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和歌山の人、もの、地域 和 nagomi 食の楽園、和歌山。 2009 vol.10

旬魚おどる絢爛豪華な鍋、それは黒潮からのおくりもの。


「クエ」一度味わえばもう虜、”幻の魚”に心奪われて。

 水深70〜80mの岩礁の陰、ひっそりと生きる“幻の魚”。「クエ」と呼ばれる巨大魚である。分厚い唇に大きな口の迫力ある見た目に反して、性格は穏やか。一ヶ所に居を構え、エサとなる魚を待つ。
 日高町は、関西の食通には名の知れた「天然クエの町」だ。江戸時代から続く奇祭「クエ祭」が、この町とクエとの長い歴史を物語っている。漁期の冬場、日高町の漁師はアオリイカを餌に、大針一本でこの巨大魚を釣り上げる。民宿「波満はま」を営む濱一己さんは、クエの一本釣りに挑む剛腕漁師の一人。
 「クエ釣りは一筋縄ではいかん。すぐに釣れたり、何日も釣れんかったりや。それに、あたりがあっても、すぐ糸を上げたらあかん。我慢して、エサを飲み込んだ瞬間に引き上げるんや。この時の逃げる力はすごいけど、絶対逃がさへんで」。簡単には釣り上げられない幻の魚クエとの格闘を迫力たっぷりに語ってくれた。
 大きなものでは30〜40sにもなるクエを、腕力だけを頼みに引き上げるのは大仕事である。なぜそうまでしてクエなのか…。無論、美味だからである。見た目とは裏腹な純白の身。しっかりとした歯ごたえと、口いっぱいに広がる芳醇な旨みとコク。白身魚の概念を根底から覆す、その食感と味わいは数多の食通を魅了してきた。
 まさに、人を虜にする幻の魚である。

クエ鍋(左)クエ (右)日高町の天然クエ

(左)クエ料理の定番は鍋。身と皮の間、目玉や骨周りなどの天然コラーゲンがたっぷり楽しめる。お造りや焼き魚にしても絶品。
(右)日高町の天然クエ。日高町では毎年10月の「クエ祭」に合わせ、クエ・フェアを開催。今年は国立大学法人和歌山大学観光学部と連携し、クエの町・日高町のテーマソングを発表。“天然クエの町”はますます盛り上がっている。

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「伊勢エビ」今日も大漁!漁師自慢の”和歌山の伊勢エビ”。

(左)伊勢エビ (右)すさみ漁港

(左)大きいもので1s以上にもなるが、一番美味しいとされるのは600g前後のもの。新鮮な伊勢エビは「ギーッ、ギーッ」と鳴く。
(右)「カギ」と呼ばれる道具で絡まった網をとるのが一苦労。傷物は売り物にならないので、素早くも慎重に。華麗な技が光る。


伊勢エビ鍋

 肌寒くなり始めた10月のすさみ町・すさみ漁港。早朝6時、薄闇の港に、昨夕、磯場に仕掛けておいた網を引き揚げた漁船が戻ってきた。漁師が網を下ろすと、待ちうけていた人々が駆け寄る。「これ大きいわ!」「こりゃ、取りづらい」。賑やかな掛け合いの中、慣れた手つきで網から外されたのは、元気に跳ね回る「伊勢エビ」である。
 “和歌山で伊勢エビ?”と思われるかもしれない。しかし、実は和歌山の伊勢エビ漁獲高は、日本第3位を誇る。和歌山の伊勢エビは、黒潮の荒波にもまれ身は引き締まり、ウニを餌としているから味わいは濃厚。
 「本場とされる伊勢で食べて来られたお客様でも、ここの伊勢エビの味には感動して帰られるんですよ。刺身ではその甘さに、焼くと凝縮された旨みに驚かされます。そして鍋は、エビのコクが溶け出した出汁が野菜に絡まって絶品。私どもが伊勢エビに特化しているのは、ここすさみの伊勢エビの味に惚れ込んでいるからです」。民宿「秋葉山荘」のオーナー城本千代子さんの言葉は自信に満ちている。城本さんは、この味わいに惹かれて父親の故郷であるすさみ町に移住してきたほど。旬の10〜3月頃には、この美味に魅了され、毎年訪れる人も多いという。


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