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紀の国いきいきトーク
「紀の国いきいきトーク」は、私が県内各地に出向いて、県民の方々と気軽に話し合い、県政に対する理解を深めていただくとともに、各分野で活躍されている県民の方々の生の声を県政に反映させていくために開催するものです。ここでは、様々な分野でいきいきと活動されている皆さんとのざっくばらんな懇談の様子をご紹介します。
第19回 紀の国いきいきトーク対談内容
平成22年7月5日 紀三井寺公園陸上競技場特別室
マナーキッズテニスプロジェクト始動
<仁坂知事>
皆さん、こんにちは。
今日は、皆さんがマナーキッズテニス教室という活動を和歌山で一生懸命やっていただいていて、和歌山におけるこのマナーキッズテニスのいろんな活動が素晴らしいんだということが全国でも有名なので、いろいろお話をお聞かせいただきたいと思ってやってまいりました。体育というのは、技とか体を鍛えますが、あわせて心を鍛えるということも大事な要素だと思います。そういう意味で、マナーも一緒に指導しようというのは、素晴らしいことだと思うんですね。ということで、マナーキッズテニス委員会を発足させたきっかけなどを、木村理事長さんからお願いします。
<木村 順さん[県テニス協会理事長]>
和歌山県テニス協会として、マナーキッズテニス教室という取組を始めたのは平成17年で、その年の6月18日に第1回を和歌山県立体育館で開催させていただきました。きっかけといいますと、その前年に日本テニス協会の方から「全国でいろいろマナー教室をやっているんだけども、ぜひ和歌山でもやっていただけないか」と直接電話をいただきまして、内容はまた後で送るんで一度検討していただきたいということでした。送っていただいた資料では、マナーとかいろんなことを含めながらテニス教室をするということだったので、たしか、事務局の阪中事務局長と二人で相談して「じゃあ、一度やってみよう」ということになり、県立体育館を予約させていただきました。その上で、次の理事会に諮らせていただいたところ、「理事長、勝手に決めて仕事をふられても、現場は大変なんです。そういう内容は事前にちゃんと説明した上でやっていただきたい」というのが理事の皆さん方の反応でした。つまり、急に丸投げされても困るというお話でした。その頃担当していただいたのが、本日参加している馬場君(現マナーキッズテニス委員会委員)なんですけども、彼もその時の会議で「急に僕らがやらんなんようになっても、内容もよく分からんので、どうなってんねやというのを、もうちょっとちゃんとしてくれ」ということでした。ただまあ、もう事前に日本テニス協会から案内もいただいて開催することが決まっているんで、「とりあえずその時までに内容も詰めますんで、開催していただきたい」ということを皆さん方にお願いしたわけです。こうして、第1回の和歌山県のマナーキッズテニス教室を、6月18日に公募型で開催することに何とか目途がついたというところです。ただ、その時は、やっぱり理事さん方からは相当反対がありまして、「よく分からんのに、引き受けたらあかんで」と言われた覚えがあり、それが非常に残っています。
メンバーたちの葛藤
<仁坂知事>
当時、馬場さんは「そんなもんふるな」と言って、怒ったメンバーの一人ですね。
<馬場 利幸さん[マナーキッズテニス委員会委員]>
そうですね。もうその会場も押さえているし、日にちも決まってるということをいきなり聞かされたんで、他の理事さん方も「そんなもんできることないやろ」という意見がありました。ただ、そんな意見の中やったんですけども、ここにいる島本さん(現マナーキッズテニス委員会副委員長)と私とでジュニア担当の委員会を持っていましたんで、「どうせしなくちゃいけないんだったら、じゃあもう我々でやろうやないか」という話をしました。ただし、もう全部任せてほしい、後は各理事さん協力してくれという中でスタートしてました。
<島本 久仁さん[マナーキッズテニス委員会副委員長]>
その教室の内容が、幼稚園の子と小学校低学年の子を対象に一日中テニスとマナーを指導するというプログラムだったんです。「小学校低学年や幼稚園の子に、一日中そんな指導するなんて絶対に無理」って私たちが思ったこと、それとマナーっていう堅苦しいそういうプログラムで人が集められるか、興味を持ってくれるかということが、まず、最初に反対した理由でした。だって、普通のテニスレッスンをしても、せいぜい1時間ですよね。私らの常識では、子どもたちを集中させられるのは1時間という思い込みがあって、それがまず反対した理由で「そんなん絶対無理やわ」っていうことでした。
<仁坂知事>
それでも、その時はまあ、日本テニス協会のプログラムでやってみたみたわけですね。
<島本 久仁さん>
そうです。そのプログラムでやるしかなくて。でも、ちゃんとした指導プログラムがあって、指導方法などがちゃんとできてたんですね。一日コースと半日コースと。ずっと反対してきたけれど「もう仕方ない。それこそ上からの命令なのでやらな仕方ない」って感じで。
案ずるより産むが易し
<仁坂知事>
それで、どうなりましたか。
<島本 久仁さん>
それがですね、私たちの予想に反して、和歌山の人たちはすごく興味を持って集まってくれたんです。マナーということに対して、私たちが思っていたほど無関心ではなく、そういうことを教えてほしいという反響がすごくあって、80名を募集したところに120名の応募があり、お断りしなければいけならない状況にまでなりました。このことが「小さな子どもたちに、一日中テニスとマナーなんて無理」という私たちの既成観念を払拭してくれ、「せっかく120名もの応募があったのに惜しいな」とか「どうにか全員参加できるようにならないかな」ということまで考えるようになっていました。結果的には、県立体育館ではコートが10面ぐらいしかとれなくて、やっぱり子どもたちの安全を考えて80名強が限度ということで開催しましたが、その時からここまでつながったというのは、プログラムがすごく良くできていたからだと思います。先ほど知事が言われたみたいに、いわゆる「心技体」、そういうことが織り込まれたプログラムだったからだと思います。
良くできたプログラム
<仁坂知事>
そのプログラムは、どんなところが良くできていたのですか。
<島本 久仁さん>
マナーキッズテニス教室では、まず、小さな子どもたちにもきちんと受付をさせて、「何々の誰々です。よろしくお願いします」と挨拶させるところから始めます。そこからもうプログラムは始まっているんです。次に開講式をするのですが、そこでも子どもたち一人ひとりに自己紹介をしてもらい、挨拶をさせます。こんなふうに、マナーについて反復練習させるようになっているところが、プログラムの良くできているところの一つだと思います。
開講式では一列に並んで、ずっと一人ひとり自己紹介させていくんですが、その間、ずーっと延々と立っていないといけなくて、最初のうちは姿勢が悪くなってくるんです。それでマナーの先生から正しい姿勢というのを教えてもらうんですね。その時に言われることが、前向きな気持ちになる姿勢ということを説明してくれるんですが、しっかりと正しい姿勢をとると前頭葉が働いて前向きな気持ちになって、それで、やる気が出るということです。マナーの先生は鈴木先生(小笠原流礼法 鈴木万亀子総師範)といって、ゴールデンキッズにも来ていただいている先生で、私たちも先生のお話を何回も何回も聞くんですけれど、そのたびに「あー。そうだそうだ」と思いながら、ものすごくいい気持ちになるんですよね。そういう話を聞いて、本当にそういう姿勢をとると前向きな気持ちになるんだなと思うわけです。鈴木先生がそれを言ってくださることによって、まず、子どもたちを前向きな気持ちにしてもらって、それが正しい姿勢なんだということで始まっていきます。それで、後は反復練習で挨拶を何回も何回もしていくと、その間にだんだんと身に付いてくるわけです。そういう反復練習というプログラムです。それから、プログラムの中ではテニスは二の次にして、まず挨拶をちゃんとさせながら、それで心を鍛えていきます。子どもたちには、早くテニスをしたいという気持ちもあるけれども、我慢させてその前に挨拶をさせています。スポーツはちょっと我慢できないと強くなれないので。そして、今度はテニスの中で達成感を味わうことができるようになっています。最後の方になるとラリーが何本続くかっていうのを、その個人個人によってさせるんですけども、それを初めは1本だけやって、次は自分がどれだけできるかという目標設定させて、それが達成できたら報告に行くということが、その短いプログラムの中に盛り込まれています。それから、閉講式に入るんですが、スポーツをやった後は勉強するっていうことも盛り込まれていて、すごく良くできたプログラムだなっていうのが感じられます。それで、私たちが最初に思った「一日中なんて絶対に無理」っていうメニューが、幼稚園の年中さんも参加があったと思うんですが、一日中みんな脱落者なしにできたということが、私たちの想定外であったし、すごく良かったと思います。
<仁坂知事>
中村さんは指導の中身について、びしっと仕切られているようですね。
<中村 三知子さん[マナーキッズテニス委員会委員]>
私は、教室当日に受付とかをさせてもらっているんですけども、最初が一番肝心なんで、今日は持って来なかったんですが、マニュアルがあるんですよ。「私の名前は誰々です」ということから始まって、受付をしてもらって、それから中に入ってもらうんですけれども、子どもたちはやっぱり一番最初は自分の名前をしゃべれませんでした。それでも、だんだん年月が経つにつれて、最終的にはみんなしゃべれるようになりますよね。低学年の子どもたちも自己紹介ができるようになるんですよ。どちらかというと、低学年の子どもの方がしっかりしゃべれているかなっていうのがあるんですけど。
<仁坂知事>
それは、小さい時から癖をピシッとつけたからでしょうね。名前をしゃべるというのは意外と難しいんですよ。それから、名前を「何の何某です」と言ったら、無名の人でいられないわけですから、ちょっと恥ずかしくないようにせにゃいかんというんで、ピッとしますね。
<中村 三知子さん>
それで名札を付けるんですが、子どもたちは名札をものすごく喜ぶんですよ。名札が汗で流れたら「無くなった。作ってくれ」とか、いろいろ注文も多いんですけども。
スタートダッシュが肝心
<仁坂知事>
そうやって、ちゃんとできてきたわけですけども、本多さんは委員長を任されて、理事さんもそれぞれ猛者が多いから、委員長として全体を統括する時に結構大変だと思うんですが、その時の苦労話とかコツとかありますか。
<本多 通博さん[マナーキッズテニス委員会委員長]>
当時、私はベテランの担当をしていまして、ベテランの委員長をしていたんですが、その縁でマナーキッズにつきましては、東京の担当の方から事前に情報もありまして、私なりには、これはテニス普及の非常に大きな武器だというふうに思っていたんです。その当時、私は立場が違いましたので、アドバイス的に仲間になっているという状況だったんですけど、先ほども申しましたが大きな武器だと考えていましたので、6月18日の第1回目をどうしても成功させようということで、それについてみんなでいろいろミーティングの場をもったわけなんです。そこで、私が一番考えたことは、まず、歴代の会長さんにご出席いただくこと。それから、クラブのオーナーの方、特に現役時代に全日本選手権に出られた、そういうオーナーの方に来ていただくこと。それから、運動用具関連業界の方にも出席していただくことでした。そうすることで、和歌山県テニス協会がどういうふうに普及に取り組もうとしているのかを知っていただこうということで、そういう準備を綿密に行いました。みんなの役割も綿密に決めまして、和歌山県テニス協会からも30人ぐらいの総動員であったと思います。それで、東京から向こうのスタッフが来てくれましたが、コーチとしては元デ杯選手が2人来てくれて、それから、東京からマナーの小笠原流礼法の師範の方が来てくれました。こういう取組がですね、相手が子どもさんといえども、本気になってマナーとテニスの指導に本格的に取り組んだということが、非常に我々に対してもインパクトがあったし、来られた方にもそれが伝わったというふうに思います。東京から来られた方は、和歌山の盛況ぶりに大変驚いておられました。
それから、平成17年の秋のことですが、こんなに素晴らしいマナーキッズテニス教室を、もっともっと和歌山で開催していきたいと、みんなで話し合ったんです。しかし、そのためには、やはり和歌山県テニス協会独自に資金を確保しなければならないということで、和歌山県のナンバーワン企業である島精機製作所さんに協賛をお願いしてみようということになりました。さっそくアプローチいたしましたところ許可されて、当時の協会幹部が打ち揃って島精機製作所さんにお願いにあがりました。すると島社長様御自らご面会くださいました。このプロジェクトの内容とその素晴らしさや、テニス協会の目標などを説明させていただいたところ、快く承諾していただきまして、それから5年間協賛をしていただきました。ここまで取組を拡げてこれたのも、島精機製作所さんの協賛があってのことだと思って大変感謝しています。
和歌山で大ブレイク
<仁坂知事>
現在の結果なんですが、和歌山で大いに普及して、参加人員で全国の約9%、開催回数だって13%、非常に成功されたわけですね。一番初めにやられた公募型というものの他に体育授業型、それから個別型とかいろいろあるようですが、これはどういうような区分なんですか。
<本多 通博さん>
これは、各プログラムとも半日、3時間が標準的なコースなんですね。それで、公募型は県立体育館などを使って広く公募します。それから、もうひとつ個別型は土曜日の小学校に呼んでいただいて、そこでチャレンジスクールというような中で時間をいただくという形でやっています。そして、最近一番力を入れているのは体育授業型で、これは文字通り学校の体育の授業に組み込んでいただくという形です。開催回数は公募型が19回、個別型は22回、体育授業型が16回ということで、大体拮抗していますが、今後は体育授業型が良いということを、日本テニス協会も和歌山県テニス協会も考えています。その理由は、やはり、体育授業型は本当に授業の中で取り組みますから、いつもの教室よりもさらに真剣に取り組んでくれるということがあって、それにマナーが入って、我々テニス協会としては、テニスの普及にもこれほど良いものはないと考えています。
心を磨くツール ~学校とのコラボレーション~
<仁坂知事>
公教育の観点からしても、これほど良いものはないですよね。やっぱり、私は心を磨くことが大事で、それには形も大事だから、やっぱり礼儀とか道徳とかそういうこともきちっと教えないといけないという教育をしようと思っているんですが、そういうツールにも役立つような気がしますね。
島村さんは私の学友でありまして、協会の副会長になっておられますけども、この取組にはどういうお関わりですか。
<島村 安昭さん[県テニス協会副会長]>
本多委員長の下ですね、マナーキッズテニス教室の時には、微力ながらお手伝いをさせていただいているということです。私の住まいの関係で吹上小学校の歴代の校長先生をはじめ、関係の皆さん方が非常に理解してくださいまして、多分、一番多く体育授業型も入れていただきました。それから、個別型にも土曜日とかが一番回数が多いと思うんですけども、皆さんで非常に取組をよくやってくださいますので、そういうことで関わらせていただいています。また、知事や私の同級生で、今は砂山小学校の校長先生をなさっておられる辻校長先生にも、以前、お願いしたご縁もありまして、できるだけ小学校における開催には参加させていただいています。こういったマナーっていうのは教える我々にとっても、ハッと気付くことが非常にありますので、そういう面では大変良いプロジェクトだなと思って参加させていただいております。それから先ほど本多委員長から話がありました島精機製作所様に協賛をお願いするについては、以前からのご縁もあって、私も会社にお伺いして「マナーキッズテニス教室」について説明させていただきました。単なるプロジェクトではなく、知育・徳育・体育という三位一体の教育的プロジェクトであること、特に近年、家庭や学校で忘れられがちな「徳育」を学びながらテニスを楽しむということを申し上げ、島社長様はじめ会社の方々にご理解いただいたものと思います。このプロジェクトが大いに発展しているのは島精機製作所様のご協力によるところがすごく大きいと大変感謝しています。
<仁坂知事>
森川副会長はお聞きするところによると、副会長でいらっしゃるとともに、このマナーキッズテニスプロジェクトの関係では、学校とか教育委員会に随分働きかけをしていらっしゃるそうですね。
<森川 隆さん[県テニス協会副会長]>
私自身はテニスをただ好きでやっているだけだったんです。マナーキッズについては、孫が沢山おるんで公募型にお世話になりましてですね、このマナーキッズのマナーを取り入れたというところは非常にいいことだなとずっと思っていたわけです。一度か二度公募型で一緒にお手伝いさせてもらっていたんですが、去年から県のテニス協会のお手伝いをするようになりました。本多委員長さんから、和歌山市以外の郡市の方でもやっていきたいんだと、和歌山市は特に体育授業型もかなりやっているけど、和歌山市以外の郡市ではあまりないのでと言われたんです。たまたま私は海南市のテニス協会の役もしていますので、海南市で体育授業型をいっぺんやれないかなということを教育委員会にお願いをしました。ちょうど教育委員会にですね、テニスが上手いキーマンの方が学校教育課におられたんで、その人を通じてお願いしますと、よしやろうということで、校長先生も非常に快く受入をしてくれ、今年の2月に海南市での第1回を中野上小学校で受け入れていただきました。結果的には、先ほど島本副委員長さんがおっしゃったように、最初のうちは、「よろしくお願いします」、「ありがとうございます」を全然言えなかった子どもたちがそれを言えるようになって、先生方からも非常に良い経験をさせてもらったと言っていただきました。それで、一緒にお手伝いに行った海南のメンバーのお母さんから、うちの子どもたちの学校でできないかなという意見が出るくらい好評でした。ですから今年も、できたら第2回目ができたらいいなと思っています。
<仁坂知事>
そうですね。毎年そうやって教えていくと、子どもたちも立派に礼儀なんかも身に付くし、それから、そのことがきっかけでテニスがものすごく好きになって、ゴリゴリやる子が出てくると、これまたよろしいですね。馬場さんは教育委員会への働きかけもなさっているとお聞きしますが、馬場さんにいろいろ働きかけをされて受入した学校側は喜んでくれてるんじゃないかと想像するんですけど、どんなところを評価してくれていますかね。
<馬場 利幸さん>
まず最初に木村理事長がおっしゃったように、やること自体が大変やったんですよね。平成17年6月の第1回目の時に、本当に人が集まってくれるかなというところからのスタートだったんです。当時、私は青年会議所(JC)とかPTAの役もさせてもらっていまして、たまたま安原小学校と高松小学校のPTAの会長が元JCの同期であったりとかだったので、そこへ声をかけて、一応公募するけども、とにかくそこの学校の子どもを参加できるようにしてくれというところから始まりました。それで、蓋を開けたらそのさっき言ったように120人からの応募がありまして、まあ、これは公募型は多分年に1回ぐらいは十分やっていけるだろうという思いを強くしました。そうなった時に、個別型の受入についていろんな学校のPTAの関係者と話をしていると、土曜日の開放授業として、そこへ当てはめるのが学校としても一番ありがたいというお話を聞きました。そこで、個別型を開催してもらうにあたって、誰にどこでどういうふうに話を聞いてもらって理解してもらったらいいのかなという話を、まず、安原小学校の校長先生に相談したところ、校長会というのがあるから、そこへおいでよと言っていただきました。そこには和歌山市内の校長先生方が全員一堂に集まるわけですから、そこでそういう説明をして「これはいいな」と思う校長先生がいれば、その学校で取り入れてくれるんじゃないかなということで、その安原小学校の校長先生のアドバイスにより、説明に回らせてもらったりしました。
子どもたちも先生も大満足
<仁坂知事>
その結果、マナーキッズテニス教室をやった後ですね、学校や子どもたちからはどうですか。どんなことを馬場さんに感謝してくれたり、あるいは、注文があったりしますか。
<馬場 利幸さん>
一つは、修了証書を一人ひとりに発行するんですけども、それがやっぱり子どもたちにとっては賞状みたいなもので、非常に喜んでもらえています。それも、毎回毎回発行するので、とても楽しみにしてくれています。
<仁坂知事>
その賞状はどんなものですか。
<本多 通博さん>
大きなものではありませんが、日本テニス協会会長と書いてあります。
<仁坂知事>
ものすごくかっこいいですね。
<馬場 利幸さん>
それが毎回参加してくれる人は、何枚ももらえるわけです。それから、最後に宿題として感想文をですね、必ず書いてもらうんです。それを回収して、学校であれば学校の担任の先生とかに回収してもらうわけですけども、一人ひとりのテニスをやっている絵であったりとか感想がもらえます。そこには「またやりたい」とか、「ありがとうございました」とか、そんないろんな言葉が入っていて、我々もそれを読ませてもらうことで嬉しいし、次回の励みになります。
<仁坂知事>
作文を読むと嬉しいですよね。いろいろ書いてあるんで。先生方もお読みになるんですか。
<馬場 利幸さん>
その作文で、先生方もこれはいいことやと言ってくれます。それで「もう1回、またぜひとも」という話になるのが一番多いかなと思います。
マナーが大切なことの意味を教える
<仁坂知事>
そうですか。さて、そうすると、今度は中身の話にいくわけですが、マナーの講師として宇和さんは協力しておられるということですが、どんなような内容を指導しておられるんですか。
<宇和 千夏さん[マナー講師]>
マナーというものを子どもたちが知っているかどうかということなんですけども、マナーというのは、本当に大きなくくりでいろんなことがあるんです。まず、集団行動といいますか、知っているお友達ばかりでなく、まったく知らない人たちとも一緒に何かをする時というのは、やっぱりマナーっていうのが一人ひとり大切なんだよということを分かってほしいなと思って、その辺から入っていこうと思ってお話させていただいています。その時には、私も必ず言うんですけれども、約束を守るということがマナーの一番大切なことではないかということをまずお話しています。先ほど、開講式で一列に並んでいるというお話がありましたけれど、最初に一列に並ぶようにと言うんですが、やっぱりちょっとまあ列が乱れたり、前に出たり、後ろに下がったりという子どもたちが出てきます。そこで「そこの線に一列に並ぶというお約束をしましたね」というところから入っていくと、子どもたちが少し緊張するといいますか、ピシッとします。だから、マナーというのはそういうことなんですよということを説明しています。そこから、ご挨拶というのがテニス、スポーツをする上で一番大切なことですので、先ほど島本副委員長さんの方から説明がありました姿勢を指導します。正しい姿勢をするということから前向きな気持ちになる、頑張ろうという気持ちになるということを実践をさせるために、正しい姿勢をしてみてくださいということをやってみます。子どもたちは、それぞれ正しいと思う姿勢をしてくれるんですが、その後、正しい姿勢はおなかに力を入れる、手を横に伸ばす、頭を天井から吊られているような形でというような正しい姿勢をしてもらいます。その後で、ちょっと悪い姿勢というのもやってもらうんです。そうすると「ちょっと、だらっとする」とか「ちょっと、怠けようか」みたいな気持ちが出てくるというのを、私も鈴木先生のお話を聞かせていただいて、どれだけ姿勢が大事かということを身をもって分かりました。経験をもとに子どもたちに伝えなければいけないということで、自分も反省しつつ、そこのところを必ず姿勢ということからやっていくようにしています。それと、挨拶の仕方です。「よろしくお願いします」、「ありがとうございました」、それ以外にも「おはようございます」であったり「おやすみなさい」というのを、親御さんであっても、兄弟であっても、お友達であっても、とても大切な言葉なんですよということを分かっていただいて、ご挨拶を練習します。そのご挨拶の練習なんですが、ご挨拶というのはどういう時にするかという意味合いなんかも含めまして指導しています。何かを教えていただく時というのは「教えていただくという気持ち」を持ってほしいと思うので、そこでお辞儀の仕方というのをやっています。お辞儀というと普通こう「お願いします」みたいな感じになると思うんですけれども、何かを教えていただく時というのは、やはり少し
<仁坂知事>
いや、大したもんですね。何が大したものかというと、感心しましたけども、お行儀って教えますよね。「こうやって礼をするんやで」というように普通は言うじゃないですか。けれども、礼をする意味を教えてあげる。この意味を教えてあげると、本当にその気になって自分で自発的にやるようになりますね。その感動すればね。それで、そういうようなことをやってるのか、ああなるほどと、私は聞きながら思いました。
大人もためになるマナー指導
<宇和 千夏さん>
私も全然できていなくて、鈴木先生の話を聞いて私も反省して、子どもたちにお話しながら自分にも言い聞かせるようにやっているんですけども。
<島本 久仁さん>
鈴木先生は本当にそういう意味で、会うたびに心をそういう気持ちにさせてくださいます。宇和さんの今の話を聞いていても「そうだ、そうだ」と思いながら、やっぱりそういう気持ちにさせてくれることが一番良いことなんです。学校へ行かせてもらっても、保護者の方とか大人にも見本になるようにと、コーチをするみんなにも見本になるようにと、子どもよりも元気にということを班のミーティングの時に言ってるんです。だから、子どもを教えに行っているんだけども、実際は大人の方にも理解してもらえるようにしています。また、マナーの小笠原流の先生の教本があるということが私たちの支えですね。今言われたみたいに言葉でちゃんと説明してもらって、なぜマナーが大切なのかということを教えてもらうのは、本当に毎回開催するたびにいい支えになっています。昔からテニスをする時に、先輩に挨拶しなさいと言われて「はーい」と言うだけだったので、それでやっぱり、だんだん、テニスもクラブ活動がそんなに盛んじゃなくなって、先輩後輩もなくなってきたと思うんです。そんなところから、もう一度復活させなきゃいけないといった時に、でも、なんでそういうことしないといけないのかっていうのを教えてもらって、すごい私たちのためだなって思っています。
指導の現場は人間修養
<仁坂知事>
土井さんはどうですか、テニスコーチとして関わっておられてどうですか。
<土井 美江さん[マナーキッズテニス委員会委員]>
子どもさんは、いろいろいるんです。やっぱり、言うことを聞かない子から、とても言うことを聞いてくれる子とかいるんですけども、指導しているとこちらの方がだんだんと口が悪くなってくるんです。
<仁坂知事>
それで、マナーキッズテニス教室に来ると、まず宇和さんが「あんたらね、土井先生が教えてくれる時はね、あの人は上手いんやから土井先生に、自然と心を下げて、礼儀をちゃんとせなあかんで」というようなことを言うわけですか。どうですか。
<土井 美江さん>
そんなことはありませんが、やはり、挨拶はきっちりさせます。けれども、だんだん言うことを聞かなくなってきたら、「あんたらね」という言葉が出てくるんです。「あんたら、いい加減にしなあよ」ってなってくるんですよ。
<仁坂知事>
そういう時には、小笠原流の鈴木さんが出てきてね、「ちょっと土井さん、そういうお言葉をされると、斯く斯く然々で、子どもさんは反発を覚えになって」とかと言って説教されたりしないんですか。
<土井 美江さん>
それはないです。鈴木先生は聞いてないですよね、そんな時は。私も教えるのに一生懸命になるから、もう別にそんなに気にしていられなくなるんです。だから、挨拶だけはきっちり「お願いします」と「ありがとうございます」は絶対させるようにはしています。でも、ちょっと危険な場面とかになってきたら「ちょっといい加減にしいや」っていう感じのことは言います。
<仁坂知事>
それも考えてみたら、実質的な教育ですよね。「ええ加減にしいや」と言うのも。
<土井 美江さん>
そんなに言わないと止まらない時があるんですよ、子どもさんでもやっぱり。例えば、殴り合いしだしたりとか。
<仁坂知事>
ええっ、テニスで殴り合いするの?
<土井 美江さん>
待っている間にけんかしたりするんですよ、小さいお子さんは。それでボールがたまたまどこかから飛んできて当たったりすると、「誰が当てたんや」ってなるんです。「誰も当ててないよ」と言うんですけど、この頃、かーっとなるお子さんが多いんですよ。ラケットを振り回し出した時にはちょっと危ないので、そういうのは力づくで止めないといけないんです。
<仁坂知事>
そういうこともされるているんですか。人間修養になりますね。
<土井 美江さん>
私も一応3人子どもを育てていますけど、もう、子どもは「んー」て感じです。だから、低学年は男の方が指導するのはちょっと厳しいかなと思います。
<仁坂知事>
小さい子どもには、子どもの心になって教えないかんということですね。
<土井 美江さん>
もう、母になって言わないと。
<仁坂知事>
母になってということですね。父親では、なかなか殴ってしまうかも。父の川口さんはどうですか。
<川口 健さん[テニスコーチ]>
私は高学年担当なので、割と楽させてもらっています。それでも、生徒たちはレベルが違っていまして、かなり上手い子もいれば、ボールを受けられない子もいるので、やはり、個々のレベルに合わせて、とりあえずテニスを楽しんでもらおうという気持ちで接しています。でも、土井さんが言われたように、切れそうになる部分はやっぱりあります。
<仁坂知事>
川口さんでもそんなことがあるんですか?
<川口 健さん>
マナーとルールというのは徹底しているんですけども、やっぱり自分も熱くなっているんですかね。それに報いてくれない部分があると、少し思いますね。
<仁坂知事>
最近ワールドカップのサッカーやってましたね。あの時のレフェリーというのは、そういうことかもしれませんね。あれが下手に試合をルーリングすると、無茶苦茶な殴り合いになったり、それからしらけたりもするし。みんな熱心なんだけども、ルールのもとに熱心にやらないかん。それを上手くコントロールするというのは、なかなか難しいですよね。でも、子どもさんたちはみんな見ているんじゃないですか、川口さんが上手くやってくださっているのを。
<川口 健さん>
そうですね。とりあえず楽しんでもらいたいというのが、根底にありますので。
プロの指導者の目から見て
<仁坂知事>
そういうのを、今度はプロの指導者であるところの山田さんから見ると、どうですか、このようなマナーを重視する教室は。
<山田 守さん[マナーキッズテニス委員会委員]>
私は、マナーキッズでは一介のお手伝いの委員だけでさせてもらっていて、地元の小学校ではショートテニスという名前で教えたりさせてもらっています。私は、楽しくショートテニスというようなことだけでやっていたので、このマナーキッズ教室でやっているように、最初に「お願いします」、「ありがとうございます」、これを言うだけで、ちょっとの言葉だけでみんながピシッとしまるなあと思いました。「ありがとうございます」という感謝の気持ちは意外と言えていない子が多いと思うんです。うちの地元が有功小学校なんですけども、実は昨日、一昨日もこのショートテニスをやって、「ありがとうございました」ってみんなが言ってくれたら嬉しくてね。意外と何も言わなかったら、何もないままで終わってしまっていたんで、結構、このマナーキッズっていいなと思いました。小さい子どもに家庭でそんなマナーを教えているご両親であれば、できるのかできないのか不安かもしれないけれど、でもずっとやってたらできるようになってくるんです。これ、意外と。僕は体育会系でやってたんで、そんなのを教えられていたんでしょうけど、あらためて「よろしくお願いします」、「ありがとうございました」と言うようにしていたら、子どももテンションが上がってきて、マナーができるようになってくるなと思うんです。
びっくりするくらいの成長
<仁坂知事>
それは素晴らしいことですよね。中村さんは、同時にいろいろ見張りながら安全面とかで、ご苦労も多いでしょうね。先ほどけんかになったとか言っていた時に頷いておられましたけども。
<中村 三知子さん>
ラケットは凶器にもなるので、振り回したらあかんと言っても、子どもはやっぱり振り回したりするので、それで怪我しないようにと一番気を遣っています。小さい1年生を担当していて、隣が土井さんの2年生だったんですけど、1年生の子がいろいろ動き回る子で、ちゃんと続けてやってられない子がいるんですよ。その子をずっと見ていたら、ここでけんかではないけどやってたんで、全体的に見回すのは大変な時もありますし、教える先生たちも確かにご苦労やなと思います。それを見ながらテニスも教えないといかんし、最近は、低学年にだんだんそういう子が多くなってきたような気がします。地方へ行くと、素直でかわいい子どもたちが多いですけれど。
<島本 久仁さん>
有田市とか、新宮市とか、清水町とかへも行くんですけども、いろんな小学校を見させてもらって、良かったです。みんな素朴でした。新宮市でもスポーツができる子が多いので、もっともっと機会を与えてあげられたらいいのになと思っています。
<中村 三知子さん>
新宮市へ行った時に思ったのは、スポーツに熱心な子はやっぱりテニスもやれるんですよね、パンパンて。それでマナーもいいし。
<島本 久仁さん>
それでも、地域地域でものすごい差があって、案外ストロークをずっと続けられない子が多かった時には「なんでやろ」とか、私たちが余計疑問に思ったこともあります。その地域によって全然違うのを感じながらやっています。
<仁坂知事>
ちょっと落ち着きがなく、あるいはすぐに切れそうになる子どもとかが、マナーキッズテニス教室に入ってきて、中村さんに「こらっ」とか言われたりするとどうなるんですか
<中村 三知子さん>
いえいえ、「こらっ」は言いませんけどね。いなくなる子はいるんですよ。いなくなると大変やけど。まあ、最後はやっぱり修了書もらう時は、みんなちゃんとしています。嬉しい気持ちがあるからだと思います。
<仁坂知事>
それは、マナーキッズテニス教室に入ると全然違うと思いますよ。それを1回、2回、3回と繰り返していくとね、ああこういうもんかというのがだんだん分かってくるよね。
<中村 三知子さん>
和歌山市内の小学校でも、低学年の時からみんなに交われない子が一人いたんですけど、その子は毎回参加してくれるんですね。その子が成長して、最後はちゃんとできるようになっていったんです。最初はちょっとできませんでしたけど、本当にびっくりするくらい成長しました。
<島本 久仁さん>
この前、ほぼ全盲に近い子どもさんが参加してくれていたんです。ただ、こっちのここだけが1点だけ見えるらしくて、それでも一生懸命で「はい行くよ」と言うと、そこから動き出すんですよ。それでちゃんと当たるんですよ。それで、私は本当にすごいと思って、ちょっと当たるように当たるようにと思ってるんだけど、そんなことよりも本人がものすごく一生懸命で、その集中力はすごくて。だから、それはハンディとかじゃなくて、それは余計にいいものに変わるんやろ、そのハンディがいいものに変わるんやろなって思ったんです。この子はそういう障害を持っていても、絶対にいい方に行くんやろなと思ったんです。だから、ずっとテニスを続けられない子どもとか、そういう子どもたちにも、ハンディとかじゃなくて、何かいいことに変えることができたらいいなと思って、その頑張った子どもの姿を見せたかったです。本当にすごかった、びっくりしました。
マナーもプレイも全国レベルに
<仁坂知事>
そうやって皆さんがいい活動をしていただいているので、和歌山の教育にものすごくプラスになっていると思います。単に技量が向上するだけじゃなくてね、そういういい子どもさんたちをどんどん育てていくということになっていると思うんですね。最後にまた木村理事長ですね、感想と、あるいは今後の抱負などをお願いします。
<木村 順さん>
はい。和歌山県で我々は当然テニスの普及を目指していますし、いろいろそういうふうに活動してくれる選手も増やしたいというのが目標です。そういう活動の一環としてマナーキッズというのが今までずっと取り組んできたことなんですけども、今後はもう少しレベルアップも含めてですね、テニスに取り組んでいきたいと思っています。その中で、当然マナーというか、挨拶とかいろんなことが大事ですので、今、ジュニアの大会の中ででもですね、最初に開催する時に子どもたちにいろんなことを話しながら、マナーは大事ですよという話もしています。テニスは審判がいなくてセルフジャッジですので、そういう大事なところをきちんとしながら大会を進めていきたい。そして、今後、もっとそういう取組をして、マナーもプレイも全国レベルになるように、和歌山県のテニスを盛んにしていきたいというふうに思っています。
<仁坂知事>
皆さん、どうも本日はありがとうございました。







