モデル事例集「村上恵美子」

「デートDV防止教育 in 熊野-幸せな関係を築くために-」

ウィメンスタディズ熊野

村上恵美子さん（新宮市）

当会は、県主催「DV被害者支援ボランティア養成講座」の修了生有志16名が平成17年に立ち上げた会です。

男女共同参画の社会づくりに向け、「私」から「社会」へと地域の人々と繋がり学びながら、講演会や講座での啓発、DV・児童虐待の電話及び面接相談、他団体との交流等を行っています。

現在、会員21名。活動拠点は新宮東牟婁地域です。

活動のスタートは、平成17年度のわかやまNPO協働モデル事業(ウィメンスタディズ熊野～「私」から「社会」へ～)。ウィメンズネット・和歌山との協働で行いました。

内容は5回連続講座「女性の生と性を考える」「ドメスティック・バイオレンス（DV）」「DVが女性と子どもに及ぼす影響」「災害と女性」「女性相談とDVの現状」です。

講座開催の予告新聞記事を見て「これだ！」と参加した女性は、DVの被害者でした。

講座参加者からのアンケートには「初めてする勉強です」「これからも定期的にこのような講座を開いてほしい」「(DV被害の現実を知って）同じ人生、このようなことがあって良いのかと考えさせられました」「自分が少しずつ成長していくことの大切さを感じております」「目からウロコの勉強です！」…エトセトラ、様々な気付きのメッセージが寄せられました。

講座の内容が新鮮で、地域が必要としている学びであったのだと思います。

さて、講座で地域の人々と共に学びながら、DV被害の深刻さに驚くと共に、DV家庭で育つ子ども達が児童虐待を受けていること、被虐待児の中には、生育過程で暴力を学んでしまった結果、恋人や家族にDV行為をしてしまうという世代間連鎖が多く有り、心痛む想いでした。

「DVを何とか無くしたい」「DVを予防する方法はないものか？」・・・と、会員たちで模索の日々を続けている中で、アウェア代表の山口のり子さんに出会い、デートDV防止プログラムがあることを知りました。

その後、デートDV防止プログラムファシリテーターの伊田広行さんを講師に迎えて関係者対象の研修会を開催。

参加された県立新宮高校の人権担当教諭が「この授業を我が校でも実施したいが、その前に教師自身がデートDVについて学ぶ必要がある」と言って帰られ、3ヶ月後の2009年12月に新宮高校へ伊田さんを講師に招いて、教師対象のデートDV研修会を持たれました。

当会メンバーも共に学ばせて戴いたのは、言うまでもありません。

そうした経緯を経て翌平成22年10月に、りぃぶる企画提案事業に採択された当会の企画「デートDVってなに？- デートDV防止教育 in 新宮高校 -」が実施されたのであります。

和歌山県ではこの後、同年度に県下高校3校でデートDV防止授業を実施。

以後、中高校でのデートDV防止授業が県下各地域に拡がりを見せ、当会でも2011年秋に新宮市立緑丘中学校、県立串本古座高校串本校舎古座校舎でデートDV防止講座を実施しました。

デートDV防止講座参加者の感想を一部、紹介させて戴きます。

中高校生より

普通と考えていたことがDVだと知って、ビックリした。
今まで自分には関係ないと思っていたけど、真剣に考えた。
暴力では何も解決しない。DVは決して許されることではない。
デートDVの意味を出来るだけ沢山の人に知ってもらいたい。
束縛は愛ではないとわかった
グレーゾ－ンのDVが一番気付きにくくて危ないと思った。愛情の裏返しが暴力じゃないと、改めて知った。

保護者及び関係者より

若い時にこの授業を受けていれば、私の人生変わったかも知れない！
自分は被害者であったのだと気づいた。
広く若者にこのプログラムを届けて欲しい。
今回学んだことで将来助けられることがあるといいなと思いました。
ジェンダーとDVの関係がよくわかった。
娘の通っている高校でも是非、この授業を実施して欲しい。

今後の課題

中高校・大学等教育現場でのデートDV防止教育を、継続実施していく。
子どもたちが生育過程で暴力を学んでいくことのないように、暴力のない家庭・社会づくりを目指し、公民協働で啓発・防止活動をしていく。
デートDVに、DV防止法を適用する。
DV加害者には、加害者更正プログラムの受講を義務付ける。

(皆様へのメッセージ)

暴力のない社会づくりのために、皆さま一人ひとりの力が必要です。

「誰もDVの被害者にも加害者にもなることなく、幸せな人間関係を築いていってほしい」「傷つく前に気づいてほしい」との私たちの想いが、デートDV防止教育として継続実施されますことを心から願っています。「社会を変えるのは革命ではなく、一人ひとりの成長以外にない」「私が変われば明日が変わる」・・・を信じて、明日へ！！