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知事からのメッセージ

知事からのメッセージを紹介します。

平成26年7月のメッセージ

平成26年7月

市町村消滅

 5月8日に日本創世会議が発表した調査結果は、日本中に、特に過疎に悩む地方の人々に衝撃を与えました。和歌山県ではのきなみ市町村の人口流出が顕著で、そのうち、こういう市町村では自治体を維持できなくなってしまうぞという懸念が一挙に高まったのです。

 和歌山県は、特に人口の減少が顕著で、その意味では日本全体の課題先進県のような所なので、特にこのような懸念は深刻に受け取られています。私は、このような懸念は正しいのですが、少し過大評価されているのかもしれないと思います。

 日本創世会議に限らず、将来の人口推計というのは多くの調査機関で行われています。賢そうな機関の頭の良さそうな研究員がやった事なので、私達は一も二もなく信じてしまうのですが、その結果真実の姿以上の過大評価が生じてしまうかもしれません。この手の人口推計で一番有名なのは、国立社会保障・人口問題研究所のものですが、この研究所は5年毎に各県別の人口推計を出しています。
 手元に1995年推計、2000年推計、2005年推計、2010年推計があるので、それぞれの推計で和歌山県の人口が2020年にどうなると言っているかを見てみますと次のようになります。104.4万人、100.1万人、94.9万人、96.1万人。あれれ、どうして違うの?しかもどんどん減ってきたと思ったら、2010年推計でどうして若干増しになっているの?というわけです。

 この答は、この手の推計の手法にあります。推計は計量経済学の手法を使いますが、手っ取り早く言うと過去の実績データをもとにして推計式を作り、それを将来に延ばす事によって推計値を得るのです。だから直近の実績がどんどん悪化してきたら、新しく出される推計値は5年前のよりも悪くなるし、少し改善されてくると、次の推計値は、前のよりも良くなります。
 和歌山は、過去は割と人口が多い所でした。また、一時は橋本市などに住宅開発がなされ県外からの人も移ってきたため、人口もむしろ増えたのですが、それが一段落すると、産業活動も近年、今一つであったこともあって、急に人口が減ってきたので、そのすう勢を取った人口推計値は、次々に出される毎に減少してきたのです。

 私が知事に就任した時、県庁職員の総意として、10年間の和歌山県長期総合計画(以下、長計)を立てようという話になりました。そこでいつも行っているように10年後の人口推計をしようという事になりました。その時担当職員が依拠しようとしたのが前述の国立社会保障・人口問題研究所の推計です。これによれば、10年後の2017年の和歌山県の人口は92万人だというのです。そして推計値は科学的だから正しいというのです。しかし、これは明らかな誤りです。現在も未来も過去のすう勢と全く変わらないと仮定すれば、この推計は正しいのですが、それでは何のための長計か分かりません。長計とは県のすう勢を良い方向に努力して変えていこうというものなのですから。私は皆に言いました。「計量分析の予測は事態が変わったら当たらない。皆で必死になって和歌山県を変える政策を考えたのだから、この政策が上手くいったらどうなるかという姿を推計値として示そうではないか。もちろん荒唐無稽な数字や単なる願望の数字はいけないけれど、いわば実現可能な最大の目標値を県民に示そう。」と。その結果、2017年には、従来通りで新しく何もしないと県の人口は92万人になるが、この長計に盛り込んだ政策に沿って県民皆が頑張れば、97万人に食い止める事ができるとしたのです。
 人口を増やすには、社会減を食い止め、自然減を食い止め、なろうことならそれぞれ社会増、自然増になるようにしなければなりません。社会減を食い止め社会増にするためには人々が働ける場を増やさなければなりません。企業立地の推進、農林水産業・製造業・観光業・建設業・サービス業全ての産業にわたる産業政策、さらにはそれを与えるための道路インフラなどの整備を一生懸命やっているのはこのためです。
 また、自然減を食い止め、自然増にもっていくためには、赤ちゃんをたくさん産んでもらえるように、少子化対策のほか医療、教育などの環境整備をやっていかねばなりません。
 こうして、和歌山県は長計を発表し、これに基づいて、様々な施策を打ち出し、県民の皆様を鼓舞し続けてまいりました。そして新しい実績値をカウントしてはじかれた数字が、2010年推計の数値です。2005年推計に比べ2010年推計の2020年予想は94.9万人から96.1万人にと少しではありますが改善したのです。
 この間、社会減が顕著に減りました。私が知事に就任した頃の平均が毎年5000人の減であったのが、今は毎年2000人台の減になってきています。しかし、まだ2000人以上の社会減がある事も事実です。また、合計特殊出生率が2005年で1.32だったのが現在(2012年)では1.53になって、少し赤ちゃんの数も増えてきましたが、まだ2.0には届きません。それに高齢化が進むわけですのでお亡くなりになる方も増えてきております。
 最近の実績では、2014年4月時点で県の人口は97.4万人と推定されています。長計の2017年の予測人口97.5万人をもう下回っています。92万人という過去のすう勢には少しだけ歯止めをかけることに成功したけれど、まだ問題解決に至ってはいない県の現状をよく表していると思います。
 日本創世会議の予測は確かにショッキングではありますが、予測の正体を正しく認識し、過剰に意気阻喪することなく、県民一丸となって頑張っていくしかないと思います。

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