○和歌山県福祉のまちづくり条例
平成8年10月11日
条例第41号
和歌山県福祉のまちづくり条例をここに公布する。
和歌山県福祉のまちづくり条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 福祉のまちづくりに関する施策(第7条―第11条)
第3章 公共的施設等の整備
第1節 公共的施設の整備(第12条―第18条)
第2節 特定施設の整備(第19条―第25条)
第3節 公共的施設以外の施設等の整備(第26条―第28条)
第4章 雑則(第29条・第30条)
附則
私たち一人一人が自立し、生きがいを持ち、住み慣れた地域で安心して生活を営むことができる真に豊かな福祉社会の実現は、私たちすべての願いである。
このような社会を実現するためには、一人一人が個人として尊重され、社会からのサービスを平等に享受でき、個性と可能性に応じたあらゆる分野での社会参加の機会が平等にもたらされなければならない。
このためには、障害者や高齢者等の行動や社会参加の機会を阻んでいる様々な障壁を取り除き、すべての人が自らの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができ、共に地域社会で快適に暮らせる福祉のまちづくりを推進していくことが必要である。
ここに、私たち県民は、福祉のまちづくりを推進するために、共に力を合わせ、不断の努力を傾けることを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、福祉のまちづくりについて、県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、県の基本方針を定めてこれに基づく施策を総合的に実施し、及び障害者、高齢者等が安全かつ円滑に利用できる施設等の整備を促進し、もって県民の福祉の増進に資することを目的とする。
(平12条例40・一部改正)
(1) 障害者、高齢者等 障害者、高齢者、妊産婦、乳幼児を連れた人等で日常生活又は社会生活において行動上の制限を受けるものをいう。
(2) 公共的施設 社会福祉施設、病院、官公庁舎、百貨店、飲食店、ホテル、公共交通機関の施設、道路、公園その他の多くの人が利用する施設であって、規則で定めるものをいう。
(3) 公共車両等 一般旅客の用に供する鉄道の車両、自動車及び船舶であって、規則で定めるものをいう。
(4) 公共的工作物 信号機、公衆電話所その他の多くの人が利用する工作物であって、規則で定めるものをいう。
(県の責務)
第3条 県は、福祉のまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
第4条 削除
(平12条例40)
(事業者の責務)
第5条 事業者は、その事業活動が地域社会と密接な関係にあることを自覚し、積極的に福祉のまちづくりに取り組むよう努めるとともに、県が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
(平12条例40・一部改正)
(県民の責務)
第6条 県民は、福祉のまちづくりに関する理解を深め、自ら進んで福祉のまちづくりに取り組むよう努めるとともに、県が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
(平12条例40・一部改正)
第2章 福祉のまちづくりに関する施策
(施策の基本方針)
第7条 県は、次に掲げる基本方針に基づき、福祉のまちづくりに関する施策を総合的に実施するものとする。
(1) すべての県民が福祉のまちづくりについて理解を深め、積極的にこれに参画するよう県民意識の高揚を図ること。
(2) 障害者、高齢者等が自らの意思で自由に行動し、安全かつ円滑に利用できる施設等の整備を促進すること。
(啓発活動)
第8条 県は、福祉のまちづくりについて、事業者及び県民の理解を深めるため、広報活動、教育活動その他の啓発活動を行うものとする。
(情報の提供等)
第9条 県は、事業者及び県民に対し、福祉のまちづくりに関する必要な情報の提供、技術的指導及び助言を行うものとする。
(推進体制の整備)
第10条 県は、市町村、事業者及び県民と連携して福祉のまちづくりを推進する体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第11条 県は、福祉のまちづくりを推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第3章 公共的施設等の整備
第1節 公共的施設の整備
(整備基準)
第12条 知事は、障害者、高齢者等が公共的施設を安全かつ円滑に利用できるものにするため、公共的施設の構造及び設備に関して必要な基準(以下「整備基準」という。)を定めるものとする。
2 整備基準は、公共的施設のうち、不特定かつ多数の者が利用する出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場、敷地内の通路その他知事が必要と認める部分について、規則で定める。
(公共的施設の整備)
第13条 公共的施設を所有し、又は管理する者(以下「公共的施設所有者等」という。)及び公共的施設の新築若しくは新設(用途を変更して公共的施設とする場合を含む。)又は増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする者(以下「公共的施設新築者等」という。)は、当該公共的施設を整備基準に適合させるようその整備に努めなければならない。
(適合状況の報告及び調査等)
第14条 知事は、この節及び次節の規定の施行に必要な限度において、公共的施設所有者等及び公共的施設新築者等(以下これらの者を「公共的施設設置者等」という。)に対し、整備基準への適合状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、公共的施設設置者等の同意を得て、当該公共的施設若しくはその工事現場に立ち入り、整備基準への適合状況を調査させ、若しくは関係人に質問させることができる。
2 前項の規定による調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(要請)
第15条 知事は、特に必要があると認めるときは、公共的施設設置者等に対し、当該公共的施設の整備基準への適合その他の必要な措置を講ずるよう要請を行うことができる。
(機能の維持)
第16条 公共的施設所有者等は、当該公共的施設の整備基準に適合している部分の機能を維持するよう努めなければならない。
(利用の妨げとなる行為の禁止)
第17条 何人も、障害者、高齢者等の通行の妨げになるような状態で公共的施設に自転車、看板、荷物その他の物を放置する等障害者、高齢者等の公共的施設の利用の妨げとなる行為をしてはならない。
(福祉のまちづくり施設認定証の交付)
第18条 公共的施設所有者等は、当該公共的施設が障害者、高齢者等が安全かつ円滑に利用できるように配慮された施設であることを証する証票の交付を知事に請求することができる。
3 知事は、認定証の交付の対象となった公共的施設の名称、所在地その他規則で定める事項を記載した台帳を整備するものとする。
4 何人でも、知事に対し、前項の台帳の閲覧を請求することができる。
第2節 特定施設の整備
(特定施設の整備基準への適合)
第19条 公共的施設のうち規則で定めるもの(以下「特定施設」という。)の新築若しくは新設(用途を変更して特定施設とする場合を含む。)又は特定施設の整備基準に係る部分の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替(以下「特定施設の新築等」という。)をしようとする者は、当該特定施設の新築等に係る部分を整備基準に適合させなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、地形又は敷地の状況、建築物の構造その他やむを得ない理由により、整備基準に適合させることが困難であると知事が認める場合は、整備基準に代えて、知事と協議により定めた基準によることができる。
(届出及び勧告)
第20条 特定施設の新築等をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、当該特定施設の新築等の内容を知事に届け出なければならない。
2 知事は、特定施設の新築等をしようとする者が、前項の規定による届出を行わずに特定施設の新築等の工事に着手したときは、当該届出を行うよう勧告することができる。
3 第1項の規定による届出をした者は、その届け出た内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その変更の内容を知事に届け出なければならない。
2 知事は、前項の指導及び助言を受けた者が、正当な理由なく当該指導及び助言に従わないときは、当該指導及び助言を受けた者に対し、当該指導及び助言の内容に従うことその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
(工事の完了の届出)
第22条 特定施設の新築等を行った者は、当該特定施設の新築等の工事を完了したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を知事に届け出なければならない。
(適合検査)
第23条 知事は、前条の規定による届出があったときは、当該届出に係る特定施設の新築等の内容が整備基準に適合しているかどうかについての状況の検査を行うものとする。
(整備基準に適合していない場合の勧告)
第24条 知事は、特定施設の新築等の工事が完了した場合において、当該特定施設の新築等を行った者が、当該特定施設の新築等の内容を整備基準に適合させていないと認めたときは、当該特定施設の新築等を行った者に対し、当該特定施設の新築等の内容を整備基準に適合させることその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
(公表)
第25条 知事は、第20条第2項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告を受けた者の氏名その他規則で定める事項を公表することができる。この場合において、知事は、あらかじめ、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第3節 公共的施設以外の施設等の整備
(公共車両等の整備)
第26条 公共車両等を所有し、又は管理する者は、当該所有し、又は管理する公共車両等について、障害者、高齢者等が安全かつ円滑に利用できるようその整備に努めるものとする。
(公共的工作物の整備)
第27条 公共的工作物を所有し、又は管理する者は、当該所有し、又は管理する公共的工作物について、障害者、高齢者等が安全かつ円滑に利用できるようその整備に努めるものとする。
(住宅の整備)
第28条 県民は、その居住する住宅について、自らの高齢化等に対応し、安心して快適に暮らすことのできるような環境づくりを心がけるものとする。
2 住宅を供給する事業者は、障害者、高齢者等が安全かつ快適に利用できるよう整備された住宅の供給に努めるものとする。
第4章 雑則
(国等に関する特例)
第29条 国、地方公共団体その他規則で定める者については、前章第2節の規定は適用しない。
(規則への委任)
第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
附則(平成12年3月27日条例第40号)
この条例は、平成12年4月1日から施行する。