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紀の国いきいきトーク

「紀の国いきいきトーク」は、私が県内各地に出向いて、県民の方々と気軽に話し合い、県政に対する理解を深めていただくとともに、各分野で活躍されている県民の方々の生の声を県政に反映させていくために開催するものです。ここでは、様々な分野でいきいきと活動されている皆さんとのざっくばらんな懇談の様子をご紹介します。

第3回 紀の国いきいきトーク対談内容

平成19年3月28日 新宮市

<仁坂知事挨拶>
 どうも皆様、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。私も知事になりまして3ヶ月くらいなんですけれども、普通のお仕事をやっておりますが、やっぱり自分の気持ちとしてはできるだけ県下に出かけていく、それで色んな人の話を聞いた上で、行政に関わっていきたいと思っています。

 それで、特にショックだったのは新宮に来まして、選挙の時だったのですが、「あんた、当選したら任期中に一回くらいは来てよ」と言われまして、「何を言うとるんじゃ」と一瞬思いましたけど、どうもそういうのが相場だったらしいんですね。これじゃあやっぱりいかんのでできるだけ多くの所へ出ましたが、一番初めは挨拶とかそういうものでしたので、なかなか来れませんでした。ようやく議会も終わったので、新宮はいいだろうと思いまして、北山を経由してまいりました。

 市長さんとか町長さんとか、議会の人とかそういう人達のお話を聞くのも大事と思いますが、それとともに和歌山県で働いておられる色んなグループがあります。森林組合のようにお仕事のグループもありますし、それから趣味のグループもありますし、色々ありますけども、そういう方々とお話をして、皆さんのいきいきぶりを県民の皆さんに紹介するということもまたやりたい、勉強になることも多いですからね。そういうことでいきいきトークというのを始めさせていただきました。

 一番初めは中辺路の「漂探古道」へ行って、そこで語り部をしている人達の話で、二回目はついこの間でしたが、白浜の「アドベンチャーワールド」に行って動物のお世話をされておられる方のお話を聞きました。今日は3回目なんですが、色々勉強ができると楽しみにまいりました。今日はよろしくお願いします。

<参加者代表挨拶>
 本日は知事さんには非常に公務お忙しい中、熊野川町までお越しくださりありがとうございます。また県行政、とりわけ森林行政には格段のご配慮いただいており感謝申し上げます。また、今日はこのような機会をいただき、我々としまして非常に光栄に思っているところでございます。

 ご存じのとおり熊野川町は、90何パーセント森林という町でございます。今まで非常に木材価格が低迷いたしております。非常に厳しい状況が続いてきたわけでございます。

 幸いに、この山を通っております熊野古道、それから熊野川が世界遺産に登録されております。そういう状況の中で、地域の人の見る視点、また対外的に外から見た場合、世界遺産ということで非常に価値観が変わってきてございます。私ども直接そういった中で仕事をさせていただいているわけでございますけれども、今までと状況が変わってきまして、世界的な木材価格が向上しております。こういう中で森林組合としてもこれから新しい市場展開をやっていかなくてはいけないなというところです。

 そういった中で我々が町外、県外の方に来ていただいて、そして山の中で体験していただく、そういうことを体験学習、グリーンツーリズムとして、和歌山大学と提携結びまして、推進協会を作りまして取り組んでいるところです。約10年くらい前からやっているんですが、協会ができてからは4,5年くらいです。この中で熊野川町に体験で訪れた方、約1,000名を超え、おそらく1,200~1,300人です。これはできるだけ森林の大切なことを皆さん方に知っていただこうという企画です。

 それともう一つは「美しき森づくり」ということで、これも5年程前から取り組んでまいっているところです。今まで放任されてきたというか、あまり経済的な価値のなかった山林を非常に楽しいところだと、そして資源の確保もと、そういった観点でというのが「美しき森づくり」といったものです。

 それともう一点が間伐材の利用です。非常に過去厳しいものがありますけども、間伐材を利用した割り箸の生産、これは環境に配慮した割り箸ということで、使っていただく程環境に良い、というキャッチフレーズで売っていこうということで始めましたが、やはり非常にコストがかかり難しいということから、今のところちょっと休止している状況です。

 他には川舟下りの関係センターとか色々な有効な間伐材の有効利用を図っていただかなければいけないな、というふうなことも考えておるところです。

 そして林業として一番大事なのは中間資本です。間伐材をできるだけお金にして山主さんに中間資本として、という林業ですね。こういった方向に進んでいく事業展開を図っているところです。

 そういった中で今後とも知事さんにおかれましては、林業行政にご尽力、あるいはご協力いただきますことをお願いしまして本日の歓迎のご挨拶といたします。

    ~以下、参加者の自己紹介から、トークが始まりました。~

<参加者>
 大阪出身です。紀南に来させてもらって3年になります。知事とは先月アバロームでお会いいたしましたので、一方的に親近感を覚えています。グリーンワーカーで。また遊びに来てくださいということでしたので、皆とまたお伺いしたいなと思っています。本当に行ったら大丈夫かな、と。

<知事>
 大丈夫ですよ。

<参加者>
 横浜出身です。4年になります。私もアバロームでお会いしました。一緒に写真も撮らせていただきました。

<知事>
 光栄です。

<参加者>
 埼玉出身です。ちょうど2年になります。妻ともうすぐ3歳になる子どもと来ています。仕事は山の境界の際の草刈りをしています。よろしくお願いいたします。

<参加者>
 出身は愛知県ですけども、ここに来る前は大阪に3年程住んでいました。ここに来て2年くらいです。森林の仕事をしながら趣味で合気道をしています。

<参加者>
 神戸出身です。ここに来る前は、大学生で彦根に4年間いました。この仕事が初就職になります。

<参加者>
 出身は埼玉県で、今年の6月でこちらに来て3年になります。山の道の草を刈ったり、石が散らばっているのをはいたりする仕事をしています。仕事の合間にチェーンソーカービングをしています。

<参加者>
 親子で、娘と一緒にきています。以前、泉北に20何年住んでいましたので和歌山には最初から合いそうだと思っていたのですが、娘が突然山の仕事をしたいと言い出しまして、それまでは花の栽培をしていたのですが、「和歌山へいく方法がある」と本人が探して来まして、関西で懐かしかったせいもあるんでしょうけど、二人で埼玉からやってきました。

 私の方は学生時代に山へしょっちゅう、北アルプスの方ですけど、行ってましたので、自然そのものは大好きなんですけども、山の作業そのものはまったく知りませんでしたのでかなり不安だったのですが、おかげさまで今は二人で、間伐をやらせていただいたり本当に楽しく作業をやらせていただいています。

<知事>
 なんか、歩いてこられた時に絶対にそうだと思いましたね。北アルプスの匂いがしました。

<参加者>
 そうですか。

<知事>
 僕は軟弱ですからね、(ハードなところは)歩けないんですが・・、これから登ってきます、っていう人を麓から見送るくらいのところをうろうろしてる方なんですが・・。(山を登られる方の)雰囲気がありましたね。

<参加者>
 若い頃はそうやったんですが。

<知事>
 そうでしょうね。すいません。よけいなことを言いまして。

<参加者>
 今親子で仕事ができて毎日楽しく過ごしています。

<参加者>
 こちらに来て3年半になります。美しい自然と田舎暮らしにどっぷりつかっています。私も チェーンソーアートをやっています。

<参加者>
 夫になります。(隣の)次男坊も一緒に埼玉からきました。

<参加者(息子さん)>
 親子3人で楽しく山仕事しています。

<参加者>
 熊野川町出身です。10年ほど前にUターンという形で戻ってきました。仕事は事務所が多いのですが、県からくる補助金の取扱いとかやっています。

<参加者>
 家の方は田辺市の本宮町です。ここへ入ってちょうど5年になります。仕事は保安林とかやらせてもらっています。

<参加者>
 まもなく80に手がかかる者です。(会場を)見渡してみますと熊野川町に若い人が大勢みえてくれてるんだな、と感謝しています。森林組合の理事をしています。

<参加者>
 高校を出て大阪の方へ就職をしまして、元々熊野川町出身です。昔から山の方へ行くのが好きで、森林組合へ就職しまして早30年になります。

<知事>
 どうもありがとうございました。さっき一番初めに聞こうと思ったのは、「どんなことをやっておられますか」っていうことで、組合長からもお話があったのですが、いまいち皆さんとの関係で、組合の仕事で皆さんにどういうふうな形で仕事をやってもらっていますというのが、さっきのお話でもよくわからないです。皆さんと組合との関係はどんなんですか。

<参加者>
 実は組合に作業班という組織があります。組合には職員と作業班があり、作業班は山の現場で仕事をします。皆さんは作業班としての従業員となります。

<知事>
 お仕事は森林組合で、誰かから取ってくるんですね。大体どういうところが多いんですか。

<参加者>
 組合員の山からいただくんですが、組合員は地元の新宮市、三重県が多いですね。427名います。

 それ以外は補助金の付いた公共事業が多いです。県、市、林業公社さんからいただく事業です。諸々の事業を組合に委託していただきます。あと個人の山主さんの間伐とかの造林事業の中の一環としての補助事業があります。

<知事>
 皆さんは緑の雇用事業の適用を受けておられる?

<参加者>
 入った時は緑の雇用で採用されています。

<知事>
 いわゆる研修事業としてのかなりの補助金がいきますよね。

<参加者>
 全額補助です。緊急雇用の事業で1年間。2年目に担い手事業で。3年目に県単でとなります。通常3年間で研修が終わります。その後に組合の作業員となります。

<知事>
 山の仕事ってとっても難しいと思うんですが。3年くらいで何とかなりますか。

<参加者>
 仕事の内容によりますね。間伐とかでなく、100年とか150年とかの木の伐採とかになると難しい。

<知事>
 皆さん技量を磨いておられるということですね。さっき仕事を見つけてこられたとおっしゃっていたのですが、山に住みたいなというか、山で仕事をしてみたいな、というのはどんなきっかけでここを見つけたのですか。

<参加者>
 前から自然の中で仕事をしたいと思っていたのですが、なかなか女性で入れてくれるような所はなかったんです。雑誌で探して、広告で見つけました。熊野川町さんが気持ちよく迎え入れてくれたので喜んで入りました。

<参加者>
 元々、小、中学生の頃から将来自分が住むんだったら町中よりも、自然のある場所の方がいいなと思ってました。どういう仕事があるかなと高校、大学は林業専攻でした。実家の埼玉で 事務職を2年くらい探してからこちらへまいりました。

<参加者>
 大学は農業系でした。ネットで緑の雇用事業を見つけて、面談に行ってといった感じです。

<知事>
 神戸から来られて気候的にはそんなに変わらないと思いますが。山とか見てどうです。違うなといったところとかは。どんな気持ちを抱きながら毎日山を見ておられますか。

<参加者>
 どこ見ても山みたいな感じです。明石海峡大橋の近くでしたから。気づいたら山の中という感じです。

<知事>
 私は蝶々採りが趣味でして。山の中に行くのは大好きです。山の上に行くのはしんどいので あんまり行かないんですけどね。そういうスタイルです。

 和歌山の山って実は他のところに比べると、あんまり好きではなかったんです。(山の)好きなところもあるんですが、例えば高野山の中とか、護摩壇山とか。今から考えるとあまりにもたくさんありすぎて興味がなかったのは、和歌山市周辺にある常緑の広葉樹林です。今はすごい好きですが、ウバメガシの林です。なぜ好きでなかったかというと、物心ついたのは昭和30年くらいですが、和歌山では林業が盛んすぎてみんな切ってしまって、つるんとした草っぱらで、ひょろひょろっとしてて、そういう意味ではどちらかというと長野県の方とかが好き といった心境でした。

 最近ボルネオから帰ってきて、和歌山の山を見た時、「あっ、これはまたすごくなったな」と思いました。というのは50年の年月が経っていて、ばんばん切ってしまって、それで植えたんですね。植えたけども、それが50年経って成長しているんですね。そういう意味ではこれは見所があるなと思ったんです。ただ聞いてみたんですが、間伐材の処理とかできていないので林業資源としては、大したことはないんだと聞いて、確かに中に入ってみたらひょろひょろっとしたのが多いですよね。それともう一つは杉、桧の樹林になってしまったので色んな問題があるんですよ、とおっしゃってる方が多かったですね。

 和歌山の山に来てみてどんな感慨を抱いておられますか。

<参加者>
 印象でいいですか。僕は出身が愛知県でして、祖父が静岡県との県境くらいで林業をしていて、林業にもなじみがあったのですが、子どもの頃は静岡、愛知、長野県の山とかの方がなじみがあり、「山深いな」と思っていたのですが、こちら(熊野川町)で仕事をして、帰ってみたら、熊野川の山は険しいので、「あっ、なんだこんななだらかだったんだ」と。(むこうの山は)柔らかい感じがしました。こちらの山は神々しい感じがしました。道場に来た外国人なんですが、大阪に住んでいて、たまにこっちにくるんですが、「淡路島の方の山の風景が好きなんだ」と。「こっちの山は雄々しすぎてずっとはいられない、でもたまにここに来てエネルギーもらって帰るんだ。年に1回くらい来るんだ」と言ってました。

<知事>
 確かに和歌山県の山は傾斜がきついですね。今日は防災ヘリで和歌山から北山村まで来たんです。上から見てたらこんなんですね。(険しい)その中で必死になって道がつながっているんで作るの大変だったんだろうな、と思ったりしました。

<参加者>
 私の出身は埼玉県で、秩父の山なんですが、こちらの山に比べたら全然なだらかですね。

 岩場が多いので滝が多かったり、那智の滝だと滝がご神体だったり、神倉神社だと岩がご神体だったり、自然を崇めるというそういう感覚がすばらしいなと思いました。険しいところならではなのかなと思いました

<知事>
 そうかもしれませんね。軟弱だったら崇めたくないもんね。

 山の仕事の方は使用前、使用後でどんな印象ですか。

<参加者>
 来た当初は田舎になじめるか、といった心配よりは、山の仕事は体力勝負と思うんで、体力の面の不安が大きかったです。やり始めてみて徐々に慣れてきて今は大丈夫です。

<知事>
 技術とか、内容のおもしろさとかは。

<参加者>
 間伐とかやらせてもらっていますが、一つの現場をやり終えて、ぱっと見たときに山が明るくなって木が生えていると達成感があります。

<知事>
 間伐って一言で言うけど、こんな急傾斜でしょう。ちょっと切ったらどっちへ倒れるかわからない気がするんですよ、僕はね。それもすごい技術があるんでしょう。

<参加者>
 勘に頼る部分が正直なところです。

<知事>
 どうやって間伐していくんですか。切って倒して。転がっているのはどうするんですか。

<参加者>
 山と仕事の内容によって色々なんですが。木を横にして砂防の役目として株と株の間に入れて、砂防の役目として間伐材を利用するというのもあります。

<知事>
 間伐は必要と皆さんおっしゃるし、私も絶対そうだと思うのですが、林業はとっても気になるので、そういう意味で割合県庁の中で議論した回数からいうと一番多いくらいだと思うんですが、どうやって盛んにするか、上手くいくように、回るようにするか、一つは間伐材が有用材として利用されるようにならないとね、なかなかお金がかけられないなあ、それをどうやってやったらいいのだろうね、というのが一つのターゲットですね。

 もう一つは、そういってある程度稼げたとしてもコストがかかりすぎて、勿論、皆さんの人件費も考えないといけないし、あまりコストが高すぎたらちょっとつらいね、というところがありますね。林業にしても経済活動なんだからその両方が上手く折り合いがつくようなところでないとなかなか長続きしない。その二つについて何か考えようじゃないか、というのが今の僕たちの考え方なんです。

 前者の方はちょっと模索中なんでよく分からないんですが、少なくとも今までよりも木材資源の値打ちというのは相対的にもう一度戻ると思うんですね。輸入なんか考えられなかった時代まで戻るかどうかはわからないんですが。

 私がいたブルネイは、お金持ちだからあんまり木は伐らないんですが、周りのマレーシアや、インドネシアとかは国立公園の中を除いてはげ山ですよ。全部伐採してしまったですから。私が昔いた和歌山の山みたいになってました。

 一方北洋材というか、ロシアの材は原木の輸出は止めようがない。中国の需要なんかすごいから。これはかなり前より環境改善しているなと思うんです。例えば、和歌山の紀州材は集合材に全然使用していないと思うんです。それと間伐材の細いのは柱になんかならない。なんかで使わなくてはならない、どうやって使ってもらうのかというのをこれから考えよう、というのが一つ。

 それからもう一つは、林業開発というと釈迦に説法なんですが、かなりお金をかけてどかんと公共事業にやってますよね、でっかい林道を造ったりしてね。ところが林道を造ったもののその林道から駆け上がっていく人が、今財政的につらいからなかなか現れないで、そのままになっちゃうってことなので、でっかい林道をどかんというのではなくて、作業車が上がっていくような林道を造って、それで間伐の方もシステマチックに考えて低コストで間伐材をどんどん引き出していこうよと、定期的に。量を揃えるような形でいつも出してくる、そういう風なことができたら結構需要にも結びつくのではないか、というようなことを言っているんです。

 今年、特に県のお金を低コスト林業に大分出していこうかと思っているんですけどね。それにしても担い手の人がいるから、ぜひ皆さんに将来そういう戦列に参加していただきたいと思っています。

 今のようなお話で、実際に森林作業してみて意外だったことありますか。

<参加者>
 前からサラリーマンなんで生活リズムが今までと全然違います。それこそ日付が変わるか、変わらないかくらいで家に帰っていました。そんな生活から180度とは言いませんが、多分今日いらしてらっしゃる方々もそうでしょうけど、全然そういう生活とは違います。

 自分で今の生活を選択してよかったな、と思っています。

<知事>
 こんなこと聞いて良いのかわからないのですが、皆さんご家庭もおありと思うし、これからお持ちになるだろうし、そういう意味でここで生活していくというのはどういうことになるかな、と思われることもあるのではないですか。ご家族で来られてる方どうですか。

<参加者>
 一家団らんが増えました。以前、理髪店をやっていた時は終わるのが10時くらいの時もありました。今、夕飯を一緒に食べられるのがすごく嬉しいです。

<知事>
 (息子さんに)埼玉県にお住まいの時と比べると都会的な遊びの誘惑とかに欠けるところもあると思うのですが。

<参加者(息子)>
 あります。

<知事>
 それはどういう風に考えられますか。いやなこと聞いてごめんね。

<参加者(母)>
 里帰りを年に2回くらいしてます。兄と弟がおりますので。

<参加者(息子)>
 1週間くらい帰って。

<知事>
 お父さんは。

<参加者(父)>
 私は帰らないです。帰りたくないですね。

<知事>
 ご一家の中で誰が一番最初にこちらに。

<参加者(父)>
 はい(私です)。

<知事>
 お父さんの動機はなんだったのですか。

<参加者(母)>
 (私たち)17歳で結婚しました。当時から(夫は)田舎暮らしが好きな人で、ずっと「行こうよ。」とは言われていたのですが、断り続けていたんです。たまたまそういったお話しをどこかで聞いてきたらしくて、また組合長のお話の内容にすごく惹かれてしまい、20年繰り返したことを、わずか1週間で「いいですよ」となったんです。私は虫がいやだったし。山に入ったらそういうものがいるというイメージでしたし。組合長のお話を聞いているうちに山仕事が楽しそうなイメージができたもので。              

<知事>
 組合長をよいしょするわけではないのですが、なんかリーダーっていうんですか、今のお話を聞いていると最近よく思うのは、高校のスポーツで特に良い成績を上げられた高校生の方が県庁にも来られるのですが、それで話をしていると指導の先生が横におられるんです。そういうのを見ていると、「こういう先生がずっと指導しているからみんなついてくるんだな。」というふうなことを思いましたね。そういう意味では、組合長の構想力とか魅力とか大きいんではないですか。

<参加者(組合長)>
 いえ、そんなことはないと思いますけども。あのときは奥さんの方が、「女の人でも仕事、パートがあるんでしょうか」っていうことを話していたんですよね。「パートするんでしたら、ご主人と一緒に山仕事したらどうですか」と言ったんですよね。「お互い助けあって良い仕事ができるんですよ」という話をしたんですよね。  

<知事>
 それでころっと納得したんですか。

<参加者>
 そうですね。息子さんの方はあまりこっちに来る予定はしていなかったんですよね。

<知事>
 一緒に何となくついてきたんですか。それで残るようにしたんですね。

 あなたは、山を越えた向こう側(田辺市本宮町)ですね。たまたまこちらに就職ですか。

<参加者>
 地元に就職したいというのがありまして。たまたま森林組合に募集がありましたので。

<知事>
 あなたは。

<参加者>
 高校を卒業して、最後は岐阜の大垣にいたんですが、親が家に帰って来てほしいと言われていたんで。                                 

<知事>
 こっちへ帰って来られて、今何が満足で何が不満足ですか。

<参加者>
 休みになったときに遊園地であったり、レジャー施設といった娯楽施設がないところが不満です。

<知事>
 映画館とかはありますよね。

<参加者>
 岐阜にいたのでスキーとかスノーボードとかやっていたので、ここから行くのは距離があります。岐阜なら日本海にしろ、琵琶湖にしろ行くのに便利でした。

<知事>
 ご出席の方のお父さんとかおじいさんとかくらいの人によくお目にかかるんですが、そうした時に「本当はここにいたいんだけど、就職口がないし都会に行かざるを得ない」と。「だからもう少し働き口を作ってくれ」という議論をよく聞きましたね。特にその時の訴えは、子どもや孫ですね。そのとおりなんだと思いますね。南紀の方というのは。

 和歌山県全体が発展から取り残されています。林業もそうです。その他そうなんです。農業は相対的にはまあまあ。水産業もずいぶん小さいですし。工業も。それから、特に新宮は森林や製紙業に依存していて、なくなってきていますね。全体の就職口がどんどん減るということはないですが、あまり増えないというのが全体の流れですね。

 もう一つ思ったのは、和歌山県は和歌山市と海南市以外のところでちょっと車であそこへというのは、大変ですよね。例えば南紀の方に高速道路がなかなかついてないし、林業とか観光とかでも響いてきますよ。そっちの方もなんとかせなあかんな、と。世はあげて全国的には公共事業なんか要らない、となっているけど、「ちょっと待ってくれ、俺たちは要る」と一生懸命言わないかんと、思いましたね。

 森林組合としては、若い職員を雇うことに成功した、良いことやとなるのですが、一方従業員を養っていかなくてはなりませんね、責任がある。県とか国も皆さんに来ていただいて本当に嬉しいのだけど、皆さんの生活が経済的な意味で回っていくように考えないと、(そういう)環境をつくらないと私は無責任なことをやっているようなところもあるような気がするんですね。(来ていただいているのは)本当に涙がでるくらいありがたい話なんやけど。

 緑の雇用なんだけど、雇用というのは経済活動が回って初めて達成されてくるわけで。回るようにするのは僕らの使命であるとともに、経営者の皆さんの仕事ですね。実はね、県庁に緑の雇用推進局というのが、4月から森林林業局に名前を変えます。一部の人は、緑の雇用を私が嫌いだから、名前を変えたんだと言うけど、全然違います、僕は大好きなんですが。それを維持するためには絶対に森林林業を復活させないと生きていけない。そうなって、せっかく皆さん気に入っていらっしゃって、食っていけなくなったらどうするんだ、と思いましてね。それをこれからやる。大変だと思いますが、一緒にやっていきましょう。

 私は蝶々を採りたいという欲がありましてね。それで山の中に入って行くわけです。ボルネオというかブルネイでほとんど毎週ジャングルに行っていたんです。なぜか、というと蝶々がいるから。森の中に入ると一種の感慨を持ちますね。あそこは70mくらいの木があります。むこうの林業は、そんなのを探してスポンと切って、それをブルドーザーで引いてくる、引いたところは潰れていくのだけど、皆伐はしないんです。そんなところに行っていたんですが、道がないんです、ブルネイの山は。なぜないかというと、山人(やまびと)が山や野と共に暮らしていない。それと森の中が怖いんです。森の外側を歩くんです。道がないところに入っていくとあっという間に道に迷いますね。平坦でね。イノシシのわなにひっかかったりしてね。楽しかったです。

 それにつけても思うのは和歌山の山もそうですが、日本の山は山人(やまびと)と一緒に共生していますね。みんなが山に入るし、薪を拾ってくるというのも昔からやっていたし、森の恵みとかもありますしね。皆さんのような人も手入れをしている。こんな山は良いなあ。ブルネイの山も良かったけども、人間と共生している山も良いなあ。そのためには共生できるような経済的な環境を整えなければいかんなあ、と思います。

 僕は和歌山市という中間的な街の中の生まれですから、実感としてどれだけ山の生活をわかっているかはちょっと怪しいんですけどね。

 究極の蝶々の楽しみは写真なんです。網で採るのと比べて、百倍は難しいですね。すべて採ってしまったら写真に替えようと思っているんですがね。

<参加者>
 ここは、ブナの本州最南限地です。

<知事>
 ブナの林ってなんとなく良いですね。印象が明るいですね。苔が生えていますね。湿っぽくないですね。昔、護摩壇山の上なんかに行ったんですが、春の落葉広葉樹林の印象って良いですね。

 あと何でも結構ですから、何かございますか。

<参加者>
 携帯の不感地区多いです。北部の方からですか。

<知事>
 そんなことないでしょう。(不感地区が)本当に140で足りるのか、という気はするけどね。あれ絶対必要でしょう。NTT等へ行って頼んできたんやけど、光ファイバー網って和歌山県は結構敷いているんやけど、これを利用できれば設備投資費用がかなり安くなるし、貸してほしいといってきたら貸すからと、市町村が管轄、監督してくれたらと話したら、それは良いなと乗り気でした。

 あと医療ですね。頑張ります。医療はこんだけ大変とは思いませんでした。ここから見ると 新宮の街なんて大都会ですね。新宮にお医者さんで赴任するなら良いじゃないか、僕らもそういう考え方です。和歌山県はお医者さんの数は平均的人口割りで言うとまあまあ多い。ところが和歌山市を中心にしてほとんど街の中に開業してしまう、それで多い。勿論、例えば北山、熊野川、新宮の拠点病院にいるお医者さんも少ない。全国的な現象です。今、地域医療が崩壊しかかっている。無医村のようなところとその近くの大きなところでも起こっている、ということです。ということは県でいうと県庁所在地周辺でしかまともな医療ができなくなるおそれがある、ということなんです。和医大を中心とする和歌山県はまだそこまでいっていないけどちょっと危ないということです。

 一方、政府は、何を言っているかというと、お医者さんが増えると医療費が増えると言っています。事実のところもありますよね。お医者さんの数を制限しています。でもこれではいけないと、東北地方とか本当にお医者さんの数が人口当たり少ないところはちょっと増やそうかと去年くらいの話です。和歌山県はこれに乗り遅れている。それでちょっと多いっていう話なんですが、現実には、地域医療崩壊の兆しが見えるから抜本的なスケジュールを出さないといけないなあと思っています。

 次に医療ヘリに、防災ヘリを付け加えて、上からお医者さんをロープで降ろして応急処置をしてといったことも、いざというときにできるようにしています。ちょっとずつ手は打っているが先は長いですね。

<参加者>
 林業でB,C級材を使っていただけるところの加工系の企業誘致をしてほしい。紀伊半島に一つほしい。B,C級材ですから合板系のですが。

<知事>
 北山の小学校にいったら紀州材を使った集合材がありました。床と机ですね。これからはこれと思いました。感じといい、今までの集合材と比べたら良いと思うけどね。

<参加者>
 これからは、それですね。材質はあんまり必要ないですからね。

<知事>
 さっき僕が利用、利用と言っていたのは、大体そういう系統のものです。

<参加者>
 直接の加工できれば大分コストも下がると思います。できたら新宮港もありますし。

<知事>
 A級材はそのまま。

 まあ、近いですね。それでは、皆さんありがとうございました。

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