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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

平成27年度内外情勢調査会 仁坂吉伸知事講演

平成27年4月15日(水)13:00~14:30
会場:ホテルアバローム紀の国

 暮らして安心、まち・ひと元気な和歌山を
   ~平成27年度の新政策から~

 皆さんこんにちは。仁坂でございます。毎年4月になりますと時事通信さんから内外情勢調査会で講演をというお話しをいただきます。テーマは新年度の新政策としておりますが、本日は財界人の方も多くいらっしゃるので、お手元の資料からピックアップしてお話しすることにします。
 新政策というと新しい政策ばかりのように思われるでしょうが、実は1年前ぐらいから来年度にやらなくてはいけない政策を、現状の反省を基にして詰めていく作業をやっています。現在の政策も常に見直し、これはちょっとサビついてきたかな、などと考えておかないといけない。会社経営の皆さんはそういうことを全部やっておられると思うのですけど、県庁もやろうじゃないかということで、心血を注いで考えたのがこの政策です。その二つの柱が「安全と安心」「未来への投資」です。

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まずは「地震と津波」対策

 まず「安全と安心」の項目で大事なのは、やはり津波と地震です。和歌山県にとって一番嫌なことは、津波の予想到達時間が驚くほど短いことです。和歌山市などは、40分は来ないのだからゆうゆうと逃げられます。しかし串本町などは(到達まで)巨大地震で3分。家までやってくるのにはあと数分としても、早い地域では5分以内には来てしまう。だから5分以内に安全に逃げないと命を奪われるという地域があるのではないかということです。これは和歌山県に特徴的なことなのです。

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命を助けてこその行政

 和歌山県は2011年9月の紀伊半島大水害からの復旧復興は随分早かったし、そのあとの(防災減災の)工夫もさまざまなことをやっていて偉いね、などと言われます。しかしそう言われてもあまりうれしくありません。というのは、この水害では56人の方が亡くなり、いまだに5人が行方不明です。これがゼロだったらうれしいのですよ。しかし、亡くなった方はいくら後でうまくやったところで帰ってはきません。
 命を助けないで何の行政ですか。財産までは多分守れないからとにかく命だけ助かれば、あとは国の制度などがいろいろとしっかりしているので、紀伊半島大水害の時みたいに、どんどん再建できるようになると思います。ですから命だけは助かるようにしよう。だけど(津波の到達が早いという)嫌なことがある。どうしようということで、逃げる方法を考えたりとか、避難路を約600ヵ所も作ったりしてみんな頑張っているのです。
 東海、東南海、南海の3連動地震が起きた場合、津波から逃げ切れないかもしれないという人は串本、太地、那智勝浦の4町22地区に4000人います。分析すると、この4町のほとんどの所は逃げられるのですが、22地区は山が遠いとか建物が近くにないとかで逃げられないという分析です。(南海トラフ)巨大地震の場合は、揺れが大きく津波も早く来るし高いから、12市町61地区で逃げ切れないかもしれない。かもしれないというのは、この被害想定の前提条件がものすごくキツイのです。まず、地震が起きて5分間、茫然(ぼうぜん)自失となって避難できないという前提です。ですからすばしこい人がいて、大変だ、すぐ逃げようとなったらもっと助かります。

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巨大津波へは巨額投資で対応

 ではどうするかというと、まず、時間稼ぎをします。これは和歌山県全部、和歌山市を含めて計画を立ててあり、堤防を強化し漁港や港湾などの施設をきちんとするということによって、(津波が)あまり入ってこないとか、第一波の小さい津波ははね返すとかいろんなことができます。このための計画を立て、約460億円の投資をこれから10年間かけて県でやるぞということを決め、割り付けも全部決めました。さらに先ほどの4町22地区については、詳細な逃げる計画を内陸対策として町当局の方々と相談して決めました。
 巨大地震の場合は、市町ごとに協議会を作ってもらい、市町の住民代表、有識者なども入って議論してもらい、ここはこうやって助かるようにしようということを考えています。こういうことをこれから早急にやってもらい、やったらすぐに対策を決めて国からお金をもらってくるし、県も助けて一生懸命やる。死者をゼロとなるようみんなで考えていこうということをいま、和歌山県はやろうとしています。9万人死ぬぞと言ってほったらかしているような和歌山県ではありません。

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地震の揺れに不可欠な耐震化

 実は、津波以上に恐ろしいのが地震そのものの揺れによる被害です。家がグシャっと潰れるとアウトなのです。先ほど津波が早く来るのが悩みであると申し上げました。なぜ早く来るのかというと、震源域が紀伊半島にとても近いからです。そうすると津波も早く来るのですが、もう一つの現象が起こります。それは直下型に近い地震になるということですね。直下型地震だと、阪神淡路大震災のようにあんな限られた狭い地域でもあれだけの大きな被害が出ます。
 つまり、和歌山県は地震でも人が亡くなる可能性があるのです。従って耐震工事をきちんとしないといけない。でもこれがなかなか大変で、「もうじき自分は死ぬからいいわ」という人が多いのです。私はそのようなことをおっしゃる方に限って、絶対死んでから化けて出るにちがいないと思っているのです(笑)。従って、耐震化はぜひやっていただきたい。
 耐震化は費用がかかるとなかなかできないので、自己負担を少なくするように今年から制度改正をしました。それから家具の固定もぜひやってもらいたい。目の高さ以上の(家具がある)人は家具の下敷きになって死ぬぞ、と業者さんには言われます。数万円ぐらいで何とかなりますので皆さんやって下さい。

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観光業に手厚い耐震助成

 観光業とか福祉施設など一定規模以上の施設は、実は耐震化をきちんとしなきゃいけない。例えば大型ホテルなどです。しないと公表してしまうぞというような法律ができました。そうなった時に懸念されることがあります。和歌山県には古くからの観光業者が多いので、耐震工事が済んでいないホテルが正直言って結構あります。そのホテル業者が「公表されたら困るからもうやめる」と言われたらかないません。そうなるとホテルの廃虚みたいものがたくさんできることになります。
 観光立県でいく、人をいっぱい呼んでくるぞとプロモーションして駆けずり回っても、(ホテルの)収容能力がないじゃないかといわれておしまい、ということにもなりかねません。ですから耐震工事を国と一緒にやる時はものすごく自己負担率が少ない制度を作りました。(費用の)15分の4さえ出せばいい、15分の11は国と県で面倒をみるという制度です。これは日本では和歌山県だけの制度です。

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津波予測に最新装置

 次はいろいろとずっと考えてきた津波対策で、東南海地震の巣みたいなところにセンサーが張ってあります。例えば10メートル飛び上ったら電気信号を送ってきます。海底ケーブルを張っていて、和歌山県では海底と陸上の地形情報は全部把握していますから、それと組み合わせると、10メートル津波が上がったら、串本の○○地区は何メートル上がる、ということがあっという間に分かるのです。このシステムがあれば完璧な正しい情報が入るのです。センサーを埋め込んでいる海洋研究開発機構と和歌山県が共同開発しましたので、和歌山県は情報がすぐにもらえるのです。
 DONETのシステムは立ち上がったばかりなので、対象は串本の7地区だけです。来年度はDONETⅡというものがほぼでき上がり、このセンサーが紀伊水道・南海地震の巣に埋まっています。この両方を合わせて県内100カ所ぐらい作ろうかと思っています。

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土砂災害の研究拠点整備

 次は土砂災害について申し上げます。これは法律があって全国の危ないところがいろいろと分かっていまして、和歌山県は全国で第6位の約1万8500ヵ所が危険とされています。必要な手はそれから打つということなのですが、和歌山県は32%しかできていません。今後5年間で全部やってしまうということを決めました。
 それから、あの紀伊半島大水害という悲劇のあった那智谷に大門坂駐車場というのがありますが、そのいちばん南の用地を那智勝浦町に提供していただき、県で土砂災害啓発センターを作ることにしました。その中に国の研究機関「大規模土砂災害対策技術センター」を誘致し、国の第一線の研究員がここに数名詰めます。ここでは土砂災害の恐ろしさやメカニズムを研究してもらい、県の力で世界中にそれを発信するということを和歌山ができるようになりました。

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高齢者の安心政策を充実

 次は老後対策についてのお話しです。4つの柱を作りました。最初が「見回り」。これは割とうまくいっています。次の「健康」は成績がよくないのでこれから頑張ります。
 和歌山県は高齢者がどんどん多くなっているところですから、要介護認定者数も推定でどんどん増え、体がきかなくなった方は、自分は見捨てられやしないかと心配だと思うのですね。その心配がある限り、和歌山県は真の意味で元気にならないと思います。試算したら、2030年には8万1000人ぐらいになると考えられます。
 皆さんは高齢化率が高いからどんどんお年寄りも増えて、無限に増えるのではないかと考えておられるかもしれませんが、残念ながらそうではありません。人口が減っていくから、若い人も減るけれど高齢者も減る時代になるのです。
 75歳以上の人は2030年ぐらいがピークだろうと言われています。それなら、このピークに合わせて対策を考えればいいということになります。詳細なアンケートをとると、入所希望者は26%、入りたくないという人は74%でした。入りたくはないけれど面倒はみてほしいという人が圧倒的に多いということです。つまり、在宅介護の重要性がこれから高まってくるということになります。
 そこでどうしたか。この(要介護者が)8万1000人を念頭に、そのうちの26%の人が入所できたらいいだろうということで、2013年から30年までに何床増やせばいいかを考えました。では在宅についてはどうしたらいいかというと、こんなサービスあんなサービスというものを、地域別に住民の方とも相談しながらメニュー化をしていかないといけません。ただその際、サービスをこのくらいしますよと言った瞬間に介護保険料は上がります。「もっとたくさん(サービスを)やってよ」というとさらに大幅に上がります。だから料金との相談でこのくらいかなあと、どこかで折り合いを付けていかないといけません。その折り合いを付ける作業も併せてやりました。

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曲がり角の医療制度

 次は医療対策について申し上げます。救急医療については、県立医大の定員増加などをずっとやってきました。来年4月になると、8年前に打った政策が実ってきて、研修医を卒業した一人前の医師が県立医大から続々と地域拠点病院などに出てくれることになります。ただ、若い医師ばかりではまだまだですから、今後とも苦労は続くと思います。
 全体として医療政策はまずまずかなあと私は思っているのですが、大変なことが起こってしまいました。このままだと介護保険料がウナギ登りになって大変、医療費もそうなってこれも大変で国が吹っ飛んでしまう、これを何とかしないといけないという論議です。でも医療ニーズはますます増えていくし、どうしようかといろいろ考えた結果、医療と介護の総合確保法というのができたのです。

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「仕分け」される病院経営

 今までは、例えば病院は一定の診療報酬が国から示されますので、総枠のベッド数規制はあるのですが、病院経営者はその中で自分はどういう経営をするかを考えて診療ができました。これが日本の医療制度です。ところが、それではもたないから、県が地域医療ビジョンを作って病院の「仕分け」をしなさいというのです。
 例えば、県立医大のように手術なんかも全部やってくれるようなところは急性期医療と称して、できるだけ面倒をみて手当をしたらすぐに退院させなさいとなったのです。そして、慢性期医療をやる病院とリハビリの病院とを作って、そういうところで専門的治療をやりなさいと。いくつかの機能を病院として兼ねてもいいのですけど、病院としてベッドを色分けしなさいと。それによって診療報酬も変えていくし、さらに在宅医療にどんどん出していきなさい、病院に長く置いておいてはいけません、というのが全体の姿なのです。
 ところが在宅医療に出してくださいといったって、今は往診してくれるお医者さんはあまりいませんよね。そういう在宅医療提供体制を構築し、介護も含めた地域包括ケアシステムを作れということになっています。確かに長い目でみたら、医療費がこのままでもつかと言われればもたないかもしれないし、全体としては、これからの日本、和歌山を考えればそういう体系を作っていかないといけないのかなという気もするので、頑張ってやろうというふうに思っているところです。

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がんばるぞ!紀の国わかやま国体

 次は国体(紀の国わかやま国体)についてお話します。ぜひ優勝したいですね。県民運動なんかもどんどんやっていきたい。開・閉会式のボランティアはもういっぱいになってしまいしまたが、式の観客になってあげようという人や、参加したい人の公募を始めました。44年ぶりの大イベントですから、テレビではちょっと迫力がないのでぜひ皆さん会場へお越しください。これまでの他県の国体に行ってみると、見る人とやる人が完全に分かれている状態ですが、実は和歌山県は選手と観客を一体化し、観客にも演じてもらおうというぐらいの演出を企画しています。ということで、みんなが参加する国体でありたいなと思います。優勝するのは大変ですけれど、頑張ろうとしております。

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企業支援制度は充実

 次は経済です。先ほど申し上げたように、和歌山県は創業支援から技術開発、販路開拓、それから人づくり、さらに新しい企業を呼んでくる企業立地、そういうものを体系的に整備してきました。これは企業がやる気を出して、やるのだから助けてくれという企業を助けようということです。やる気のある企業はこういう制度をどんどん使ってどんどん伸びてもらい、人をたくさん雇ってもらって税金も納めてもらいたい、こういう考え方です。
 どんな支援制度があるかを理解するのはなかなか大変なので、県では産業別・地域別・企業別担当者を置き、政策カタログを作成しました。これは和歌山県だけじゃなくて市町村、ジェトロとか中小企業庁、商工中金などいろいろ(な支援制度が)入っているカタログです。これを持って企業に出向き、いろいろな提案やお話をしようと思っています。また今年は金融でも大盤振る舞いをしております。先ほどお話ししたような思想なので、ぜひご利用下さい。

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「厳選」みかんで勝負

 次は農業です。みかんは和歌山県が生産量ナンバーワンです。愛媛県や静岡県よりもちょっと上で威張っていますが、分かっておられる方は気がついていますね。実は生産金額はナンバーワンではないのです。つまり単価は愛媛県の方が高い。いろいろ考えますと、愛媛県は頭のいいところで、ちゃんと工夫をしている。特に農協が一致協力して工夫しているのです。それは、まずいみかんをジュース用に回し、おいしいみかんだけを市場に出す工夫です。従って、マーケットでせりをされたら、和歌山県より愛媛県のみかんの方が高く出るのですね。その結果、和歌山県の農家の身入りが少ないということになってしまう。
 農協だけだとなかなか難しいようなので、県も入ってやるぞということにしました。糖度コントロールをきちんとして、一定の糖度以下のものは市場に出さない。もし出しても「厳選」というレッテルを張ることはまかりならん。「厳選」という表示が付いたものはみんな糖度コントロールされているということにする。糖度がかんばしくないものはジュースや加工品に潰してしてくれということにしました。そうすると、加工原料として売る時は(単価が)すごく安くなります。ですから補助金を差し上げましょうというシステムを作って、今年から実施いたします。

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対策必要な農地活用

 次に農地の活用を考えていかないといけません。農地活用は立派にやっておられるところが多いです。ところが、そうした農家に後継者がいない農家が結構あるのです。そういうところは(農地を)貸せばいいと思うのですけども、いったん貸すと、例えば仁坂さんに貸すと取られてしまうじゃないかとか(笑)、そういう話が結構あるわけです。貸さないでいると、今度は遊休農地になってしまうのでもっと始末が悪い。従って、国は農地中間管理機構という機関を設置する法律を作りました。この団体が農家と貸し手との間に入って、地代の取り立てなど全部やるわけです。
 しかしそこに農地を供給する人、つまり頼む人がいないと、やりたい人がいっぱいいても、なかなかつらいものがあります。そこで県と市町村、農業委員会、JAが組んで、各地に農地活用協議会というのを作りました、これは和歌山県独自の制度です。それで、5年後ぐらいには(農業を)やめようかなと考えている人は、今から予約しておいて5年経ったら借り手を見つけてもらうのです。こういうことをやっておけば、いろんな貸し借りがスムーズにいくわけですね。そういうことをやろうということであります。

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観光客向けに多彩な投資

 次は観光です。和歌山県の成績は悪くはなくて観光客も大分増えてきました外国人観光客は全国平均以上に増えているということなのですけれど、絶対数がそんなに多くない。もともと外国人を見たら逃げる人が多かったところですから(笑)。今年は世界遺産の高野山で(空海の)開創1200年祭も行われたので伸びが期待できますが、これからもっと頑張らないといけない。それには受け手側のいろんな投資もしておかないといけません。
 例えばWi-Fiです。これをものすごく外国人、特に個人旅行者なんかが必要にしているのです。石破大臣から(地方創生の)お金をもらって一気にどんとやってしまおうと思っています。外国人用の表示も立派なものを整備します。これも政府の地方創生のお金です。それから「おもてなしトイレ大作戦」も国体までに、ちょっとまだやり残しがあるからどんとやります。

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画期的な免税制度にチャンス

 もう一つは免税店です。これはものすごく有利な制度が日本にできました。今までの制度では高額な商品しか対象になっていませんでしたが、日本は何をやったかというと、5,000円以上の買い物でパスポートを見せれば消費税をすぐ引いてあげるということにしたのです。これはすごいことです。従って、ぜひ(土産物店は)この登録を受けられたらいい。さらに今年からは制度が変わり、商店街一帯を一つの単位として登録を受けることもできます。それから、例えばショッピングモールみたいなところを全部まとめて免税対象店とすることもできます。
 ただし、この決め手は観光業者とどうやって組むかです。これが組めなかったら、いくら口をあけて待っていても(外国人観光客は)来ません。外国人観光客をどさっと連れて来ようと頑張っておられる人たちと組んで、うちへ連れて来いと話しておけば、観光バスがどんと着いて爆買いのお客さんがどっさり買っていくということが可能です。こうしたチャンスをちゃんと使わないとみんなよそにとられてしまうので頑張りましょう、というのがここのメッセージでございます。

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見直し急務な都市計画

 次に都市の再生です。今年は特に和歌山市をターゲットにして、尾花市長と組んで頑張ってやろうと思っています。和歌山市を例にとって申し上げますと、人がたくさん住んでいるところを示すDIDという値があるのですが、この面積を調べますと、私の高校生の頃と比べると3倍に拡大しています。土地の供給は3倍になっているわけです。住宅需要は人口がほとんど同じですからほぼ同じですね。そうすると供給が3倍になって需要が一定だったらどうなりますか。必ず地価は下がります。その結果、和歌山市民のほとんどは貧乏になりました。
 市役所は3倍の面積に都市施設を作らないといけない羽目になります。市道をたくさん作らないといけないし、水道や下水道も整備しないといけない。それから公園もいっぱい作らないといけない、和歌山市の公園比率は中核市の中で最低ですが、それでも作らないといけないということになってしまい、もう財政は大変ということになります。
 それに、初めは(都市面積が)広がっていけば安く土地が手に入るから、若い世代は幸せだと思います。しかしその世代も年をとっていき、車に乗れなくなったら「買い物難民」になります。離れてばらばらに住んでいると公共交通機関は機能しません。
 従って、都市計画をきちんとやらないといけない。だから勇気を持って都市計画を見直し、優良農地の(宅地)転用はもう認めませんと言って、郊外部での新規開発をやめてもらう。その代わり中心市街地とは限りませんが、都市部でもう何十年も前に開発され、ちょっとすたれているところを再開発する。それぞれの市や町のそういう都市計画作りを県が積極的に支援する、そういうことを始めていきたいと思います。

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Iターン・Uターン政策も充実

 次に田舎の問題があります。実は和歌山県のモデルは立派だと言われていたのです。私が知事に就任した時、立派な田舎暮らし移住交流政策「田舎暮らし応援県・和歌山」というのがありました。市町村の担当者なども本当によく頑張って、例えば那智勝浦町色川地区のように全国のモデルになるところがたくさんできました。しかし政策というのはまねされるのですね。和歌山県が伸ばしている中で、よそはもっと思い切ったことをたくさんやって、これではいけないということで、先ほど話に出た地方創生のお金も使って、今年は大盤振る舞いでがんと行くぞということにしました。40歳未満で移住をしてくる人には250万円を差し上げます。

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和歌山の教育と学力向上

 次に教育です。小中学校の試験の成績、全国統一学力テストの成績があまりよくありません。もともとそんなによくはなくて中の下ぐらいだったのですが、一部に全国最下位という科目が出てきてしまった。これはあんまりよろしくありません。もし自分が校長をやらせてもらえたら、自分の学校の生徒の点数を平均5点ぐらい上げるのは簡単です。点だけ上げようと思ったら簡単ですが、そんなことをやっても意味がないのです。大事なことは先生の教える技術だと思っています。
 教えるのが上手な先生に教われば頭に入りますよね。下手だから何を言っているのか分からない、ということでは困るのです。だから、先生にも教える技術を磨いてもらわないといけない。それで研修をやっていただきます。それと、学校の授業についていけなくなった子をどうするかという問題があります。
 教育は高くする必要はないけども、ある一定程度の教育水準は保つべきです。それをみんなに教えたらいい。そうしたら分かる子は分かるし、理解できない子もいるかもしれない。理解できない子がいたら、どこが分からないかは人によってみんな違うのだから、先生が丁寧に教えてあげればいい。大変かもしれないけど、おちこぼれを放置しない、見捨てないというのが和歌山県の教育でありたいと思っているわけです。

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道徳教育を徹底

 それから道徳教育の徹底もやっていきます。私も一生懸命考えて、小中学生向けの道徳の教科書を作りました。著作権の問題があるので本にはできませんが、郷土教育についての本もできています。
 最近腹が立ってしょうがなかったのは、関東の高校サッカー部の生徒26人が韓国で集団万引きをしていたというニュースです。なんであんなものが許されていたのだと。もともと地元でもやっていたらしいという話がありますが、なんで指導しないのだと思うのです。いじめもそうです。自分にも言い分はあると思いますが、例えば一対十で一方的に攻め立てたらかわいそうじゃないか、それなら一対一で正々堂々と勝負しろと言うべきではないかと。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう道徳律が頭になかったら本当に困るのです。

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いじめ対策は一体で推進

 和歌山ではこれを徹底的にやろうということで、いじめ対策総合推進事業をやります。ここのポイントはもう一つございまして、特定の人の責任にしないということです。いじめが起こって顕在化したとします。そうするとマスコミなどがみんな寄ってたかって、「あなたの責任は」と言います。担任の先生などはもうひどい袋だたきに遭いますし、校長先生も同じような目に遭います。
 他の人はすました顔をしていますが、それは間違いである、ここは全員で助けにいこうというふうにすべきです。でないと、自分だけ責任を負わされていると思った瞬間に人間は何をするか。なかったことにするのですね。これがいじめ隠しになるわけです。
 ですから、みんなでやろうと。私もいじめの相談メールなんかを受け付けています。ですから県庁職員も大変です。教育委員会と一緒になって、なんとかいろいろとやっているわけです。今のところを何とか最悪の事態は防げているのですけれど、油断すると本当に危ないという事態ではないかと思います。

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「男児刺殺事件」を教訓に

 今年2月には、紀の川市で大変凶悪な小学5年生の刺殺事件が起こりました。その後、川崎市でも凶悪な中学1年生の殺人事件が起きました。我々は紀の川市の事件を見た時に、あんなことがもう二度と起こらないようにするにはどうしたらいいか、問題はどこにあったかを考えました。まず一つは、予兆があったのに情報化されていなかったことです。容疑者が子供を棒なんかで追っかけ回していたりして、ちょっと変だということは近所で分かっていたはずです。それなら、自分達だけでは難しいかもしれないから、市役所や警察、町内会に相談に行くなどということをやるべきではないでしょうか。
 第二に凶器の問題です。ククリナイフなんて本来持っていなくてもいいのではないかという刃物が野放しになっている。おかしいと思って条例でも作ろうかと思っているのです。三つ目は家庭の問題。例えばちょっと精神を病んでいるかもしれない、ちょっと心がすさんでいるかもしれない、ちょっと生活が崩れているかもしれないという人が社会にいた時、子供たちも含めて、そういう人たちをからかったり迫害してはいけない。こういうことを道徳の時間にちゃんと教えておかないと、きちんと社会教育していくことが必要なんじゃないか、というふうに思いました。
 それから最後に川崎の事件のことを考えました。あの時、子どもの中ではSOSが「殺されるかもしれない」とはっきり言っていた。ところが大人には届かなかった。だから子どもたちよ、自分たちの手に余る話はちゃんと言ってくれと。そんな時はしかるべき人がそんなことするなと監視する、ということをきちんとやればいいんです。

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地方創生は市町村と連携

 最後に地方創生について一言申し上げます。いま国は地方創生の交付金制度を創設し、該当する事業を実施すればお金を自治体にあげますと言っています。しかしこれは定義するとまずばらまきですね。たけど、それがくだらんばらまきで終わるか、県にとって力になるか、市町村にとって力になるかは、我々の問題です。
 市町村との関係で申しますと、地方創生事業には市町村と一緒にやりたいということもあります。一緒にやりたいところはお誘いをして一緒にやってもらう。それが市町村として嫌だというなら別にそれでいい。多分ご理解はいただけると思うのですが、お互いにこれがよかろうと思って合意をして力を合わせてやる、というのが大切なのだと思います。
 それから市町村でやるべき部分というのは別にあるので、自分たちでいろいろと考えてお使いになったらいいのではないか。そしたら日本として困ることはないと思います。
 以上、とりとめのないお話しをしてまいりましたが、今年度も和歌山の「安心と安全」、「未来への投資」を柱に、果敢に政策を実行してまいります。皆さんの御理解とご支援を宜しくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

(内外情勢調査会発行の「講演シリーズ」より、同会承諾のもとに抜粋しました。)

資料

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