ようこそ知事室へ 今月のメッセージ 平成20年11月 県のお金は誰のものか

知事からのメッセージ

知事からのメッセージを紹介します。

平成20年11月のメッセージ

平成20年11月1日

「県のお金は誰のものか」

県の財政はピンチです。特に当県が他県よりも、とてもひどいというわけではありませんが、私が知事に就任した時には、以前たくさんあった貯金が減ってしまい、あと2年半でゼロという状況でした。県の財政で貯金がなくなってしまうと、直ちに支出を切りつめざるを得なくなります。今までできていたことがバタバタとできなくなるのです。負担増も余儀なくされます。これではいかんと「新行財政改革推進プラン」をまとめ、何とか破綻しない筋道をつけました。この実行のためには、県庁の職員数も大いに減らして人件費をかせぎ、有利な資金調達もします。しかし、加えて県営施設や県民向けの助成金、さらには立派な仕事をしてくれている団体への補助金もカットしなければなりません。その事務局案が発表され、これから結論を出すのですが、「これは残すよう、よろしく頼む」といった意見がたくさん来ています。皆心打たれるものばかりです。しかし、まったく手をつけないですませることはできません。一方、「この道だけは直してくれ、何とかよろしく頼む」といった要望もたくさん寄せられています。私はものすごくたくさん「よろしく頼む」を承っております。これらのご要望はすべてもっともなものだと思っています。本当はどんどんお金を使いたいと思いますが、肝心のお金は私のものではなく、県民の皆様のものであります。行革プランが実行できないと財政は破綻して県民の財布が壊れてしまいますし、県民の皆さんに県税アップをお願いするわけにもいきません。県知事は県民の大事なお金を、財布が壊れないよう取捨選択して使っていく義務があります。したがって、しばらくは「しぶちん」と言われても歯を食いしばって県民のお金を守るためがんばっていこうと思います。

一方、大事なところには、現在及び将来の和歌山県民のためにつけないといけない予算もあります。負担もお願いしなければならないこともあります。
人は皆、負担はいやですし、大事な予算は直接自らに見えるところで使ってもらいたいと思うものです。したがって、人気を得たい政治家は、負担を少なくしますとアピールし、住民への直接給付のような、有権者が身近で実感できるところに支出を多くすると約束しがちです。いわゆる「バラマキ」です。
しかし、そればかり追い求めているとどうなるでしょう。財政も経済の一部ですから、我々の手に触れることができない領域でも、経済の論理は必ず効いてきます。「バラマキ」に酔っていると、その地域自体が力をなくしてしまいます。どうしてこんなに元気がなくなってしまったのだろう、と多くの人が原因も理由もわからないうちに、地域全体が地盤沈下してしまいます。経済も政治も論理ですから、「なぜ、どうして」をどんどん突き詰めていくと必ず処方箋が書けるはずです。ただし、その処方箋が正しいかどうか、まずは理解しようとして、次にじっくりと議論する必要があります。その際には「こんなことを言ったらいやがられるかなあ」などと躊躇することなく、発言する勇気もいるでしょう。そして、正しいと思ったら、果断に行動することも必要でありましょう。
一例は、昨年末から今春の道路の問題でした。テレビの報道番組などでは「ガソリン税を下げよ、もうこれ以上の道路はいらない」の大合唱で、そこでは和歌山県が抱えている道路問題の本質は何で、根本的な解決法は何なのかなどという議論は、なかなかじっくりと聞いてもらえない雰囲気がありました。その結果として、和歌山県の再興のために絶対必要だと考えていて、ようやく、新しい道路に関する中期計画で取り入れてもらった紀伊半島一周の高速道路や京奈和自動車道などの早期完工に暗雲が垂れこめつつあります。したがって、これを何とかまた突破しなければ、和歌山に明日は来ないと私は思っています。参考に、ある新聞のインタビューに答えたものがあります。記事を添付しておきますので、少し「ガソリン税騒ぎ」が落ち着いた今、冷静にお読みいただいて、県の将来を考えてみてください。

建設通信新聞

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