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第3回研究会の概要 紀淡海峡交流圏の『巡り』を活かした新たな交流」
第3回研究会は、総本山善通寺法主・髙吉清順氏と高野山大学教授・山陰加春夫氏のお二人に、「紀淡海峡交流圏の『巡り』を活かした新たな交流」をテーマに対談していただきました。
対談からはたくさんのことを学ばせていただきましたが、以下ではほんの一部をお伝えします。

たかよし せいじゅん
やまかげ かずお
髙吉 清順氏
山陰 加春夫氏
総本山善通寺第56世法主
真言宗善通寺派管長
四国八十八ヶ所霊場会総裁
高野山大学文学部教授
紀淡海峡交流会議 地域交流研究会座長
対談の一部をご紹介します。
 お遍路さんの歴史
山陰氏 お遍路さんが今ブームと言われていますが、四国のお遍路さんの歴史についてお話しをお聞かせいただけますか。
高吉氏 昔からお遍路さんはいましたが、昭和16年に戦争になってからはお遍路さんの姿は見られなくなりました。終戦後もしばらくお遍路さんは見かけませんでした。その間、四国八十八ヶ所のお寺も苦労しました。昭和30年代終わり頃になってバスが運行されるようになってから、お遍路さんが増えてきました。その後、車社会になってバスで八十八ヶ所を巡るお遍路さんは増えてきました。ここ数年は歩いて回るお遍路さんが増えてきました。
NHKテレビでお遍路さんのことを放送したこともきっかけになっていると思います。
 四国の巡りの特徴
山陰氏 和歌山から四国へ海を渡って今もお接待を続けている「接待講」があります。また、四国には巡りを支える「お接待文化」があります。お遍路さんをもてなすことによって、自分の代わりに参拝してもらうなどという意味が込められていると思います。他の地域では訪れる人の数が増えるにしたがって人をもてなす心が失われるような例も見られますが、なぜ四国にはお接待が残っているのでしょうか。
高吉氏 それはお大師様へのお供えだと思います。お遍路さんの中には地元の人のお接待を遠慮される人もいますが、お接待はお遍路さんを通してお大師様にお布施をするということですので、断らないでいただきたいです。四国では「霊場なくして巡りなし」です。最近は巡りに観光の要素も強くなっていますが、信仰との結びつきが四国の巡りの特徴です。ですから、お寺も巡りの中でお寺の発展を考え、「先達」の養成もしています。
 これからの巡り
山陰氏 巡りが多様化しているという意見があります。観光バスでたくさんの人を目的地に運ぶ「マスツーリズム」がある一方で、歩き遍路のようにゆっくりと時間をかけて自分のスタイルで巡る「スローツーリズム」もあります。多様な巡りの要求に対して紀淡海峡交流圏が応えることができればいいと思いますが、これからの四国八十八ヶ所の巡りについてどう思われますか。
高吉氏 四国八十八ヶ所を回られて結願した方は、「もう一度お参りしたい」と言われます。回ることによって、心の落ち着きを得ることができるのでしょう。お四国の巡りが時代を超えて続いているのは、信仰と結びついているからだと思います。八十八ヶ所の巡りはこれからも「祈り」、「拝む」ということと結び付いていくものと思います。

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