知事からのメッセージ 平成24年6月

知事からのメッセージを紹介します。

平成24年6月のメッセージ

平成24年6月

道徳教育

 『13歳からの道徳教科書』という本を読みました。内外古今の逸話を、13歳からと銘打ってあるように平易な文章で読者に紹介しています。
 その逸話の中には、濱口梧陵さんの稲むらの火と串本・大島の町民のエルトゥールル号事件という本県に関連するお話が2つも載せられていて、和歌山県民として、まことに誇らしい思いがいたしました。
 日本人は皆教育熱心ですが、どうやってよい学歴をつけるか、よい大学に行くかに少し片寄っている気がします。私は一番大事なことは「いい奴」を育てることだと思います。大学でも実社会でも家庭でも、人生は皆人と人との関係です。「いい奴」なら、学生生活も豊かになるし、会社に入っても上司にも同僚にも部下にもお得意さんにも認められて、業績が違ってくるはずです。
 それならば「いい奴」を作るにはどうしたらよいか。私は子どもの頃から人の道を説くしかないと信じます。すなわち道徳を教えるということです。この点について、戦後教育は明らかに誤りをなしたと私は思います。戦争に負けたことは戦前のすべてが悪かったのだという考えで、人の道=道徳=戦前は修身の教育を否定してしまいました。そして、修身教育が軍国主義につながったのだからという思い込みで、道徳を教壇から説くことを教育者が躊躇してしまったのです。
 それでも長い時間をかけて形成されてきた日本人のものの考え方はそう簡単には変わりません。正義、正直、誠実、約束は守る、思いやり、優しさ、自己献身、社会・国家への愛情、・・・・日本人は、自然に行動することによって世界中で評価され、それが日本の戦後の経済発展につながったことは間違いありません。しかし、長い間の道徳教育への逡巡がその日本と日本人を次第に壊し始めているような恐怖を私は抱いています。したがって、まだ遅くない、この和歌山では人の道を教師が教壇から堂々と説こう。
 教育の現場までこの思いが届き、そして教員の一人ひとりが子ども達に人の道を説いてくれることを私は願ってやみません。人に道を説くことは、自らの人生を顧みることにもなります。子どもに言っておいて、それに反することはできない。社会の指導者が皆にそう説いて、自らそれに反することはできない。こうして教育を通じて、和歌山は世界に尊敬される地になるはずです。
 そういう人材を輩出する地域だとの評価が固まれば、和歌山出身の人材はもっと世間で活躍できるでしょう。また、そういう人材が育まれる所だと皆が認識したら、人々は和歌山にこぞりて集うはずです。これは企業誘致にも、観光にも、移住交流にも効果を及ぼすはずです。稲むらの火もエルトゥールル号も生んだ和歌山です。できないはずがありません。

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