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紀の国いきいきトーク

「紀の国いきいきトーク」は、私が県内各地に出向いて、県民の方々と気軽に話し合い、県政に対する理解を深めていただくとともに、各分野で活躍されている県民の方々の生の声を県政に反映させていくために開催するものです。ここでは、様々な分野でいきいきと活動されている皆さんとのざっくばらんな懇談の様子をご紹介します。

第17回 紀の国いきいきトーク対談内容

平成21年9月27日 JR朝来駅舎内

<仁坂知事>
 皆さん、こんにちは。大変お忙しいところお集まりいただいて、本当にありがとうございます。本日は、ざっくばらんにいろいろお話をお聞かせいただければいいかなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

参加者の皆さんから
 <山中善道さん>
 Seacaの理事長の山中善道と申します。建築の設計事務所を営んでいます。私どものクラブは、子どもを中心に、地域で子どもを育てていく環境を作っていくという趣旨で始めました。当初は地域子ども教室から始まりまして、その時にアドバイザーとして私が参加したというところから、理事長という大役を仰せつかったというわけです。

(こむぎ)充さん)>
 事務局長の充と申します。農業をしています。私は、上富田町の体育指導員もさせていただいています。以前から、総合型地域スポーツクラブのいろいろな勉強会等に出席していました。それで、Seacaの設立の時に山中理事長に声をかけていただいて、参加させていただくことになりました。

<田中大三さん>
 田中大三といいます。私はこのSeacaの常駐職員として働かせていただいています。まだ1か月目です。私も体育指導員をやっていたので、Seacaの立ち上げからずっと関わっていますが、理事長から職員としてちょっと頑張ってみないかと言われて、今、アシスタントマネージャーとして働かせていただいています。

<平岩晃さん>
 はじめまして。平岩晃と申します。本日参加させていただいているメンバーでは最年少になるかと思います。年齢は33歳になります。私も小さい頃から上富田町で剣道を教えていただきました。今は「スポーツ少年団」で剣道の指導者として頑張っております。仕事は上富田町の教育委員会で生涯学習の仕事に携わっております。

<植田芳史さん>
 植田芳史です。会計士をやっています。本日の参加者の中では、私だけが上富田町に住んでいないんですが、Seacaの顧問として、そして、内部管理体制とともに会計の方も担当させていただいております。

<中松村夫さん>
 町内で弁護士をやっております中松村夫といいます。Seacaとの関わりは、平成19年3月のNPO法人設立の前の年あたりからです。

<長井保夫さん>
 上富田町商工会長の長井保夫と申します。ここにおられる中松さんと植田さん、そして私の3人が顧問として設立の当初から関わってきているんですけど、基本的に我々顧問団というのは年齢的に見ても、ついつい、組織を作れば、頭に立ってくださいと頼まれることになりがちです。しかしそれを基本的にやめて、若い方々に活動のすべてを委ね、我々は数多くの今までの経験を活かして横からしっかりと支えていこうという思いでSeacaの活動に加わっております。
 子育ても同じです。倫理観のある子どもに育てるために、我々のような年長者が地域の中で手を貸していこうと思っています。地域で子どもを育てる環境を作っていくことは一番最初の一歩目で、最終的には、これから迎える高齢化社会にむけて、地域全体でそれぞれの体力や年齢・興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、誰とでもスポーツを楽しむことのできる環境を整えていきたいという思いで今お互いに話をしています。

<武田寿子さん>
 武田寿子と申します。地元で歯科医師をしています。私はスポーツの方は全然関係ないんですけど、健康づくりでSeacaに参画しないかというお話がありまして、それからはいろいろ口出しばっかりしにいってます。ボランティアの活動は、上富田町では町長をはじめ皆凄く頑張っています。上富田町は、合併しないでひとつの町になりました。やっぱり、この盛り上がりの中で歯医者ばっかりやっていてもあかんやろなということに気がつきました。私は、仁坂知事さんと同じくアラカンです。来年は還暦を迎えますので、ちょっとここらへんで考え方を変えてみようかなと思い、ボランティアに参画させていただいております。

<寺前裕章さん>
 Seacaでは監事を仰せつかっている寺前裕章といいます。仕事は生命、損害保険の代理店業に携わっています。私は体育指導員でもなんでもないんですが、活動の中で保険の手当てが必要だという場合に相談を受けたりしています。知っている人が一生懸命活動されている中で、私にもお手伝いできることがあればということで参加しております。

<井谷香さん>
 はじめまして。井谷香といいます。地域の子ども教室の頃から関わっておりまして、今はクラブマネージャーをさせていただいています。私はクラブハウスにいつもおりまして、電話の対応や事務を受け持っています。Seacaのクラブハウスは立ち上げ当時からJR朝来駅の駅舎の中にあります。ここはかつては無人だった駅ですが、今はSeacaとボランティアの方々とで管理しています。

Seacaの誕生
<仁坂知事>

 ありがとうございました。私がSeacaを認識しましたのは、1年半ぐらい前です。上富田町に来させてもらって、いろいろな所を訪問しました。その時に、町長さんとか議長さんとか民間の皆さんとかとお話をしたのですが、皆Seacaの話をするので、上富田町の元気の元がSeacaになっているように思えました。
 あちこち案内してもらいまして、実はこのクラブハウスへも来たんですよ。その時にいろいろなお話をうかがいました。Seacaを作った時のいわれも教えていただきましたし、JR朝来駅は若い人たちが協力してきれいになっているというお話も教えていただきました。よそではトイレの落書きがよく目立ちますが、ここでは「自分たちが清掃した所なので落書きするもんか」という思いが浸透しているというお話や、ここで電車待ちをする時に、本を読んだりしゃべったり、非常にいい雰囲気になっているというお話などもうかがいました。その他にも、以前お聞きしたので覚えているんですが、自転車類の活用についてのお話です。JR朝来駅内に置いてある自転車を、確かSeacaとボランティアの方とで管理されているということでしたが、その自転車は地域の方と熊野高校の生徒が不要になった自転車をリサイクルしたもので、誰が使ってもかまわないようになっていますよね。その話を聞いた時に、こんな町は他にはないんじゃないかなと感動を覚えました。
 それからは「よそでこんな立派なことをしている所はないぞ」と、一知半解の知識であちこちで話をしています。それで、今日はもっとSeacaのことを勉強させていただこうと思ってやってきました。そうなると、まず組織の発足の経緯について誰かにお話していただきたいと思うのですが、これはやはり理事長の山中さんにお聞きしましょう。

<山中善道さん>
 そうですね。先ほどちょっと触れましたが、地域の子ども教室というのを立ち上げた時には、町にいる約900名程度の小学生のうちの3割弱の子どもしかスポーツをしていないという実情でした。これは町の教育委員会の調査によるものですが。以前から子どもの体力が低下したとよく言われますが、子どもたちにスポーツを好きになってもらうことで体力が増していくんじゃないかと思い、地域子ども教室を立ち上げようということになりました。そして、スポーツをやっていない子どもにスポーツをやっている子どもが指導するとか、スポーツの楽しさを伝えるような場所を設けたりすればいいのではないかという意見が出ました。そこで、各スポーツ少年団の指導者の協力を得て「子どもスポーツチャレンジデー」というイベントをやりました。これは、1日でいろんなスポーツを体験できるというイベントです。その結果、スポーツをやっている子もやっていない子も合わせて約400名位の子どもが参加してくれました。その時、各スポーツ少年団の保護者の方が「こんなことをやりたかった。また参加します」と言ってくれ、それから、スポーツをする子も若干増えました。それで、これはよい傾向だなということで、次の年もやりましたし、今も継続して毎年4月に開催していまして、これに関しては効果があったという気がしています。
 そのイベントを始めた次の年ですが、総合型地域スポーツクラブ(*1)の話が出ました。地域子ども教室を総合型地域スポーツクラブとして立ち上げないかということで、平成17年の4月から準備に入りました。そこで、今のSeacaという名前をつけて活動を始めたということです。「Seaca」という名前は、「Sports(スポーツ)」、「Education(教育)」、「All(すべての)」、「Culture(文化)」、「Association(クラブ)」の頭文字をとったものです。準備期間が2年ありまして、平成19年の1月に設立総会を開いて、正式なスポーツクラブとして活動を始めたんです。もうすぐ3年になりますが、まだ、すべり出したばっかりのクラブです。皆に話をすると、そんなに若いクラブなのかとよく言われます。

(*1)総合型地域スポーツクラブ
 生涯スポーツ社会の実現を掲げて、1995年より文部科学省が実施するスポーツ振興施策のひとつで、幅広い世代の人々が、各自の興味関心・競技レベルに合わせて、様々なスポーツに触れる機会を提供する、地域密着型のスポーツクラブをいう。

指導者の葛藤
<仁坂知事>

 地域子ども教室からのスタートということですが、今でもターゲットは小学生だけなのですか。

<山中善道さん>
 やはり、小学生のスポーツ少年団が中心になってやっています。他の教室はボランティアの指導者や先生方にお願いして、また、キンボール(*2)なんかはスポーツ団体ではなく別の教室でやっています。

(*2)キンボール(KIN-BALL)
 1986年にカナダのマリオ・ドゥマースによって生み出された屋内球技。キンボールの「キン」は英語の「キネスシス(kinesthesis)」の略で「運動感覚」という意味。

<仁坂知事>
 地域には小学生だけでなく、中学生とか高校生もいますよね。そういう子どもたちが参加する教室はないのですか。

<長井保夫さん>
 今のところ、中学部はバレーボールと空手とバドミントンの教室があります。中学校にはクラブ活動としてのバレーボールなんかはあるんですが、それ以外の競技には学校に受け皿がないんです。バレーボールについてはもっと上手になりたい子どもさんを対象にして別に指導しています。

<仁坂知事>
 ということは、中学生のスポーツ活動については、ある程度は学校のクラブ活動に任せているということですね。しかし、中学生になる前に小学生の時から、少し経験をさせたり指導を受けさせたりするということですね。私が通っていた和歌山大学附属中学校は、和歌山市全域から生徒が集まって来るんですが、小学校の時は皆で野球チームなんか作って遊んでましたよ。考えてみると、今は勉強以外に何か他の活動をやっている子どもが減っていますね。そういう所に目をつけられたということは、なかなか立派なことだと思います。

<長井保夫さん>
 スポーツを指導していると、ついついアスリートを育てたいという気持ちになりますが、私たちは、インターネットやゲームをやって家にこもる子どもたちを外に出して何かをさせていきたい、人と交わる力をつけてやりたいと思います。アスリートを作っていきたいという気持ちと、いやいや、そうではなく心の教育を中心にしていくのだという気持ちとの間に葛藤がどうしても起こるんです。そこでSeacaでは、野球に例えれば、1軍、2軍、3軍制というようにアスリートを育てるグループと、初心者でも皆と一緒にそのスポーツを楽しむグループの2段構えを持っています。

<仁坂知事>
 そうすると、アスリートを育てるという部分も排除しているわけではないのですね。

<長井保夫さん>
 そうです。排除していません。子どもたちが大変自信を持っている技ですから、伸ばしてあげなければなりません。

<山中善道さん>
 Seacaでは、会員になっている子どもにメンバーズカードを渡していて、地域にある各スポーツ少年団に、この日のこの時間帯には誰が来ても、たとえ初心者でも、また、サッカーをしている子どもが野球をしに来ても、そこで練習させてもらえるようにしています。

<仁坂知事>
 それはなかなか面白いですね。私のいた中学校では、対外試合禁止だったんですよ。それはなぜかというと、その当時の考え方として、一部の者だけが猛練習して、他の者がスポーツをしないというのは不公平だ、対外試合禁止にして皆でやろうという考え方があったんです。私の入っていた軟式テニス部は、結構強かったんです。私と同じクラスに強い子がいたんですが、やはり相手がいないと励みがないんですよね。そんな中でも、集まって何とかやっていましたけどね。かといってプロ養成所になってもあんまり面白くないし。両方っていうのはなかなか難しいですよね。

小学生加入100%を目ざして
<長井保夫さん>

下手でもいいから、前向きにやってみようという子どもたちが、自ら、活動を始めようとすること、それはそれでいいんです。ところが、上富田町の小学生の加入率は今のところ約60%なんです。問題はあとの40%です。小学生全員がSeacaの会員という所まで持っていきたいんです。

<仁坂知事>
 このあたりは、事務局長であり体育指導員もなさっているさんにお聞きします。子どもを引っ張り出すには、何かコツのようなものはあるんですか。参加していない40%の子どもを外に出すと長井さんはおっしゃっていますが。

充さん>
 やはり、大きなきっかけになると思うのは、先ほど理事長が申し上げたように、地域子ども教室です。ここが、いかに子どもや保護者に働きかけていくかです。スポーツに関心のある子、入りたいけど入れないような子、例えば指導者が怖いから入れないみたいな思いを持っている子がいます。しかし、そういう壁をぶち破って、参加する子どもがだんだん増えてきました。その点については、問題もあるけれど、一番初めの設立の時に上富田町で行われている各スポーツクラブの指導者全員がSeacaの趣旨に賛同してくださいました。これは非常に大きかったのです。週に1回か2回でいいから日を決めて、自由に参加できるような制度を作ってほしいという意見がありまして、それに対して協力してくれたんです。それに参加しないクラブもあったんですが、私が所属しているクラブでは引き受けました。私たちとしては各クラブの指導者に対しては感謝しています。設立の効果は大きいと思います。

<長井保夫さん>
 まずは、ゲームなどして家の中で遊んでばかりいる子がいないようにしていきたいというのが我々の思いです。そして、次の一歩は、外に出てこない、スポーツを通して他の子どもと交わろうとしない子どもたちを、Seacaに参加してもらうようにするということです。地域の中で人間関係を作っていくことで、地域の非行防止というような、大きな効果にもつながると思うんです。

<仁坂知事>
 平岩さんは剣道の指導者ということですが、剣道なんていうと子どもたちからすると、ちょっととっつきが悪い競技ではないですか。

<平岩晃さん>
 我々も、先輩からいろいろ教わって、非常によいものだという認識はあるのですが、武道というものは一般の方にとって接する機会がないので、なかなか子ども自身に剣道は面白いよと思ってもらうのは難しいです。しかしSeacaでは、先ほど理事長がお話したスポーツチャレンジデーだとか、就学前の子ども対象のプレスポーツなどで、体験する機会を設けていただいていますので、保護者の方にそのよさを知っていただけてありがたいです。まだまだ数は少ないですが、実際に参加してくれる子どもさんも増えつつあるので、全体的に考えた時にスポーツチャレンジデーとか、プレスポーツなどはいいんじゃないかと思います。

頑張った子どもたち
<仁坂知事>

 特に、もの凄く頑張って強くなったチームがあるんですよね。和歌山でトップになったとかいう凄いチームが。

<井谷香さん>
 小学校女子バスケットボールチームが、第10回和歌山県夏季ミニバスケットボール大会で優勝しました。それと、小学生女子バレーボールチームが和歌山県小学生バレーボール男女大会に出場し優勝を成し遂げ、さらに8月に大阪府堺市で開催された近畿大会でも準優勝しました。

<仁坂知事>
 強くなった理由はどんなところにあるんですか。

<山中善道さん>
 やはり、指導者の力がだんだんついてきていることだと思います。それと、保護者の方の協力もあります。もちろん、子どもの能力もなければそこまではいけないと思います。また、ある程度施設の使用に関して、事業をする時に場所を無料で貸してもらうことができるので、町の協力もあり施設の充実もひとつの大きな要因かなとも思います。

<仁坂知事>
 体育指導員という仕事がありますね。これは、教育委員会から依頼されているわけでしょう?体育指導員をなさっておられるさんは何かの競技の専門家ですか。

充さん>
 はい。今はしてないんですが、過去には剣道の指導もしていましたし、上富田町のバレーボールチームの立ち上げの時にも参加させてもらいました。その二つぐらいであとは皆さんにお任せしています。でも、自分の子どもが少年野球に加入していることもあって、指導の難しさはよくわかります。

広がるSeacaの輪
<仁坂知事>

 Seacaができたことによって子どもたちや、子どもたちを取りまく環境に何か変化はありましたか。スポーツ以外の部分でも何か気づいたことはありますか。スポーツに全然関係ないとおっしゃる武田さんから見ていかがですか。

<武田寿子さん>
 私は、スポーツの面であまり接してないのでそれ以外の面でいいますと、やっぱり、プレスクールというように、いろんな体験をさせる機会があることで、お母さん方の横のつながりができてきています。地域が小さいでしょう。だから、例えば「○○ちゃんは何を習ってるの?」という感じで話をすると、「じゃあ、今度一緒に行こうよ」というような話になって、呼びかけというか、口コミというかそういう形で広がっているように感じます。

<仁坂知事>
 じゃあ、お母さんも変わったということですね。

<武田寿子さん>
 そうでしょうね。子どもと一緒に来る人が多いですもんね。

<仁坂知事>
 子どもの大会だったら、お父さんも、お母さんも一緒に来て見ていますね。

<武田寿子さん>
 そうそう。それに種類が多いから、「僕は野球は嫌いだけど、こっちは好き」とか、そういうふうにいろいろ見られるでしょう。熊野高校なんかもお借りするんですが、いろんな会場へ行って体験して、その中から自分の好きなものを見つけていくようなことができますよね。

拠点は駅で
<仁坂知事>

 Seacaはスポーツで、特に、小学生や就学前の子どもさんたちを対象に、地域全体で活動しているということですが、駅に拠点を置くということ、そのことがもっと幅広い何かの活動につながっているようにも感じるんです。井谷さんはクラブマネージャーとして、ここにずっとおられるとおっしゃいましたよね。この駅に常駐していることで、子どもたちにスポーツを体験させるということにどうつながっていくのですか。

<井谷香さん>
 私がここでSeacaの説明をするということが保護者の方に浸透してきているので、保護者の方から問合せが来ますね。そこで、活動に参加してもらうための勧誘もやってます。「うちの子がこんなことをしたいんですが、どうしたらいいんですか」とかいう問合せもありますし、各スポーツ少年団の説明もしますので、保護者の方にとっては、聞きたいことがある時に、どこへ聞きに行けばよいのかわからないという迷いがなくなります。

<仁坂知事>
 駅なんて一番わかりやすいですからね。

<井谷香さん>
 そうです。私も説明しやすいんです。場所はどこかと聞かれると、「朝来の駅です」と答えられますからね。その点ありがたいです。また、保護者の方にも、ここへ来れば何かを教えてもらえるというように思ってもらえます。

<長井保夫さん>
 ここを造るために、熊野高校の生徒や地域の人たちが協力してくれたのですが、ここの代わりに、例えば役場の中の一部屋にクラブハウスを置くということになると、これほどコミュニケーションがとれません。駅舎でやるから子どもたちから高齢者まであらゆる人たちの接点になっているんです。

地域と共に育つSeaca
<仁坂知事>

 駅を使えるようするための労働奉仕だとか、その他いろんな社会活動が上富田町にはありますが、その母体が全部このクラブハウスに統合されているわけでもないのですね。

<長井保夫さん>
 そうですね。財政的なことをはじめ行政的なシステムの制約もあって、町にばかり頼ることもできません。合併の話が出て町民あげての議論があってからは、自分たちのことは自分たちでしようというふうに、住民の意識が変わってきました。それからは、「よっしゃ、わかった。自分たちの町は自分たちで何とかしよう」という意識、つまり、何でもかんでも役場に言っていかずに、自分たちでできることは自分たちでしようという意識が急速に芽生え始めてきましたね。

<仁坂知事>
 そうですか。大変立派ですね。そこまでの意識が芽生える必然性があったのですね。しかし、よそでも必ずそういう意識が芽生えるかというと、そうではないですよね。

<長井保夫さん>
 そういう意識が芽生えてきた要因のひとつでもあると思いますね、このSeacaの活動というのは。

<仁坂知事>
 寺前さんは監事という立場で、全体の活動を見ておられるわけですけれども、監事はどんなお仕事をしているんですか。

<寺前裕章さん>
 指導するわけでも何でもなくて、全体的な流れの中で、決算報告の時にお金を使いすぎてないかどうかと監査をする立場です。普段は、クラブハウスに寄せていただいて、様々な行事に参加させていただいています。先ほど知事がおっしゃったように、ここではスポーツだけでなくていろんな分野の活動をしているので、こういう監事の役をやっていると、いろんな面が見えてきます。Seacaは総合型地域スポーツクラブといいながら、それだけじゃなく町の活性化の一翼を担っているんです。
 例えばチャレンジ・ザ・ウォークでは、小さい子どもが予め配布された地図に示されている町内の特定の場所を家族と一緒に探したり、クイズを解いたりしながらコースを回るということもやっています。自分の町の身近な所を知ることができます。他にも大人も参加できるものも考えているし、上富田町のマラソン大会なんかもやっていて、Seacaはボランティアで結構参加しています。そういうのがSeacaの育っていくベースになっています。なぜこうなっているのかわかりませんが、何かがこの町にあるんだなと思います。それが、今後いろんな行事を広げていく時の原動力になることを期待しています。

<仁坂知事>
 ただ、やはりこのSeacaの活動にはなにがしかのお金が要りますよね。それを誰がどうやって負担しているのですか。

<寺前裕章さん>
 もちろん会費をいただいていますが、例えば、皆でいろいろ知恵を出し合って、補助金が出る事業などをうまく活用しています。そういう意味で、経済的には結構大きなお金を使っている団体だと思います。

<仁坂知事>
 会員の皆さんが少しずつベースとして負担するということですね。子どもがいろいろな行事に参加しますね。子どもさんの参加料みたいなものもあるんですか。

<山中善道さん>
 会員さんからは、会費という形で月々500円いただくという決まりがあります。

<井谷香さん>
 先ほど山中理事長もお話しましたが、Seacaでは入会している子どもさんには会員カードを発行していて、会員である子どもさんであれば、地域にある各スポーツ少年団に、予め決めてある時間帯には誰が来ても、たとえ初心者でも、また、サッカーをしている子どもが野球をしに来ても、そこで練習させてもらえるようにしています。会費はそのカードを持っている子どもさんの保護者からいただいています。

<山中善道さん>
 月に500円ずつ会費をいただいているんですが、それと、今、寺前さんが言ったように補助金や助成金をいろんな所からいただいて、それをうまく活用しています。また、Seacaの理念を理解し、賛同してくださるいろんな企業や商店の方々から「心の協賛」という形で、例えばイベントをすれば商品を提供してもらうとか、お金で寄付をいただくとか、そういう形で援助していただくということもやっています。そしてこの「心の協賛」はクラブ紙で紹介させていただいています。このクラブ紙は、各スポーツ少年団の活動や指導者の素顔等を紹介するために、設立当初から毎月発行しているものです。現在約150の企業や商店が「心の協賛」をしてくださっています。

頑張れ裏方さん!
<仁坂知事>

 それから、アシスタントマネージャーの田中さんのように、若者の専従もいるわけですね。どういう仕事をされているんですか。

<田中大三さん>
 以前は、会社員としての仕事の合間にボランティアでイベントの企画や手伝いをしていました。

<仁坂知事>
 この際、ちゃんと正式に全部やらないかということなんですね。

<田中大三さん>
 はい。私の仕事は全般的な事務の仕事になってくるんですが。

<仁坂知事>
 しかし、資料を見てみますと、先ほどからお話が出ている子どもスポーツチャレンジデーやプレスポーツの他、音楽隊とマーチングバンドの合同コンサートやアウトドア体験等、イベントだけでももの凄くたくさんあって、結構、田中さんの仕事って量が多いんじゃないですか?

<田中大三さん>
 まだ1か月目なので、ちょっとずつ覚えながらやっているところです。でも、仕事量はたくさんあります。今までは、クラブマネージャーの井谷さん一人でやっていたのですが、事務量も増えて、一人では処理しきれなくなってきたので、もう一人必要ということで来させてもらうことになったんです。

微笑で睨みをきかす
<仁坂知事>

 公認会計士や弁護士というご職業の方がいらっしゃいますが、法律問題だとか会計問題だとかそういうこともやっぱりあるんでしょうねえ。

<中松村夫>
 私は弁護士ですので、法務関係、特にスポーツ関係のことで、もし事故なんかが起こった場合の、または起こらないようにするためのお手伝いができればなあということで協力させてもらってますが、知事が今おっしゃったような問題は今のところは何もないです。

<仁坂知事>
 ないということはいいことです。

<山中善道さん>
 ただ、他の地域を見ますと、暴力事件だとか、指導の仕方についての保護者の方とのトラブルだとかはかなりあると思っています。他府県のことですが、以前サッカーの試合中に落雷に遭うという事故が起きまして、昨年その判決が出ましたが、もし、同じようなことが起きた場合の指導者の判断、例えば、ここでやめるとか続けるとかいうような難しい判断をせざるを得ない時もありますから、そんな時にはどうしたらいいか、また、問題が起きた時にどう対処したらいいのか、それには事前にどうしたらいいのかということを、指導者研修会という形で直接指導してもらっています。

<長井保夫さん>
 お金に関する部分は、公認会計士である植田さんに指導していただいています。NPO法人のお金に関する部分を公正にして、皆さんにいつでも公表できる体制をとっておかないといかんと思いまして、植田さんにそういう面のアドバイスをしていただいております。

<植田芳史さん>
 私は、以前から顧問の長井さんとお付き合いさせていただいておりまして、Seacaのことを教わりました。そして、ボランティアで見てくれと頼まれました。ボランティアを強調されました。長井さんからSeacaの趣旨を聞いて、私自身、非常によい組織というか考え方だと思いした。そして、こういう組織は上富田町だからこそできるのかなあと思いました。田辺市ではちょっと難しいんじゃないかなあとか思ったりするんです。なかなかうらやましいなあと思っています。いろいろ文句ばっかり言うので、嫌われているのではないか心配しております。

<仁坂知事>
 問題が発生しないように、顧問の皆さんはそれぞれご専門の分野から、睨みじゃなくて微笑みで見守っていただいているということですね。

<長井保夫さん>
 植田さんはうちの財務大臣ですからね。Seacaには法務大臣、財務大臣それから健康づくりで力を発揮してくれている厚生大臣も皆揃っているんですよ。危機管理体制をしっかり整えて、Seacaを支えようという感じですね。

<仁坂知事>
 こうして見ると、本当に役者が揃っていますね。段階的に少しずつ若い人もいらっしゃるし。

<長井保夫さん>
 だから言ったんですよね。「55歳で定年だぞ!」って。でも、皆、見かけは若いから、「まあ、60歳でもいいか」とか。とにかく、60歳を超えると皆、後ろに回って、次の世代、そのまた次の世代に役を持ってもらって後継者を育てていこうとしています。町長がいつも言ってることですが「地域づくりは人づくり」です。その基本はまず、手の届くところから始めることですね。

Seacaの夢
<仁坂知事>

 子どもを育てながら自分たちも育っていこうということですね。経験豊富な方々がおられて、非常に結構であると思います。子どもをどう育てるかということは大変難しいんですが、スポーツをやっていることのひとつの意味は、もちろん体力もそうですが、規律とか人間関係とかね、そういうのをきちんと身につけるという、非常にいい仕組みだと思いますね。やっぱり、みんなでやるゲームって多いですもんね。その時に、人との関わり方がわからないままで大きくなってしまうと、どこかで問題が起きますよね。それは何もスポーツじゃなくてもいいとは思います。一緒に勉強するとか、そういうものでもいいとは思うのですが、スポーツが一番わかりやすいですよね。いろいろ、お話は尽きないんですけれども、最後に理事長、将来の夢は何でしょうか。

<山中善道さん>
 「いつでも」、「どこでも」、「誰とでも」というのが総合型地域スポーツクラブの趣旨になっているんですが、今のところは子どもが中心です。これからは、この「誰とでも」という部分を広げていきたいと思います。

<仁坂知事>
 「誰とでも」ということは子どもでなくてもよいということですか。ということは、高齢者まで。

<山中善道さん>
 はいそうです。小さい子から高齢者までということを、最終的にはやりたいと思っています。それともう一つ、事業を行って、自分のところで運営できる組織作りということを考えないと、運営自体がものすごく辛くなります。だから、その辺のことを考えながら、事業を作っていきたいなと考えています。

<仁坂知事>
 まったく、特に後半は同感ですね。 和歌山はいろんなお祭りとか文化とかがあるんですが、町のパトロンというか、そういう方が各地におられた所なので、過度に頼ってきたところがあります。今はそれが難しくなってきましてね。花火大会などはだんだん装置も立派になってくるし。かといって行政に頼られても、財政的に支援する余裕もない。そうすると、どうやって事業を成り立たせるかということを考えておかないと長続きできなくてしょぼくれてしまう。それよりはやっぱり理事長のおっしゃるように、事業としてちゃんと回っていくようにして、組織を存続させていくというようなことを、これから考えていただいたらいいなあと思いますね。さすが立派なSeacaですから、先のことも読んで考えておられるようですね。まだまだ、理事長を替わってもらうわけにはいきませんね。今日はどうもありがとうございました。

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