、けれども、そうすることが困難な状態にあること」が共通しています。
(*)平成14-16年度 厚生労働科学研究費補助金事業「こころの健康についての疫学調査に関する研究」
 
2 本人の甘えやなまけが原因?
 多くの場合、ひきこもりの本人は、「今の状態から抜け出したい。でも、できない」「どうしてよいかわからない」と悩んだり、焦ったり、無気力になったりしています。
 このことを周囲が理解せずに、「甘えている」「単になまけだ」と叱責を繰り返したり無理強いをしたりすることで本人がよけいに身動きできなくなり、状況が悪化してしまうこともあります。
 また、一見、単なる「なまけ」や「甘え」「臆病」「神経質」等と見えるひきこもりの背景に、精神疾患が関係している場合もあります(詳細は、「ひきこもりと関連のある精神疾患」を参照)。そうした場合は、精神科等の医療機関を受診し、治療の段階をふまえて社会参加に向かう方向を考えていく必要があります。
 
 
 
C.ひきこもりと関連のある精神疾患
 ひきこもりの状態は個人によって異なるため、ご本人の様子によって必要とされる周囲(ご家族)の対応もちがってきます。ですが、ひきこもりのご本人に精神的な不調がみられる場合は、個人の努力で解決しようとするよりも、精神科や心療内科を受診することが必要となる場合があります。
 下記は、ひきこもりと関連のある精神疾患や障害の一例です。
 
1.社会恐怖(社会不安障害)
 他人に注目されることに強い恐れを抱いたり、社会的な状況を避けたりします。不安や恐怖からパニック発作がおこることもあります。このために、正常な毎日の生活や社会的な活動が障害されたりすることがあります。
 
2.パニック障害
  ひどい動悸や呼吸困難、息苦しさ、震えなどを体験する「パニック発作」があり、その後、「また似たような発作がおきるのではないか」という強い不安を抱いてしまいます。そのために単独での外出や、社会生活が困難になることがあります。
 
3.強迫性障害
 たとえば「自分のからだは汚れている」「人にひどいことをしてしまうかもしれない」のような考えにとらわれてしまい一日中、何十回となく手を洗ったり、何度も繰り返し確認したりといった行動を繰り返してしまいます。
 
4.知的障害
 年齢に相応した知的な発達に遅れがある状態で、コミュニケーションや身辺処理、自己決定などに他人の援助が必要な場合が生じます。障害の程度によっては、教育や訓練に加えて、社会参加に向けた適切な支援が必要となります。
 
5.広汎性発達障害 (アスペルガー症候群など)
 もののとらえ方や考え方に独特な偏りやこだわりを持ち、そのために他人との関わり方(コミュニケーションの持ち方)や社会性の面で苦手さを持ったり、不適応状態におちいったりする場合があります。
  
   ※ 広汎性発達障害などの発達障害に関する情報は、発達障害情報センターのホームページ
           http://www.rehab.go.jp/ddis/index.htmlをご覧ください   
 
6.うつ病
 ゆううつな気分とともに、意欲の減退や集中力の低下などが生じます。自分自身に対する感情も、とても否定的なものになってしまいます。一般的に、頭が働かず、感じたり考えたりということもなかなかできない状態になり、なにかを決断することが難しく、外出することも困難になることがあります。
 
7.統合失調症
 たとえば、「まわりの人が自分の悪口を言っている」「テレビで自分の噂をしていた」といった非現実的な考えにとらわれてしまったり、考えが次から次へとまとまらなくなってしまいます。一方で、根気が続かない、意欲がわかない生き生きとした感情がわいてこない、などの症状が同時に出現する場合もあります。こうした症状から、閉じこもりがちになり、いつも疲れやすく、家で無気力でごろごろしている、といった状態が続くこともあります。
 
  ※詳細は、メンタルヘルスガイドブック 6~9ページを参照ください。
 
 
 
D.回復に向けて
1.家族の対応 ~相談機関とのつながりを~
 「自分の育て方が悪かった」「ひきこもりは、親の責任」と強く自分を責めたり、ひきこもりの本人にどう接してよいかわからず途方に暮れたりする親御さんが少なくありません。そのときどきで真剣に悩み、よかれと思った関わりが功を奏さなかったり、結果として悪循環を生じさせたりすることもあります。
 ひきこもりの要因や背景は多様なため、必ずしも親の育て方や家庭環境が問題とは言えない場合もあります。また、親や家族だからこそ、余計に本人の状況やよりよい対応の仕方がわかりづらくなっていることも多々あります。大事なのは、「これまで」ではなく、「これから」です。
 相談機関とつながりながら、ときに第三者の見方もまじえて、回復の道をさがしませんか。
 
   ずは親御さん自身がこころにゆとりを持つこと、リラックスすること大切に。
   誰かに話してみることで、気持ちが楽になったり、考えがまとまることがあります。
   家族だけで問題を抱えこまずに、どうぞ相談機関を利用してみてください。
 
2.ご本人へ ~あせらず、あきらめず
 「自分は、なにもできない」「苦しい」「どうしていいかわからない」
 そんな思いにとらわれていませんか?
 いまは不安だったり、あせったり、意欲が持てなかったりするかもしれません。
 自分に自信がなくて悩んだり、将来に希望が持てずに苦しんでいるかもしれません。
 
   ですが、どうかあきらめないでください。
   なにもできないと思わないでください
   自分はひとりだと絶望しないでください。
 
 ふとしたきっかけや、ひと・情報とのなにげない出会いが、- たとえその時はすぐにそれと気づかなくても -ひきこもりからの回復の一歩に確実につながると思います。
 もしよかったら、一度ご連絡ください。
 
   一緒に回復に向かう道をさがしましょう