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知事からのメッセージ

知事からのメッセージを紹介します。

平成23年2月のメッセージ

平成23年2月

政治主導

 昨年末、NHKの「坂の上の雲」を見ました。ロシアとの対決に際して、当時の政府元勲、首脳らが、ただ単に戦争に突っ走るのではなく、敵国の正確な把握、軍備の充実、外交努力、第3国への働きかけ、ロシア国内における後方攪乱(かくらん)など、いかに複眼的な幅広い戦略をもって、国を経営していたかがよく分かります。例えば、時の政府は、対露開戦を前に戦費調達のため高橋是清を欧州に、後方攪乱のため明石元二郎をロシアへ、そして第3国の世論操作と将来の和平調停を見越して金子堅太郎をアメリカに派遣しています。
 後の昭和の軍部の秀才幹部達が日中戦争など過去の自己の行為の正当化のために、大局観もなく、組織の論理だけで日米開戦へ日本を追い込んでいったことといかに違っていることでしょう。
 軍隊に限らず、官僚はもちろん企業の組織も、ともすれば、このような組織の論理で全体を誤らせることがあり得ます。そこに、より上に立つトップの政治主導の必要性があるのです。
 しかし、官僚でなく選挙で選ばれる政治家がリードしていたら、すべて誤りがなく、うまく行くのでしょうか。政治主導が成功するためには、政治家に真の大局観、見識があり、かつ、政治家が自己の政治的勝利や栄達でなく、祖国や郷土に対する献身を常に心していることが必要です。
 政治主導とは、政治家が何もかも考え、決めることだと主張して、官僚の知識や貢献意欲を封じてしまっている姿を政府のみならず、あちこちで見ます。せっかく税金を投じて働いてもらっている官僚がいるのなら最大限使わなければ損です。一方、官僚が自分達のために組織の論理で働いてはいないかということを見抜き、これを是正し、世界はどうなっているのか、日本全体から見るとどうなのか、また、他の政策も含めて副作用や悪い影響は出ないか等々につき、政治家は、官僚に負けない見識をもっていなければなりません。また、官僚が提言してくれた案を自分が正しいと信じる所に従って採用して、責任を取ってあげないと官僚も浮かばれません。行政についての知識、どこまでできるのか等の相場観のない政治家を抱いた組織が治める地の住民は悲劇です。決断できない勇気のない政治家を上司と仰ぐ官僚は気の毒です。ましてや政治主導の名のもとに、党利党略のために、政策をほしいままにしたり、果ては自己の保身と栄達のために政策を利用している政治家は、指弾されなければなりません。
 昨今、政治主導の名のもとに行われている、あまりにもひどい事例を見るにつけ、少なくとも和歌山県政だけは、知事も県職員も常にこのことを自戒しつつ、県の進むべき道を誤らぬようにしなければならないと思う次第です。

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