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第1章 研究の背景・目的・視点

1.研究の背景
 紀淡海峡ルートの実現に向けては、 紀淡海峡周辺地域において様々な交流・連携の推進を図るとともに、 周辺環境への影響、費用対効果、 費用負担のあり方等の検討を行うことが必要とされている。
 そこで、本会議では研究会を開催し、 地域間交流や紀淡海峡ルートの経済的効果等に関する調査研究を実施し、 様々な角度から紀淡海峡ルートの可能性を訴えていくものとする。
 平成11年度は、研究テーマとして 「地域間交流の推進・拡大に向けての方策について~新しい生活遊空間の創造に向けて~」 を掲げ、 紀淡海峡周辺地域における地域間交流のシーズや方向性を探ってみることとする。 特に、わかりやすく、かつリアリティのある、 生活者の視点に立った交流に焦点を当てて分析を試みることとする。

2.研究の趣旨・目的
 紀淡海峡交流圏域は、自然環境や地理的、地質的特質において共通性や類似性を有する。 またそうした環境のうえで、 歴史的に織り成されてきた風土や文化についても少なからず似ているものがあると考えられよう。
 今日においては、紀淡海峡及び紀伊水道の海域に阻まれているようにも感じられるが、 近世までは海上交通網が栄えた地域である。少し時代をさかのぼることで、 現在忘れられてしまっている両岸地域の絆をみつけていくことは、 今後の地域間交流の芽を見出す上で役立つであろう。
 そこで当研究会では、紀淡海峡交流圏域の歴史的、文化的な結びつきに着目し、 圏域の文化財、歴史的建造物、生活様式、民族文化(伝承・方言)等の共通性や類似性を探ってみたい。 また、そのことで将来の紀淡海峡周辺地域における交流・連携に資する資源を発掘することとする。

3.研究の視点
 閉塞した地域づくりの状況を解くきっかけとして、 現在「遊び」というキーワードが注目されている。
 ここでの遊びとは、観光やスポーツといった個人的行為から、 空間や風情といったゆとり、文芸・芸術全般までを意味する幅の広い概念であり、  この言葉を活かすことにより、柔軟な発想のもと地域をデザインしようとする試みが、現在各地で芽生えつつある。
当研究会でも、地域資源と遊び心が融合することにより創り出される、 新しい地域づくり、地域間交流のあり方を考える。 そのなかでは、地域の歴史・文化を遊びという形で現代的に蘇らせることなどを検討したい。
 さらに当研究会では、遊び心を活かした地域資源の活用を検討することにより、 地域経済の活性化や広域交流の促進方法を探る。 また同時に、紀淡海峡交流圏の生活遊空間としての魅力を訴え、 生活者・ビジターが豊かなライフスタイルを享受できる可能性を提示することとする

調査対象地域について
 本研究の調査対象地域について、紀淡海峡周辺地域と規定している。 その定義について、広義では、奈良県、大阪府、和歌山県、兵庫県、徳島県、香川県、高知県を示し、 狭義には紀淡海峡に近接する和歌山市、大阪府岬町・阪南市、 兵庫県洲本市・南淡町、徳島県鳴門市・徳島市等の地域を指す。
 本研究では、基本的に狭義の地域に焦点を当て調査を行った。

狭義の紀淡海峡交流地域

地域資源の共通性・類似性について
 地域資源の共通性・類似性については、様々な視点レベルからみることができる。
 まず、岩盤・地質など地球地盤構造レベルから、気候などの自然環境レベル、 さらにはその自然環境における人間生活の行われ方などの人間生活レベル、 そしてその生活から生まれる地名などの地理的レベル、 最後には、技術や文化の伝播など地域間交流によって育まれる技術レベルと、 数段階に分かれると考えられる。
 また、その共通性・類似性が形成される要因としては、自然条件によって生まれるものや、 人間生活の交流によって形成されるもの、また双方の複合的な関係により成されるものがある。
 本研究では、このような多層からなる共通性・類似性を、様々な断面から考察していく。

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