○和歌山県安全・安心まちづくり条例

平成18年3月24日

条例第26号

和歌山県安全・安心まちづくり条例をここに公布する。

和歌山県安全・安心まちづくり条例

目次

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 広報啓発、安全教育等及び自主防犯活動の支援(第9条―第13条)

第3章 安全・安心まちづくりのための環境整備(第14条―第27条)

第4章 犯罪被害者等に対する支援(第28条)

第5章 雑則(第29条・第30条)

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、家庭及び地域における人と人との絆を大切にし、お互いが支え合い、及び助け合うとともに、安全で安心な暮らしに配慮した環境の整備を行うまちづくり(以下「安全・安心まちづくり」という。)に関して基本理念を定め、県、県民、地域活動団体(自治会その他の地域的な共同活動を行う団体をいう。以下同じ。)及び事業者の役割を明らかにするとともに、必要な施策の基本的事項を定めることにより、安全・安心まちづくりを推進し、もって県民、観光旅行者等が安全で安心して暮らし、又は滞在することができる社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 安全・安心まちづくりは、地域住民による自主自立の精神及び相互扶助の精神に支えられた良好な地域社会の形成が必要であるという基本的認識の下に、自主的な判断に基づき推進されなければならない。

2 安全・安心まちづくりは、県民、地域活動団体及び事業者(以下「県民等」という。)による自主的な防犯活動(以下「自主防犯活動」という。)を基本とし、安全で安心な地域社会の形成に配慮した環境の整備が実施されるよう推進されなければならない。

3 安全・安心まちづくりは、県及び県民等がそれぞれの役割を適切に分担し、並びに連携し、及び協力するとともに、互いにその権利利益を尊重しつつ推進されなければならない。

(県の役割)

第3条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、安全・安心まちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 県は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、県民等と相互に連携を図るものとする。

3 県は、第1項の施策の策定及び実施に当たっては、国及び市町村と連携し、及び調整を行うものとする。

(県民の役割)

第4条 県民は、基本理念にのっとり、安全・安心まちづくりの必要性及び方策についての理解を深め、並びに安全で安心な地域社会の形成のため、自主防犯活動を推進するよう積極的に努めるものとする。

2 県民は、安全・安心まちづくりのために県及び市町村が実施する施策に協力し、並びに安全・安心まちづくりのために地域活動団体及び事業者が実施する取組と連携するよう努めるものとする。

3 県民は、地域社会の安全に関する意識の高揚及び自らが犯罪により被害を受けないために必要な知識の修得に努めるとともに、県民の安全で安心な暮らしを害するおそれのある事態の発生に関する情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。

(平27条例47・一部改正)

(地域活動団体の役割)

第5条 地域活動団体は、基本理念にのっとり、安全・安心まちづくりの必要性及び方策についての理解を深め、並びに自主防犯活動を主体的に企画し、及び推進するよう積極的に努めるものとする。

2 地域活動団体は、安全・安心まちづくりのために県及び市町村が実施する施策に呼応するとともに、県民及び事業者が実施する取組に参画するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、安全・安心まちづくりの必要性及び方策についての理解を深め、並びに犯罪の防止に配慮した事業所、店舗等の整備その他の事業活動に関する自主防犯活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。

2 事業者は、安全・安心まちづくりのために県及び市町村が実施する施策並びに県民及び地域活動団体が行う自主防犯活動に協力するよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第7条 県は、安全・安心まちづくりを推進するため、県、市町村及び県民等が相互の協力の下に、安全・安心まちづくりに関する情報を交換し、及び防犯活動に関する方策の研究を連携して行うことができる体制を整備するものとする。

(財政上の措置)

第8条 県は、安全・安心まちづくりを推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第2章 広報啓発、安全教育等及び自主防犯活動の支援

(広報啓発等)

第9条 県は、安全・安心まちづくりに関する県民の関心を高め、及び理解を深めるため、広報啓発その他必要な措置を講ずるものとする。

(児童生徒等に対する安全教育の充実)

第10条 県は、家庭、学校等(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)、同法第124条に規定する専修学校の高等課程、同法第134条第1項に規定する各種学校で主として外国人の児童、生徒及び幼児(以下「児童生徒等」という。)に対して学校教育に類する教育を行うもの並びに児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設をいう。以下同じ。)及び地域活動団体と連携して、児童生徒等が犯罪による被害を受けないようにするための教育(以下「安全教育」という。)を充実するよう努めるものとする。

2 県は、安全教育を行うに当たっては、その実施の方法を工夫すること等により児童生徒等の理解が深まるよう努めるものとする。

(平19条例19・平19条例79・一部改正)

(青少年等に対する遵法意識のかん養)

第11条 県は、青少年等に対し、社会の一員としての意識及び法規範の遵守に関する意識をかん養するための施策を講ずるよう努めるものとする。

(高齢者、児童生徒等及び障害者等に対する見守り等)

第12条 県は、高齢者、児童生徒等、障害者その他特に防犯上の配慮を要する者に対して、県民等による地域ぐるみの見守りをはじめとする犯罪による被害を受けないようにするための取組が行われる環境の整備及びその広報啓発に努めるものとする。

(自主防犯活動に対する支援)

第13条 県は、安全・安心まちづくりを推進するため、自主防犯活動に対し、助言その他の必要な支援を行うものとする。

第3章 安全・安心まちづくりのための環境整備

(犯罪の防止に配慮した住宅の普及等)

第14条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する住宅の普及に努めるものとする。

2 知事及び公安委員会は、共同して、犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等に関する指針を定めるものとする。

(建築主等の努力義務等)

第15条 住宅の建築(新築、改築又は増築をいう。)をしようとする者(以下「建築主」という。)及び住宅を所有し、又は管理する者は、前条に規定する指針に基づき、当該住宅を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 県は、建築主及び住宅を所有し、又は管理する者に対し、住宅の防犯性の向上のために必要な情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を講ずるものとする。

(共同住宅の建築主に対する情報提供等)

第16条 県は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下この条において「法」という。)第6条第1項の規定により県の建築主事の確認を受けようとする共同住宅の建築主に対し、当該共同住宅が犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、法第4条第1項又は第2項の規定により建築主事を置く市町村に対し、前項の措置に準じて、共同住宅の建築主への情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を講ずるよう協力を求めるものとする。

3 県は、法第77条の21第1項に規定する指定確認検査機関に対し、第1項の措置に準じて、共同住宅の建築主への情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を講ずるよう要請することができる。

4 警察署長は、管轄区域内の共同住宅の防犯性の向上を図るため、共同住宅の建築主に対して必要な助言を行うことができる。

(犯罪の防止に配慮した道路等の普及等)

第17条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する道路、公園、公衆便所、駐車場及び駐輪場(以下「道路等」という。)の普及に努めるものとする。

2 知事及び公安委員会は、共同して、犯罪の防止に配慮した道路等の構造、設備等に関する指針を定めるものとする。

(道路等の設置者等の努力義務等)

第18条 道路等を設置し、又は管理する者は、前条第2項に規定する指針に基づき、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 県は、道路等を設置し、又は管理する者に対し、道路等の防犯性の向上のために必要な情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を講ずるものとする。

(空地又は空家における犯罪の防止)

第19条 空地又は空家を所有し、又は管理する者は、当該空地又は空家について、柵の設置、草刈り、出入り口の施錠等犯罪を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(犯罪の防止に配慮した店舗等の整備)

第20条 深夜(午後10時から翌日の午前6時までの間をいう。)において営業する商業施設で規則で定めるもの(以下「深夜商業施設」という。)又は遊技場施設(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第4号及び第5号に規定する営業を行う施設をいう。)において事業を営む者は、当該深夜商業施設又は遊技場施設を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号)第2条第2項に規定する大規模小売店舗(以下「大規模小売店舗」という。)において事業を営む者は、当該大規模小売店舗を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 銀行その他の金融機関で規則で定めるもの(以下「銀行等」という。)において事業を営む者は、当該銀行等の店舗等を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

4 県は、深夜商業施設、遊技場施設、大規模小売店舗又は銀行等の店舗等(以下「深夜商業施設等」という。)を設置し、若しくは管理する者又は深夜商業施設等において事業を営む者に対し、当該深夜商業施設等の防犯性の向上を促進するために必要な情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(平28条例27・一部改正)

(繁華街における犯罪の防止)

第21条 飲食店、小売店舗その他の店舗の集積する区域(以下「繁華街」という。)において施設を所有し、又は管理する者及び事業を行う者並びにこれらの者により組織される地域活動団体は、相互に協力して、当該繁華街における犯罪の防止のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(観光旅行者の安全の確保)

第22条 旅行関係施設等(観光立国推進基本法(平成18年法律第117号)第12条に規定する旅行関連施設及び同法第14条に規定する観光の基盤となる交通施設をいう。以下同じ。)を設置し、又は管理する者は、当該旅行関係施設等における観光旅行者の安全を確保するよう努めるものとする。

2 県は、旅行関係施設等を設置し、又は管理する者に対し、自然歩道及び参詣道等への来訪者をはじめとする観光旅行者の安全対策の実施について必要な情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 県民は、観光旅行者が安心して滞在することができるよう配慮に努めるものとする。

(平19条例59・一部改正)

(学校等における児童生徒等の安全の確保)

第23条 学校等を設置し、又は管理する者(以下「学校等の設置者等」という。)は、当該学校等において、侵入者による児童生徒等に対する犯罪を防止するよう努めなければならない。

2 知事、教育委員会及び公安委員会は、共同して、学校等における児童生徒等の安全の確保のための指針を定めるものとする。

3 学校等の設置者等は、前項に規定する指針に基づき、児童生徒等の安全を確保するための体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

4 地域住民は、学校等の設置者等と相互に連携して児童生徒等の安全の確保に努めるものとする。

(通学路等における児童生徒等の安全の確保)

第24条 通学路等(児童生徒等が通学、通園等の用に供している道路及び日常的に利用している公園、広場等をいう。以下同じ。)を管理する者、学校等の設置者等、児童生徒等の保護者、地域活動団体及び当該通学路等の地域を管轄する警察署長は、連携して通学路等における児童生徒等の安全を確保するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 県民は、通学路等において、児童生徒等が危害を受けていると認められる場合又は危害を受けるおそれがあると認められる場合には、警察官への通報、避難誘導その他適切な措置をとるよう努めるものとする。

3 知事、教育委員会及び公安委員会は、共同して、通学路等における児童生徒等の安全の確保のための指針を定めるものとする。

(犯罪の防止に配慮した自動車等の普及等)

第25条 自動車等(道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第9号に規定する自動車及び同項第10号に規定する原動機付自転車をいう。以下同じ。)の販売又は修理を業とする者(以下「自動車等販売修理業者」という。)は、犯罪の防止に配慮した構造及び設備を有する自動車等並びに犯罪を防止するための装置(以下「犯罪防止自動車等」という。)の普及に努めるものとする。

2 自転車(道路交通法第2条第1項第11号の2に規定する自転車をいう。以下同じ。)の販売又は修理を業とする者(以下「自転車販売修理業者」という。)は、犯罪の防止に配慮した構造を有する自転車及びひったくり等の犯罪による被害を防止するための用具(以下「犯罪防止自転車等」という。)の普及に努めるものとする。

3 県は、犯罪防止自動車等及び犯罪防止自転車等の普及のため、自動車等販売修理業者及び自転車販売修理業者に対し、防犯に関する情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。

(犯罪の防止に配慮した自動販売機の普及等)

第26条 自動販売機を設置し、又は管理する者は、犯罪の防止に配慮した構造を有する自動販売機及び犯罪を防止するための装置の設置に努めるものとする。

2 県は、犯罪の防止に配慮した構造を有する自動販売機及び犯罪を防止するための装置の普及のため、自動販売機の販売を業とする者及び自動販売機を設置し、又は管理する者に対し、防犯に関する情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。

(安全で安心な情報通信技術の利用推進)

第27条 県は、安全で安心な情報通信技術の利用を推進するために必要な広報啓発に努めるものとする。

2 情報通信技術を利用する事業者は、自ら安全で安心な情報通信技術の利用の環境を保持するよう努めるとともに、安全で安心な情報通信技術の利用の推進に努めるものとする。

3 県は、情報通信技術を利用する事業者が共同して行う安全で安心な情報通信技術の利用を推進するための活動の支援に努めるとともに、必要に応じて情報通信技術を利用する事業者と共同して、情報通信技術の安全で安心な利用についての情報の提供に努めるものとする。

第4章 犯罪被害者等に対する支援

第28条 県は、犯罪により被害を受けた者及びその家族又は遺族(以下「犯罪被害者等」という。)の名誉又は平穏な生活を確保するため、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。

2 県は、前項の支援を行うに当たっては、国、市町村その他の関係機関及び犯罪被害者等の援助を行う民間の団体その他の関係する者と連携を図りながら協力して行うものとする。

3 県民は、良好な地域社会の形成には、犯罪被害者等の名誉又は平穏な生活への配慮が重要であることについての理解を深め、及び第1項の規定に基づき県が行う支援に協力するよう努めるものとする。

第5章 雑則

(指針の策定手続)

第29条 知事、教育委員会又は公安委員会は、第14条第2項第17条第2項第23条第2項及び第24条第3項の規定により指針を定め、又は当該指針を変更しようとするときは、あらかじめ、県民等の意見を反映させるための適切な措置を講ずるとともに、当該指針を定め、又は変更したときは、これを公表するものとする。

(委任)

第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(平成19年3月14日条例第19号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成19年7月5日条例第59号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成19年10月1日条例第79号)

この条例は、学校教育法等の一部を改正する法律(平成19年法律第96号)の施行の日から施行する。

(施行の日=平成19年12月26日)

(平成27年7月3日条例第47号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成28年3月24日条例第27号)

この条例は、平成28年6月23日から施行する。

和歌山県安全・安心まちづくり条例

平成18年3月24日 条例第26号

(平成28年6月23日施行)

体系情報
第4編 環境生活/第9章 安全・安心まちづくり
沿革情報
平成18年3月24日 条例第26号
平成19年3月14日 条例第19号
平成19年7月5日 条例第59号
平成19年10月1日 条例第79号
平成27年7月3日 条例第47号
平成28年3月24日 条例第27号