ようこそ知事室へ 知事からのメッセージ 平成22年4月 郷土の偉人

知事からのメッセージ

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平成22年4月のメッセージ

平成22年4月

郷土の偉人

和歌山県の最も基本となる長期計画である「和歌山県長期総合計画」において、教育のあり方は、あまたある政策分野の中で第1番目に書かれています。
私なりに翻案して述べると、和歌山県の教育においては、いい人間を育てる心の教育、確かな学力の賦与、体力の向上・スポーツの振興とともに、郷土教育を重点としようということです。
和歌山は素晴らしい所です。単に気候風土、自然景観が素晴らしいだけでなく、人間力が優れていると思っています。その人間力は、古来人々の営みを通じて、素晴らしい文化と伝統をはぐくんで来ました。多くの歴史的建造物や文化財を擁し、国宝の数だけでも全国6位の地位を占めます。また、さまざまな分野で個性あふれる立派な人物を輩出し、その人々が織りなす躍動的な歴史を残しました。しかし、和歌山県では子どもたちにそのような郷土についての知識を与えて来なかったように思います。最近でこそそうではありませんが、生粋の和歌山人である私も学校で郷土和歌山について教えられた覚えがほとんどありません。
恥を忍んで申し上げますと、私は、知事になるまで日本社会党の最初の総理大臣片山哲氏が田辺市出身とは知りませんでした。濱口梧陵さんの「稲むらの火」は知っていましたが、村のえらい庄屋さんぐらいに思っていまして、既に江戸、銚子、大阪、湯浅、広川を股にかける大醤油企業の「社長」であることも、初代和歌山県議会議長であったことも、初代郵政大臣であったことも知りませんでした。もっと言うと、明治維新体制の形成に紀州藩が坂本龍馬などとは別の意味で、大いに拘わっていることを知りませんでした。松下幸之助さんが和歌山出身であることは知っていましたが、我が国の有機化学工業の発展に当県の由良浅次郎さんと彼が興した和歌山企業群がどんなに力があったかも知りませんでした。知事になって帰って来てから色々勉強し、言葉にならないほど素晴らしい和歌山の歴史と偉人にただ驚嘆しているのです。この辺の知識の欠如が、ともすれば県民の方々が時々口に出される「和歌山らあかな」という考えのもとになっていないでしょうか。どのくらい真剣に県民の方々がそう思っておられるかは別として、こう言うことで頑張ろうというエネルギーが失われます。「あかん」ことはないのです。正しい知識があれば「あかん」などと言えるわけがありません。このような素晴らしい和歌山についての正しい知識があれば我々は誇りが持てます。特に子どもたちには、郷土に誇りを持って成人してほしいと考えるのです。それがその子どもたちの人間力になっていくと信じているからです。このため、県では「わかやま発見」「わかやま何でも帳」という副読本を作成するほか、特に誇るべき郷土の偉人の顕彰シンポジウムを開いています。昨年の日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹博士の60周年についで、この5月16日には松下幸之助氏の顕彰シンポジウムを和歌山市で開き、10月には華岡青洲生誕250周年記念シンポジウムを紀の川市で行う予定です。和歌山の偉人を見つめなおし、和歌山の偉大さを再発見しましょう。

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