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ホーム > ようこそ知事室へ > 紀の国いきいきトーク > 第11回 紀の国いきいきトーク対談内容

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紀の国いきいきトーク

「紀の国いきいきトーク」は、私が県内各地に出向いて、県民の方々と気軽に話し合い、県政に対する理解を深めていただくとともに、各分野で活躍されている県民の方々の生の声を県政に反映させていくために開催するものです。ここでは、様々な分野でいきいきと活動されている皆さんとのざっくばらんな懇談の様子をご紹介します。

第11回 紀の国いきいきトーク対談内容

平成19年10月29日 古座川町

<仁坂知事>
 どうも皆さん、本日はお忙しいところありがとうございます。私は公式訪問という形では初めてですが、実はこちらに来るのは4回目です。近くにある北海道大学(の和歌山研究林)にお世話になったり、趣味でおじゃましたりしたことがあります。これまで3回も来て仁義をきって皆さんに「こんにちは」と言わないで、素通りばっかりしてたのでは罰があたるなと思いまして早く行きたいなと思ってたんです。古座川自身も公式訪問をしたいなと思ってたんですが、たまたまこの機会があり、かつ本年度の農林水産祭むらづくり部門で、ものすごく偉い内閣総理大臣賞を受賞されたということで、これを励ましに行かないでどうしようかと思いまして、来させてもらいました。
 本日は言いたいことをどんどん喋っていただいて、私も言いたいことを言わせてもらいます。
 それと、今日は少し人数が多いので、いつもだと全員に喋ってもらうように努力するんですが、無理かもしれません。したがってできるだけ積極的に喋っていただけたらと思います。
 それでは、自己紹介の方をお願いします。

<新谷さん>
 農事組合法人古座川ゆず平井の里の代表理事をしています新谷稜助です。よろしくお願いします。

<倉岡さん>
 総務営業部で皆さんのお世話係をしている倉岡有美です。よろしくお願いします。

<大西さん>
 大西佐登里と申します。営業事務を担当しておりまして、電話での注文を受けて伝票を作成したりしております。よろしくお願いします。

<寺本さん>
 総務部の寺本です。よろしくお願いします。

<上地さん>
 加工部の上地美香です。よろしくお願いします。

<谷井さん>
 加工部の谷井と申します。婦人部時代から参加して15年程になる古株です。今年は何年ぶりかで「ゆず娘新聞」を担当することになりました。

<前田(春)さん>
 総務部で販売の方を担当しています前田春奈です。よろしくお願いします・

<前田(啓)さん>
 ゆず園の管理をしています前田啓太です。よろしくお願いします。

<前田(利)さん>
 加工部の責任者をしています前田利枝子です。よろしくお願いします。

<山本さん>
 総務営業部で、週2回の配達と発送の方を担当しています山本真由です。

<下坂さん>
 下坂です。配達やイベントでの対面販売、営業などを担当させていただいています。

<前田(香)さん>
 婦人部の頃から、ゆず製品の開発などを担当してます前田香珠代です。よろしくお願いします。

<前田(卓)さん>
 ゆずの里の監事をしています前田卓治です。よろしくお願いします。

<植田さん>
 植田と申します・・・

<松林さん>
 理事の松林です。

<知事>
 植田さん、何か忘れたことないですか?(笑い) 何か言おうかなと思ったら先に松林さんにビシッときめられて。はい、どうぞ。

<岩本さん>
 理事の岩本です。よろしくお願いします。

<垣内(寿)さん>
 理事の垣内です。よろしくお願いします。

<垣内(み)さん>
 仕出しとお味噌などを作っています。垣内です。

<前田(英)さん>
 監事の前田です。よろしくお願いします。

<前田(ま)さん>
 平井の里の味噌づくりと仕出しの方をやらせていただいています前田まゆみです。

<小西さん>
 理事の小西です。隣の北大(和歌山研究林)に勤めています。よろしくお願いします。

<久保田さん>
 理事の久保田です。右の方に同じく北大和歌山研究林に勤めています。

<知事>
 この間から荒らしに行きました(笑い)。

<松林さん>
 理事の松林茂子と申します。以前保母をしていて仕事はもう辞めているんですが、現在ゆず栽培の方をしています。

<三宅さん>
 平井の里の三宅美和です。配送の方を担当しています。

<羽山さん>
 平井の区長をしています羽山です。よろしくお願いします。

<知事>
 ありがとうございました。この後パワーポイントで説明いただけるということですね。それじゃよろしくお願いします。

 ~以下、新谷さんからパワーポイントによる説明がありました。~

古座川ゆず平井の里

古座川ゆず平井の里

 古座川町の山間地で「ゆずによる地域の活性化」に取り組んでいる「古座川ゆず平井の里」のむらづくりをご紹介します。古座川町は紀伊半島の南部にあります。本州最南端の駅、紀勢線、串本駅から車で約1時間ぐらいかかります。

平井集落

平井集落

 平井集落の風景です。かつて林業が盛んで小学生が100人を超えた時代もありましたが、昭和30年代から林業が衰退し過疎化が急速に進みました。現在は、総戸数は83戸、人口156人の小さな集落です。古座川町の中で最もゆず栽培が盛んな地域です。
  平井集落におけるむらづくりの経緯について簡単に紹介します。
 [1]昭和30年代後半林業に衰退の兆しが見え始め、昔から平井集落の各家庭の庭先で栽培されていた「ゆず」に着目し、2戸の農家によりゆずの栽培が始まります。
 [2]昭和40年代には他の農家にも波及し、栽培面積が拡大しました。
 [3]昭和51年には「古座川柚子生産組合」が結成され、各農家で搾汁・瓶詰めしたゆず果汁を生産組合を通して販売するようになります。
 [4]しかし、年々収穫量が多くなり各農家での搾汁では限界となったため、昭和57年から搾汁・販売事業を農協に委託しました。
 [5]搾汁加工場の稼働に伴い、皮やしぼりかすが大量に出るようになり、これを利用するため平井集落のゆず栽培農家の女性が加工に取り組むようになり、昭和60年、20人でゆずの加工を自分たちの仕事として取り組む「古座川ゆず平井婦人部」を結成しました。
 [6]順調にみえたゆず栽培も昭和62年に価格が暴落。
 [7]平成8年にはゆずは大不作になり、以降取引先が激減したことで果実、果汁の販売不振が続くようになります。
 [8]平成10年度に平井集落において味噌づくりや郷土料理の伝承活動を行っていた平井生活改善友の会が区会の要請を受け、仕出し事業を開始しました。
 [9]平成11年、ゆず産業の不振が続く中、「過疎を少しでも止めよう。若者が定住し、生活できる産業づくりに取り組もう。」と「柚子産業振興と過疎を考える会」が結成されました。
 [10]少しでも手数料、経費を減らし、低迷する買取価格を上げるため、農協に委託していた搾汁・販売事業を「古座川柚子生産組合」が行うようになります。

里づくり研修会を開催

里づくり研修会を開催

 平成15年5月、柚子産業振興と過疎を考える会が「里づくり呼びかけ人」となり、近隣の田辺市の上秋津地区むらづくり代表者を講師に招き、「里づくり研修会」を開催しました。それを契機に「新たなむらづくり組織の設立準備会」を立ち上げ、平成15年7月から半年の間に20数回に及ぶ打ち合わせなどを重ねて、「生産組合」と「平井婦人部」、「生活改善友の会」、「考える会」の4団体が母体となって「古座川ゆず平井の里」を設立することになりました。

古座川ゆず平井の里設立

古座川ゆず平井の里設立

 平井集落の総戸数83戸のうち農業従事者である62人が出資者となり、平成16年4月農事組合法人「古座川ゆず平井の里」を設立しました。
  これまでは「古座川柚子生産組合」が生産、搾汁及びゆず果汁販売を、「古座川ゆず平井婦人部」が加工、加工品販売をそれぞれ行っていましたが、「古座川ゆず平井の里」設立後は、ゆず生産の一部と、搾汁、加工品作りを「平井の里」が行う様になりました。「古座川ゆず平井婦人部」は加工部に、「平井生活改善友の会」は料理部に、「生産組合」は農業生産部に、また、新たに体験交流を行う部署として体験交流部が追加されました。「古座川柚子生産組合」の行っていた施設での搾汁作業は「古座川ゆず平井の里」が引き継ぎました。

活動拠点施設の完成

活動拠点施設の完成

 平成17年3月、新山村振興事業を活用して活動拠点となる新たな加工施設が完成しました。

総務営業部

総務営業部

 総務営業部です。
  商品企画、販路開拓などの他に、平井の里の情報紙「ゆず娘新聞」の発行など広報活動も行っております。

加工部

加工部

 加工部です。
  衛生管理面でも充実した施設となっています。シャーベットを製造しているところです。加工部ではまた、副原料の大根を一次加工しております。主原料のゆずはもちろん、副原料として使用する大根、ヨモギ、芋づる、こんにゃく芋などの栽培は集落内をはじめ地域の高齢者の方々に活躍していただいております。

料理部

料理部

 料理部です。
  地域の食材、地域に伝わる料理にこだわった仕出し料理や弁当の注文は集落内だけでなく古座川町内へ広がりを見せています。また、郷土料理の伝承活動や動けなくなった老人達にかわっての、みそづくり、もちづくりも行っています。

体験交流部

体験交流部

 体験交流部です。
  ゆずこんにゃくづくり体験や大学生のゆず収穫体験、小中学校の社会見学、高校生の職業体験実習の受け入れなども行っています。多くの人がゆず栽培に興味をもってくれることを願っています。

農業生産部

農業生産部

 「古座川ゆず平井の里」では、高齢で作業が困難となったゆず栽培者の作業受託を行ってきました。
  19年度からは、作業受託でなく、直接ゆず園を借り受けて、栽培しています。若い従業員がベテラン組合員に指導を仰ぎながら栽培技術を身に付けています。今後は平井の里が自ら地域の担い手として、遊休農地化防止や栽培面積の拡大など、さらなる取り組みを実施して行きます。

園芸部

園芸部

 園芸部です。
  集落のほとんどの人が学び、遊んだシンボル的存在の平井分校。その校舎や校庭をいつまでも大切にしたいという思いから、平井の里では建物の補修や庭の整備を続けています。また、学校だけでなく集落の景観作りにも取り組んでいます。
 「古座川ゆず平井の里」は、平井集落の農業者で組織された農事組合法人でしたが、今年度から古座川町全体のゆず栽培農家も加入できるようになり、平井のむらづくりは町全体に拡大することとなりました。生産・加工・販売を一元化することにより、事業の統合・効率化を図り、収益の増加を実現。その収益をゆず買取価格に還元することにより農家の安定的生産につなげていきます。

通信販売

通信販売

 最初は、平井集落出身者による口コミ販売から始まった加工品販売事業は通信販売やネット販売などへと拡がりを見せています。
  また量販店やデパートでも販売されています。販売店舗を限定して付加価値を高める工夫をしています。

商品

商品

 商品の一例です。
  「古座川ゆず平井婦人部」時代から引き継いだ商品に、更に開発研究を行い、たくさんの新商品が生まれています。外食産業からの委託加工など、多様な流通も確保しています。ゆずの加工量も平成11年度20tでしたが、平成18年度には143tとなり、販売額も1億円を超えるようになりました。

ひまわり保育所の子供たち

ひまわり保育所の子供たち

 「古座川ゆず平井の里」スタッフの子供達が通う保育所です。2人で始まった保育所も今では6人の子供たちが通っています。常勤従業員30代以下の多くがUターンIターン組で、平井地区及び周辺地域に定住しています。働く場所があれば若者の定住化が進みます。

古座川ゆず平井の里

古座川ゆず平井の里

 私たちは平井集落の美しい川、緑豊かな山々、昔ながらの山里のすばらしい景観を後世に残し、地域の若者が少しでも地元に残って生活ができるような産業を育てたいとの思いから、むらづくりに取り組んできました。平井集落の明るい未来に向けて一層がんばって行きたいと思っています。

<知事>
 ありがとうございました。設立に至った経緯を教えてくださいと言おうと思ってたんですが、全部教えてくれました。それで、今のご説明によると初期の頃の立ち上げにはかなり女性の方が尽力されてますね。平井婦人部の方が、ゆずの皮とかカスとかを利用して加工品を作らないかんなということで始められたということですが、この点どなたかもう少しご説明いただけますか。

<植田さん>
 私は農協に勤めておりましたので、婦人部の当初から会計の方を預かりました。平成5年まで勤めながら、婦人部の仕事もさせていただきました。
 それから退職後、作業にも加わって(婦人部の)仕事をさせていただいています。

<知事>
 その時にですね、ゆずの皮とかが捨てられていてもったいないなと思われたりしたと思うんですが。

<植田さん>
 当時は、あちらこちらにゆずの絞ったカスが積んであって、もったいないからということで
 「なんとかならんかな」ということで、20名からの婦人部の人が家から道具を持ってきて、外に釜をおいて薪でたいて、一番最初にマーマレードをつくりました。
 昼はゆずの栽培があるので、夜の仕事ととして皆が奉仕でやっていました。

<知事>
 すぐ売れましたか?

<植田さん>
 「これどうして販売しようか」ということで考えたんですが、初めは親戚の人から手分けして送り出しました。

<知事>
 なるほど。皆さんの親戚の人にいいの作ったぞということで。

<植田さん>
 それから始めたんですがぼつぼつと注文が入りまして、その次に濃縮ジュースを作ったんです。それは、部員の人が「ちょっと家で作ってみたらこんなのができた」と言うてくれまして。

<知事>
 濃縮というのは、これ本当に濃縮してるんですか?絞ったやつを瓶に入れただけですか?

<植田さん>
 氷砂糖とか入れて加工しています。

<知事>
 味をつけてということですね。

<植田さん>
 そうです。氷砂糖とか色々入れてお水で割って作ります。

<知事>
 なるほど。(ゆずジュースの)「柚香ちゃん」のもとみたいなもんですね。

<植田さん>
 はい。それから(県の)農業改良普及所の普及員の方にも熱心にご指導いただいて、色んな製品ができたんです。

<知事>
 県庁の振興局もちゃんと役に立ちましたね。

<植田さん>
 振興局の西さんには、当初から懸命のご指導をいただいたおかげです。

<知事>
 それはほめてもらって本当にうれしいです。こういう話を聞いていると成功物語ってあちこちにありますよね。例えば、Iターンを積極的に迎え入れて色んな人が来てくれている所とか、観光で頑張っている所とか色んな地域があるんですが、(共通点としては)誰かが死にものぐるいになって一所懸命尽くしている人があるところが多いですね。役場の人とかね。同じことをずーっとやって、村の方と一所懸命に協力して構想を成功に導いたんですね。頭が下がります。

<植田さん>
 念願の加工場を作ってもらっている時は、町長が日曜日に来てくれて、セメントを練ってくれました。たいへんお世話になりました。

<知事>
 町長さん自らセメントを練ってくれたんですか。立派ですね。

<植田さん>
 今でもよう忘れません。

<知事>
 こういうと生意気なようですが、ブランドのイメージとか包装の感じとかがものすごく受けそうないい趣味だなと思いますね。

<植田さん>
 一番最初の「柚香ちゃん」のラベルは谷井さんが・・・

<谷井さん>
 間に合わせでしてくれと言われて、急きょ絵を描いて作ったんですが。

<知事>
 すると谷井さんがデザインされたんですか?

<植田さん>
 もう一つ前の「柚香ちゃん」です。

<知事>
 一つ前ですね。こういうのって味も良くて中身も良くないといけないんだけれど、パッと見た時に「これおいしそうだな」って思うかどうかがだいぶ大きいですよね。

<前田(香)さん>
 グリーンを全体的に使っているのは、運動会等では、平井は昔からグリーンの鉢巻きやったんです。平井の色といったらグリーンだったんです。それでグリーンを使っています。

<知事>
 ちゃんと土地の色を使ってやってるんですね。ものすごく凝っていますね。
 それで、先ほどの説明では組織が発展する段階で、農協に生産なんかを委託していたのを農業法人に全部吸収して一つの組織を作ったということですが、これはどういう意味があったんですか?

<久保田さん>
 平成14年までは農協が集荷して搾汁も行い販売もやっていました。その頃に農家からの買い取り価格がものすごく下がったんです。これではゆず農家はやっていけないということで、(木を)切ってしまおうかということで、実際に切ってしまった木もありました。これではいけないということで、なんとか生産者が搾汁をやったらということで、この点でも先ほど話が出ていました普及所の方がものすごく応援してくれました。金額的に言いますと、農協の買い取り価格がkgあたり50円だったのが、「あなた達でやったらkgあたり100円で買い上げられても絶対に損はせえへんよ」と机上計算でしたけれども言われたんです。
 それじゃやってみましょうかと始めたところ、なかなか苦労もありましたけれど成功しまして農家の皆さんにも喜んでもらいました。
 それから2年間生産組合が搾汁をやったんですが、自分の所もゆず取らなあかんし忙しいので、生産組合でやるのは無理かなということで、現在の平井の里に委譲する形になったんです。

<知事>
 少し専門的になるんですが、農協に出したらkg50円くらいで、自分たちで搾汁までしたらkg100円くらいにまでなるというのは、どういうところで変わってくるんですか?

<久保田さん>
 ちょっと言いにくいところもあるんですが、農協さんの販路自体が狭まっているというか、ゆずの供給がだぶついているみたいな部分が・・・

<知事>
 農協さんは生のままマーケットに出すわけですね。そうでもないんですか?

<久保田さん>
 ほとんどが搾汁して出します。

<知事>
 そうですか、販路の点で直接売った方が可能性があったというわけですか。

<久保田さん>
 主な販路は、生産組合が搾汁したものを平井婦人部の方に買っていただいたんです。

<知事>
 婦人部の方にですか?加工品を作るのにそれの方が良かろうということですね。
 先ほども工場を見せていただきましたけど、県の補助金、国の補助金などもつぎ込んでやっていただいているわけですが、ああいうふうに成功しているプロジェクトを見ると楽しくなりますね。
 助成をつぎ込んだんだけどダメでしたというのはがっくりきますけどね。
 これはひとえに皆さんがゆずを活かして頑張るぞと取り組んでいただいた結果だと思います。
 それから料理部というのがありますけど、これはまた発想が違うんですか?これはゆずというよりも色んなものを入れたお弁当といった感じなんですか?

<前田(ま)さん>
 はい。生活改善で平井友の会というのがあったんです。その中で料理とかこんにゃくづくりとかをやってたんです。(先ほどの話のように4つの組織が)合併して料理部ができたんです。村の中で法事とかの時に、以前は5,000円くらいの折りを古座とか串本から取ってたんですが、段々と老齢化してくる中で、みんな年金暮らしやのに5,000円もという話になって、3,000円なら古座、串本の仕出し屋さんの勘定に合わんからみんなで作ろうかという話になって。

<知事>
 初めは仕入れてたのを自分たちで作るようになったということですが、ものすごくたくさんのお弁当みたいなのがあって、どこかにどっと出しているんですか?

<前田(ま)さん>
 大体が法事の時とかの注文です。

<知事>
 なるほど。この辺でお使いになるものなんですか。

<前田(ま)さん>
 はい。たまに隣村の祭りの時なんかに注文があります。できるだけ地元のものを手作りで一から作るんで時間はかかるんですが。

<知事>
 先ほどお昼に「うずみ御膳」(平井地区の伝統的料理)をいただきましたけど、ここでお作りになるものはああいうふうに特色のあるものなんですか?

<前田(ま)さん>
 伝承料理とか入れまして、季節のものとかも加えて。

<知事>
 お刺身とかは入ってないんですか?

<前田(ま)さん>
 必要な時は入れます。

<知事>
 色んなものが入っているんですね。お魚なんかは串本辺りから仕入れてくるんですね。

<新谷さん>
 主に土地のものを使ってやってますが、魚類はお店で買います。

<知事>
 料理では、この辺の自慢というのはゆず以外でどんなものがありますか?

<前田(ま)さん>
 今日の「うずみ御膳」にもついてましたけど、昔からよくつくるこんにゃくもそうです。

<知事>
 こちらはこんにゃくもたくさん取れるんですか?こんにゃくも大量生産品は、中には柔らかいのもあるけど、地方の特産品でなんかぎしぎしするような歯ごたえのあるのもありますね。

<前田(ま)さん>
 凝固剤に灰アクを使いますので、その量とか質によって固くなったり柔らかくなったりするんです。

<知事>
 そういうことですか。自分で作っておられるとそこら辺はばっちりわかりますね。

<前田(ま)さん>
 平井の里で商品として出しているこんにゃくはいつも同じ感じででき上がるようにしてます。

<倉岡さん>
 こちらのは、残念ながら生芋のこんにゃくではないんですが、ゆずの皮を練り込んであります。群馬県から製粉(原料)を仕入れて、ゆずの皮を入れることでお客さんに楽しんでいただいています。

<知事>
 そういうことですか。これだけ色んなものを作っておられるのは立派だなと思いますね。
 先ほど代表理事さんとお話したんですが、付加価値をどこでどういう形で取るかがこれからすべてのビジネスでものすごく大事だと思うんですね。ゆずを一所懸命に作って、こんな綺麗なゆずになるんですが、そのまま出荷するだけならどこかでマージンを取られてあまり雇用に結びつかない状態ですね。
 そういう意味では、これだけセンスの良いものを全部こちらで作られているというのは大変なことだと思いますね。うまくいってくると、今日は若い方もたくさんいらっしゃいますが、なんか楽しくなりますよね。
 この中で、一番若い方は前田(啓)さんですね。前田さんはどういうきっかけで今のお仕事に就いておられますか?

<前田(啓)さん>
 ここに入る前は新宮の方で働いていました。お母さんから「今、ゆずが盛んで忙しくなるから帰ってこい」みたいなことを言われて、それで帰ってきました。

<知事>
 前田さんところなんかは「帰ってこい」と言われて、帰ってくる先があるから帰りたい人は帰ればいいわけですが、よく聞くのは帰ってきて欲しいんだけれども帰ってきても働いてもらう所がないというのが多いですね。そういう意味ではこういう受け皿があるというのは、立派なことだと思いますよね。働く場所、受け皿を作るというのが県政の最重要目標です。最も難しい目標でもありますが。
 新宮と比べるとどうですか?我が故郷の平井は?

<前田(啓)さん>
 こっちで働ける方が楽しいです。

<知事>
 ちなみに新宮ではどんなお仕事をされてたんですか?

<前田(啓)さん>
 車の部品づくりです。

<知事>
 そうですか。これからこの辺の機械が壊れたとかね、そういう時には新宮での経験がきっと役に立ちますよね。
 先ほどお聞きしたら注文に生産が間に合わないというようなお話をお聞きしました。これは、うれしい悲鳴だと思うんですがどうやってやっていくんですかね。

<新谷さん>
 そうですね、付加価値をつけるのと同時に加工販売を伸ばさないとと考えています。原料でも売れますし、果汁でも結構売れるんですけどそれだけでは十分ではありませんので、加工して中で働く場所の規模を伸ばしていきたいなと考えています。

<知事>
 そうすると加工の所は大きくできるかもしれませんが、原料であるゆずの生産が間に合わないかもしれませんね。これはどうしますか?

<新谷さん>
 今古座川町全体で、100トンから200トン位出てるはずなんですね。そのうち平井の里にきているのが65%位だと思います。

<知事>
 他の所にも行ってるんですね。

<新谷さん>
 そうです。それで生産量をもう少し増やさないと足らない。ところが高齢化に伴って農家も大変な状態なんですよ。今まで働き手のない所とか、(作業に)困っている所の作業受託でやってたんですけど、今度は平井の里が農地を譲り受けて直営で経営するようになったんです。

<知事>
 それは平井でですか?それとも古座川の他の所でですか?

<新谷さん>
 平井でです。これは今始まったところで、60アールで約500本位のゆずの木があります。

<知事>
 そうすると跡継ぎの方が帰ってきてくれなくて、ゆずの栽培を止めようかという所を法人で引き取るわけですね。

<新谷さん>
 そうしていかないと、利用しなくなったのをそのままおいておくと廃園になってしまったり、伐採してしまったりということですよね。せっかく大きくなった木の所がそういう状態になってしまうのは忍びないんで、話し合いさえつけばこちらで譲り受けて維持していこうということです。
 それでも今の栽培面積にすると、古座川町全体で14ヘクタール、そのうち平井地区が7ヘクタール位です。今のところ農地としてのゆとりがあまりないんです。

<知事>
 この辺は斜面がきついから特になさそうな感じがしますね。

<新谷さん>
 はい。小さい段々畑を利用して、昔水田だった所も含めてやっている、今限界の状態なんです。だから農地を拡大するというのは期待薄なんです。

<知事>
 平井以外の所だと、まだちょっとあるんじゃないですか?

<新谷さん>
 休耕田なんかで目につく所もちょっとありまして、古座川町の産業振興課で調査もしてくれているんです。借り受けてゆずを植えられないかということなんですが、長年作物を植えるんだったら貸してくれないとかですね、そういった所が多いんですね。

<知事>  気分として何か取られてしまうような気がするんですかね。

<新谷さん>
 休耕田のままで草が生えて灌木が生えてきても、水田は水田として置いておきたいんですかね。

<知事>
 そういう気持ちですか。

<新谷さん>
 そうじゃないかと思います。なかなか借り受けるのもままならないということなんです。ですから、今一番課題なんですけど、林地を農地に変えていくとかいうことをしないと増えていかないということです。

<知事>
 林地だとこの辺にもありますね。

<新谷さん>
 あります。ありますし、山の中には昔田んぼだった所があるんです。それが段々と過疎になってきて耕作を放棄された所が、農地のままで杉、檜林になってる所があるんです。

<知事>
 ありますね。棚田の上に杉や檜がにょきにょき生えている所がいっぱいありますね。

<新谷さん>
 はい、そういう所をもう1回農地に返すことができないのかなと思ってるんです。でもそれは林業施策も絡まないとできないと思うんです。

<知事>
 農地であった所だから、杉、檜を切ってゆずを植えてもいいんでしょう。

<新谷さん>
 いいとは思うんですが、地権者もたくさんあってそれぞれの考えもあるでしょうから。でもそういう所までいかないと農地が増えてこない。それに、杉、檜の林になって30年経ってますから結構太い木になってます。それを切って出してきても、今は林業が衰退して赤字になってしまう時代です。このことと一緒になって考えないと難しいんです。

<知事>
 しかし、少なくとも条件の一つはあるような気がしますね。ゆずが結構流行っている、そうすると注文はまだこれ以上くる。また、ゆずをやるということでみんなが力を合わせているから、一つの家で後継者がなくとも、全体としてはあるかもしれない。そうするとゆずをもうちょっと作っても十分はけるという計算がたちますよね。

<新谷さん>
 ですから今のゆず園をそれ以下にならないように現状維持をしていかないといけないし、困った所のものを引き受けていくとかですね、それと耕作地をもうちょっと増やさないと絶対量が増えませんから、現況は山だけれども元の農地に変えられないかということです。

<知事>
 せっかくこれだけ立派なものを作っておられるし、立派なセンスもあるからもうちょっと稼働率を上げることもできるような気がしますね。販売の担当の方は大変でしょうけれど。

<新谷さん>
 加工場も今の規模でしたらちょうど良い具合なんですけど、原料が増えてきますと・・・

<知事>
 もうそろそろ容量がいっぱいですか?

<新谷さん>
 今のところは大丈夫ですが、そこまで増やしていかないと人も増えてこないですから。

<知事>
 平井という所は、そういうことを考えることができる非常に珍しい所だと思いますね。他所へ行くとそういうことを考える目途もなかなかたってないわけですね。例えば農地で作ってしまっても「売れるかな?」というところからまず考えないといけないわけですから。もっともっと大変ですよね。そういう意味で、ここは一つのモデルになりそうな気がしますね。それで、内閣総理大臣賞をおもらいになったんじゃないかと思いますね。

<新谷さん>
 こちらのゆずは50年の歴史があるわけなんですね。昭和30年代に2人の先輩が始めて、
 40年代になってどんどん拡がっていって、栽培農家が増えていった状況です。今はもう高齢化が進んで、生産農家に「もう少したくさん作ってよ」というのが、無理な状況なんです。それと人を増やすためには、栽培面積を増やして平井の里ででもそれを経営して、雇用を増やしていくしかないかなと考えています。

<知事>
 なるほど分かりました。少し話は飛ぶんですが、Uターンの寺本さん。システムエンジニアをやっておられた。これは時代の最先端みたいなものですね。

<寺本さん>
 そうですね。

<知事>
 仕事はどちらで?

<寺本さん>
 ほとんど東京です。

<知事>
 ずっと東京で働いておられた?

<寺本さん>
 はい。

<知事>
 最近帰ってこられた?

<寺本さん>
 帰ってきて、まる4年になります。

<知事>
 それからずっとこちらで?

<寺本さん>
 はい。

<知事>
 どうですか?

<寺本さん>
 18歳までこちらに住んでいて、それから外で暮らしていたので、帰ってきてあらためて思ったのは自然とつきあいながら暮らすのは大変なんだなと。東京とかで住んでしまうと感じてなかったんですが。特に農家の人は大変だなと。ちょっとしたことで自然に振り回されて。

<知事>
 そうですね。雨が降らなかったら降らないで困るし、降ったら降ったで困るしね。私は最近農産物を売り出す政策に特に力を入れていましてね。柿のトップセールスをやったんですよ。今年はいつまでも暑いので色がなかなか赤くならないんですけどね、いつまでたっても青いんですけど。でも、夏暑かったから甘みが増えたわけで、ものすごくおいしいんですよ。それで、ミカンもおいしいらしいんですけどね。水が少なかったから小粒になっちゃってね。
 ところで、ゆずというのは、育て方にどんな特色があるのですか。どんな所に植えるのが良いんですか?

<前田(英)さん>
 平地が良いです。

<知事>
 水はけが良い所が良いんですか、湿っている所が良いんですか?

<前田(英)さん>
 水はけが良い所が良いです。野菜作っても難しいけど、ゆずも結構難しい。

<新谷さん>
 大体は水はけの良い所が良いと言われていますね。このあたりは段々畑で行っていますが。
 水田なんかへ植えるんだと床をつくって水を溜めるようにしていますから、この床に穴をあけてやらないといけないんです。そういうことで水田を貸してくれにくいということもあります。

<知事>
 Iターンで来られた方もいらっしゃいましたね。大西さんはどちらからいらしたのですか?

<大西さん>
 10年前に大阪から来ました。

<知事>
 どんなきっかけだったんですか?

<大西さん>
 きっかけは主人が急にっていうか、自分の中では温めていたのかも知れないんですけども、「田舎暮らしがしたい」と。「どこの田舎へ行くの?」って話になったら、「山も、川も、海もある和歌山だ」と。「和歌山だったら大阪から車で移動できるし、離れた所へ行くよりも良いかな」という感じで。
 両親の出身が御坊市なんで毎年2回は行っていて、山も川も行ってましたし、抵抗がなかったんですけども、それでも平井へきた時はすごい所だなと思いました。

<知事>
 今は、ずいぶん道も良くなってますけれどね。

<大西さん>
 まだ、10年前は狭くて、こんな不便な所はと思いましたが、住んでいるうちに話のネタになるで、今時ないでと思いました。

<知事>
 ご主人もこちらに?

<大西さん>
 久保田さんと小西さんと一緒の北大の研究林で勤めています。

<知事>
 下坂さんも?

<下坂さん>
 Iターンいうような良いもんやないです。嫁さんについてきただけです。帰るつもりにしてなかったんですが、どこで話が曲がったのか、気づいたらこっちに。

<知事>
 奥さんはこちらのご出身ですか?

<下坂さん>
 はい。大阪で知りあったんです。僕は奈良で生まれたんですが。僕の親父が熊野川町のこんな田舎の所なんですが、別に田舎はいやではなかったんで、何も考えずに。結婚してからしばらくは大阪にいたんですが。何も考えんとついてきたんです。
 仕事は当初ここではなく古座川町の旅館の方へ行ってまして。そこで長いことお世話になりました。不便といえば不便ですけど、田舎はきらいでもないんですが、同級生がいないので寂しいこともありまして少し引きこもり状態でした。

<知事>
 時々は遊びにいくこともできるんですか?

<下坂さん>
 同級生がいないもんで。

<知事>
 この辺にはいないでしょう。奈良へ行ったりとか。

<下坂さん>
 大阪まで行かないといけないんで、普通の休みの日はダムへ釣りに行くくらいです。1日中家で映画を見てたりとか。子どもができてからはちょっとこう・・・

<知事>
 子どもと遊んであげる。お子さんは何人ですか?

<下坂さん>
 2人です。まっ、子どもがおるんで。

<知事>
 良いですね。それから、さっきの話で後継者とか遊休農地とか、そういう話がものすごく悩みの種となっているんですね。そういうことが平井に限らずどうすればそういう問題が解決するのかについてご意見拝聴なんですが、皆さん、何かあったらおっしゃってください。

<新谷さん>
 今おっしゃった問題ですが、一気に今の状態で若い人に入ってこいというのはなかなか難しいです。子育て中の人が後継者に入って欲しいんですけども、現況では無理です。ですからリタイヤした比較的若い人にいったん実家に帰ってきてくれないかなと考えてます。

<知事>
 50~60歳台の人ですか?

<新谷さん>
 そうですね。Iターンよりも入ってきやすい。Iターンの人に空き家を貸してくださいといっても、なかなかうんと言ってくれない。

<知事>
 皆さんインターネットで売ったりダイレクトメールで売ったり、全国を股にかけて良いものであれば商売できますね。それにこれだけ良いものであれば色んな人が買いにきてくれると思います。一村一品運動というのがあるんですけども、ものすごくうまくいっているのと、頑張ってやってるんだけどだんだんとへこたれてきたりするのとありますね。へこたれてきた方はマーケティングがあんまりうまくできていない。
 そうすると今はどんどん作るんだけどそこから先に伸びないというようなことと、逆にマーケティングもうまくいっているので、ものすごく伸びるというのがあって、作るだけでなく売る方も一緒に考えないとまちおこし、むらおこしにならないと思う。そのためにはさっき見せていただきましたが、ちゃんとインターネット環境とか携帯電話環境がしっかりしていないと。携帯がつながらないとメールもできないなど最低限のところがきちんとしてないとどうしてくれるんだよという話になる。これは道路もそうでしてね。高速道路が近くまで来ていないと不便だし、有料だと料金もかかる。柚香ちゃんのビンも遠くから運ばないといけないのにと。そうすると道が悪いとなかなか大変ですよね。
 それからこれは加工品だからあわてて出さなくて良いのかも知れないんですが、生鮮品だと早く出してもうけるとなると高速道路網もちゃんと整備されてないと、和歌山県、特に南部の方はものすごく苦しいから、ちゃんと作ってくれと政府に言っているんですけども。そういう基盤整備だけはきちんとやって、皆さんみたいな立派な方が、頑張れる条件を整えることが我々の使命かなというふうに思っています。

<新谷さん>
 でっかい11トン車くらいで来ないとコストの問題があります。先月の初めでしたか、11トン車くらいので、ビンを積んでここまで来てくれたトラックの運転手さんがやっとここまで来たけど、もう二度とよう来ませんと言われた。そういうことがあります。道が良くなればコスト削減につながります。ぜひ、お願いしたいです。

<知事>
 これだけゆずの里で良いものを作っておられる。一方で、観光ということでは皆さんどういうふうにお考えになられますか?

<前田(卓)さん> 先ほど知事さんがおっしゃられましたように、これからこの集落をどうしていくか。若いものの環境を良くしていったら勿論よろしいんですが、私が今考えていることは、まずこの土地へ、人が大勢来てくれる、誰でもええから、何しろ人に来てもろたら何とか動くことができるやろという気持ちがあるんです。
 それには先ほどおっしゃられたように道路が問題で、短時間で駅前からここまで来られるといった利点も考えないかんし、これからはまた一つ、こんだけ山があるんで、山を利用して山を見たいという人は都会に大勢いると思う。山を見たい、原生林を見たいとか、こういうことをたびたび聞かされるんですが、見せる山っていうんですか、あの山へ行くにはこう回ったら全部見てこれるぞと。こういう珍しい木もあるぞというようなことをこれから考えとく必要があるのではないか。山を見たい、山を見せるということで、道順を作り、この土地の人で詳しい人に案内してもろて、人を呼び込むという方法も一策ではなかろうかと思っているわけです。
 これから若い人に、今ここへ来てゆずが良いからゆずを作りなさいというたかて、人が入って来て下地を作らんことには。私はもう80歳ですけども、何とかこの土地を昔のように勢いのある土地にしたいとゆずも作っているんですけども。何かこう作って、大勢の人が来るようにしたら、そのうちに若い人もあんなことなんかしてみようかなといった環境になるんじゃないかと思っているんです。
 そういう面をひとつ平井としても考えて、区長さんに頼んで、この山を見せてやりたいなあと、良い所に歩道でもつけて人を呼び込むといったかんべんをせんことには、これから向こうへは育っていきにくいんやなかろうかと思っています。

<知事>
 私自身は、個人的な趣味で古座川には何もしなくても来るんですけどね。ただ、前田さんがおっしゃったようにね、やっぱり大阪の街の真ん中なんかに住んでいると、山を見たいな、山も杉や桧だけやなくて、広葉樹林の中に入っていきたいなあ、そんなような人が、きっといっぱいいますよね。そういう人をうまく呼んでくるということができるといいなあと思います。
 それで、これは当地の問題ではないんですけども、他所では、体験観光で来られた方で本格的に住みついてやろうというような方がいます。とりあえず来てみて、ちょっと遊んでもらって、良いなあと思い、そこから次はステップが高いけど、色々考えて移住しましたというふうな人も私の対談した人の中に結構いました。そういうことで、まず観光で来てもらうということが大事と私は思います。
 ただ、一方では俗化してはいけませんね。このせっかく良い平井の里の雰囲気がなくなっちゃうとあかん。そういう所もあっちこっちにあると思うんですよ。それで、県では、景観法ってあるんですが、景観法に基づく景観条例を作って、これで景観計画を作って、それで環境と合ったようなものを作っていこうという規制をすることにしました。こういうことをやっていくと、あまり劣化しませんでしょう。
 たくさん人が来て欲しいけど、それによってきんきらきんになったら、またこの辺は良くなくなったねと言われたら、来なくなっちゃう可能性があるから、景観をきちんと守りながら何度でも来たくなるようにしておこうじゃないかと思っているんですよ。
 平井の里は、皆さんのような立派な方々がいらっしゃって、ゆずがあって、森があって、この雰囲気を守りながらこれが良いぞと言って来てくれる人がたくさんいたら良いと思いますね。

<新谷さん>
 確かに、来てもらわないと。体験交流もできないかなと考えています。来てもらったら日帰りはちょっと無理なんで宿泊所もいるなと思って簡易宿泊所を考えています。

<知事>
 県の政策で、ものすごく流行っているのがほんまもん体験観光です。色々なメニューがあって皆合わせると去年25万9千人来たそうです。それだけやっぱり需要があるんです。田舎暮らしがしたいと。
 この際定住をするという踏ん切りのつく人と、つかない人がいるかもしれない。だけど、2、3日は絶対居たいという人はいる、そういう人を体験観光で工夫して集めたらその中で、やっぱりずっと居ようという人も出てくるんじゃないですかね。

<新谷さん>
 お客さんが来てくれても、お茶飲む所も食べる所もないんです。どこか泊まる所とか、なんとかできないかなと思っています。

<知事>
 そうですね。さらに知恵をしぼって下さい。
 色々、お話しをしていただきましたが、どうもありがとうございました。平井の里は本当に立派な方々が営々と築いてこられた。内閣総理大臣賞をおもらいになったのも当然だというふうに思いますね。私たちはこれを宣伝をしたい、そうするとひょっとしたら住み着いてみたいという方もおられるかもしれません。私も、平井の皆さんに感謝されている県庁の西さんに負けないように頑張ります。
 ありがとうございました。

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