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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

平成26年度内外情勢調査会 和歌山支部4月例会・知事講演

平成26年4月11日(金)13:00~14:30
ホテルアバローム紀の国

 命つなぎ、輝く和歌山を目指して
   ~平成26年度新政策からの提言~

 皆さんこんにちは。いつも県政では皆さんにお世話になっており、ありがとうございます。ご紹介があったように、今日は新年度最初の内外情勢調査会で、県政全般について語る機会をいただきましたので、お話をさせていただきます。同じようなことは「知事と語る」というテレビの広報番組や行政報告会でもやっておりますが、大体1時間ちょっとお話をし、皆さんからご意見やご質問をいただければ、県政を充実するためになると思っています。

「新政策」の基本的な考え方

 皆さんよくお分かりと思いますが、新政策というのは新しい政策ばかりではなくて、新しく今年こんな感じで全体としてやっていきますと決めた政策のパッケージという感じのものです。これを作るため、昨年4月ぐらいからせっせとみんなで議論を始めます。27年度の新政策はまもなく議論を開始する予定ですが、まだ人事異動があったばかりなので、もうちょっと自分の守備範囲のところをよく勉強するようにと職員には指示しています。
 新しいことばかり考えてもしょうがないので、いまある政策がちゃんとしているかどうか、あるいは無駄なことをやっていないかどうかも含めて全部が検討の対象でして、それが中身となってまとまってきます。9月ぐらいにだいたい骨格を決めて世の中に問います。その前に、我々が考えていることを国に支援してもらうための働きかけが必要です。国を動かすには、国にもまた新政策のプロセスがあるので、5月か6月ぐらいに味方に付けておかないと実は1年遅れとなります。従って、まず我々はざっと見直した後、国にやってほしいことをとりまとめて、県選出国会議員の先生方にご説明するとともに、各省回りをして味方にする工作をやっていくわけです。
 なんでそんな時期かというと、だいだい5月6月くらいというと、彼ら中央省庁職員も部内で論議している時期なのですね。7月ぐらいにだんだんまとまって彼ら自身が予算付けをし、各省シーリングがある場合はそれを経て、8月末の概算要求までにそこにはめるかどうかを決めます。そして9月から財務省とか、地方制度だったら総務省だとか予算要求する官庁で、いろいろ侃々諤々(かんかんがくがく)議論する。12月までにだいだい政府予算はまとまっているんですけれど、一部もめているものとか政治プロセスに上げた方がいいようなものは、最後に政治家の皆さんが出てきて12月いっぱいぐらいで決める。そして1月になると予算書を作り、2月、3月で予算を仕上げる。こういう段取りになるわけです。従って我々は5月~6月に国への要望を言っておかないといけないのです。
 一方、我々自身もその後議論を深め、夏を過ぎて9月ぐらいに自分たちはこういうふうにするんだということを大体骨格にまとめ、世の中に発表します。それで市町村長さん方とか、県議会議員の方々、有力な財界の方達と議論ができるようにしていろんなご意見をいただき、自分の考えも修正しながら秋には予算付けの作業をしていく。それで1月ぐらいに知事査定で最終的に決めて県議会に提出する、こんなふうになっているわけです。

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柱は「安心・安全」と「未来への投資」

 さて、26年度の新政策の体系ですが、これは2つの柱でやることにしました。一つは「安全と安心の政策」、もう一つは「未来への投資の政策」です。
 「安全と安心の政策」をご覧いただくと、防災減災対策の推進というのが、一番最初に書いてあります。その右側には政策の中身を一行で凝縮して書いてあります。抽象的なことを書いてもしょうがないので、具体的に書いてピンとくるように努力しました。この中で、赤字で書いた個所は本当に新しい政策、黒字部分は前から一生懸命やってきたけれど大事だから入れてあるものです。
 防災減災対策は新しくどんどん状況も変わっていきますし、従来は東日本大震災のような大津波が来るとは思っていなくて、このぐらいかなと用意していたことなので、新しいことが圧倒的に多く、赤字部分がどんどん増えています。

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命を守る津波対策

 では地震津波について簡単にご説明します。
南海トラフの大地震は必ず来ます。その周期は90年から150年ぐらいと言われています。今のところ一番大きなものはマグニチュード8.6の宝永の大地震でした。この時は東海、東南海、南海地震が全部まとめて一度に起きました。我々はこれぐらいを想定し、他府県に比べて過酷な被害を想定して対策を行っています。
 我々の目標は、一言で言うと「津波から逃げ切る」「津波が来ても命だけは助かるようにしよう」というものです。かなり過酷な想定ですから、避難困難地域が出てきますので、それに対する努力も必要となっています。例えば避難タワーを作るとか、防潮堤を強化するなどいろいろなプロジェクトがあります。しかし、東日本大震災をみているとこんなものじゃだめかもしれないとも感じています。

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津波はまず「逃げる」

 東日本大震災の時は「想定外」という言葉がはやりました。学者先生たちはプライドも傷ついたし責任も感じたので、理論的に一番大きくなったらどうなるかということを考えました。その結果、各地で一番ひどい状況になったらこうなるぞというデータを、地域・市町村ごとに全部プロットしたものが、確か一昨年初めくらいに国から発表されました。
 それを和歌山県なりにもうちょっと地形情報などを入れて精緻化し、三連動地震型の場合と、南海トラフの巨大地震型の場合で理論的に想定し、被害予想を出しました。これが「最大津波高・平均浸水深・到達時間」の図表(別添P4)です。
 上段の方は三連動地震の津波想定です。これだって生易しいものではなく、今まで分かっているもので一番大きな場合はこうなるんだということが示されています。下段の方は全然分かってはいないけれど、理論的にはこうなるかもしれないぞということを示しています。
 数字は左から津波の最大高、次は平均の高さ、それから最短到達時間を記載しています。これをみると、例えば和歌山市などは三連動地震でも巨大地震でも最短の津波到達時間は40分と書いてあります。逆に言うと、いかにものすごい想定をしても、地震が起きてから40分は和歌山市には津波は来ないということを意味していると考えられます。この時間は割と正確だと河田恵昭先生(関西大学教授)などは言っておられるので、このデータは疑わないように私はしています。
 逆に言うと、40分あるのだから助かろうと思ったらまず逃げる。後で言いますが、地震そのもので死なないようにする。つまり、いちばんひどくなる事態に備えてできるだけ安全なところへ逃げる、ということです。40分あるわけですから、例えばこの県庁周辺にいれば、この辺はちょっと高くて津波は来ない所なのですが、それでもさらに安全を見越せば、更に標高の高い県立博物館、和歌山大学付属小学校、和歌山城あたりに上がっておけば絶対大丈夫ということなのです。そういうところには、この周辺からなら40分で絶対に行けます。ですから、自分の家がこの辺にあるとすれば、戸締りして、火の用心をし、貯金通帳ぐらい持って、そして水・ラジオを持って、鍵を締めてから行き、警報解除まで待っていればいいわけです。

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「到達時間」とどう向き合うか

 しかし問題は、例えば串本町のデータ資料(別添P4)を見てもらいますと、巨大地震で津波到達まで3分とむちゃくちゃなことが示されている。3分だと、ごく山の近くに住んでいる人は避難路をうまく使えば駆け上がれるかもしれないけれど、山まで遠い地域の人はたどり着くのは正直難しいものがあります。
 そうなると、串本町などではいくつかのことを考えなくてはいけない。避難できないかもしれない状況をどう考えるか、こういう宿命を我々は背負っているのです。
 津波は、高さ5メートルが10メートルになろうと危ないものは危ない。10メートルは危ないけれど5メートルなら家の2階に上がれば大丈夫、というのは全くの間違いです。2メートルぐらいで普通の家屋は全部持っていかれるそうです。50センチぐらいでも人は立っていられず、波に巻き込まれるそうです。従って津波は来るか来ないかということが大事で、高さより到達時間の方がすごく大事なポイントになってくるのです。
 資料の到達時間とは岬の先端を想定していますので、和歌山市なら加太の先の方を想定しています。ですから、市街地の方に押し寄せてくるのはもうちょっと後になるので、この予想時間に5分ぐらいを足せばいいのかなと思います。
 では我々はこうした状況にどう取り組んだのか、平成23、24年度に何をしてきたかというと、まず県内各地の避難先を変更しました。もちろん市町村の方とよく相談し、時には大げんかをして変えました。
 避難先とはどういうところかというと、市町村には災害対策基本法に基づいて住民に避難を指示する権限があります。今までどうしていたかというと、例えば今日の会場のような堅固な建物にみんな逃げて来いと、そうしたら市役所や町役場がちゃんとお世話をします、これが基本的な考え方であります。しかし東北で東日本大震災の時に何が起こったかというと、そういうところへ逃げたら天井まで水が来て、その中で大勢亡くなってしまいました。これでは避難所とはなり得ません。
 津波の場合は丘の上に逃げればいいので、たとえそこに建物がなくてもいいんです。特に和歌山のような温暖な地域では、濡れなければ一晩ぐらいは辛抱できるでしょう。それでだいたい半日ぐらい安全なところにいればいいので、危機が去って、そこから降りてきた時に堅固な建物が無傷で残っていけたらそこに行けばいいし、もっといいのは自分の家が残っていたらそこへ戻ればいいということなのです。
 中には頭の固い市役所もありまして、なかなか避難先の考え方を変えようとしないんですね。仕事とはこういうふうにするもんだ、随分と抵抗もありまして。私はテレビ番組でも、浸水想定を示して「こうなるとここにいる市長さんは死にますよ」と主張をしましたが、そしたらようやく考え方を変えてくれました。今はちゃんと変更してくれています。

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「人を死なせない」支援プログラム

 その次に、我々は「津波から逃げ切る支援プログラム」を一生懸命作ろうとしています。しかしなかなかこれは大変です。最初に申し上げたとおり、和歌山市などはまだ比較的簡単だと思うのですが、南の方の地域だとどこへどうやって地域住民を逃がそうかということをきっちりと決めておかないといけないし、そういった事が本当に可能なのかどうかの見極めは大変難しいです。でもこれは絶対に判断しなくてはいけない。津波が来ても地震が起こっても、人は絶対に死なせないようにしようと固く決意をしております。実際はどうなるかは分かりませんが、そういう気持ちでやらないと何のための行政か分からない、ということであります。
 そのほか、我々は「和歌山防災力パワーアップ補助金」という市町村向けの支援制度を作りました。この制度が一番活用されているのは避難路の整備です。道路という規模ではなく、1メートルぐらいの幅でいいと思うのです。山の上に駆け上がろうとしても駆け上がる道がない、という所に作っておきましょうということです。
 和歌山県は海沿いの地域でも後ろに山があるという地域が、実は結構多いんですね。そういうところは不利かというと、津波にはかえって有利なんです。宮城県はずーっと平地が続いているところが多くて、そういう所で多くの人が津波で亡くなりました。つまり逃げ切れなかったわけですね。
 和歌山県は時間的余裕さえあれば、山の上に上がってセーフというところがあるんです。しかし、近くに山があるといっても崖になっていて、現実的には登れません、ということでは困るので、その崖を巻いていくような道でも作っておこうと考えました。これが避難路です。いろいろ努力した結果、市町村に補助金を出してみんなで一生懸命やった結果、避難路は400箇所ぐらい増えました。これで命の助かる比率が大分高まったと私は思っています。今年は特にこういうことを精力的にやらなきゃいけないと思っています。

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避難先リスクを数値化

 次は避難レベルの話です。我々は避難先の安全度レベルを1・2・3と表示しました。リスクマネジメントをするというのでしょうか。リスクを数字で表示する方式をとりました。これは行政としてはちょっと禁じ手に近いようなやり方だったかもしれません。というのは、日本の伝統的な考え方だと、行政というのは本来、本当に私のことを必ず守ってくれますね、あなた方を頼りにしているのだから必ず守って下さいね、というのが基本です。あなたのことを守りきれないかもしれないけれどとりあえず避難先を言っておきます、というのは今までの考え方からすると無責任に近いのかもしれません。
 レベル3というのは浸水危険のない避難先ですが、レベル2、レベル1は避難先として少しリスクがあるのです。だからといって危険のない避難先しか言わないでいると、もっとたくさんの人が死ぬかもしれない。だからレベル2もレベル1も大事にして、正直に言おうと考えたわけです。
 レベル1、2、3のイメージは資料(別添P7)の通りです。レベル1(海岸付近地域)などには避難タワーが海岸近くにありますが、(別添P7の図のように)もう下まで水が来ていますよね。しかし、この隣にある一軒家に住んでいるからもう自分はだめかと、ここに逃げてもリスクはあるのかと思って黙ってじっとしているよりは、とにかく逃げ上がって、塔の上まで水が来なければ、ひょっとしたら助かるかもしれない。時間がなく、逃げ切れるレベル3の避難先まで辿り着けないという人は、とりあえずレベル1の避難先に逃げるしかないじゃないか、そういうことをちゃんと理解してやっていただきたい。あらかじめ避難先を決めておいて下さい、ということなのです。

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「津波てんでんこ」の教訓

 東日本大震災では多くの児童が犠牲になった大川小学校の悲劇というのがありました。あれは(避難場所を)決めていなかったので、先生たちが地震の後にどこに逃げるか相談している間に津波が来て多くの児童が亡くなってしまったということでした。
 「津波てんでんこ」という東北の言い伝えがあります。てんでんばらばらに逃げろということなんですが、我々は決して非情な人間ではないので、てんでんばらばらに逃げるには子供のこともお年寄りのこともみんな気にします。地震発生の時に自分は出先にいて子供が家にいる。その時、ちゃんと逃げているだろうかと気になって息子や娘を迎えに行って一家全滅、というケースが結構あるのです。
 ですから、物心ついた子供さんには「家にお父さんお母さんがいない時に地震が起きたら、お前はあの裏山に上がっておけ、降りてくるなよ」というようなことを約束させておく。約束させてそれを信じる。信じるほどきっちりと約束しておくことが大切なのです。その信頼感が人の命を助けるということになるのだと思います。
 我々行政はそういったことを進めていかなければなりません。今まで説明してきた避難先毎のリスク、どこそこの避難先は星三つですよというような情報を市町村と相談して提供し、住民のみなさん、あらかじめ避難場所を決めておいて下さいね、ということを一生懸命周知しています。

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情報提供の大切さ

 地震が起こった時に一番大事なのは情報です。地震がどのくらい大きかったとか、あるいはどのくらいの津波がいつ来そうかということに加えて、実際に津波が来ている時も、これはいつまで続くのだとか、もう避難先の高台から降りてもいいのか、そういう情報はものすごく大切だと思うのです。
 それを今までは防災無線で対応していました。防災無線はなかなか有用だとは思いますが、東日本大震災でも起きましたが、防災無線の発信元になる市町村の庁舎が吹っ飛んだらだめなります。従って我々は、エリアメールとか緊急速報メールなど携帯電話やスマホの活用に着目しました。それで通信会社と契約して、和歌山県の情報を取り入れてもらうことにしました。
 市町村は避難指示とか避難勧告を出す責任がありますが、この指示や勧告の情報、例えば古座川町では避難指示が出ていましたよとか、この辺の住民にはまだ指示が継続していますよという情報は、台風の時などもそうですが、防災無線では聞こえなくなるかもしれないのですね。その時は携帯メールに「まだ避難指示が出ています」などの情報を常に流します。ですから情報を受け取れるように是非登録しておいて下さいということです。
 もう一つは出先での避難です。出先で地震が起こった時に、この地域ではどこへ逃げたらいいのだということが、携帯ナビのアプリを使えば分かるようにしています。これも契約して使ってもらえればすぐに分ります。
 さらにラジオの活用です。携帯端末も無敵ではありません。例えば電波を発信する基地局の塔がひっくり返ったりするとたちまちアウトです。ラジオも同じことは言えるのですが、まあどちらかが残っていればそちらに頼ればいいよねということで、ラジオにも頼ろう考えています。特に地元ラジオ局の和歌山放送は和歌山の情報ばかりを流してくれるので、大地震が起こった時は、市町村情報とか和歌山県災害対策本部からのお願いなどをどんどん流すということになっています。ただ県南部の方では電波が届かない地域があるので、和歌山放送にお願いして、届くような方策をしてもらおうといま考えているところです。

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国の最新探知システムを活用

 便利なのは資料(別添P9)にあるDONETです。これは海洋研究開発機構(JAMSTEC)が、政府の委託を受けてセンサーを海底に埋め込んでくれています。今までは、例えば衛星の観測情報もありますが、実際に震度6の大地震が起こったといった時には、およそ5メートル、6メートルの津波が来ますなどと予測で言っています。しかしこのセンサーだと、どのくらい海面が盛り上がったのかなどの情報がすぐに分かるので、津波そのものズバリが分かるんです。より正確に津波が来るということが分かるわけですね。
 今は東南海地震の領域までセンサーの敷設が終わっていて、もう1~2年で南海地震の領域まで敷設してくれることになっています。そうすると、電気信号と同じスピードですべてのことが分かるということですから、より正確に津波情報が出せることになります。

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阪神淡路大震災並みの揺れが襲う危険

 それから、実は和歌山県にとってより重要なのは地震なのです。先ほど串本町は津波到達時間が短いので大変だと申し上げましたが、これは震源域が近いから大変なのです。震源域が近いということは、紀伊半島全体が直下型に近いような強い揺れに襲われるということです。直下型地震で思い出されるのは阪神淡路大震災です。えっあんなことになるのかと思われるでしょうが、実はあんなことになるのです。
 東北の場合は震源域が遠かったので、ゆっさゆっさと揺れはしたけれど家はあまり崩れなかった。ところが和歌山は直下型に近いので、古い家で耐震化ができてないものはクチャっと潰れる。そこでいっぺんに死んでしまったら、津波から逃げるも何もないということになるわけです。
 従って、住宅の耐震強化をしてほしいのです。昭和56年5月以前に建てられた家は耐震基準が義務付けられてなかったので、危ないんです。もちろん、たまたま大丈夫な家もあります。ですから耐震診断をして下さい。県で補助します。それから耐震強化もしましょう。これも県で補助します。以上のような政策を資料(別添P10)に記載しています。
 それからもう一つは家具の固定です。これもやはり大事で、目の高さ以上のものが倒れてくると死んでしまう危険が高いということです。私は実施しましたが、数万円ぐらいでできました。皆さんも是非実施するようにお願いしたいと思います。

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和歌山の医療体制にみる課題

 次は医療です。医療は二つ大事なことがあります。資料には救急医療体制が書いてあります。和歌山県は大変恵まれたことに、救急医療で受入先が見つからずにたらい回しになって死亡することは多分ありません。だけどそれが完全に安心な体制かというとそうではないのです。なぜたらい回しにされずに受け入れられているのかというと、実は二次救急、三次救急の受入体制がしっかりしているからです。地域の拠点病院として日赤医療センター、県立医大附属病院をはじめ、紀北地域では労災病院、 紀南では南和歌山病院と紀南病院がちゃんと控えていて、前面的に受け入れてくれるから何とかなっているのです。
 二次救急も宿直の先生方が頑張ってくれているから何とかなっている。しかし、この方々が疲れた、もうだめだと言った瞬間、救急医療体制の崩壊が一気に全県に広がる可能性もあるのです。
 和歌山県は和歌山市を中心に医師がたくさんいる県ですが、病院に勤務して宿直までやってくれる医師はギリギリの状態です。援軍を送らないと、疲弊して崩壊が始まる。援軍を送るために県立医大から医師をどんどん供給しようとしましたが、もともと定員が60人しかいなかった。そこでちょっと頑張って増やしてもらったのです。だめかと思いましたが、やってみればできるものです。
 この動きが和歌山発で全国に広がりました。この前、岡村(県立医大)学長が、私が運動を始めた時から全国の医師(医学部定員)が1500人増えたと言っていました。
 その結果、そのうち医者が余るぞとなどと言われていますが、病院勤務医は今やはり足りません。そのため医学部定員を増やしました。その増やした分とは主として県民医療枠とか地域医療枠などと言われます。和歌山の拠点病院で10年ぐらい働いてくれることを約束してくださった人を県民医療枠で採用しました。それから地域医療枠とは過疎地でも働いてもいいと約束をしてくださった人で、これも特別枠として取る。こういうメカニズムなのですね。初めて特別枠で採用した人は早いもので今春卒業になりました。そういう方々はあと2年間、研修医制度により県立医大で研修していただいております。

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若手医師の育成にも配慮

 問題は、そういう方々が和歌山県で働き疲れて、医者の生命というか医者の知識が疲弊してしまったというのでは、後が続かなくなってしまいます。従ってそうならないよう地域医療支援センターというものを作って、時々は地域の拠点病院に、例えば那賀病院とか野上厚生病院などへ行った後は、県立医大にまた帰ってきてしっかり勉強してもらうのです。串本病院で頑張っておられた時に診断がつかないような病気の患者さんが来てしまったら、大学病院の大家に画像処理などで相談する態勢も大事です。今こういうことがようやくできるようになったのですね。ですから、地域で働いている方も、決して医者として大成できないことはないという形で、医療体制全体をもたせていきたいと考えています。医師だけではなく看護職員も不足しています。地元の方と一緒になって日高地方に日高看護専門学校を作り、今春開校させました。

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喫緊の課題は「がん検診」

 次はがん対策です。実は和歌山県は成績が悪いのです。全国的にもがんの死亡率が高い。これはまずい。検診がやはり大事なのです。自覚症状がない時に発見して治せば治るのだから、ということです。各市町村の検診費用については交付税措置がされていますので、それぞれ検診の補助制度を持っています。ところがそんなものを無視し、「検診なんていやだ」と言って受けない人が多い。ほとんどの自治体では無料で受診できます。受診率を上げるために我々県はダイレクトメールで市町村の補助制度をお知らせして行ってもらえるように努力しているのです。
 今年の政策で新しい要素は、ピロリ菌がいると胃がんになりやすいので、ピロリ菌検査についての助成を加えたところです。それから、肺がんについても間接エックス線だと見逃す危険性があるのでCTでやれるようにし、それに対する助成もすることにしました。こんなようなことを医療の面では今年度は追加させてもらいました。

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「安心の老後」を目指す4つの政策

 次は今年度一番力を入れていると言ってもいいところで、老後安心して暮らしていくためにはどうしたらいいいかということです。昨年1年間、一生懸命に勉強しましたが、今日は途中経過報告ぐらいかなと思っているんです。こういう方向でやります、ということをこれから申し上げます。
 政策の中身は「見守り」「健康」「安心」「産業化」です。

① 「見守り」について
 時々、一人暮らしのお年寄りなどが人知れず亡くなっている、何日も経ってから発見されるということがあります。これはもう悲劇です。やはり体の不調を訴えた時には、何とか早期に発見して治せるようにしないといけない。そのために和歌山県は、平成22年度ぐらいから「地域見守り協力員制度」というのを作り、民生委員や自治会の人にお願いして地域のお年寄りを見守ってもらっています。この点では、和歌山県はかなりの先進県です。
 さらに昨年度は、随分協力してくれる人が増えました。郵便局、宅配、電気、ヤクルト、農協、新聞、こういうところの人はだいたいお宅にお伺いするので、その時に異変に気付いたらすぐに連絡してもらう、という約束としました。将来はIT(情報技術)を使った仕組みを考えられないかなと思っていますが、とりあえずこういう方々にお願いしています。

② 「健康」について
 この点は和歌山県は劣等生です。どうも病気になる人が多くて、健康で長寿という人が少ない。まあ、極端に少ないわけではないのですが、全国平均よりはちょっと少ない。でもこれではまずいということで健康推進員制度を作り、健康づくり運動、例えば食べ物の指導や運動や検診などをどんどん推進してもらう。それから、元気に活動している方は病気になりにくいので、シニア活躍推進拠点、まあ有償ボランティアみたいなものですが、そういうものも進めていこうと考えています。

③ 「安心」について
 安心は一番切実で重要な問題です。実は和歌山県の高齢者人口は今後も伸びていきます。高齢化率がどんどん高まっていくので、当然のように思われがちですが、実は65歳以上の人口がピークに達するのは2020年だといわれています。2030年になると75歳以上の人がピークになる。逆に言うと、無尽蔵に高齢者人口が増えていくわけではありません。
 従って、老後に体が動かなくなったら入りたいという人に提供すべき施設は、今は足りませんけど、どのくらい不足するかを推計して供給していけばいいのです。
 実は施設を増やすと、介護保険料が高くなるという問題があります。対象者全員に供給できる規模では介護保険料はいまの5千円弱から8千円弱ぐらいになるのです。どれくらいの保険料になれば耐え難いかどうかという議論を和歌山県できちっとやる必要があります。そして、これくらいでいいですよねという案をみなさんにお示しする。ひょっとしたら地域別に考えていかなくてはならないかもしれませんが、こういう問題があります。
 ただ、問題は高齢者全員が施設に入りたいかというとそんなことはなくて、74%の人は入りたくないと言っているのです。入りたくないという人も「施設へ入所」というのはどうかということで、そういった場合は在宅介護ですねということなる。では在宅は今のままでいいかというと、やはり在宅サービスをもう少し充実しないといけません。ですから、そっちの方も力をいれていこうと考えています。
 その際、在宅サービスで世話している人が急病になったらたちまち困りますよね。そういう時は臨時に施設に入ってもらう必要が出てきます。そのためには常時、一定数の空き室、空きベッドを確保しておくことが必要です。そのための費用を県でみさせてもらいましょう、ということを全体で考えているところです。

④ 「産業化」について
 次は産業化です。お年寄りの中には「俺たち年寄りを金儲けの手段にしようというのか」などと感情的に反発される人がいるかもしれませんが、現実には大切なことです。しかもビジネスになるということは雇用も増えるということなのです。お年寄りが多いということは需要が多く、需要が多ければビジネスもあり得るということなのですね。
 東京や大阪にはお金があったら入れるという高齢者施設のビジネスがいっぱいあります。例えば、どこかの病院がやっているようなものすごくりっぱなマンションで医療サービスが付いて安心という施設とか、訪問介護が付いているとか、そういう様々な種類のものです。
 和歌山の方もみんな無資力ばかりとは限らない。だからそういうものがあれはいいし、考えてみたら、なんであんなビルの建てこんだ東京みたいなところでそんなことをやらなきゃいけないのですかと思うのです。和歌山みたいに自然がいっぱいできれいなところに住み、海を見ながら人生をふり返って楽しくやっていればいいのじゃないかと。高速道路も大分よくなるので、土日になったら子供やお孫さんが遊びに来てくれるし、最高じゃないですかと。だからそういった施設を誘致しようと思っているわけです。まだどんな人がやっているか調べてはいませんが、これからどんどん接触していこうと思っているのです。場合によっては、施設に入るお客さんも連れてきて下さい、それからビジネスとしてやって下さい、それでたくさんの人を雇って下さい、そういうふうにならないものかなあと思っているのです。
 少子化対策については、昨年ぐらいから本格的に婚活を和歌山県が主催してやっています(笑)。すごく好評で、今後に期待しています。またそれに加えて今年度からは昔よくあった“世話焼きおばさん”みたいな人に我々がお墨付きを出して、そういう方にも婚活を進めてもらったらもっといいのじゃないかと思っています。

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治安対策を充実

 次は治安・環境対策です。特に治安対策についてお話します。私は県政を預かってから、一度も県警本部の装備予算を査定で削ったことはありません。まあ自主規制されているのかもしれませんが、県警の人も一生懸命頑張ってくれています。珍しく昨年はちょっと不祥事があって残念でしたが、昔に比べれば犯罪率などはどんどん下がっています。和歌山県はとんでもない県だという評価にはまずならない、というぐらいになりつつあります。
 私が知事になった頃、犯罪発生率は全国11位ぐらいでした。トップは何を隠そう大阪府です。今和歌山県は18位ぐらいに下がって、どんどんいい方にいっています。県警は力を合わせて頑張ってくれています。それならば、科学捜査の手段をどんどん付けてあげて、捜査なんかをしやすいようにしなくてはならない、という思いで私も頑張ってきました。
 今年度も例えば自動車の追跡装置、あるいは防犯カメラの精度アップ、そういうものはなり高度なものを入れるようになっています。皆さんは心配ありませんが、悪いことをしたらすぐ捕まりますので、犯罪しそうな人に言いまくって下さいませ(笑)。

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県民のもてなす「紀の国わかやま国体」に

 次は来年秋に開催される紀の国わかやま国体についてです。和歌山県は栄光の「わかやま黒潮国体」(昭和46年開催)で堂々ダントツのトップでした。しかも真心がいっぱいこもっていたと評判がいい。その評判が日本体育協会の国体の歴史に残っているのですね。そういうりっぱなところなのです。今回も是非いい国体にしたいと思います。
 そのために、例えばインフラ、これは国体までということで運動をし、いま猛烈な勢いで急ピッチであちこち作ってくれています。それから競技施設ですが、ロシアのプーチン大統領はソチ五輪直前に、あまりの進捗の遅れにいらだっていましたが、私はそんな必要はありません。もうほとんど施設はでき上がっています(笑)。
 問題は競技で勝てるかどうかです。前回(黒潮国体)はダントツで優勝しましたが、今回はなかなか大変です。(開催県を優秀な選手が渡り歩く)“渡り”なんていう選手補強は認められません。といって大量に体育指導員として雇うという後を考えない補強も同様です。いったん雇うと、やはり生涯和歌山県で幸せに暮らしてもらわなくてはなりません。昔は住友金属(現・新日鐵住金)がチーム球技等、たくさんの人が必要な競技はみんな引き受けてくれ、世界一の紀陽銀行体操部などもありました。しかし今は、みんな苦しくなっているんですね。ですから、みんなで力を合わせてやってもらわなくなはならない。幸せにずっと暮らせるような方に和歌山県に来てもらいたいと思っているのですが、なかなか簡単ではないのです。
 以前は40何位でずっと低迷していのが、平成24年にはついに21位に大躍進しました。和歌山県の人口などを考えたら、21位はりっぱじゃないかとなりますが、なんせ目標は優勝ですから、そんなもんじゃいかんと。それで平成25年の東京国体では18位を目指し、18位になりました。今年の長崎国体は14位を目指して頑張ろうと、競技団体と力を合わせようとしています。その次は優勝ですから、随分遠いねと思われるかもしれませんが、開催県は予選が免除されるのですね。
 いつも国体に出ようとすると、近畿地方の予選には大阪府とか兵庫県とかにやたらと強い選手がいるのですね(笑)。彼らにいつもやられて参加点しか稼げないのが現状でしたが、来年は開催県として全競技、本戦に出られます。全部本選に出て、1回か2回勝てば点数が余計に入ります。でも1回戦で全滅したら同じですので、なんとか頑張らなくてはいけない。みんなで力を合わせて頑張っていきたいと思っています。
 国体の県民運動などもこれから具体的にどんどん企画していきますので、宜しくお願いします。今日は随分多額のご寄付をいただいている企業の方も大勢お見えです。改めてお礼申し上げます。

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頑張る企業を支援する産業政策

 次は産業についてです。和歌山県は産業の制度が大分できてきました。創業支援、技術革新、販路開拓、企業立地の促進、ひとづくりなど、いろんな局面に応じて頑張ろうという人が利用しやすいような補助金の制度を作っています。頑張らない人には、別にこちらから探し出してあげることはしません。あなただけよということにも致しません。すべて公募スタイルになっています。結構お金は用意しているのですけれど、手を上げて来られたプロジェクトの中で専門家が一番成功しそうなものから選んで、順番に差し上げるということになっています。ですからやる気のある企業にはものすごく有利な制度なんですが、今後はそういうことをもっとPRしなくてはならないと一生懸命やっています。
 県庁はいま、産業別あるいは企業別の担当者などを作っています。商工労働政策局でも一生懸命PRすることにして、商工会や商工会議所にいる指導員の方などにもPRしてもらうことになっています。県庁のカタログは県の政策だけ書いてあるわけではありません。国の政策あるいはJETROその他の振興機関の政策がみな入っています。そういうものをいいなと思ったら、例えばJETROの政策だったらJETROに我々がつないで、(審査に)合格するようにしてもらおうというふうに考えていくわけです。

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県独自の新エネルギー政策

 次にエネルギー政策です。いま原発は止まっていて、この夏も実はかなり電力供給が危機的状況であることは間違いありません。夏までに動くかなと思ったら、原子力規制委員会が慎重にやっているので多分動きません。そうすると、既存の電源だけで動かさないといけない。
 加えて、関西電力はかなりの料金値上げを一回余儀なくされましたが、あれは高浜原発と大飯原発が動く前提です。計算してみると、(原発が)動かないと、もう一回同じだけ値上げしないと会社が潰れてしまうという状態になっています。ですから和歌山県で延々と産業活動を続けている方々にとっては、なかなか辛いものがあるなあと思います。
 もう一つの問題は、新エネルギーをどんどん導入したいとは思っていますが、どれも一つ一つの規模が小さいということです。ですから必至になって頑張っても、数や量から言えばとてもじゃないが原発1基分にはかなわない。というような状況ですが、やるに越したことはないので、いま熱心に進めているところです。
 さらに先の問題としては、いまメタンハイドレードを紀伊半島沖で調査しています。そしてもうひとつは海流発電ですが、これは世界的大企業と組み、黒潮を使ってがんがんやってやるぞと思って、ずっと先の話ではありますが、いま手を打っているところです。
 家庭用の太陽光発電については、経産省が補助金を止めてしまいました。なぜかというと、強制買い取り制度が出来て、とても有利な価格で関西電力に売電できるからです。しかし我々はもっと進めようというメッセージを送り続けるためにも、独自の制度としてまだ残しております。

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今年来年が好機の観光

 次は観光です。観光については今年も来年もまだチャンスの年が続きます。昨年の伊勢神宮式年遷宮に続いて、今年は「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産登録10周年を迎えます。さらに和歌山デスティネーションキャンペーンがあります。これは全国のJR各社が和歌山県へ行こうと騒いでくれるありがたいプロジェクトです。たぶん紀伊半島大水害でひどい目に遭ったから、かわいそうだから助けてあげようということで選んで下さったと私は理解しています。県も観光事業者の皆さんも、チャンスだといま頑張っているところです。
 来年になると、高野山開創1200年、インターハイ、国体、障害者スポーツ大会があって、全国からたくさんのお客さんが来てくれます。そういうお客さんが「和歌山ってよかったね」と思って下さるように、やはり我々は工夫しなくてはいけない。もちろんプロモーションもしなくてはなりませんが、受け入れのおもてなしも工夫しなくてはなりません。
 和歌山では評判の悪いことがいくつかあります。その一つがタクシーの運転手さんの態度のようで、「もう二度と来るか」とホテルのエレベーターの中で他郷の人が怒っているのを私自身二回も聞いてしまいました(笑)。
 私は決してタクシーの運転手さんの態度・心根が悪いとは思っていません。自分も仲間内でしゃべったら同じような口のきき方になるのだろうと思うのです。しかし、それをいきなり他郷の人にやったらびっくりして反感をもたれてしまう。だから研修は必要だろうと思い、タクシーの運転手さんには全員研修を受けてもらっています。旅館の仲居さんなんかも同じことだと思います。今そういうことを磨いています。
 もう一つはトイレをきれいにすることです。「和歌山おもてなしトイレ大作戦」というのを立案しました。県内の公共的な施設のトイレには、最低一つは洗浄便座付き洋式トイレを入れよう、小便器はセンサー付きにしようという計画です。ただし、県の施設は県でやりますが、市町村の施設は半額補助金を出すから是非やって下さいと言ってお願いしています。民間施設は補助金はちょっと難しいので、一番安い金利で融資しますということにしています。それから電鉄会社にも、JRや南海電鉄にもお願いしています。JR西日本には、特急が止まる駅は悪いけれどJRでやってくれませんかと、その他のところは市町村並みに半額補助金を出すとか、それからもう駅舎を廃止するところは公衆トイレにするとか、まあいろいろ考えてやってきましょうよというふうに言ってお願いしているところで、大いに期待しています。
 温水洗浄便座の家庭への普及率は全国で70%なのですね。そういう時に、和歌山は公衆トイレもそうなっているぞとなれば、これはプラスのイメージです。絶対に和歌山県の取り組みの成果は上がります。私はいろんなところでPRしていますが、その取組に漏れがあって「違ったじゃないか」となると、その人は百倍返しにして和歌山の悪口を言うでしょう。だからそうならないように、漏れなく本当にきれいにしようと頑張っています。日本中こういうことで頑張っているところは他にありませんから、絶対に当分の間はウケるはずだと確信をしているわけであります。

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農業振興に不可欠な遊休地対策

 次は農業です。農業については例えば販売促進とか農地の改良、設備投資の導入とかいろいろ頑張って参りました。資料には今年頑張らなきゃいけないものを新しく二つ挙げています。これは後継者がなかなか見つけられなくて遊休農地になってしまうのを放っておくと、特に果樹園の遊休農地化はものすごく周りに迷惑をかけますので、なくしたいのです。
 農業をやりたいという人は結構いるみたいなのですね。ところが、土地所有者には知らない人に貸せるか、取られてしまうのじゃないかという不安な気持ちもあるのですね。国も危機感を持っていて、農地中間管理機構を作るという制度改革をしてくれました。我々はその制度を利用して、どこにどういう農地を貸し出してもいいと思っている人がいるかを徹底的に調べ、農地中間管理機構に情報を入れておき、早く使ってくれるようにみんなにPRする。こういうふうにやっていきたいとは思っています。
 和歌山は果物天国、果樹王国です。農業産出額の60%は果樹です。生産物はどれも自信を持っているのですが、どうも果樹には向かないなあという農地にも作っている場合もあるし、最近は「豊作貧乏」(豊作すぎて価格が下落してしまうこと)でひどい目に遭うという場合が出てきています。果樹の需要が少し頭打ちということもあって、頑張らなくてはいけないのだけれど、野菜・花きのウエイトをもう少し高くしていくかという議論もしています。
 その時、露地栽培でやったのではあまり安定的に生産性が上がらない。そういう意味では施設園芸だろうということで、そのためのハード・ソフトの助成を大いにやるから、農家の皆さんも主体的に考えて下さいということを提案しています。

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鳥獣害対策とジビエ料理

 次は鳥獣害対策についてです。県は毎年制度を充実させています。被害をなんとかするためには、まず捕獲することです。そのためには、狩猟人口が減っている問題にどう対応するかという議論があります。二番目に「さばく(処理する)」という問題があって、先ごろ日高川町で施設を作りましたが、県内のどの地域でも処理に困らないように、さばき所の空白地帯を今どんどんなくそうとしています。もちろん補助金制度も用意しています。三番目の問題は処理したジビエ肉を流通させるということです。そのためには、やはり購入者が安心して購入できる仕組みが必要です。ということで、和歌山県は全国に先駆けてジビエ肉の等級格付制度を始めました。これが「和歌山ジビエ認証制度」です。
 さらに今度は食べることも推進しなければならないということで、先ごろ、ジビエウイークを開催しました。県庁の幹部職員にも「イノシシやシカはちょっと苦手で…」と言っている人がいました。その方を私は無理やり、美味しいイノシシやシカ料理を出すお店に連れて行きました。食べてもらったら「なかなか美味しいですね」と言っていました。その後(お店に)行っておられるかどうかは分かりませんが…(笑)。
 それから和歌山の人が食べるだけでなく、観光客にも食べてもらったらいいと思っています。和歌山に来る観光客は、昔はともかく、今は田舎に行きたいという人が多い。そうすると、田舎に行った時に、自分が住んでいる大都会では食べられないものが(料理に)出るぞ、となったらものすごくうれしいのです。従って、そういう人達のためにも大いにアピールしていきたいと思っています。

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地域づくりに有用な都市計画

 次は地域づくりです。自発的に地域の方々が盛り上がって地域づくりをしようとしていて、資料にはいくつかのプロジェクトが書いてありますが、実は成功しているものが多いのです。今日は、今年力を入れていこうと思っている都市計画を中心に説明申し上げます。
 現在、人口はそんなに増えませんし、大発展することも難しい。そうすると、都市をどうやってビビッドに保っていくかというと、いろいろ工夫をしないとできません。例えば、東京やバンコクなどは放っておいても人は集まってくるので、問題は顕在化しません。ところが和歌山市などは人口が昔とほとんど変わっていないのに、人が割とたくさん住んでいるところの面積、DID(人口集中地区)というのですが、この面積が3倍に膨れてしまった。
 そうなると何が起きるか。一つはみんな貧乏になります。どういうことかというと、地価が下がるのですね。需要が同じでも供給が3倍になったら必ず価値が下がるのです。土地でそういうことが起こっていると、みんな資産を持とうと買った所が、どんどん下がって貧乏になります。
 例えば、周辺部に新興開発地があってそこを安く買えたとします。そこで開発が止まればその価格は止まる可能性がある。ところがその隣にもう1個所開発地を作られたら、供給がまた増えるわけですから、需要が一定である限りまた値段が下がり、せっかく安く買ったと思ったらもっと安くなってしまった、ということになる。これが第一の問題です。
 第二の問題は地方自治体が吹っ飛んでしまうかもしれないということです。なぜかというと、3倍になった地域に都市施設を十分作ろうと思ったら、3倍のお金がかかるかもしれないということです。例えば下水とか水道とか市道、公園もそうですが、そういうものを供給していかくなくてならない。都市化された所にはそういう施設を供給する義務が市町村にはあるんです。そういうものをやろうと思ったらコストがかかる。市町村の運営は大変になります。
 三番目は中心市街地の問題です。とりあえず郊外に住んで、車を使って生活するとなかなか楽しいですよね。私は中心市街地だけを大事にすべきかどうかについて、あまり固定的な意見は持っていませんが、ウソを言っていけないということだけは大事です。中心市街地を大事にしますといって実行しなければ、それはウソになります。郊外へ行った時には「郊外開発をもっとやります」などと言ってたらそれはウソつきになりますので、これもあまりよくない。
 とりあえず郊外での生活は楽しいかもしれないけれど、年寄りになって車が運転できなくなったらどうしようかという問題はあります。従って、こういう三つの問題をどうするかというと、そんなに大発展できないと思えば、外縁的な拡大はほどほどにして、エリア内を進化させていった方がいい。それからいったん空洞化した所は再開発をして直していった方がいい。そいうことではないかと思って、市町村には実行しようと言っています。でもこれはほとんどが市町村の権限なので、やろうと言うだけでは無責任のような気がするので、具体的にこんなふうにしたらどうでしょうかと、提案していこうと思っているわけです。

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健康と観光にサイクリングコース

 次はサイクリングです。これは二つの意味で頑張ろうと思っています。一つは健康です。特に都市部のサイクリングコースは健康という観点を重視してサイクリング専用道路をできるだけ際立たせ、安全に通ってもらうようにしようと思っています。二つ目は観光用です。サイクリングロードを海、川、山の三コースで整備していこうと考えています。一般の車がどんどん通るようなところでサイクリングするのも、まあ楽しいかもしれませんが、危ないので、できるだけ別の所を走ってもらおうじゃないかという考えで進めています。
 一番整備が進みそうなのは紀の川沿いです。紀の川を一気通貫し、高野山のふもとまで河口部からサーっと走っていけるようにします。川沿いの景色を楽しみながら走ってくださいといえるように、整備をしながら周辺の宣伝をしていこうと思っております。

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高速道路は「命の道」と「チャンスの道」

 次にインフラ整備の問題ですが、資料(別添P34,35)のように私たちはやっていきたいと思っています。まず高速道路については、平成27年の国体までには、阪和自動車道はすさみ町まで完成し、京奈和自動車道がつながる。さらに第二阪和国道が岬町まで出来るだろうし、国道480号も鍋谷トンネルが抜けて大阪との関係がさらに便利になるだろう、また新宮市から北山村へつながる奥瀞道路(Ⅱ期)、そういうふうにたくさんのプロジェクトがいま進んでいます。
 こうした状況を受けて全国のダンプカーがいま和歌山県に殺到しています。この前、紀南の方で数えたら40台のうち半分が和歌山ナンバーでした。四分の一がいろいろな大阪ナンバー、残りの四分の一が北海道から九州までいろんな所から来ていました。多分、東北地方と和歌山県がいま一番ダンプカーが走っているのじゃないかと思います。
 でも、何も負い目に感じることはないんですね。和歌山県がいい目をみているわけでは決してありません。これは何十年も待たされた結果、ついに順番が来て整備が始まったというだけの話です。マスコミなんかが何か言っても、罪の意識を感じることは全くないのです。いずれにしてもできるだけ早く完成させていくことが大切なのです。
  さらに高速道路の延伸も重要です。これはまさに「命の道」です。すさみ町から串本町までがついに事業化されました。さらに新宮の熊野川河口大橋が事業化されています。設計をして用地を買って、どんどん作っていきたいと思っています。残されたほんのわずかの区間で串本町から太地町の間、それから熊野川河口大橋の両側、それから三重県側などです。こういうところができれば、地震がどんと起きて津波が来て国道42号が一時不通になっても、何とか救援隊と救援物資を南の地方へ送れるということになると思います。
 さらに、資料(別添P34)に示した川筋ネットワークは、県内各地の生活圏の背骨にあたる主要河川沿いの道路を整備し、ネットワーク化を図るものです。平成29年から30年ぐらいには出来上がっていく予定です。次の計画はどういうふうにしようかといま考えているところなのですが、構想のように道路網という血管の血の巡りがよくなり、全国と等しくつながっていくことで、我々がそこでいろいろなことを企画し、商業行為にしても安全政策にしてもいろいろなことができるチャンスができるのです。
 今までは、「おまえらは何もできないじゃないか」と言われているのに等しかった。それがだんだん変わってくると思います。資料(別添P35)には今の話を詳細に記載し、国体までに整備状況はどうなるかということを書いています。

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学力アップと道徳教育を推進

 次は教育です。教育については「学力の向上」「道徳教育の徹底」」「郷土教育の推進」「体力の向上」「国際人の育成」「青少年の健全育成」の6項目を重点に頑張っていきたいと思います。
 その中で、特に2案について説明します。まず「学力の向上」ですが、和歌山は学力テストの点が悪い。テストの結果だけをよくしようと思ったらできないことはないのですが、やはり本当の学力を身につけなくてはならない。そのためにはまず教師力を高めることが不可欠で、教師のみなさんに研修を受けてもらいます。それから退職されたけれども教え方が上手だったという、いわゆるカリスマ先生にはもう一回学校で指導してもらおうと。さらに、授業についていけなくなった子供たちを出さないように徹底的に補習をして、先生が救ってあげる、そういう和歌山県でありたいと思っています。
 次に、道徳教育についてですが、和歌山はついに道徳の教科書を作りました。どうも文部科学省はきれいごとばかりで、本当に核心に触れるような教材を作ってくれない。それなら県で作ってしまおうと考え、私も参画して、りっぱな小・中学校用の教科書を作りました。
 最近つくづく思うのですが、いじめが起こると教育委員会だけでなく県当局も私も一体となって一生懸命に取り組み、その問題に立ち向かうようにしています。和歌山県は教育委員会が悪いとかそんなことを言っている場合ではありません。しかしいろいろ聞いてみると、どうも子供の心の中に「衆を以って一にかかるは卑怯なり」というような基本的な思考回路がないんじゃないかと、つまり道徳律がなくなっているのじゃないかという気がしています。
 会場の中には勇敢な方もいらっしゃいますが(笑)、「一対一でかかってこい」というのがなくて、みんなでボコボコにする。それではいかんのじゃないかなと思うんですね。そういうことを読めば分かるというような、心を磨く教科書を作ったつもりなので、今後はそういう子供たちが出てくるものと期待しています。
 教科書は大人の方からも見たいという声があるので、いまどうやって大人に見てもらおうか、とりあえずインターネットで公開しようかと考えています。
 次の資料(別添P39)はいろいろなお楽しみ、文化・芸術・スポーツの関係で特にお年寄りのスポーツについて説明します。2021年には高齢者のオリンピックともいうべき関西ワールドマスターズゲームズが開催されます。その2年前の2019年にはねんりんピック、2017年には全日本マスターズ陸上、アジアマスターズ陸上が和歌山で開催されます。東京五輪を歓迎するムードもありますが、和歌山県は高齢者スポーツで関西全体として対抗しようかと、それが我々の成熟した社会のいいメッセージじゃないかと思います。

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積極予算でも行革進行中

 最後に県予算と行革プランを載せています。今年度は積極的な予算ですが、行財政改革推進プランに乗せてきちっとやっていますので財政収支の心配はありません。
 最下段の表を見ると、平成28年度で赤字が急に出る状況になっていますが、これは退職手当債制度が平成27年度で終了するからです。現行は退職手当を払うために資金を調達し、返済しています。ちゃんと回しているんですが、調達手段がスパッと切れたら貯金の取り崩しで対応するしかないのでこんな想定が起こるのです。和歌山県の財政は全国的にひどいものではないので、おそらくこの起債制度は延長されると思っています。万一されなかったら、その時はまだ貯金も大分あるので、じっくりみなさんとどうしたらいいかを考えたり、政府に運動したりということをやっていきたいと思います。すぐに財政破たんとか、増税や手数料値上げとか、サービスカットとかは一切ありませんので、ご安心下さい。
 以上で私の説明を終わります。ご静聴ありがとうございました。 (拍手)

(本稿は講演に基づき加筆・修正したものです。)

資料

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