県庁 仕事百景
職員の頑張りやエピソード、苦労話を通じて県の様々な仕事を紹介します。
地域の宝を全国、海外へ。振興局も頑張る。
和歌山県知事 仁坂 吉伸
今回は、県の出先機関の振興局が地域密着でその資源を全国、海外に売り出そうと奮闘している話です。県内の資源をもっと有効に活用しよう、外に売り出そう、そうして地域の活性化を図ろうという取り組みは今までも何回かご紹介してきましたが、海草振興局でも地域の農林水産物の販路拡大や海外輸出への取り組みを行っています。彼らは日々地域の方々と向かい合いながら、どうしたらこの産物(それぞれは地域の宝です)の魅力を全国の方々に伝えられるか、また海外に売り込めるかに知恵を絞っています。
最初にご紹介するのは「しらす」です。
和歌浦湾はしらすの良い漁場で良質のしらすがとれます。海草振興局の水産担当など若手職員たちの提案で一昨年からこのしらすの売り出しに取り組もうということになりました。和歌浦湾のおいしいしらすを全国にPRし、ブランド力を上げ、県外から多くの方々に訪れてもらい地域を活性化したい。そのためには、漁協や漁業関係の方々、しらす加工業の方々、旅館業の方々そして振興局が一丸となって取り組まなければなりません。そこで関係者が一同に集まり「和歌浦湾のわかしらす協議会」(和歌浦湾でとれるしらすだから「わかしらす」)を立ち上げました。喧々諤々、いろいろな議論を経ながら様々な取り組みが始まりました。しらす料理品評会、しらす漁体験、しらす祭と取り組みが進むにつれ、「わかしらす」の認知度も徐々に高まり、全国ネットのテレビ番組にも何度も取り上げられました。中でも、しらす祭は昨年11月で2回目の開催となりましたが、毎回1万人以上のお客さんが県内外から集まるビッグイベントになっています。また、観光ツアーにしようと職員が大手旅行会社に売り込んで、和歌浦のわかしらす料理が春の観光ツアー商品に組み込まれ、500名以上が集まる人気商品になっています。
まだまだ、定着したとはいえませんが、この「わかしらす」の取り組みでは地元の皆さんの頑張りを少しは支援できているなと思っています。
彼らは今度はアシアカエビを売り出そうと考えているようです。
続いて「下津みかん」です。
海南市旧下津町はみかんの生産が盛んで、一定期間貯蔵したのち出荷する「蔵出しみかん」で有名です。私も「蔵出しみかん」のPRでは、昨年2月に北海道に出向いて、札幌市中央卸売市場や札幌雪祭りの会場でのトップセールスを行ってきましたが、海草振興局では現在、「蔵出しみかん」を含めた「下津みかん」の国内向けPRとともに海外輸出にも取り組んでいます。今年度から県全体で取り組み始めた「新農林水産業戦略プロジェクト」の一環として、地元JAながみねと一緒になって頑張っています。
特に海外向け販路開拓は、道なき道を行くようなもので、県全体で行うプロモーション活動とともに、個別で手探りの地道な営業活動が必要ですが、今までの活動が実を結び、昨年12月には台湾へ約6トン出荷でき、今年1月、2月にも現地のデパートで展示即売会を開催することになっています。
これで、台湾への足がかりはできましたので、続いて、ロシアにも販路を開拓できないかと考えました。実はロシアは世界有数のみかん輸入国で、みかんの大きなマーケットになっているのです。
ところがロシアには何のコネクションもありません。商社ならいざ知らず、振興局の職員にとっては糸口をつかむことすら難しかったと思うのですが、担当の職員は、経済産業省、北海道庁、新潟県庁、都市銀行など手当たり次第に電話とメールをしていきました。あきらめかけていた頃、北海道庁から送ってくれた資料の中に載っていたロシアの5都市(極東では3都市)にある外務省の外郭団体「日本センター」の存在を知り、何度もメールを送ったところ、ウラジオストクの日本センター所長が熱意に押されて「そんなに熱心に色んなことを聞くのなら、一度和歌山へ行って、ロシアの貿易、産業、経済状況などをレクチャーしてあげるよ。それに、日本の各地域の熱心な取り組みを支援するのは私たちの役目ですから」と、日本センターの負担で(つまりただで)、レクチャーしてくれることになったということです。
JAながみねの熱心な役員さんから「ロシアは世界一のオレンジ輸入国と聞くが、何とかならないかな」との話があったのがきっかけで、担当職員が半ば闇雲に動いた結果のようです。昨年12月、はるばるウラジオストクから来て頂いたこの日本センターの所長さんに下津みかんの現場を視察してもらい、お話を聞く会合をJAながみねをはじめ関係者と開きました。すぐに成果が出るものではありませんが、近々JAながみねの方もウラジオストクへ調査に行く準備を進めているそうです。何とかいい結果に繋がればと思います。
他にも、いろいろあります。
紀美野町はサンショ(山椒)の産地ですが、近年やや生産過剰から価格の低迷が続いており、その販路開拓やサンショを使った商品開発が急がれています。町長さんも売り込みに走り回っておられます。また地域づくりに取り組む方々で組織する「紀美野町まちづくり協議会」が様々な取り組みで頑張っておられ、海草振興局もそれを応援しています。その「ブランドづくり部会」でメンバーの方(十数年前、神戸から移り住んだ山あいのパン屋さん)がサンショ入りパン「サンショ入り黒糖かりんとう」を開発して、発売していく予定だそうです。
さらに、職員も一緒になってサンショ入りソーセージを試作したり、地元の料亭でサンショを使った佃煮をメニューにしてもらったりしています。
また、農業と商工業との連携で地域興しをと、香辛料メーカーとタイアップした唐辛子の委託生産や、飲料メーカーと組んで生ショウガを使ったジンジャエールの開発にも取り組んでいます。
いろいろ紹介しましたが、生産者やJAの方々、漁業関係者や漁協の方々、地域づくりに熱心に取り組んでいる方々など、和歌山、海南・海草地域には大勢の頑張っている方々がいらっしゃいます。
その方々の熱意をしっかりと受け止めて、役所の殻を破って頑張る職員が出てきています。
大きな成果が出るのはまだまだこれからですが、職員たちは「百発打って一発当たれば・・・」「可能性を探ることが第一」と頑張っています。







