知事からのメッセージ 平成29年12月

知事からのメッセージを紹介します。

平成29年12月のメッセージ

平成29年12月

クライエント

 最近は日本語の中にどんどん英語が入って来ましたが、この「クライエント」という言葉も普通に使われているようです。通常では日本語は「顧客」というように訳されます。最近では、顧客名簿というように他の言葉との熟語で使われる時もあるけれど、単体では堅い文章などでは「顧客」と言われても、もっと柔らかく言うときは「クライエント」と、むしろ英語を使って表現される方が多いように思います。もちろん、「お客さん」、「お客様」の方がもっと柔らかく使いますが。

 和歌山県庁の「クライエント」はもちろん県民の皆さんです。したがって、我々和歌山県庁は県民を大事にしないといけません。クライエントを顧客と考えると、その第1は気に入ってもらうということであります。お客さんに気に入ってもらうということです。県民に喜んでもらえることをして、がんばろうというわけであります。しかし、私は、それだけだと少し弱いなあと思うのであります。県民が気に入るかどうかだけではなくて、県民が本当に幸せになることをしないといけないと思っています。
 英語のクライエントという言葉はラテン語のクリエンテスという言葉から来ていまして、このクリエンテスの辞書的な和訳は被保護者であります。これに対置する言葉は、パトロヌスであって、パトロヌスはクリエンテスを庇護して、つまり守って幸せにしてあげなければならず、それをするからこそ、パトロヌスに従い、自分達のリーダーとして敬意を持つというわけであります。これは単に顧客、お客さんという意味に留まらないのであります。
 県庁にとってのクライエントである県民と県庁との関係も、単に県民に気に入られるだけでなく、県民を庇護して、本当に県民を幸せにできるかという事でなければならないと私は思います。
 気に入られて、人気はあっても、実際は県民を守ったことになっておらず、結局は後でしっぺ返しが来て、県が衰退したり、県民が困ったりしたらあまりよくはありません。
 したがって、時には県民に当初はいささか我慢してもらわなければならない事も必要で、一時不人気な事も必要なこともあるのです。その辺の事情を誠心誠意根気よく説明して、県民が最後は幸せになることを追求していかなければなりません。  和歌山県庁のクライエントは県民の皆さんですという時は、私はこのように、深い意味で言うべきだと思っています。

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