知事記者会見 令和6年3月26日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和6年3月26日 知事記者会見

令和6年3月26日 記者会見室

令和6年能登半島地震に伴う被害状況等の知事視察

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 それでは、定例会見を始めたいと思います。発表事項が三つあります。一つ目は、能登半島の被災地を視察に行ってきました。資料のとおりですが、21日の木曜日ですが、前泊し、早朝、馳石川県知事(との面談)、それから、少し時間をかけて能登町まで行ってきました。能登町は、カウンターパート方式で滋賀県、和歌山県が中心となって支援をしているところです。大森能登町長にもお会いして、それぞれに、これまでの経緯、現状の復旧復興の課題等について意見交換をさせていただきました。それから、現地を回って、能登町にリエゾンで行っている職員、能登町内の避難所2ヶ所を、県(から派遣した)職員が10人一班体制で、一週間交代でずっとやっていますが、その状況を聞き激励してきました。その他には、災害ゴミ置き場の現状、仮設住宅の建設中の現場と既に完成した仮設住宅、応急仮設住宅に入っていらっしゃる方もおられました。それから、自衛隊の仮設風呂の運営についても、視察をしてきました。
 1月1日に発災してからかなり時間が経っていますが、やはり水道がなかなか使えない。上水道が復旧しても下水道が使えないということで、水回りで大変ご苦心をされていました。道路も、のと里山海道が途中から一車線で、北にしかいけない。それもかなり蛇行していて、徐行運転区間が相当ありました。従いまして、金沢から能登町まで行くのに相当な時間掛かりましたし、かなりでこぼこで、重機も入ってかなりの箇所で工事が行われていましたが、地元の方にお聞きすると、やはり、1年ではできないだろうということです。幹線道路がでこぼこになっているということは、地元の普通の道路もでこぼこになっていて、やはり全体に回復するのは相当時間が掛かるという印象を持ちました。
 それから、職員に話を聞きましたが、避難所運営の皆さんは、甲子園に出られた日本航空高等学校石川の校舎をお借りしていて、今でこそ、ようやく仮設のお風呂が入っていますが、第一陣で行かれた方は、暖房も無く、校舎も窓ガラスが割れていて、室内の気温が外と同じということで、一睡もできないまま初日の活動に入られたというような苦労も聞き、本当に県職員には頭が下がる思いです。また、リエゾンで能登町へ行かれた方も、今は、プレハブを建てていただいてダンボールベッドで休めるようになり、少し良くなっていますが、当初は廊下で寝袋を敷いて寝るような形で、職員には交代で行っていただいていますが、本当に頭が下がるし、誇りに思うところです。
 なお、石川県能登町からは、もう少し手伝ってほしいということで、関西広域連合として派遣していて、3月末が一つの目安かと思っていましたが、ご要請もあり、少なくとも4月いっぱいは派遣を続けたいと思っています。ご要請があれば、連休明けについても、様子を見ながら、滋賀県とも相談をしながらと思いました。そんな状況です。

令和5年度包括外部監査結果報告書について

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 二つ目が、包括外部監査結果報告書をいただきました。昨年度の包括外部監査で、事業評価をしていないのではないかというご指摘をいただき、令和6年度予算の重点(施策に係る)事業について、KPIをしっかり決めて事業評価をするというふうに改善をさせていただいたところですが、今回は、下水道事業に関する事務の執行について、監査を頂戴しました。大変厳しいご指摘をいくつかいただいているのでご報告したいと思います。
 資料のように、流域下水道については、那賀処理区と伊都処理区があり、基本は市町村の負担金で全額賄うべき維持管理の費用ですが、単価が全然上げられてなくて、那賀処理区では2008年から15年間、伊都処理区でも2013年から10年間、全く単価が上がっていません。消費税を見直した時に調整しただけで、これは良くないのではないか。当然、赤字になるので、一般会計から県のお金として基準外繰入を行っていますが、この点がおかしいという厳しいご指摘をいただいていて、長期的に単価の見直しを検討しなければならないというご指摘をいただいています。
 それから、2年連続で営業キャッシュ・フローがマイナスなので、減損損失を認識すべきかどうか、真剣に検討しなさいというご指摘もいただきました。
 それから、今、県の下水道公社に委託をしていますが、公社に委託するというやり方だけでは良くないのではないか、公平にいろんなところに声をかけて委託先を考えたらどうかというご意見を受けています。委託のやり方についても、指定管理以外のやり方が、既に全国で10ヶ所ぐらい行われているということで、指定管理にこだわらないやり方、特に、公益財団法人和歌山県下水道公社に限って運営させることについての是非についても検討しなさいというご意見をいただいています。

また、指定管理をしている公益財団法人和歌山下水道公社が、運営(業務の一部)を別の業者に任せていますが、数年間にわたり同じ業者が受注をしている、しかも、金額が当該業務委託の入札について、予定価格の事前および事後公表は行っていませんが、結果として、全ての業者の入札金額が予定価格に近い金額であるということから、入札の競争性に課題が見られるという厳しいご意見も頂戴しています。この点も、真剣に真摯に受け止めさせていただきたいと思っています。
 いずれにしても、受益者負担が原則でありますので、10年間、15年間単価が上がっていないということについては厳しいご意見をいただいているので、これは、県としても真摯に受け止めていきたいと思っています。
 今回、このようなご意見をいただきましたが、例えば、下水道公社の非公募選定の課題については、2018年にも外部監査で指摘をされている点で、2018年に指摘を受けながら、現在まで見直してないことについても、ご意見を頂戴しています。県知事としては、このご指摘等を踏まえて、しっかりと改善をしていきたいと考えています。

ドローンを活用した災害対応ガイドラインを策定しました!

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 三つ目が、ドローンです。ドローンについては、市町村が主体となって災害対応をしていただくことになるので、ドローンを活用した災害対応ガイドラインの策定をさせていただきました。
 資料にあるとおりで、ガイドラインですが、本県の約3割の市町村の防災部局が、まだドローンを導入されていませんし、導入していても、具体的な活用方法の検討が進んでいない市町村が多々見られるので、この辺について県でガイドラインを作りました。これに沿って、ぜひドローンの防災活用をお願いしたいと思っています。

そのためにも、財政上の取組で、この(2ページ目)横紙の資料の一番右下ですが、導入にあたって、いろんな財政措置があり、国の財政措置もあります。「緊急防災・減債事業債」だと、起債でドローンの購入費用が賄えて、返済は交付税算定が70%という、大変有利な財政措置もあります。その他、「デジタル田園都市国家構想交付金」、或いは県単独の補助金も補助率2分の1で用意しているので、そういうものを使っていただいて、ぜひ、ドローンを積極的に活用していただきたいということです。ガイドラインの詳細については、担当部局に直接お伺いいただければと思います。

 最後に報告です。資料はありませんが、和歌山県では、従来から、一年間を通じてノージャケット・ノーネクタイということで、軽装で執務することを提唱していて、若い皆さんは軽装で執務していただいていますが、全体に浸透していません。もちろん、クールビズやウォームビズも止めて、そういう言い方をしないで、一年間を通じてカジュアルな軽装でエコに徹してやりたいと思っています。それで、4月1日の9時40分から、新規採用者の辞令交付式を県民文化会館でやりますが、ドレスコードはカジュアルにしました。新卒の方には、最初からそういうのを知っていただいて、これからは軽装で執務していただく。若い人から率先していただくため、4月1日の新規採用者辞令交付式のドレスコードは、カジュアルということにさせていただきます。皆様方にもご理解をいただきまして、一年間を通じてノージャケット・ノーネクタイの軽装で執務を徹底していきますので、よろしくどうぞお願い申し上げます。
 以上です。

質問と回答

読売:石川県への視察です。最初に馳知事とも面談されたということで、例えば、和歌山県に対する要望や、何かご発言の中で印象に残ったことはありますか。

知事:さっき言いましたように、関西広域連合としては3月末ぐらいで支援を続けるかどうか考えたいということでしたが、馳知事からは、もう少し応援してほしいということでした。それは関西広域連合の中で検討しますということで、さっき言いましたように、延ばしていく。
 馳知事が現時点での最大の課題は、仮設住宅だとおっしゃっていて、大森町長もおっしゃっていました。能登町も仮設住宅が完成していましたが、仮設住宅がないと避難所が閉じられないのでなかなか大変で、避難所におられる方の中でも、水道が戻って、自宅に何とか帰れる方も少しはいらっしゃるようですが、やはり、仮設住宅の希望者と建設のスピード、或いは供給戸数に差があるということで、とにかく、現状、仮設住宅の建設が最大の課題だとおっしゃっていて、そうだろうと思いました。そういうことも含めて、県の防災計画等は今後見直していきたいと思っています。

産経:今回、初めて被災地に入られて、仮設住宅の件を挙げられました。災害の当初の対応から今の段階という流れで来ていると思いますが、その中で、一番重要なこととして何をしなければならないと感じたか、教えてください。

知事:たくさんありますが、今、避難所の運営も行われていて、避難所では、トイレの問題と温かい食事が最大の課題であることがよく分かりました。先週の木曜日時点でも、能登町役場の周りで、なかなかご自宅に戻られても煮炊きができないようなご家庭がまだあり、炊き出しのキッチンカーが2台出ていて、大勢の方が、雪降りしきる中で並んでおられました。そういう意味では、トイレと温かい食事です。能登町には、群馬県のトイレトレーラーが置かれていて、ある程度、上水はきていますが下水がなかなか使えないので、トイレトレーラーを使っている避難所が他にもいくつかあったので、やはりトイレトレーラーは有効かなということを思いました。

それから、仮設住宅は、能登半島もそうですが、紀伊半島もなかなか適した土地がなかなか難しいということもあろうかと思います。ぜひ、市町村の皆さんと、もう一度、災害が起きた時の仮設住宅の場所、或いは準備、できるだけ速やかに建設するための手立て等について、早く見直しをしていきたいと思っています。つまり、仮設住宅ができないと避難所が閉じられない問題があるので、そこが最大の課題だと思いました。

共同通信:ドローンのガイドライン策定に関してです。以前、知事も説明されていた部分もあると思いますが、改めて、南海トラフのリスクも抱える和歌山にとって、災害時にドローンを活用する意義、どういうところで有用性があるかの考えを教えてください。

知事:まず一つは、事前にいろんな点検をするのに、ドローンは役に立つ。それから、実際に災害が発生した時に、孤立集落等ができた場合の被害状況は、本当にドローンで上からリアルタイムで把握できる。それから、これはさらに次の課題ですが、大型のドローンであれば、ある程度の物資が運べます。これについても、できれば民間企業と一緒に連携協定を結んで勉強したいと思っていますが、そういう、2段階、3段階の使い方があると思います。今回の能登半島地震で分かったように、孤立集落がでた場合、ドローンは相当戦力になり得ると思いましたので、現場を預かっている市町村の皆さんと一緒に勉強していきたいと思っています。

共同通信:ノーネクタイを推進していくということで、4月1日の入庁式もそれでやるということですが、改めて、そういう形をとることにより、職員の意識というか、どういう狙いで、ノーネクタイ・ノージャケットを推進するのか教えてください。

知事:一つは、まさに環境問題です。元々は、夏のクールビズから始まって冬はウォームビズということで、設定温度を夏はできるだけ冷房の基本温度を上げる、冬は暖房の温度を下げるということの一環として、軽装で或いはセーターを着込んでやっていくということからスタートしていますが、県庁の仕事で、わざわざ(ネクタイで)首を絞めて仕事をするのは、多分能率が上がらないと思います。それから、これは私の個人的な思いですが、ジェンダー平等なので、女性だけカラフルで首回りを締めなくていいのに、なぜおっさんだけ首を絞めなといけないのかは、ジェンダー不平等ではないかという思いがありますが、できるだけカジュアルな気分で仕事をした方が絶対に効率が上がります。みんなで、カジュアルに気楽に、そうすると職場も明るくなるし、上下の意思疎通もやりやすくなるのではないかと思っています。今は、主な金融機関の皆さん、年中通してノージャケット・ノーネクタイで、一番お堅い金融機関でもそうなので、県庁が率先して、みんなでノーネクタイ・ノージャケットで、明るく楽しく働いていきたいと思っています。

NHK:石川県の派遣に関しての質問です。お話の中で、仮設住宅、トイレ、温かい食事の問題が課題としてあるとおっしゃっていましたが、南海トラフ巨大地震を考えた時に、和歌山県では、どれが一番優先して取り組むべき課題であると感じたかどうかと、防災計画の見直しで、その課題に対応するために、具体的に今後計画の中に盛り込まないといけないことや考えていかないといけないことは、どんなことだと考えられましたか。

知事:先ほどは一般論で申し上げましたが、まさに半島ということで、同じことが起きると思います。つまり、南海トラフの場合は、海岸がやられて港も多分やられるでしょう。それから、能登空港が長い間使えなくなりましたが、熊野白浜リゾート空港がどうなるのかも、同じような課題だと思います。それから、道路も少ないので、道路が寸断された時に孤立集落が発生するということで、そういう課題がいくつか浮き彫りになってきたと思います。それから、避難所の運営や仮設住宅のスピーディな建設等々についても、今、職員の皆さんが現地で研究してくださっているので、そういうことを含めて、危機管理部でしっかりこれから具体的に進めていきたいと思っています。

紀伊民報:キッチンカーやトイレトレーラーの話ですが、県の購入予算について、県議会の総務委員会で意見が付いたと思いますが、それについての受け止めをお願いします。

知事:特に、私どもの説明が不十分だっただけではないかと思っています。多分に誤解をされている部分があるのではないかと思っています。例えば、トイレトレーラーについては、市町村が避難所の運営を任されているので、私どもとしては、市町村の皆さんにトイレトレーラーを整備していただいてはどうかとお願いするわけです。
 現実に、能登では、全国から20台ぐらいのトレーラーが入っていますが、実は、一般社団法人が互助的な運営をされていて、県として群馬県も入っていましたが、それぞれトイレトレーラーを持っている市町村が、何処かで災害が起きるとみんなでそこへ運ぶという運動をされている。

例えば、和歌山県に30市町村あるので、30市町村が1台ずつ買っていただいたら30です。これは、南海トラフの時は足りないかもしれませんが、仮に、去年の台風災害のようなものの大きいものが起きて、局所的な災害が起きたら、和歌山県下の30台のトイレトレーラーを一気にそこへ持っていけば、避難所の運営が非常に楽になる。そのような使い方をしていったらどうか。もちろん、全国的な互助組織に入れば、普段空いているトイレトレーラーは、被災地にみんなで持っていって、今度、和歌山が災害を受けた時に、避難所には、全国からそのグループから応援に来ていただく。今回の能登で起きたようなことも期待できるということで、それをお願いするという趣旨です。
 ただ、それを市町村にお願いするのに、現物もなくてご説明するのもなかなか説得力がないので、実証実験的に県としても1台買って、それをいろんな場で運用しながら、市町村の皆さんに使い勝手を知っていただいて、そういう輪の中に入っていただくかどうかをお願いするためのツールです。ただ、群馬県もそうでしたが、和歌山県として1台持って、例えば、そういうグループに入れば、他の被災地に和歌山県からもトイレトレーラーをお貸しすることができるし、他の市町村からも応援をいただける。そういう、割と視野の広い構想の元にお願いをしていましたので、どうも、我々の趣旨がなかなかご理解いただけなかった。私どもの説明が下手だったのかなということで、説明の仕方については反省していますが、内容については自信を持っています。

紀伊民報:詳細に検討されたとは言えないということは、そうではないと否定される。

知事:もちろんです。予算を作るのは、半年掛けて、ものすごい時間と労力を掛けて作成するものですから、そういうことは全くございません。

NHK:県議会を振り返っての質問です。県の財政状況の質問も複数出ていたと思いますが、改めて、今の県の財政状況の受け止めと、これから健全化に向けてどういうことが必要になるか、お考えをお聞かせください。

知事:予算説明の時に皆さんに資料をお配りしましたが、新型コロナの時に政府からいろんな手厚い援助がありましたので、そのお金を上手に積み立てて、その積立金で、特に、大変急激に増えていく借金の償還に充てていくというような、財政危機警報に基づくプランを作りましたので、実は、令和7年ぐらいまでは、何とかしのげるのではないかと思っていますが、この前お渡した資料にあるように、公債費、借金の利子の返済だけでも、令和6年度に比べて、先々、50億、100億円と増えていくわけです。これを、途中は、さっき言った積立金で半分ぐらい返しながら何とかやりくりできますが、その先はなかなか厳しい。かつ、借金の返済なので、元本償還の金額が決まっているし、利息は、まさに日銀が金融政策を変えましたので、金利は今後上がっていくと思います。そうすると、まさに、今計算しているよりも金利の上昇があればさらに返済が増えていく。
 人件費についても、我々が想定している以上に春闘で値上がりがしているとなると、人事委員会から秋に勧告を受けます。それに基づいて県職員の給与も上げていかないといけないことになると、人件費も上がってきます。
 それから、高齢化による社会保障関係費の増加もある程度見込めるので、あの表で、実は10年延ばすと1000億円ぐらい足りなくなりますが、ともかく、令和8年度以降は相当厳しい状況になるのではないかと思っています。
 ただ、それに対しては、税収を上げていくという努力、観光産業、第一次産業、さらには和歌山の各種の産業を盛り立てて、しっかりと利益を出していただいて、税収を上げていくというようなことも含めて、ありとあらゆる手段を行っていきたいと思います。先ほど、包括外部監査で、流域下水道事業の運営について、大変厳しいご指摘をいただきました。県が、税金を繰り入れているわけですが、その繰入金も減らさないといけません。そういうこともしっかりとやっていきながら、歳出の見直しも不断にやっていきたいと思います。
 来年度予算においても、今年と同じような15%のシーリングという乱暴なやり方はできないかもしれませんが、事業については不断の見直しを行っていくというようなことで、何とか、令和8年度以降も、単年度やりくりをしていきたいと思っています。

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