ようこそ知事室へ 今月のメッセージ 平成20年4月 前知事の汚職事件の総括

知事からのメッセージ

知事からのメッセージを紹介します。

平成20年4月のメッセージ

平成20年4月1日

「前知事の汚職事件の総括」

3月19日に前知事の汚職事件に関する総括を行って、発表しました。私が就任以来ずっとマスコミなどから求められていたものですが、裁判記録が入手可能となりましたので、監察査察監にヒアリング調査もしてもらって、県庁としてあの事件は何であったのか、どういう点で問題があったのかを明らかにすることにしました。関与した職員のトカゲの尻尾切りになってはいけないと根本的に調査しましたが、新聞報道などはやはり職員の処罰ばかりが出てしまいました。報告では、県庁としての問題点は、第1に、当県では建設業界の談合に県庁が関与しており、それを前知事が自己の政治的利益のために利用したこと、第2に、ずっと以前から当県では県庁職員が知事の公務以外の政治活動や私生活の世話をしていたこと、第3に、地方紙に県庁職員が知事の私金を配っていたことと指摘されています。県としてはこれを広く公表し、これらに関与した職員は、職務専念義務に反するということで相応の処分も行いました。

皆さんは既にご承知のことと思いますが、このような三つの問題点は今の県庁にはもう全くありません。私が就任してすぐ、とっくの昔に追放してしまいました。それ以上に、制度的にこれを担保することにすぐとりかかって、新しい公共調達制度の確立、知事を含む県庁職員の和歌山県職員倫理規則の制定、監察査察制度の導入など、誰が知事の職に就いても、誰が関係する職員でも、まず、不祥事を起こし得ないような制度を作ってしまいました。したがって、あのような事件は二度と起こりません。県庁代表者として、県庁を舞台にあのようなことが起こったことを、県民にお詫びしなければならないと思うとともに、再発防止の責任は果たしたと申し上げられると考えています。

長い県庁の歴史を考えた時、思いますのは、県庁と県庁職員は知事のものでも職員のものでもあってはいけないということです。およそ政治活動と分類されるような親睦会活動に県庁職員が関与して、そこから派生する私金を知事のために管理・運用していたようなことは、職員が知事のために尽くすことが当然で、知事は公務以外でも県庁職員の親分であるという考え方によってしか出てきません。県職員は知事や自分たち職員のために尽くす人ではなくて、公務を通じて県民に尽くす人なのです。今回の事件の総括で、私たちが心しておかなければならない最も大事な点は、このことだと思っています。それに比べると、関与した職員の処分は枝葉の部分でしょう。県庁が上記のような古い形で動いていたとすると、その中で知事の部下であった人や最高幹部の命令の下にあった人は、流れに一石を投じてこれに逆らうことは、よほど立派な人でないとできなかったのではないかと、彼らに同情の念も禁じ得ません。職務専念義務に反するとして、今回の処分の対象とした元秘書課長の一人は監察査察監に「私は責任者だから処罰は覚悟している。私が命じて、本件「私費」の取扱いに関与させた部下の責任は私にあるから、彼らには問わないでもらいたい」といった趣旨のことを言ったそうです。私は、そして、和歌山県庁は誓います。「和歌山県が経験した悲劇は二度と繰り返しません」と。

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