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和歌山の人、社会、地域 和 nagomi 和歌山モノづくりのポテンシャル 2007 vol.4

POTENTAL of Wakayama Products
02 mikan

一度は味わいたい「みかん」がある 極熟・味一/有田みかん

有田みかん

みかん作りに最適な環境

 和歌山県有田地域は江戸時代初期には早くも江戸にみかんを出荷した記録がある。嵐をついて船でみかんを江戸に運び、巨万の富を築いた紀伊国屋文左衛門も、有田の出身とされる。当時から「みかんのことなら有田に聞け」といわれるほどだった。
 温暖な気候、日当たりと水はけの良い段々畑、さらに紀伊水道からの潮風などが、糖度・酸味の絶妙なバランスを持つ「有田みかん」を生み出す。
 そのうえ、農家は環境に安住するのではなく、文左衛門のチャレンジ精神を受け継ぎ、さらなる品質向上をめざし、「有田みかん」をますます進化させている。


伝統農法で「極熟」有田みかん

 有田郡湯浅町にある谷井農園は、篤農家が実践してきた伝統農法にこだわる。例えば地下水の多い畑では、土の下に瓦や石を敷き詰め、その上に土を被せてから苗木を植える。こうすると根が地中で十分に伸びず、水分がとりにくい状態になる。みかんの木にぎりぎりまでストレスを与えることで糖度が高まるのだ。さらに、細かい赤土に酵母菌を混ぜて培養し、味が決まる時期の前後に畑にそれを混ぜる。化学肥料の普及に伴って忘れ去られていた農法だが、谷井康人代表は「みかんの細胞数が15〜30%も増え、かっちりした濃厚な味になる」と語る。谷井農園の「極熟」みかんの糖度は他の追随を許さない。谷井代表は「消費者は味にこだわる。この“違い”を評価してくれる」と、伝統農法に自信を見せる。
 加工品にも力を入れ、みかんジュースは、「糖度の高いものしか搾(しぼ)らない」。搾りたての風味を大切にしようと、カギを握る熱処理の装置は自ら開発した。その味わいは首都圏の外資系ホテルにも出荷しており、「次はイタリアの瓶で、フランスのデザイナーによるラベルを考えている」と、商品のデザインにもこだわりを持つ。伝統農法とデザイン力、見事なコラボレーションが、消費者を魅了している。


谷井農園自慢のジュース谷井農園自慢のみかん
早和果樹園の商品
早和果樹園の“マルチドリップ畑”と秋竹新吾社長

“有田”が努力するからこそ・・・


 有田市の(株)早和果樹園の有田みかんジュース「味一しぼり」が、9月にオープンしたホテル「ザ・ペニンシュラ東京」に採用された。糖度12度以上のみかんを一瓶に30個使い、味を損う原因となる皮の油分を入れないように皮をむいて搾るなど大変な労力をかけた贅沢なジュースだ。傷がついて出荷できないみかんを使っていた、これまでのジュース作りの常識を覆したものだった。ホテルの料理長は「こんなジュースは飲んだことがない」とうなり、百貨店は720ml一瓶に1,260円という値をつける。
 道のりは平坦ではなかった。秋竹社長は、昭和40年代のみかん大暴落を経験後、目標を生産量の増加から、「味の追求」に転換した。しかし隔年にみかんの出来に差があり、多雨年にはみかんが水っぽくなるなど、バイヤーから「年によってで品質に差があったら、お客さんが逃げてしまうよ」と苦言を呈された。そこで、雨水が地中にしみ込むのを防ぐシート「マルチ」、コンピューターで水と栄養をコントロールする「マルチドリップ」をいち早く採用。天候任せの生産から脱却し、より高糖なみかんの安定的生産を実現させた。今では、東京の高級果実店から「うちのプライベートブランドを作ってくれないか」と頼まれるまでに。秋竹社長は「産地“有田”がさらに努力するからこそ、出荷先はその心意気に応えてくれる」と力を込める。
 伝統農法とハイテク農法。和歌山・有田、そこには、おいしいみかん作りにこだわる「紀州人」の心意気が息づいている。


甘さ×酸っぱさ

 みかんがどんどんおいしくなっているのにお気づきだろうか?それは品種改良という人間業と、突然変異というこちらは神の業のおかげだ。
  例えば温州みかんとオレンジをかけ合わせた「清美(きよみ)」その清美に「ポンカン」をかけ合わせた「デコポン」さらに清美に「ブンタン」をかけ合わせた「春峰(しゅんぽう)」等々・・・春峰は新品種作りに情熱を持つ和歌山の河嶋良樹さんの芸術作品だ。
 神もおいしいみかん作りに協力している。例えば今和歌山の早生みかんをリードしている「由良早生(ゆらわせ)」。ある日、一本の枝だけに色づきの良いみかんができていた。食べてみるとこれがとりわけ甘いのだ。その突然変異の枝から由良早生という品種は生まれた。

デコポン春峰(しゅんぽう)
海を渡ればクリスマスオレンジ

 みかんはカナダ、台湾、香港などに輸出されている。中でもカナダでは「クリスマスオレンジ」として珍重されている。そのルーツは、意外にもKINCHO大日本除虫菊(株)の創業者である上山英一郎氏まで遡る。1885(明治18)年、有田市でみかんを栽培していた上山氏が、福沢諭吉の勧めで渡米し、みかんの苗と除虫菊の苗を交換。それが北米にみかんを、日本に蚊取り線香をもたらした。カナダでは靴下にお菓子とみかんを入れて、家族で交換しあうそうだ。カナダの人たちは店頭に“みかん”が並ぶと、「今年もクリスマスが近いなあ」と思うそうな。

予想外のヒット! 地元の味 摘果みかんの実力
カクテル「秋袷(あきあわせ)」

 みかん農園では、スダチほどの大きさになった青い果実を摘果、つまり間引く。その摘果みかんを活用できないか。和歌山市のバー「ル・シック」のママ・林千津子さんがカクテルに使ってみたら、予想外のヒット商品に。秋の季語から「秋袷(あきあわせ)」と命名。ジンベースと白ワインベースの2種があり、どちらも青い皮と果肉のコントラストが美しい。ライムやレモンより柔らかい味、みかんの香りが女性客に受けている。

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