モデル事例集「松下泰子」

「男女共同参画社会への歩み」

田辺市議会議員

松下泰子 さん(田辺市)

現状は

私が市議会議員になって早10年になります。
今6月議会でも「男女共同参画について」の一般質問を行いました。

今年4月、内閣府公表の「男女共同参画条例」の制定状況において、和歌山県下の市町村での制定がゼロであり、全国最下位となっていました。

これを受けて、当田辺市においては、制定する準備があるのかどうか質しました。
今年5月、フランスの内閣では、女性の閣僚が半数を占めることとなりました。

一方、日本においては、国会議員の女性の割合も地方議員の女性の割合も約1割で、未だ女性議員ゼロ議会が4分の1もあります。
なぜ、このように女性の政治参画や指導的地位に占める割合が進まないのか、大きな課題が残されたままです。

この10年、この歩みが確実に前進していると云えるのか振り返ってみたいと思います。

女性議員ゼロから3人へ

平成14年7月、44年間女性議員がゼロだった田辺市議会に3人の女性議員が誕生しました。

公明党、共産党と党を背負った2人に対して、地盤もない、知名度もない、ましてお金もない私が、どうにか最下位当選しました。

  • 田辺女性センターでの活動
田辺センターでの写真
田辺センターでの写真

私を議会へと送り出してくれた女性たちは、田辺市における男女共同参画社会の実現の向けて歩み出し、活動してきた人たちでした。
平成7年、和歌山県の事業として「女性のつばさ」海外派遣に田辺から参加された3人の方が、「まず一歩の会」を立ち上げ、活動が始まりました。

程なく、平成9年には「田辺女性センター」がオープンし、運営委員として多くの学習の機会を得、活発な活動が行われるようになりました。
そして、学習すればする程、政策決定の場に女性を送り出すことの重要性を確信しました。

そこで、「女性も議会に・華の会」を立ち上げ、立候補者を擁立しました。

結果は、ただ一人の女性候補でしたが、次点に留まりました。

しかし、女性が立候補した意義は大きかったと思われ、2度目に私が立候補となった時には、3人の女性候補が3人とも当選となりました。

初登壇での男女共同参画論争

私の初めての議会となった平成14年9月の一般質問には、女性団体、障害者団体、NPO関係の多くの方々が、傍聴に来てくださり、傍聴席に入りきらず別室が用意されたほどでした。
当時、女性議員の誕生は地方新聞で大きく取り上げられ、「保守派古参議員対新人女性議員の男女共同参画で舌戦予想」と注目されました。

私の質問の前に登壇したある議員は、「男女共同参画は、夫婦をつぶし中性的な子どもをつくろうと洗脳している。

伝統的な男女の役割分担は、人類の知恵。」等々、ジェンダーとセックスを混同した考え方を展開しました。

私は、それに反論して「議員のような人がいる現在、啓発活動の必要性を再認識した」と述べました。

それが、実名を出して他の議員の意見を否定したということで、質問中に暫時休憩となり、その文言を削除することとなりました。
今であればそのような言い方はしないのですが、初めての登壇で議会の慣例なるものを知らずに明ら様な表現をしたと思います。

しかし、本音の体当たり発言は、波紋を呼び、地方新聞で「改めて知る女性議員の存在価値」と論説で述べられました。

また、その記事がその議員の発言を歪曲し、名誉を棄損したとしてその議員は、新聞社を相手に訴訟を起こしました。その後、最高裁まで上告しましたが、新聞社の勝訴となりました。

10年間の成果

1期目は、市町村合併により2年10ケ月の任期となりましたが、当地域においてその頃までが男女共同参画推進の勢いの絶頂期であったように思います。
当初、3人の女性議員の登場は、男女共同参画のみならず、女性の視点により学校給食問題や学童保育、市立幼稚園の延長保育等の子育て支援への充実が実現されました。
また、私が強く求めた市職員の女性管理職の登用については、幼稚園・保育所の園長が課長級となり、2人(3パーセント)から一挙に15人(15パーセント)となりましたが、現在は19人(13パーセント)に留まっています。

田辺市の実施計画で目標30パーセントの審議会等での女性の割合は、18.5パーセントから10年でやっと29パーセントになりました。
このように、男女共同参画の取り組みが遅々とした歩みにしか思えないのは、私だけでしょうか。

私の初登壇の時から続くバックラシュは、国の第2次男女共同参画基本計画に色濃く表れ、地域社会や企業における男性優位の構図はなかなか改善されません。
しかし、経済情勢が逼迫する中、その立て直しが全てにおいて最優先される現在、女性の能力を生かすことこそが最善策であると考えます。

企業や社会のあらゆる分野において、女性の能力発揮のためのポジティブ・アクションの促進に本気で取り組むことが求められます。
そして、女性が働き続けられるためには、それぞれの女性が置かれた環境の整備や改善を図るとともに男性の協力も必要です。

そのことが、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会の実現に繋がることと思います。
最後に、女性議員の数はまだまだ足りません。現在の地域代表の男性議員が大部分を占める中、女性の視点を政策に活かすためには、女性自身が一歩踏み出す必要があります。
今の政治を地域の現状を変えたいと思っている貴女が、先ず一歩踏み出す勇気を持てば、それは変えられます。ともに頑張りましょう。

松下さん写真

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