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連12号

未利用資源、梅酢の栄養価を生かす。紀州うめどり・うめたまごって何? 紀州梅干の加工段階で出る「梅酢」は、塩分が含まれているためにこれまで用途が限られていた。 しかし、梅酢には有用成分も多く含まれている。そこで、塩分を除去した「脱塩濃縮梅酢」を開発。 これを混ぜた飼料で鶏を育ててみると、鶏卵も鶏肉もイキイキ美味しく、ヘルシーに! その名も『紀州うめどり・うめたまご』。栄養価に富む梅酢を未利用資源にしておくのは “もったいない”の精神から生まれた、和歌山の次なる特産品として期待されている。

脱塩・濃縮した梅酢、『BX70』を開発。

 梅酢は昔からシソなどを漬けるのに再利用されてきたが、紀州梅干の生産量増加に伴って従来の用途では消費しきれなくなってきた。しかし、クエン酸やアミノ酸などを豊富に含み、健康づくりに大いに役立つ梅酢を未利用資源にしておくのはもったいない。塩分さえ除去すれば、さらに用途が広がるのではないか…。そこに着目し、脱塩濃縮梅酢を開発したのが、みなべ町の梅干製造販売企業・(株)紀州ほそ川である。
 細川社長によると「もともとは、梅干の調味段階で出る調味梅酢の再利用に取り組んでいました。その技術を梅酢の塩分除去に応用するべく、電気透析機という設備を導入したんです」。電気分解によって、塩分を通常約20%含む梅酢を脱塩、さらに濃縮。こうして生まれる脱塩濃縮梅酢を、細川社長は県の養鶏研究所に持ち込んで用途の相談をかけた。そして、梅酢の塩分を半分にして飼料に混ぜ、鶏のデータを1年間採るという実験の協力を得る。
 「何かの本で、梅酢を飲んだ鶏は夏バテしない、というのを読んだことがあって。それに和歌山のある地方では、昔から夏場に弱った鶏に梅酢を飲ませる風習があるというのも聞いていたんです。でも、それまで養鶏場とのつながりは皆無でしたから、県から信頼できるデータを頂けるのが有り難かったですね。そして結果を見ると、鶏の生存率や産卵率が明らかに上がっている!他にもいろんな効果が出ていました」。
 さらに試行錯誤を重ねることで、塩分0%、可溶性固形分70%という理想的な脱塩濃縮梅酢『BX70』が完成。現在、養鶏場や飼料メーカーへと出荷されている。また、これを飼料に混ぜて育てた鶏卵と鶏肉を『紀州うめどり・うめたまご』として売り出す、ブランド化推進協議会も2005年4月に発足。細川社長はその会長も務めることとなった。


 
脱塩濃縮梅酢『BX70』   鶏卵は、県内の特産品を集めた県のアンテナショップ『わかやま喜集館(きしゅうかん)』(東京・有楽町)などに出荷。スーパーでの販売も進められている。
 
 
大阪府河内長野市内のスーパーで開かれた『紀の国ほんまもん和歌山フェア』で、ブランドシールを貼って販売された鶏肉。   採卵鶏には1日3回飼料を与える。


消費者の評判も上々
今後さらなる拡販を。


 この『紀州うめどり・うめたまご』の生産にいち早く取り組んでいるのが、吉備町の養鶏場経営者・平松重人さん。こちらの養鶏場では、年間に採卵鶏1万羽、食肉用のブロイラー4万羽を育成。今や、すべての飼料に『BX70』が混ぜられている。
 「最初は試験的にやってみたんですよ。不安もありましたが、県から詳しい実証データが出ていましたしね。実際、一週間で鶏糞が変わって驚いたんです。それまでベチャッとしていたのがコロコロになって、臭いも減った。これは鶏の内臓の働きが良くなっているんじゃないか、と」。
 事実、鶏を処理すると内臓までつやつやと美しく、皮にもハリと弾力がある。しかも、肉質は脂身が抑えられてヘルシーに。卵のほうも、産卵率、鮮度保持率、食味性などが向上。すでに消費者からも「子どもがこの卵しか食べなくて」といった声が上がり、県内を中心に固定ファンを獲得している。「和歌山の梅という特産品を使って、この事業に取り組んでいることに自信を持っています」と胸を張る平松さん。




 

 今後の課題は、県内外でのさらなる認知度アップと、販路・消費の拡大だ。そのためにブランド化推進協議会では、養鶏農家を対象とした技術交流会の開催や、イベントに参入してのPRに力を尽くしている。紀州梅の持つ健康イメージをそのままに引き継いだ、次なる特産品に寄せる関係者の期待は大きい。ブロイラー販売業者からは「消費者や販売店からの注文に対して供給が追いつかない状況です」といった嬉しい悲鳴が聞こえる。これぞ、まさにブランドの力。中国梅の台頭に負けない『紀州梅』という一大ブランドが、『紀州うめどり・うめたまご』という新たなブランドを生み出したのである。

  床に敷いてあるのは発酵させた鶏糞。これもまた、未利用資源の有効活用だ。コロコロの鶏糞で鶏舎が清潔になり、鶏の病気も発生しにくくなる。
 株式会社
 紀州ほそ川 代表取締役

 細川 清さん
 
 有田養鶏農業協同組合
  代表理事

 平松 重人さん

梅酢の効用を実証

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