知事からのメッセージ 平成22年5月

知事からのメッセージを紹介します。

平成22年5月のメッセージ

平成22年5月

縦割り思考の弊害

 縦割り行政の弊害ということがよく言われます。国でも地方公共団体でも、自分の属する組織のことばかり考えて、自分の仕事でないと思ったらもう知らん、あるいは自分の仕事がちゃんとできていればそれで十分だと考えたり、関係する部局と調整して全体として力を発揮していこうということには消極的、とまあこういったことが批判されるのです。
 私は、和歌山県ではこういう弊害は極力なくそうと考えており、そのように日々職員を指導しています。例えば、県民の方が県の担当部局に聞いた時、「それは県の仕事ではありません。市の仕事です。」と言われたら県民の方は途方に暮れてしまいます。その場合でも「自分が市の関係の○×に言っといたから、そこへ行ってください。」と言われたら、どれほど県民の方はうれしいでしょう。こういう態度を奨励しています。また、部内でいろいろな政策を検討したり、何らかの措置を指令する時も、関係部局をできるだけ一緒に集め、問題意識から共有して、以降、検討や実施の際に協力してくださいねとお願いをすることにしています。
 さらに最近思うことは、行政が政策を考える時、思考が縦割りになってはいないかということです。ある政策をしようとすると必ず何か別の分野に影響が出ます。場合によっては副作用みたいなことも起こります。「ああすれば、こうなる」のです。立派な行政はそれを予見して、変な副作用が出ないような政策を考え、また、その副作用を除去できるような政策も併せて実行するように総合的に考えることであります。それぞれの部下が、それができない時は、トップが全体を見て、他の分野への悪影響などもカウントに入れて政策決定をしなければいけないと思います。高速道路料金を下げると、フェリーが危なくなりはしないか、地球温暖化防止に逆行しないか、財政は大丈夫か・・・。最近の国政を見ていると、政党人も官僚もこういう総合性が段々とうすれ、皆、縦割り思考になっているような気がします。「ああしたい。でも後は知るか」になってはいけません。行政の任にない人々は、わりと一つの方向からの要求・要望をされるというのはやむを得ませんが、行政がこれでは困ります。さらにもっとひどくなって「ああしたい。でもこうなってほしくない」ではまるで子どもです。和歌山県だけは、そうならないように、県政全般を必死で見ていきたいと思います。

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