○和歌山県地球温暖化対策条例

平成19年3月14日

条例第16号

和歌山県地球温暖化対策条例をここに公布する。

和歌山県地球温暖化対策条例

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 県による地球温暖化対策(第8条―第10条)

第3章 事業活動に関する地球温暖化対策等(第11条―第13条)

第4章 自動車使用に関する地球温暖化対策(第14条―第17条)

第5章 電気機器等に関する地球温暖化対策(第18条・第19条)

第6章 建築物に関する地球温暖化対策(第20条)

第7章 再生可能エネルギーの利用に関する地球温暖化対策(第21条)

第8章 森林の保全及び整備等に関する地球温暖化対策(第22条)

第9章 廃棄物の発生の抑制等に関する地球温暖化対策(第23条・第24条)

第10章 地球温暖化の防止に関する教育及び学習等(第25条・第26条)

第11章 県センター等による取組の支援(第27条)

第12章 雑則(第28条―第32条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、全ての者が自主的かつ積極的にこの課題に取り組むことが重要であることに鑑み、地球温暖化対策に関し、県、事業者、県民、環境保全活動団体及び観光旅行、余暇活動等の目的で一時的に県内に滞在する者(以下「観光旅行者等」という。)の責務を明らかにするとともに、地球温暖化対策の基本的な事項を定めることにより、地球温暖化対策の推進を図り、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(平28条例63・一部改正)

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 地球温暖化 人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表及び大気の温度が追加的に上昇する現象をいう。

(2) 地球温暖化対策 温室効果ガスの排出の抑制並びに吸収作用の保全及び強化(以下「温室効果ガスの排出の抑制等」という。)その他の地球温暖化の防止を図るための施策又は取組をいう。

(3) 温室効果ガス 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。以下「法」という。)第2条第3項に規定する温室効果ガスをいう。

(4) 温室効果ガスの排出 人の活動に伴って発生する温室効果ガスを大気中に排出し、放出し、若しくは漏出させ、又は他人から供給された電気若しくは熱(燃料又は電気を熱源とするものに限る。)を使用することをいう。

(5) 環境保全活動団体 法第38条第1項の規定により知事が指定する和歌山県地球温暖化防止活動推進センター(以下「県センター」という。)その他の環境の保全を図ることを主たる目的として組織された団体をいう。

(6) 再生可能エネルギー 太陽光その他規則で定めるものを利用して得ることができるエネルギーをいう。

(平28条例63・一部改正)

(県の責務)

第3条 県は、総合的かつ計画的な地球温暖化対策を策定し、及び実施するものとする。

2 県は、前項の地球温暖化対策の策定及び実施に当たっては、市町村、事業者、県民、環境保全活動団体及び観光旅行者等と連携し、及び協働して取り組むものとする。

3 県は、市町村が行う地球温暖化対策を促進するための技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする。

4 県は、事業者、県民及び環境保全活動団体が行う地球温暖化対策を促進するための支援を行うものとする。

5 県は、その事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を率先して実施するとともに、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、地球温暖化の防止に関する理解を深め、その事業活動に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を自主的かつ積極的に講ずるよう努めるものとする。

2 事業者は、県が実施する地球温暖化対策に協力するものとする。

(県民の責務)

第5条 県民は、地球温暖化の防止に関する理解を深め、その日常生活に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を自主的かつ積極的に講ずるよう努めるものとする。

2 県民は、県が実施する地球温暖化対策に協力するものとする。

(環境保全活動団体の責務)

第6条 環境保全活動団体は、その活動を通じて、事業者、県民及び観光旅行者等の地球温暖化の防止に関する理解を深め、これらの者の地球温暖化対策への参加の促進及び協働の推進に努めるものとする。

(観光旅行者等の責務)

第7条 観光旅行者等は、県内において講じられている温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に協力するものとする。

第2章 県による地球温暖化対策

(県による地球温暖化対策)

第8条 県は、地球温暖化の防止に関し、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 事業者、県民、環境保全活動団体及び観光旅行者等が行う地球温暖化対策を促進するための普及啓発、情報提供並びに人材の確保及び育成に関すること。

(2) 環境マネジメントシステム(環境に配慮した事業活動を自主的に進めるための目標を達成するため継続的に事業活動の改善を図る仕組みをいう。)であって規則で定めるものの普及に関すること。

(3) 建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の環境性能の向上に関すること。

(4) 緑化の推進に関すること。

(5) 自動車(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車をいう。以下同じ。)の使用に伴う温室効果ガスの排出の抑制を図るための施策の推進に関すること。

(6) エネルギーの使用の合理化の推進に関すること。

(7) 再生可能エネルギーの普及に関すること。

(8) 環境物品等(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)第2条第1項に規定する環境物品等をいう。以下同じ。)への需要の転換の促進に関すること。

(9) 廃棄物の発生の抑制、再使用及び再生利用その他資源の有効な利用に関すること。

(10) 環境教育及び環境学習の推進に関すること。

(11) 森林の保全及び整備並びに県内の森林で生産され、県内で製材された木材及び加工された木材加工品(以下「紀州材」という。)その他の森林資源の利用の促進に関すること。

(12) 環境の保全に関する技術(以下「環境技術」という。)に係る研究開発の促進並びに地球温暖化の防止に貢献する環境技術を有する産業の育成及び振興に関すること。

(13) 地球温暖化対策を効果的に実施するために必要な措置に係る調査研究に関すること。

(14) 地球温暖化の防止に貢献する国際協力の推進に関すること。

(15) 前各号に掲げるもののほか、地球温暖化の防止のために必要な施策

(地球温暖化対策推進計画)

第9条 知事は、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、地球温暖化対策に関する計画(以下「地球温暖化対策推進計画」という。)を定めるものとする。

2 地球温暖化対策推進計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 温室効果ガスの排出の抑制及び吸収の量に関する目標

(2) 前号の目標を達成するために必要な施策に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、地球温暖化対策の推進に関し必要な事項

3 知事は、地球温暖化の防止に係る技術水準の向上及び社会経済情勢の変化を踏まえ、必要があると認めるときは、地球温暖化対策推進計画を改定するものとする。

4 知事は、地球温暖化対策推進計画を定め、又は改定したときは、規則で定めるところにより、速やかに、これを公表するものとする。

(進捗状況の把握)

第10条 知事は、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、毎年度、地球温暖化対策推進計画の進捗状況を把握するものとする。

(平28条例63・一部改正)

第3章 事業活動に関する地球温暖化対策等

(事業者による温室効果ガスの排出の状況の把握等)

第11条 事業者は、温室効果ガスの排出の状況を把握し、温室効果ガスの排出の抑制並びに森林の保全及び整備、再生可能エネルギーの利用等の地球温暖化対策の推進に努めるものとする。

(排出抑制計画)

第12条 事業活動に伴う温室効果ガスの排出の量が相当程度多い事業者として規則で定める者(以下「特定事業者」という。)は、規則で定めるところにより、その事業活動に係る温室効果ガスの排出の抑制等に関する計画(以下「排出抑制計画」という。)を定めなければならない。

2 排出抑制計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 事業活動に伴う温室効果ガスの排出の状況

(2) 事業活動に伴う温室効果ガスの排出の量について特定事業者が自ら定める目標

(3) 前号の目標を達成するための基本方針及びその基本方針に基づき講ずる措置

(4) 前3号に掲げるもののほか、事業活動に係る温室効果ガスの排出の抑制等に関する事項

3 特定事業者は、排出抑制計画を定め、又は変更したときは、これを知事に提出しなければならない。

4 特定事業者は、規則で定めるところにより、排出抑制計画の達成状況等を知事に報告しなければならない。

5 特定事業者以外の事業者は、排出抑制計画を定め、これを知事に提出することができる。

(平22条例13・一部改正)

(補完的手段)

第13条 特定事業者は、排出抑制計画に定める温室効果ガスの排出の量の目標を達成する手段として、自らの事業活動に伴う温室効果ガスの排出の量の削減によるほか、森林の保全及び整備、再生可能エネルギーの利用その他の規則で定める地球温暖化対策によることができる。

第4章 自動車使用に関する地球温暖化対策

(公共交通機関等の利用等への転換)

第14条 県民は、自動車の使用に代えて、公共交通機関又は自転車(以下「公共交通機関等」という。)の利用等に努めるものとする。

2 知事は、県民の自動車の使用から公共交通機関等の利用等への転換を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 事業者は、その事業活動において使用する自動車による温室効果ガスの排出の抑制をするため、及びその使用する従業員の通勤に自動車を使用させないようにするため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(自動車の適正な整備等)

第15条 自動車を使用し、又は所有する者は、自動車の使用に伴う温室効果ガスの排出を最小限度に抑制するため、自動車の適正な整備及び運転を行うよう努めるものとする。

(自動車のアイドリング・ストップ)

第16条 自動車を運転する者は、自動車の使用に伴う温室効果ガスの排出を抑制するため、自動車を駐車し、又は停車するときは、自動車の原動機の停止(以下「アイドリング・ストップ」という。)を行うよう努めるものとする。ただし、規則で定める場合は、この限りでない。

2 和歌山県世界遺産条例(平成17年和歌山県条例第22号)第2条第1項に規定する世界遺産の区域内の規則で定める駐車場(以下「特定駐車場」という。)の設置者及び管理者は、当該特定駐車場を利用する者に対し、アイドリング・ストップを行うよう、看板の設置その他の規則で定める方法により周知しなければならない。

3 特定駐車場以外の駐車場の設置者及び管理者は、当該駐車場を利用する者に対し、アイドリング・ストップを行うよう、看板の設置その他の規則で定める方法により周知するよう努めるものとする。

(温室効果ガスの排出の量が比較的少ない自動車の使用等)

第17条 自動車の販売を業とする者は、道路運送車両法第4条の規定による登録を受けていない自動車(以下「新車」という。)を購入しようとする者に対し、その販売する新車に係る温室効果ガスの排出の量その他の規則で定める事項について説明するよう努めるものとする。

2 自動車を購入しようとする者は、温室効果ガスを排出しない自動車又は温室効果ガスの排出の量が比較的少ない自動車を購入するよう努めるものとする。

3 自動車を使用する者は、使用することができる自動車が複数あるときは、温室効果ガスの排出の量が比較的少ない自動車を使用するよう努めるものとする。

第5章 電気機器等に関する地球温暖化対策

(温室効果ガスの排出量が比較的少ない電気機器等の使用)

第18条 電気機器、ガス器具その他のエネルギーを消費する機械器具等(以下「電気機器等」という。)を使用する者は、温室効果ガスの排出の量が比較的少ない電気機器等を使用するよう努めるものとする。

(特定電気機器等に係る省エネルギー性能の表示等)

第19条 温室効果ガスの排出の量が相当程度多い電気機器等として規則で定めるもの(以下「特定電気機器等」という。)の販売を業とする者(店舗において販売する者に限る。以下「特定電気機器等販売事業者」という。)は、当該店舗の見やすい場所に、当該特定電気機器等に係る省エネルギー性能(エネルギーの消費量との対比における特定電気機器等の性能として規則で定める方法により算定した数値をいう。以下同じ。)に関する情報を適切に表示するよう努めるものとする。

2 特定電気機器等販売事業者は、特定電気機器等を購入しようとする者に対し、その販売する特定電気機器等に係る省エネルギー性能について説明するよう努めるものとする。

第6章 建築物に関する地球温暖化対策

第20条 建築物を新築し、増築し、又は改築しようとする者は、建築物に係る温室効果ガスの排出の抑制等を図るため、建築物に係る省エネルギー、資源の適正利用その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第7章 再生可能エネルギーの利用に関する地球温暖化対策

第21条 県は、率先して、再生可能エネルギーを変換してその事務及び事業のために使用する電気を得るための設備の導入その他再生可能エネルギーの利用の推進のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 県は、事業者及び県民による再生可能エネルギーの利用の促進を図るため、情報提供その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

第8章 森林の保全及び整備等に関する地球温暖化対策

第22条 事業者、県民及び環境保全活動団体は、連携し、及び協働して、森林の適切な保全及び整備並びに紀州材その他の森林資源の利用の推進に努めるものとする。

2 県は、森林の持つ温室効果ガスの吸収作用及び固定作用に関する事業者及び県民の理解を深めるため、情報提供その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

第9章 廃棄物の発生の抑制等に関する地球温暖化対策

(廃棄物の発生の抑制等)

第23条 事業者、県民及び観光旅行者等は、温室効果ガスの排出の抑制を図るため、事業活動、日常生活又は滞在中の活動に関し、廃棄物の発生の抑制、再使用及び再生利用その他資源の有効な利用に努めるものとする。

2 事業者は、廃棄物の処理に当たっては、温室効果ガスの排出を抑制するよう努めるものとする。

(環境物品等の購入等の促進)

第24条 事業者及び県民は、温室効果ガスの排出の抑制を図るため、物品を購入し、若しくは借り受け、又はサービスの提供を受ける場合には、環境物品等を選択するよう努めるものとする。

2 事業者は、環境物品等の購入等の推進を図るための方針を作成するよう努めるものとする。

第10章 地球温暖化の防止に関する教育及び学習等

(地球温暖化の防止に関する教育及び学習)

第25条 県は、事業者及び県民が地球温暖化の防止についての理解を深めるとともに、これらの者の地球温暖化の防止に関する活動を行う意欲が増進されるよう、地球温暖化の防止に関する教育及び学習(以下「環境教育等」という。)の振興に必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、環境保全活動団体が行う環境教育等の活動を支援するものとする。

(啓発活動及び広報活動)

第26条 県は、地球温暖化の現状及び地球温暖化対策の重要性について、事業者、県民及び観光旅行者等の理解を深めるため、啓発活動及び広報活動の充実に必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、環境保全活動団体が行う地球温暖化の現状及び地球温暖化対策の重要性についての啓発活動及び広報活動を支援するものとする。

第11章 県センター等による取組の支援

第27条 県は、県センターが地球温暖化対策を担う中核的支援組織として、事業者、県民及び他の環境保全活動団体の積極的な取組を促進する役割を果たすことができるよう、その支援に努めるものとする。

2 県は、和歌山県地球温暖化防止活動推進員(法第37条第1項の規定により知事が委嘱する者をいう。)が、地域における地球温暖化対策を指導する役割を果たすことができるよう、市町村と連携し、その支援に努めるものとする。

(平28条例63・一部改正)

第12章 雑則

(顕彰)

第28条 知事は、地球温暖化対策に積極的に取り組む事業者、県民及び環境保全活動団体の顕彰を行うものとする。

(指導及び助言)

第29条 知事は、事業者、県民、環境保全活動団体及び観光旅行者等が、この条例に基づく地球温暖化対策を実施する場合において、必要な指導及び助言をすることができる。

(勧告)

第30条 知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第12条第3項の規定による提出をせず、又は虚偽の事項を記載して提出した者

(2) 第12条第4項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

(3) 第16条第2項の規定による周知をしない者

(平22条例13・一部改正)

(公表)

第31条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく、当該勧告に従わないときは、規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。

2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に対し、あらかじめ、その旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、意見を述べる機会を与えなければならない。

(補則)

第32条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が別に定める。

1 この条例は、平成19年9月1日から施行する。

2 知事は、地球温暖化の防止に係る技術水準の向上及び社会経済情勢の変化並びにこの条例の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(平成22年3月25日条例第13号)

この条例は、平成23年4月1日から施行する。

(平成28年10月5日条例第63号)

この条例は、公布の日から施行する。

和歌山県地球温暖化対策条例

平成19年3月14日 条例第16号

(平成28年10月5日施行)

体系情報
第4編 環境生活/第1章 環境通則
沿革情報
平成19年3月14日 条例第16号
平成22年3月25日 条例第13号
平成28年10月5日 条例第63号