○津波からの円滑な避難に係る避難路沿いの建築物等の制限に関する条例
平成24年7月6日
条例第45号
津波からの円滑な避難に係る避難路沿いの建築物等の制限に関する条例をここに公布する。
津波からの円滑な避難に係る避難路沿いの建築物等の制限に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、地震によって倒壊した建築物等が津波からの避難の際に避難路の通行を妨げることを防止するため、津波からの円滑な避難に支障を生ずるおそれのないよう県及び避難路沿いの建築物等の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)の責務を定めるとともに、避難路沿いの建築物等の制限その他必要な事項を定めることにより、避難路における避難の際の安全性の向上を図り、もって県民の生命及び身体の保護に寄与することを目的とする。
(1) 建築物等 建築物その他の土地に定着する工作物のうち規則で定めるものをいう。
(2) 避難路 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条第1項に規定する市町村地域防災計画に避難路として定められた道をいう。
(3) 避難路沿いの建築物等 避難路の中心線から規則で定める水平距離の範囲内にある建築物等をいう。
(4) 耐震診断 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第2条第1項に規定する耐震診断をいう。
(5) 耐震改修等 第6条第1項に規定する基準に適合させることを目的として建築物等の増築、改築、修繕若しくは模様替若しくは敷地の整備をすること又は当該基準に適合しない建築物等の全部若しくは一部を除却し、若しくは移転することをいう。
(県の責務)
第3条 県は、市町村と連携し、津波からの円滑な避難に支障を生ずるおそれのないよう避難路沿いの建築物等の耐震診断及び耐震改修等の促進並びに適切な維持保全に関する施策を総合的に推進するものとする。
2 県は、市町村において避難路沿いの建築物等の耐震診断及び耐震改修等の促進並びに適切な維持保全に関する施策が講じられるよう、市町村に対し、情報の提供その他必要な協力を行うものとする。
(所有者等の責務)
第4条 避難路沿いの建築物等の所有者等は、当該避難路沿いの建築物等について、津波からの円滑な避難に支障を生ずるおそれのないよう耐震診断及び耐震改修等を行うとともに、適切に維持保全をするように努めなければならない。
(特定避難路の指定)
第5条 知事は、津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第123号)第8条第1項に規定する津波浸水想定(以下「津波浸水想定」という。)を踏まえ、次項の規定による提案が行われた場合において、津波からの円滑な避難のため特に重要と認める避難路を特定避難路として指定することができる。
2 市町村長は、規則で定めるところにより、知事に対し、当該市町村の区域に係る避難路のうち、津波からの円滑な避難のため特に重要と認めるものを特定避難路として指定することを提案することができる。
4 知事は、第1項の規定により特定避難路を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村長及び避難路沿い建築物等対策審議会の意見を聴かなければならない。
5 知事は、第1項の規定により特定避難路を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
6 知事は、第1項の規定により特定避難路を指定する場合には、その旨及びその位置を公示するとともに、関係市町村長に通知しなければならない。
7 特定避難路の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生じる。
8 知事は、第1項の規定による指定を行うため必要があると認めるときは、関係市町村長に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
9 前各項の規定は、特定避難路の指定の変更又は解除について準用する。
(特定避難路に係る避難路沿いの建築物等の制限)
第6条 前条第1項の規定により指定された特定避難路に係る避難路沿いの建築物等は、当該特定避難路からの離隔距離に応じ、地震による倒壊により津波からの円滑な避難に支障を生ずるおそれのないものとして、規則で定める基準に適合するものでなければならない。
2 前項の規定は、次に掲げる建築物等については、適用しない。
(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定により、国宝、重要文化財、特別史跡名勝天然記念物若しくは史跡名勝天然記念物として指定され、若しくは仮指定され、又は登録有形文化財若しくは登録記念物として登録された建築物等
(2) 和歌山県文化財保護条例(昭和31年和歌山県条例第40号)第3条第1項の規定により指定文化財として指定された建築物等
(3) 文化財保護法第182条第2項の規定に基づく市町村の条例の規定により重要な文化財として指定された建築物等
2 知事は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告に係る避難路沿いの建築物等の所有者等に意見を述べる機会を与えるとともに、当該避難路沿いの建築物等の所在地を管轄する市町村長及び避難路沿い建築物等対策審議会の意見を聴かなければならない。
3 知事は、第1項の規定による勧告を受けた避難路沿いの建築物等の所有者等が、正当な理由なく、その勧告に従わないときは、規則で定めるところにより、当該避難路沿いの建築物等の所在地その他規則で定める事項を公表することができる。この場合において、知事は、あらかじめ、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
4 知事は、第1項の規定による勧告を受けた避難路沿いの建築物等の所有者等が当該勧告に従わなかったときは、当該避難路沿いの建築物等の所有者等に対し、相当の期限を定めて、耐震改修等の措置をとることを命ずることができる。
2 知事は、前項の規定による勧告を受けた避難路沿いの建築物等の所有者等が当該勧告に従わなかったときは、当該避難路沿いの建築物等の所有者等に対し、相当の期限を定めて、耐震改修等の措置をとることを命ずることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(避難路沿い建築物等対策審議会の設置等)
第10条 避難路沿いの建築物等の制限に関する重要事項について、調査審議するため、避難路沿い建築物等対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例に定めるもののほか、避難路沿いの建築物等の制限に関する重要事項について、知事の諮問に応じて調査審議するものとする。
3 審議会は、避難路沿いの建築物等の制限に関する重要事項について、知事に意見を述べることができる。
(組織)
第11条 審議会は、委員7人以内で組織する。
2 委員は、法律、防災又は建築に関し優れた識見を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、知事が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
(会長及び副会長)
第12条 審議会に、会長及び副会長1人を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選によってこれを定める。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第13条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、会長が招集する。ただし、委員の全員が新たに任命された後最初に開催される会議は、知事が招集する。
2 会長は、会議の議長となる。
3 会議は、委員の半数以上の出席がなければ開くことができない。
4 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(庶務)
第14条 審議会の庶務は、県土整備部において処理する。
附則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。