知事からのメッセージ 平成31年2月22日

知事からのメッセージを紹介します。

平成31年2月22日のメッセージ

関西テレビ放送「報道ランナー」に感謝

 2月15日関西テレビの報道ランナーで、和歌山が取り上げられました。ロケット発射場、IT産業、IR、白浜空港民営化などを取り上げてくれて、和歌山は今熱いという感じの報道をしてくれました。
 それで県下の取材をやった上で知事の話を聞きたいという事で、堀田さんというなかなか格好良いアナウンサーが同日昼インタビューに来てくれました。

 当日すぐに東京に行く用事があったので、番組は録画して少々後で拝見しましたが、和歌山の事を誉めてくれてありがたい番組でした。もちろん番組の性格上面白おかしくという感じでやるのですが、いい紹介をしてくれたと感謝しています。
 堀田アナも頭のいい人で、のりがよいので、私もたくさんしゃべりました。堀田さんのおかげで結構いい対談であったと思いますが、番組の性格上、ほんの少ししかつまんではくれません。せっかくのいい対談で、私もわりと包括的に和歌山のこれまでとかこれからの生きる道とかを語れたと思いますので、この際、インタビュー全部をこの県庁ホームページの「ようこそ知事室へ」の「知事からのメッセージ」の欄を借りて掲載します。

 なお番組は、関西テレビのホームページ「報道ランナー」の特集コーナー/バックナンバー 2019年2月15日放送分【走れ!ギモン調査部】「なぜ大型誘致続々 和歌山いまスゴい!」で見ることができます。



【以下インタビュー全文】

KTV :和歌山を色々調べているが、和歌山がスゴいことになっている。
ロケット射場誘致があり、白浜のIT企業誘致があり、まだ、目玉の誘致がありますよね。
知事: IRですか?どうなるかわかりませんが。今言われたヤツでも、ロケットはまだ決まりじゃないし、それから、IT産業はちょっときているけれど、ポテンシャリティから考えると、まだ100倍ぐらいいくのではないかと思う。また、いかさなければいけない。
まだちょっとですよね。ほんの数十人、100人を超えたぐらいだから、日本のIT産業の流れをみれば、もっといってもおかしくない。

KTV :IRについては、もう誘致を進めているわけですよね。
知事: はい。もう進めています。最終的には政府がお決めになることだけど、3つしか選ばれないから。大阪は当確だと思う。大阪をペケにしたら万博がつぶれてしまうので。だって、万博のインフラをIR事業者にやらせようということでしょ。だから、IRダメとなると自分たちでやらないといけないので、万博がつぶれちゃう。それで大阪は決まりと思うが、残り2つに入らないといけない。ポテンシャリティーからいえば、十分ありうると思う。業者に聞いても、そんな雰囲気でありますね。何故かというと、それは、関空に近いからですよ。それから、京阪神地方に、やっぱり和歌山は近いんですよ。だから、人口が結構ある。これは、大阪と似たところですが。それから、和歌山マリーナシティーというものが完成している。昔、リゾート博を開催した場所。コンクリートでびしっと固めていますから。インフラもちゃんとできています。政府が認めてくれたら、今から2年後には完成する。それから、あそこは、マリンレジャーの中心地です。セーリングのナショナルトレーニングセンターとなっている。オリンピックの強化センター。そんなのがバシッとあるところですから、海洋レジャー型のIRが、最も適合的にできるんです。だから、それをちゃんと評価して頂けるように、我々も頑張ってアピールしていかなければいけない。

KTV:自信のほどがありそうですが。
知事:自信というか、合理的に考えると、数学的に計算すると、そりゃ2番目に入ると思いますよ。色んな政治とか不合理な要素が入ってくると、ちょっと困るなというのはありますね。

KTV:具体的に和歌山のIRはどのような計画をされているのか。
知事:基本構想を大阪なんかよりも先に出していて、だいたい年間3000億円ぐらいの経済波及効果がある。企業からも調査したが、そのような結果です。我々は何がうれしいかと言ってやっているかというと、経済発展のためにやっているわけです。もともと和歌山県の県民所得は全体で3兆5千億円ぐらいしかない。そうすると1割弱ぐらいあがるんです。それだけ経済波及効果は高い。それならば、一生懸命やらないと、ずっと眠ってたわけだから。そろそろがんばろう、ということですね。

KTV:眠ってたんですか、和歌山?
知事:眠ってたんですね。何故、眠っていたかというと、それは、ドタバタしなくても大丈夫だったからです。戦後、どこも焼け野原になったが、和歌山は復興がすごく早かった。私の子どもの頃、昭和30年代から40年代、結構、和歌山の相対的な地位は高かった。例えば、人口で言うと、当時も100万人近くあって、滋賀県や奈良県よりも20万人ぐらい多かった。それが、今や、和歌山は100万人を切っているが、滋賀県や奈良県は140万人ぐらいいる。それだけ、彼らは発展したんです。和歌山はあまりしなかった。
 それは何故かというと、2つあって、1つは、発展の条件が、戦後からそのころまではよかったんだけど、それから先の条件が、客観的に見ると、和歌山は悪かった。例えば道路。全国14000キロメートルの計画がある高速道路の完成率で、和歌山県は、私が知事に就任したころは、なんと37%。ビリから2番目。そうすると、色んな投資をしようとしたときに、不便なところに行けないよね、となってしまう。そうすると、ちょっとしょぼくれてくる。今は80%ぐらいで平均並みになった。大分、回復してきた。
 もう一つは、余裕があったから、新しい産業を誘致しようとすることにあんまり熱心でなかった。和歌山が調子が良かった当時、産業のだいたい70%が鉄鋼、化学、石油。これは、今も同じなんです。ところが、日本経済は、そのころからつい最近まで何がエンジンになって伸びてきたか、また、これからは何がエンジンになって伸びてくか、それぞれ違うでしょ。例えば、しばらく前まで自動車であり、電機・電子・精密機械、そういうハイテク産業ですよね。これが日本の中で、最近で言うと、製造業の30%ぐらい。和歌山が調子よかったころは、10%強ぐらい。そういう中で、和歌山に電機産業などが一杯来たかというと、全然来ていない。ほとんど0%から0%ですよ。まあ、ありますよ。部品メーカーであったり、立派なIT企業や精密企業もあるんですが、そりゃやっぱり、大きな企業がたくさん行ったところとそうじゃないところでは違う。さっき言った人口の問題に結びつけると、例えば国土軸、高速道路とか新幹線、みんな滋賀県を通っている。奈良は、大阪のベッドタウン。高速道路が通っているところには新しい産業がバンバン来る。そうすると発展していくわけですよ。
 じゃあ、これからもそうしたらいいかと思って、企業誘致も一生懸命やっているし、県内の産業も頑張れと、新しいことをやって頑張れと、そのための道具は一杯作っているわけですが、新しい大きな投資というのはもうあまりないんですよね。例えば、私が就任した頃に、最後の輝きがあった。大きな投資があった。シャープの堺であったり、パナソニックの尼崎のプラズマであったり、姫路の液晶であったり、そういうのがありましたよね。ところが、その後、一桁減っていますよね。いくら大きいものでも。もっと小さいものが多いわけですが、そんな小さいものを和歌山は一生懸命集めているが、やっぱり、乾坤一擲ということになると、次の産業のことを考えなければならない。だから、日本は次の産業のことを考えている。そうすると、例えば、ITみたいな高度なサービス業ということになるし、それから一方では観光とか、もう一つは、観光の究極がIRですよね。つまり、新しい遊び方を提供してたくさんの人に来てもらう、というのがIRですよ。政府はそう考えているはずなんですよね。だから、でっかいもんじゃないといけないと、法律で決めていますよね。だから、そういう成長戦略を、眠っていた和歌山ではいけないので、起きてキョロキョロ見ると、そういうところだなあということで、一生懸命やらないといけない。
 ロケットだってそういうことで、今までは、科学技術の発展ということで政府が中心になって引っ張ってきた。だけど、今、すごく小型の衛星を簡単に作れるようになり、それをたくさん打ち上げて、それらは耐用年数が短いから、どんどん打ち上げる必要がある。そのためには、でっかいロケットは必要ないので、ちっちゃいロケットでボンボンと打ち上げたらいい。そのときに、どこがいいかというと、これは悲劇の和歌山の部分、すなわち津波がすぐ来るという、何故かというと、南に突き出しているからですよね。南に突きだしているということは、そこから打ち上げると、赤道の付近に行くのが一番いいわけですが、ものすごく楽ちんなんです。北から打ち上げると損なんです。ですから、突きだしているところに立地のメリットがある。今までのハンディキャップをひっくり返すという戦略ですよね。それから、ジオパークで頑張っているんですが、これも津波と裏返しですよね。あれだけ複雑な地形があるところって、日本でも、まあないんですよ。それは、津波が来るということとひっくり返しで、あの近くで海底が潜り込んでいるから、ああいう地形ができている。こういうのも観光系の一つ。まあ、色々と一生懸命頑張らなければいけない。

KTV:ものすごく知事もアイデアをお持ちで。
知事:アイデアはたいしたことないですよ。論理的に考えるとそうなるでしょ。

KTV:色々取組されているじゃないですか。和歌山が頑張っているのは、何が一番大きいのですか。
知事:和歌山は生きていかないといけないでしょ。そうすると、NHKになりますけど、チコちゃんみたいに、ぼっーとしていたら取り残されるでしょ。働き場所をたくさん提供していかないと、みんな余所へ行ってしまいますよね。そうすると、人口がどんどん減っていきますよね。我々には、余裕があって、発展していた時期があったんですが、その頃からずっと一貫して余所へ行っている訳なんですよ。有意の若者が。そんなに働く場所がないので。これだけしかないと、ここは満員であると。それじゃあ余所へ行かないといけないということですよね。
 和歌山にもいい企業はたくさんありますから、農業も中々明るいと思いますよ。果樹生産額日本一を久々に奪還しましたからね。ずっと負けてたけど。だからそういうところをアピールして、それで、若者に残ってもらう。だけど、残ってもらうだけじゃやっぱり足りないから、余所からも来てもらえるようなものも、バンバンバンと作っていけば来てもらえる。それを一生懸命やっていかなければいけない。それから、その前提としては、例えば、インフラの整備とか防災、医療、教育とかもきちっとやっていかなければいけない。

KTV:知事が言われたみたいに、一番のきっかけというのは、人口が流れているということか。
知事:もともと、オールジャパンで、今、一番大変だと思っているのは、人口減少でしょう。和歌山はそれの先進県ですよね。だって、社会減が大きかったから。社会減が大きいというのを放置しておくと、今度は自然減にもつながっていく。高齢化が進むので。この問題の先進県の和歌山が、このままじゃいけないよね、と思うのも一番早いはずですよね。チコちゃん的にいえば。

KTV:このままだと、和歌山では若い人がどんどん減っていくし、こりゃいかんぞといったところで・・・
知事:そうですよね。その時に、2つやることがあって、1つは嘆く。嘆くとですね、共感を呼ぶんですよ。だいたい、「世界は複雑化しておりまして・・・」、「我々には、中々景気の芽が、地方には及びません」、「まだまだ辛い」とか。あれをやると、半分ぐらいすっとするから、次の原動力がなくなるんですよね。もう一つはかけ声だけをかける。「命がけで頑張ろう」とか。そんなことを言っててもしょうがないですよね。論理的な問題なんだから。その原因をきちんと把握して、それで直すべきところは直していく。突っ込むべきところは、突っ込んでいく、ということを一生懸命やらないといけないですよね。まあ、私は、行政は技術だと思っています。あるいは、科学かもしれませんよね。

KTV:県から人が減っていってしまったら、それは、大きなダメージになるのですか。
知事:人口が少ないと言うことはダメージではない。定常的に人口が少ないというのはそんなにダメージではない。だけど、人口が、ある程度あったところから、どんどんと減っていくということは、高齢者ばっかりが貯まるということですよね。これは、いろんな意味で辛いですよね。それは、当然そうなりますよね。そうすると、それはあんまりよろしくないので、それから、やっぱり、たくさん人口がいた方が楽しいじゃないですか。だから、それを定常的にずっともっていくようにするにはどうしたらいいか、というと、条件を整え、それで経済活動が盛んになり、そして、戦略的に産業を育て、あるいは足りないところはやっていく、とうことを一生懸命やらないといけないですよね。

KTV:そのために誘致を色々とやっているということですよね。
知事:製造業なんかも随分やったんですよ。二百何十社ぐらい来てもらったんですけどね。私が就任してから。私が就任したときに、ちょうどそのときに、最後の炎が輝いたヤツがあったが、そんなに大きなものはもうないですよね。

KTV: じゃあ和歌山の製造業・・・
知事:農業特化係数も高いんだけど、特化係数を考えたら2%強ぐらいですものね。全国は1%ですから。製造業は20%ぐらいあるかな。かなり特化係数が高いんですよ。みんな、ものづくりがうまいんですよ。うまいんだけど、もうこれでいいやと思って、ずっと同じことばっかりやっている感じも若干あるので、それで何十年か遅れたんですね。それもやむを得ないところもあるんですよ。そんなハングリーじゃあり得ないものね。私が学生のころは、和歌山って出稼ぎなんて一人もいないですからね。そんなことしなくても、みんな悠々と暮らしていた。だけど、あのころに、東京には、集団就職はそろそろなくなりつつあったが、それでも出稼ぎのお父さん達ってのは一杯いた。だけど、そうした地域の産業構造はコロッと変わっていますので、今は、そんなことしなくてもいいでしょ。だから、頑張ったんですよ。我々もこれから、また頑張るんですよ。そういうことですよね。

KTV:時代の転換にうまく乗って・・・
知事:そういうときに、嘆いているだけとかけ声じゃいけない。何をしなければいけないかをちゃんと見極めなければいけない。そして、有力なところに手を打っていかなければいけない。

KTV:それだけ、和歌山にはポテンシャルがあるということですか。
知事:それはそうでしょう。なければこれはできませんよ。さっき言った3つとも全部できませんから。ロケットなんて、南の端でないと絶対できない。それから、ITは白浜・田辺の温泉を中心とする絶景の観光地と空港がなきゃ絶対できない。それからIRは、関空が近いところにでっかい広場がなけりゃ絶対できない。

KTV:それだけのポテンシャルを持っていて、まだ活用し切れていないところがあるということか。
知事:そういうことですね。

KTV:まさに、知事がおっしゃった、眠っているのを呼び起こしてということですね。
知事:そういうことですね。

KTV:だから、今和歌山がすごいと見えるんですね。
知事:いやぁ、それは堀田さんの主観ですよ。堀田さん、産まれ高槻でしょ。高槻から見ると、和歌山って和泉山脈の向こうの、ちょっとボーッとしている、チコちゃんにしかられそうな、そういう風に思っていませんか。それが、生意気にもちょこちょこやっているから、意外と頑張っていると。こういう感じになっていません?

KTV:ちょっと大阪から見るとそういうところもあったかも知れない。行くにしてもちょっと遠いしとか、自然もおいしいものも一杯あるし、温泉もあるが・・・
知事:遠いんですよ。ところが、堀田さんが、産まれる前はどうだったかというと、遠くないんですよ。遠い近いは相対的なものなんですよ。それから、時の交通手段の主流が何かによって、遠い・近いが決まってくる。例えば、今は高速道路ですよね。自動車でくるから。それで、もう遠くなくなったんですけど、しばらく前までは、例えば白浜に行くには、高速は南部ぐらいまでしか出来ていない、もっと前は御坊ぐらいまでしか出来ていない、そういう状態がずっと続いたんです。そうすると、あんな道を行くのも、景色はいいけど、ドライブは楽しいけど、時間がかかって仕方がない。その前は、鉄道の時代だから、特急がちゃんと来ていたんですよね。今でもあるけど、同じぐらいの時間で。大阪から考えると、例えば、能登半島に行くのと、下関に行くのと、白浜に行くのと、どこが一番近いかというと、白浜の方が近かったに決まっている。ところが、今どうかというと、下関にフグを食べに行こうと思ったら、新幹線でビュッといけるわけ。白浜は昔と同じ。能登半島なら高速でビュッと行けるわけ。だから、そういう意味で遠さが発生してしまったわけ。だから、遠さを克服しなければ、やっぱり多くの人に来てもらえない。だから、克服しようと思って頑張っている。大分、整ってきて、今は全国の平均並みなんですね。まだ、残ってますから。これ100%の県が一杯あるんですよ。

KTV:じゃあ、ようやく条件が整ってきて、さあこれから、ということか。
知事:これからだけど、次は、これから発展しそうな産業をできるだけ狙っていかなければいけない。それから、派手なことばっかりやってもしょうがないから、例えば、和歌山は裾野産業が強いんです。例えば、この間、タンカーがぶつかって関空の橋桁が壊れた。あれ、どこで修理したか知っていますか?一つは堺で。もう一つは和歌山なんです。和歌山も貢献しているんですから。鉄骨・橋梁メーカーで優秀なのが結構あるわけですよ。中堅企業で、大企業もありますかね。そういう企業も一生懸命やってるし、それから、ボーイング787の翼、炭素繊維で出来ているが、炭素繊維はばらばらになる。羽がばらばらにならないようにひっつけなければいけない。その接着剤を作っているところとか、硬化剤作っているところとか、化学物質作っているところとか。だから、あのボーイングは、和歌山の企業がなかったら、ばらばらになって落ちる。そういうのがたくさんあるんです。たくさんあって、そういう企業も、もっと、伸ばすといいと思うから、投資規模はせいぜい、数百億円を下回って数十億円規模が多いんだけど、それでも頑張って伸ばしていけば、それは雇用につながっていくわけです。一方、全国どこでもそうだけど、今ある企業が、世の中が変わってきたら、しょぼくれていくわけです。そしたら、こっちがしょぼくれてきたら足していかないと、地域はしょぼくれていくわけです。ですから、派手なところばっかり、新しいことばっかりを狙ってはいけないんで、今あるところも全体をあげていかないといけないんだけれども、例えば、ロケットとかITとかIRとかは、絶対狙っていけばいいんですね。狙えないものは狙わない。例えば、金融の中心になりたいなんて、絶対無理ですよね。

KTV:他にこれを誘致したいというアイデアはあるんですか。
知事:あったら全部やりますよ。ないということは、とりあえずないということです。

KTV:じゃあ、今はロケットとITとIR。これは十分力はあるし、現実的に狙えるもんだからということですか。
知事:そりゃそうですね。

KTV:今までお話し頂いたのとちょっと重複するかも知れませんが、改めて、和歌山の未来、どんなふうになればいいと考えますか。
知事:和歌山ってのは、立派な地方、田舎って言う言葉は使いたくないんですが、立派なきらきら光る地方になればいい。なんと言っても関西では大阪だし、日本では東京もあるしということなので、そういうものの全部をこっちに持ってくるというのは無理だと思います。両方とも協力しながら、発展すればいい。ただ、大阪を見たら、歴史が古い開発されたとこだし、東京に比べて平面的に発展しているんで、緑がゼロですよね。まちの中が。あれ、ずっといたらつまらんでしょ。あそこで働いて緊張ある生活をするのも楽しいけど、ずっといると楽しくないよね。やっぱり楽しいためには、時々は、和歌山みたいな緑の豊かなところへ行きたいよね。それから、そっちに住みたいという人もいるかも知れませんよね。そういうのが自由自在に行ったり来たりできるような、そういうふうにしておけばいいわけでしょ。だから、一緒に栄えるような構造をうまく作っていけばいいと思うんです。

KTV:何でもかんでも和歌山に持ってこい、というんじゃなくて。
知事:そりゃ無理ですよ。

KTV:明るい未来を描いていらっしゃいますよね。
知事:明るい未来って、そんな楽観的なものじゃないですよ。必死で働いたら、ひょっとしたら、ちょっといいところもあるかもしれない、ということでしょ。人生ってそういうものだし、社会もそんなもんですよね。怠けていたらやっぱりダメになりますよね、それから、間違ったことをやっているとダメになる、ええ格好しているとダメになる。

KTV:じゃあ、和歌山の持っている力で・・・
知事:一生懸命やろうということです。
KTV:今の和歌山の経済、産業の状況というのを一言で言うとどういう状況ですか。
知事:今というか、ちょっと過去を考えると、やっぱり少し停滞していたところがあった。それは、割と産業構造とかが昔からそんなに変わっていない。そうすると全体的に沈んでくるから、他のところと比べると伸びていないというのはあります。それからそれをもたらしたものというのは、条件が悪かった、というのはあるでしょうね。例えば、高速道路が中々つかなかったとか、だから、いま、ようやく条件が大分人並みになってきて、高速道路も大分出来てきましたから、このままじゃいけないなと思って、和歌山の既存の方々も一生懸命頑張ってくれるようになった。だけど、もう一つ新しい、これからの分野というものを、次にもう一つ入れていかないと、一層の飛躍はなかなか難しいでしょうね。そういうところに来ているんじゃないかと思います。

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