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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

「和歌山県行政報告会」(2巡目)における知事説明

日時:平成22年8月28日(土)午後3時30分
場所:かつらぎ町総合文化会館大ホール(伊都郡かつらぎ町大字丁ノ町2454)

 皆さん、こんにちは。お暑い中、それから土曜日で色々お仕事があったりされる方もいらっしゃるんじゃないかと思いますが、こんなに大勢の方に聞いていただいて、大変幸せであります。
 7月の終わりに手術をしまして、邪魔なものを取ってもらって元気になりました。皆さんにご心配をかけましたが、本当にありがとうございました。
 今日はまた縦長の資料(レジュメ)を作ってまいりましたので、これに沿ってご報告を申し上げたいと思います。それから資料1資料2というのを用意させていただきましたので、この辺を、時々見ていただきながらお話を申し上げたいと思います。

Ⅰ 第2回県行政報告会の趣旨
 いつものことながら、喋ることはたくさんあります。私だけでなくて今日何人か来ていますけど、県庁の職員も一生懸命、我が県のために頑張っております。内容は物凄くたくさんありますが、それを皆さんに要領良く申し上げないといけない。結構難しいんですけど頑張りたいと思います。それで、できれば時間の中にちゃんと抑えて、皆さんからもご意見をいただきたいと思っていますが、時間が足りなかった時はちょっとご容赦いただいて、少し延長させていただきたいと思います。また、前回みたいに私は少しこの場に残っていますから、ご議論に来ていただくとか、そういうふうにしていただけたらと思います。
 これは私が申し上げるだけではなくて、私の方が情報をいただくということでもあります。こういう行政報告会の一巡目がほぼ終わりかけているわけですけども、これによって大いに勉強になって、あれはやらないといけないなとか、これはちょっと油断していたかなということもあります。一例を挙げますと、中小河川の氾濫対策です。我が県は昭和28年の大水害で、それを復旧するために県が物凄くお金をたくさん使ったから、県の財政がおかしくなって、実は今で言うところのレッドカードになったわけです。そういう数少ない県なのです。その時に、乾坤一擲、色んなことやりましたので、大丈夫かなと思っていました。道路は無茶苦茶遅れていますが、河川の方はまあまあかなと思っておって、一般的に行革で予算削減の流れの中に置いていたんですね。どうも最近の集中豪雨でこれはいかんと思い始めまして、こういう行政報告会でもたくさんご意見がありました。そういうことで、後でご説明しますが、テコ入れをいたしました。実は、この行政報告会はそういう材料をいただく場になりますので、是非皆さんご意見をいただければと思います。
 さて、第2回行政報告会の趣旨ですが、前回一応3年分位をご説明申し上げたので、今回は特にその後の変化を重点で申し上げたいと思います。元に戻ってもっと説明してほしいという話があれば、その都度ご説明させていただきますが、最近の変化のところをお話したいと思います。この前の時もだいたい1年に1度は回って来れると思いますと申し上げていたのですが、そのとおりになりました。こうやって前回にも増して大勢の皆さんにご説明することができて、ありがたいことだと思います。

Ⅱ 和歌山県の最近の状況と今後
 まず資料1の1ページから4ページをご覧ください。4年前に知事にならせていただいてから、少し急ぎすぎだと言われる向きもありましたが、和歌山県の様々な面で改革をしてまいりました。前回も同じような資料をお渡ししたと思います。その時は約3年分位、今回は約3年7、8か月分位ということなので、少し増えております。前回は3ページちょうどだったと思いますが、今回は4ページが半分埋まる位になっています。常に問題は発生します。そうすると新しいことをしないといけません。それから、前のことを直していかないとなりません。そういうことの連続であります。私自身も和歌山市で生まれましたから、誇り高き和歌山県民なんですけど、残念ながら和歌山県はここ30年位全国の中で成長が一番低かった。今でも絶対水準がそんなに低いわけではありませんから、前は結構良かったわけですけども、残念ながら他所の県に抜かれているというような状況です。
 それならば、それを何とかしないといけません。他の経済施策以外の面でも、遅れているところ、足らないところがいっぱいあります。それを何とかしないといけません。それも、頭を使って一番効率の良いやり方でやらないといけません。ということを県庁の諸君、市町村の方々、県議会の先生方とご相談してやってきたのがこれです。タイトルだけ書くとこんなにいっぱいありますが、この他にも県の行政は前にご説明しましたようにたくさんあります。もともと、きちんとやらなければならない県の行政に加えて、新しく改革をしたのがこういうところであります。最近の成果を申し上げますと資料1の5ページです。
 5ページを見ると一番経済の状況が悪かったんですけど、少しはましになってきました。少しはというのは、あくまでも相対的にということです。皆さんの生活を自ら考えてみられた時に、そんなに良くなっているかなとか、依然として苦しいなとか、あるいは会社の調子や農作物もちょっとなあと、そういったお気持ちになっておられる方が9割以上いらっしゃると思います。しかし、それは全国の中で見ると、今までみたいに何とかのビリとか、おまけとか言われるような存在ではむしろないと思います。というのが、ここのデータであります。有効求人倍率というのが出ています。ここに出ているところからもう1回新しくなっていますが、それでも同じようなデータです。有効求人倍率は、職業安定所に登録されている有効求職者対する有効求人数の割合で、大きければ大きいほど職を求める人が雇われやすく、企業は人を雇いにくい。逆に、小さいほど企業は人を雇いやすく、職を求める人は雇われにくいということになります。つまり、小さいと失業者が多いということなんですね。私が知事にならせてもらった時に、和歌山も1に近づくかという勢いでちょっとずつ伸びてきました。1というのはひょっとしたら失業の問題よりも、むしろ給料が上がって企業が大変やという方が問題という事態なんですけど、そういうふうになってくるかなと思っていたら、もうちょっとで1になるというところで、リーマンショックとか、その前からちょっと景気が思わしくなかったからどたんと下がりました。それで、和歌山ももちろん下がりました。だけど、全国はもっともっと下がったものですから、有効求人倍率が相対的に近畿で1位になってしまいました。しかし、ちっとも嬉しくはないのです。なぜなら、これは相対的なものであります。これが1を超えて近畿のトップでまだまだ伸びているのであれば、これはかなり嬉しいのですけど、まだまだ嬉しくありません。だけど、みんなで力を合わせて、全体が調子が悪い中で落ち止めている、食らいついている、そういうのをよく表していると思います。それは何でかというと、企業誘致の積み重ねでもあります。働く場所が無いということで、こういうような企業誘致の努力もしました。県庁の諸君も駆けずり回り、私も頑張り、橋本市の工業用地に投資をし、そういうようなこともどんどんやりました。その結果、約3年半位の間に78件の新規設備投資がありました。その前20年間で約80件ですから、随分稼いだと思います。だけど、さっき言いました雇用状況はどうかというと、まだ仕事に就きにくいという状況です。まだまだであります。それでは、県内にもともとある企業は業績が悪いのかといいますと、そんなことはなくて、元気に頑張っていらっしゃる中小企業がいっぱいあります。もともと大きい企業だった花王や住金なども設備投資をしてくれて、和歌山でもっと頑張ってやるぞということになってくれています。だけど、さっき言ったみたいにまだ足りないわけです。
 それから、農業も全国に先駆けてというか、唯一ですけども「わかやま農産物安心プラス認証制度」、安全のダブルチェックをやって、世界一安全・安心な農産物を日本中あるいは世界中に供給しています。だけど、それによって人気が高まって高く売れるようになって収入ががっぽがっぽ入るかというと、そんなことはないというのは皆さんご存知のとおりです。和歌山は立派な果樹生産国です。果物はこの不況の中で一番打撃を受けています。平成20年度まで、和歌山の主要農産物だけがこの打撃からうまいこと逃げていました。全国的にはリンゴとか梨とかスイカが無茶苦茶になってしまいましたけど、和歌山の柿、桃、みかん、梅とかは努力の結果、何とかぼつぼつという位のところにいたんですが、平成21年度になって、遂にいくつかのものにほころびが目立つようになってきました。それから冷害も出たし、なかなか辛い状況になりました。
 林業は、間伐材が放ったらかしになって、もう大変ということなんですけど、3年間で需要をつけ、供給も伸ばしたということで3倍増になりました。しかし、山が十分儲かるようなあの昔の和歌山の山かというとまだまだであります。
 観光客もここ15年間で3000万人前後を推移しています。外国人観光客も随分と増えてまいりました。しかし、右肩上がりでどんどん行って、観光で我々ががっぽがっぽ儲かるか、雇用が増えたかというと、ちょっと頭打ちで、そんなに減ってないけどねという位のところにいると思います。全国を見るともっとひどいんですけど、だからといって和歌山はそれでいいというわけではありません。
 財政は、私が就任した時、前にもご説明しましたけれども、2年半で実は破綻することになっておりました。それは、十分行革をやってまだ足りない。これは明らかに国の制度がちょっとやりすぎたということではないかと私は思いますけども、そんなこと言っていられないので、何とか破綻しないシナリオに戻すようにいたしました。その結果、だんだんと赤字が減ってきて、貯金がゼロになる前に財政が均衡するラインを、今ずっと走っています。したがって、皆さんに増税をお願いするとか、サービスを一挙に止めるとか、そういうことにはなりません。なりませんけども、それはもうぎりぎりでかつかつのところにいるというのが現状であります。
 医療については、救急医療が崩壊していない数少ない県が和歌山です。しかし、それは何も悠々というわけではなく、和歌山県立医大などが立派な教育をしてくれて、日赤なども頑張ってくれて、県内の病院の方々が救急医療をやる時に泊まり込みをずっとやってくれて、命をすり減らしながら守ってくれているというところが大事なわけであります。我々はそういうところを助けなければなりません。見捨てるわけにはいけません。ということで、かなり難しかったんですけど、新しく出てくるお医者さんの数を増やしたり、あるいは即戦力となる人をどこかから連れてくることを常に考えたりしています。
 教育については特殊な例だけここに書いてありますけれども、ネットパトロールで、ネットによる非行を防いだり、心の教育に重点を置いて頑張っています。
 そういうことがずらずらあって、和歌山県の最近の状況は相対的にまあまあだと思います。
 次に資料1の6ページを開けていただきますと、和歌山の人口は減っています。この減少を食い止めるのはこの5年10年では無理だと、これは初めから長期総合計画にもはっきりと書いてあります。なぜなら、ずっと働き場所が無くて、若者が出ていってしまって、その結果だんだんと高齢化しているので、それが今度は社会減が無くなって、人口が入ってくるようにならないと、人口は絶対に増えていかない。それを何とか早く達成したいと考えているんです。だけど、日本全国でそれがどんどん減っていく中で、和歌山だけ増やすということは、そんなに簡単なことではありません。残念ながら、社会増減は和歌山もまだ社会減です。これを見ると、和歌山はだいたい5,000人位毎年社会減です。つまり流出がある。そういう状況で人口が減ってきた。自然減は当然高齢化していきますから、減っていきます。自然減と社会減を全部足すとこんな形になってきたというのが、この棒グラフです。棒グラフはまだ減っていますけども、社会減は随分減ってきました。最新で年2,000人位の減まで回復しました。但し、まだ減です。これがプラスにならないと先行きもう大丈夫というふうにはならない。これを更に増やすというのはもっと至難の業なんですけども、我々はそれに挑戦しないといけない。少なくとも、何をやってもあかんというのではなくて、毎年5,000人減っていたのが、2,000人減に抑えられたというのは、少しやればできるんじゃないかというのを皆さんに思っていただきたい、そういうことではないかと私は思っています。
 ただ、心配なところもあります。これは何かというと、和歌山県は30年間、40年間調子悪かった。調子悪かったっていうのは、その前は調子が良かったわけでありますから、ちょっとやそっと調子が悪くてもまだ貯えもあるし、例えば中小企業で言えば、その前儲かっていればその企業の資産も結構あります。そうすると、年間の収支で赤字でも、資産をちょっと食い潰せば会社は潰れずに済みます。これを何年間か続けることができる。だけど、和歌山県はずっとそれをやってきた傾向があるわけです。そうすると、この大不況になる前まで調子の良かった県、例えば、滋賀県なんかは随分調子が良かったですね。今は和歌山県の方がデータは良いけれども、滋賀県の企業はまだ随分貯えがあるんじゃないかなと私は推測しています。和歌山県は今のデータはそう悪くないけれども、やっぱり貯えなんかが無くて、体力が無いんじゃないかと思います。そうすると、この不況がもっと続くとどちらが先に参ってしまうかというと、和歌山の方が先に参ってしまいそうな気がして私は大変心配をしています。
 だから、もっと頑張らないといけないということになるわけです。そのもっと頑張らないといけないというのは、改革は続けなければいけないということで、この辺でもう良いというような事態ではまだまだないということを私も理解をしていかないといけないし、県庁の諸君も皆思わないといけないし、それから真実を語るという意味では、皆さんにもこれが真実だということを申し上げなければいけないと思っています。ただ改革と言っても、私は温かい改革でなければいけないと思います。行革をやりました、行革をやって辻褄を合わせる、つまり収支を合い償うようにすると温かい改革というのはとっても難しいんです。県庁の職員の数をこの5年間で、それまでもちょっと減らしすぎてたんですけども、約12%も減らすことになっています。そのため、毎年退職者の半数弱しか雇いません。そうやってじわじわと減らしていく。仕事はこのようにいっぱい増えていくわけです。そうすると、大変みんな忙しくなっています。これを合理化しながらどうやってやるか大変難しくて、「死にものぐるいで働け」だけでは、なかなかそうはいかないということであります。
 それから、人件費を削るということはこういうことですが、例えば、福祉やあるいは教育といったところを削るというのは物凄く辛いものがあります。行革だけ考えておれば、仕分けと称してこれは無駄だから止めとか、これは半分とか、パッとそんなことがいっぱいできます。やろうと思ったら私だってできます。だけど、やったらどうなるかということを考えるとそうはいきません。例えば、福祉政策の恩恵を受けながら、何とかある一定生活水準の幸せを保っている人がたくさんいるわけです。その人に「もうちょっと無理だから、あなたはもう止め」というのをそんなに簡単に言っていいのかということが、私たち行政を預かっている者に課せられた運命みたいなものだと思います。行革も大事、県の財政も大事でありますけどれども、その改革をしなければいけないとしても、その改革が身体的に不自由のある方、経済的に苦しい方とか、それから社会資本整備などが遅れた地域とかに対して温かい配慮が無い改革であれば、これはあまり良い政治ではない、良い行政ではないと、そんなふうに私はいつも思っています。かといって、ある地域の人の要求があった時に「はいはい、分かりました」と絶対言ってあげたいんだけど、「はいはい」と言ったら、途端にその結果色んな影響が出て、それでもそのまま行ってしまうと、どたっと倒れて最後は増税ですということになってしまう。そういうことを我々はまた避けなければいけない。これが難しいところであって、温かい改革というのを忘れないようにして我々はやっていかないといけない。そんなふうに考えております。

Ⅲ 平成22年度の新政策 ~希望と安心~
 それから、そういう中で平成22年度の新政策をちょっと新しいところということで、資料2の1ページから報告をさせていただきます。これはですね、何かキャッチフレーズが要るということで、『「希望」と「安心」』ということにしました。全体が和歌山を元気にするという政策目標なんですけど、その中で平成22年度は特に「希望」を持てるような、未来に希望を持てるような、あるいは今を安心で過ごせるような、そういう政策をしようじゃないかということでやってきました。この新政策というのは前もご説明したと思いますが、1年を通じてずっと我々はやります。予算の時に、いきなり来年度の予算をどうしようかと考えるんじゃなくて、来年4月から始まる平成23年度をどういうふうにして検討するかというと、平成22年度の初め4、5月位から、今何が問題なのか、どんなことしたら良いか、そんな議論をずっと積み上げていくわけです。今ちょうど知事も出て新政策の2回目の議論をする時期でありまして、それで昨日もずっとやっていました。どんなふうにしてやるかというと、議論も2巡目位になると、そろそろ「いくら位のお金がかかって、こんなことをやりたい」とか、「それはどういう手段でやるのか」とか、「こんなふうにやったらいい」とか、「そんなことやるとこっちの政策とぐちゃぐちゃになるじゃないか」などと、そんな厳しい議論をずっとやっています。その結果、9月の県議会が終わる頃にはだいたいこんな方向で我々はやっていきたいと、こんな方向で新しい政策を作っていきたいという方向だけ発表します。それで、その発表の後、予算付けの作業に入ります。それで、年内に事務的にやって1月位に最終的に知事査定をして、それで収入の方の見通しもありますし、国の政策との関係でどのくらい国から取って来れるかという議論もあります。そういうのを併せて1月位に結論を出して、県の新政策及び予算の原案を作ります。これを県議会に提出して、OKしていただいたら4月から実施する。そして、実施しながら次のことをまた考える。こういうことをずっとやっているわけです。

 1 和歌山の産業を大発展させるぞ
 今やっている平成22年度の政策について申し上げると、まず、和歌山の産業を大発展させるぞということを考えました。企業の誘致の話をさっきしました。これもまたずっと一生懸命続けています。だけど、和歌山には、この中にもたくさんそういう方がいらっしゃると顔を見ただけで分かるんですけども、随分立派な技術を持って頑張っておられるような中堅企業、中小企業の方がたくさんおられます。そういう企業の特色をずっと見ていると技術力に秀でていて、頭を使って工夫をしてしっかりやっている。そういう方が、和歌山県には随分たくさんおられる。その力をぐっと伸ばして、今ある雇用規模が1だとすると、その方に1.5になってもらう、あるいは2になってもらう、3になってもらう、10になってもらうとすれば、そういう方が何人も出てくれば和歌山にとって物凄い力になるわけです。そういうことをやろうということで、技術開発プロジェクトを起こして、その中で色々技を磨いてもらって、その技を磨いてもらった結果を商品開発などに活かしてもらって、その企業が凄く伸びるというようなことをやろうじゃないか、そのようなことで1つは技術開発を考えております。そのために、予算も更に投入しました。国の予算もがばっと取ってきたいと思って頑張っています。
 それから、販売です。昔、和歌山が県内だけで栄えていた頃、県内の需要だけで、例えば、この辺で言うと旧那賀郡辺りにだいたい需要があって、そこに売っておけば稼ぎがあって、そういう商売が成り立ったんです。ところが、その旧那賀郡の市場に例えば何が起こっているかというと、日本全国からどんどん商品が攻めてくる。伊都郡にも攻めてくる。それから、日本全国どころか中国から安い商品がどんどん入ってくる。ヨーロッパも何か反転反攻して、良いものをたくさん持ってくる。それなら、こっちも持っていかないと生きていけるかということであります。これは農産物でも実証済みなんですけど、いくら良いものを作っていても、やっぱり販売力が伴わないとなかなか稼ぎにならない。それで、稼ぎになるようにお手伝いしようじゃないかということで、そのためには一番バイヤー(買い手)の目に触れる所へ、どんどん露出していこうとしています。県内の中小企業は営業力がそもそも弱いから、割とこじんまりとやっているわけです。一方、県では、和歌山県だけで小さくやってるわけじゃなくて、県が色んな機関を通じてやっています。私は、和歌山県の販売促進力は、多分日本47都道府県中一番リーチが長いというか凄いと思っています。その力を使って、皆さんに乗っていただいて、世界中に攻めていく、あるいは日本中に攻めていくと、そういうことをどんどんやってもらおうではないかというようなことを今思っているわけです。
 それから、交流、これが3本目なんですが、皆さんそれぞれノウハウがあります。皆さんそれぞれ特色のある良いものを持っています。そうすると、人の経営のノウハウを勉強させてもらえるとすれば、それをすることによって自分の企業が脱皮するかもしれない。それから、あの企業と組んで自分の製品と組み合わせれば、こんな所に新たに売れるかもしれない。そういうことをみんなそれぞれ良いところがあるわけですから、是非やろうと言って「産業交流サロン」というのを、紀北と紀南でそれぞれ月1回ずつやっています。誰でも参加できます。出すものはビールと乾き物しか出しません。基本的に高価なものは出ません。参加料も1,000円位いただきます。だけど、そこで熱く語ってもらったらいいんじゃないかと、そういうような感じであります。そういう和歌山の産業を大発展させるぞということをこれからやっていきたい。

 2 農林水産業を守り抜く
 それから、農林水産業を守り抜くということがあります。これも、販売促進でかなり頑張ってきました。最近は、若い人も若干ご高齢の方も含めて世界に攻めていってくれる人が、随分とたくさん出てきました。私は先頭を切って、海外へ売りに行っています。例えば、フランス大使の公邸を使って、フランス人のバイヤーなどをいっぱい呼んでもらって、そこに和歌山の産品を持っていって、観光と一緒にPRするというようなこともやりました。その時に大変嬉しかったのが、県だけが独走しているわけじゃない。この紀北や紀南もそうですが、例えば、その時は食品が中心だったんですが、食品関係の企業のトップの方だとか、あるいは二代目の方が自分一人でフランスに出てきて、バイヤー回りをし始めた。そういうところは結構売れているそうです。そういうことがどんどん出てきました。そういうことをして、もっと売れれば収入もあるし、もっとたくさん作ろうということにもなります。そうすると、もっとたくさん従業員を雇えるわけです。働く場も増えていくわけです。そういうことやっていかないといけない。農林水産物もそうやって売るんだということで、大分展開してきたかなと思います。
 それから、生産のテコ入れをやらないといけません。和歌山県のような所は、もう生産はいいんだ。国の政策は、農業の生産力強化なんかもういいんだ。そのために農業は所得補償をして、それで続けてもらえばいいんだ。例えば、生産力を強化する生産基盤整備のためのお金をどうしたかというと、所得補償に回すお金を工面するために全体として6割カットしました。これはちょっと凄いと思います。和歌山県でどういう影響が出るかということを計算しました。そうすると、その6割カットした生産基盤整備の整備費を我々はいただいて、所得補償の対象は米ですから、米の所得補償をいただいて、それで計算すると、なんと1世帯当たり3万円損するということになりました。米を作っていない世帯は6万円損するということになりました。なぜかというと、米は全体で8%しか作っておりません。果樹は60%作っております。非常に特異な県なのです。例えば、他所の県のことを勝手に想像すると怒られるかもしれませんが、秋田県は八郎潟などの開拓をやってきた。それに膨大な農業基盤整備費を投入してきました。それで、米をほとんど作っています。そういう所です。そういう所はもう農業基盤は要らないから、米を作るのも大変だから所得補償をくれと、これは計算に合うわけです。新潟県もそうでありましょう。ところが、和歌山県は全く計算に合わない。これについてデータをきちんと作って、政府に説明に行きました。「我々は、山ばっかりなんですよ。そこで本当に苦労しながら、ヒーヒー、ゼーゼー言いながら山の上に登って行って果樹を作って、やっているんですよ。米はちょっとしかないんです。そうするとみんな損しますよ。だから40%しか予算が無くなったのは分かりますけれども、箇所付けで和歌山県にたくさん回してくださいよ。新潟県に同じだけ回す必要はないでしょう」というようなことを言ってですね。これは政府もちゃんと聞いてくれまして、ほぼ昨年並みの補助金をもらうことに成功しました。だから、和歌山県はもちろんそれに強化してお金を付けたんですけど、それで同じ位の規模で事業ができるようになりました。ただ、来年あたりからもっと苦しくなるような感じがあって、毎年苦労との戦いの連続であると思っている次第であります。だけど、和歌山県の果樹生産や農道の現状なんかを見たりすると、必要なものは必要だと言わざるを得ません。例えば、この左岸農道なんてまだ途切れ途切れで、他所はスパッと通っているわけです。スパッと通っている所はもう補助金はいいと言ってもいいんだけど、この途切れ途切れの所は早く何とかしたいので、国に補助金をくれよと言いたいと思うのです。ところが、なかなか時代が和歌山県を置き去りにして進むもんだから、我々も苦難が続きます。だけど、頑張らないといけない。現実に皆さんが頑張っている限り、本当に頑張らないといけない。そういうことだと思います。
 それから、農業で地域おこし。このかつらぎ町でも、男性女性を問わず大変熱心に農業とともに、地域おこしをやっておられる人がたくさんいらっしゃいます。今まで黙って売っていたのが、だんだん加工して、あるいはみんなで加工することによって元気も出て、副収入もあって、色んなやり方があるわけです。あるいは新しい品種を作ってみようというのもあるかもしれません。この辺をテコ入れしようというのもある。そういうことを農業を通じて、あるいは林業を通じて地域おこしをしていこうと、農林水産部が中心になって「新農林水産業戦略プロジェクト」(資料2:8ページ)という仕組みを作ってくれたんです。それを今一生懸命各地にお勧めして、その各地の盛り上がりをお支えして、地域おこしをして、それで元気になってもらおうということもやっているわけであります。

 3 まちを元気に、過疎に負けないように
 その次に「まちを元気に、過疎に負けないように」というのがあります。これは、今言いましたように「新農林水産業戦略プロジェクト」とか「わがまち元気プロジェクト」(資料2:8ページ)と言いまして、何かの産業と一緒に地域おこしをして、それで人々がもっともっと稼げて、それでそこにたくさん住めるようにしようじゃないかというようなプロジェクトを、私どもは2つやっています。地域によって全部やり方は違います。だから地域の実情を聞いてやっているわけで、皆さんの中でまだまだたくさんアイデアがあったら、会場には伊都振興局長以下のチームがいますから、皆さんとご相談するためにここにいるわけです。ですから、どうぞご相談いただきたいと思います。
 それからもう1つは過疎であります。もう和歌山県中過疎だらけと言っても良いと思いますけど、過疎法というのがあって、これは平成22年3月31日で期限切れとなる法律でした。過疎の町は、例えば財政が今悪いですから、過疎債というのを出して何とか息継いできた所が多いんです。その根っこの法律である過疎法が期限切れで吹っ飛んでしまったら、これは大変だということで、和歌山県は2年程前から大騒ぎして「何とか延長してください」、それから「拡張してください」、「こういうようなアイデアどうですか」とずっと言ってきました。これは、与野党の議員立法であります。以前は自民党・公明党が与党で民主党が野党でしたが、議員立法でみんなが一致して作ってくれていたんです。今度これが逆転しましたが、その影響でこの過疎法が吹っ飛んでしまったら大変だなと思っていて、色々働きかけをしました。その結果が、与野党ともに頑張ってくださって、新過疎法ができました。少し拡張されましたので、もう少し幅広い活動ができるようになりました。しかし、和歌山県が提案したもので1つだけ採用してもらえなかったものがあります。これが過疎集落支援総合対策(資料2:8ページ)です。これは、町全体でやるのではなくて、特定の集落、例えば、ずっと昔の何とか村とか中学校区とかが対象になります。そういう所は中心集落があって、周りにぱらぱらと人が住んでいて、この中に例えば公民館とか雑貨屋さんとか学校とかがあって、ここに通ってきて1つの生活圏として成立しているというのがあります。その中で様々な問題があります。例えば、スクールバスが無いとか、あるいは携帯電話が繋がらないとか色々ある。そういう色々あるやつを自分たちでこれが問題だから、これを解決したいから半分助けてくれというようなことを言われた時は、県が主導して、永久にというと大変ですから、しばらくの間、それをお支えするということを考えております。手を挙げられた所が大分出てきておりますので、今それを作っています。これは県がこうしろというのではなくて、皆さんが寄り合いでこういうふうにしようというのを決めて、それを町や村や市が認めて、県が一緒になって助けるということになっているわけでありまして、こういう話があったら、また振興局長さんにどうぞご相談いただきたい。そんなふうに思うわけであります。

 4 教育改革
 それから教育改革、これは前にちょっと力を入れてお話しました。相変わらずこれのチェンジ、改革も進めます。特に、補充学習というところが多分新しいと思います。和歌山県はやっぱり何が大事かというと、いい子を育てるということをやっていきたいと思います。だけど、いい子を育てるためには、いい子が学校についていけなくなって、それでその結果学校へ行かなくなって、それでその結果たまたま悪の道に行っちゃいましたとか、あんまり働かなくなりましたとか、そうしたら困るわけです。ですから、やっぱり学校にもついていける、みんなとちゃんと交わっていけるようにしよう。そのためには、学力を高めにゃいかん。高めにゃいかんけども、みんな学力って程度が違うんです。例えば、かつて文部省はどうしていたかというと、ついていけなくなった子が出過ぎたんで、学力の水準をどたっと下げたんです。これを「ゆとり教育」と言います。そうするとどうなるかというと、それでもついていけない子がやっぱりいるわけです。大丈夫になって余裕の子もできます。だけど、まだついていけない子がいる。その子は相変わらず辛い。それから、学力水準をどたっと下げたもんですから「勉強せんでもええわ」と思う子が出てきます。そうすると、その子は、「学校なんかくだらない」と、「先生が言っていることは易しすぎて俺はもう分かっている」と思ってしまいます。ある瞬間にはそうであるかもしれない。だけど、子どもの学力ってどんどん高めていかなきゃいかんわけです。そのために先生がいるわけですから、先生を尊敬しなくなった子どもが出たら、そうしたらその子は何か月かしたら、少なくとも半年経ったら、ずっと学校の勉強を怠けたら、次にその子がついていけなくなる。その可能性があるわけです。変な癖を付けてはいけない。だから、和歌山県は、文部科学省の影響もあるんですけども、我々は学力は落とさないようにしようとしています。だけど、ついていけなくなった子がいっぱい出てきている。そうならば、その子の実情に応じて補充学習をしてやろう。例えば「1たす1は2」が分かっていなかったとすると、それが中学校へ行って、微分・積分と言ったって分かるわけがない。そこからやり直さないと、その子はついていけません。それで「微分・積分のところがちょっと分かりません」とか言う子がいたとすると、そうしたらそれだけ教えればいい。それから、「分かっているんだけども、勉強が手につきません。なぜならば、お父ちゃんとお母ちゃんが毎日喧嘩していて、もう別れるだの何だの言っています。ほんなら心配でしゃあない。心が傷ついてあかん」という子がいたら、それは、先生にそれを言って、「お前な、分かったよ。だけど仲良くなった時に、今度はお前が勉強遅れていたらあかんやろ。勉強だけはちょっとやっとけ」と、そういうことが必要です。それで、そういうことがちゃんとできるような教育をやらないといかん。ということで、今年から新政策にパシッと掲げてやることになっています。ただ、悩みはこれは学校の先生までどうやってこの政策を届けさせるか。教育問題、教育行政は、知事部局と違って、私が直接「ああしろ、こうしろ」と言う話ではありません。県の教育委員会というのがあって、それからまた町の教育委員会というのがあって、その中でお願いの連鎖があって、最後は校長先生にお願いが行って、校長先生が今度は先生方にどう説明するか、ずうっと長いサイクルがあるんです。和歌山県の行政で言えば、みんなが納得すれば「おい、やれ」と知事が言うと、やらざるを得ないということになるんですけど、そうもいかないんです。だから、どうやって現場の先生方にこの考えを伝えて、やる気になってもらうか、そのためには、先生があんまり過剰労働になって、疲弊しているというようなことじゃいかんし、そういうこともまた考えないといかんのじゃないかと、そのようなことを色々と考えています。
 それから郷土教育は遂に教材ができました。前の時に、確か私は、郷土教育が私の若い頃はなっていなかったので、私は何も教えられなかったと、悔しいとか言っていました。それで、今の教育委員会は立派で、こういう物凄い副読本を作って、和歌山のいいところがたくさん入っているようなものを作っています。これはちょっとごついでしょ。だから読むのが大変だから簡単版を作りました。今の世の中に合うように。それで、これを中学校とか高校で、時間を取ってちゃんと教えようではないか。和歌山は、こんないいところがあるぞということで、私もびっくりなことがたくさんあります。そういうことを知事になってから思い知らされたので、私も、ちょっとこの昔の教育に対する怒りとともに、大いに情熱を持って、実はこの目次は自分で作りました。それで、教育委員会に原稿を書いてもらって、最後に私がチェックして、それで作ってもらいました。これは学校用です。だけど、もうすぐこれが社会人用に市販されます。皆さんにも、700円ぐらいするんですけど、もうちょっと高いかもしれませんが、お分けできるようになると思います。買っていただいて「おお、俺の所はこんないい所だったんか」とか、そういうようなことを勉強してもらったらいいんじゃないかと思っています。それで、自分たちが郷土についての知識があることによって誇りが出てくる。誇りが出てくることによってやる気が出てくる。やっぱりこういう連鎖というのが必要じゃないかなというふうに思うので、頑張っております。

 5 福祉と医療を守る
 それから、福祉と医療を守る。これはたくさんの問題があります。先程、医療の問題も申し上げましたが、介護や、あるいは若者の心の悩み、たくさんあります。最近やった話としては、若者に対する総合窓口を作りました。「ウィズ・ユー(With You)」と言います。これはですね、和歌山は色んな行政を結構綿密にやっています。例えば、引きこもり対策。これは凄く難しいんです。医学の問題でもないし、社会だけの問題でもないし、物凄く難しいんですけども、現実には引きこもりになってしまっている人がいる。その人が幸せとは思えない。社会に出してあげたい。そのために活動してくれている人がたくさんいるわけです。ところが、引きこもりの問題なのか、非行の問題なのか、病気なのか、あるいはただ就職の悩みなのか、色々あるので、それが何か分からない時に誰の所へ行って相談したらいいのか分からん。そこで「それが何でもいいから、とにかく悩みは何でも言っておいでよ」という窓口を作りました。「ウィズ・ユー」という、ちょっと英語で気障なんですけど、僕が付けたわけじゃありません。「おお、ええやないか」と言いましたけど。「ウィズ」というのは一緒にという意味です。「あなたと一緒に」という、いつも開いている電話相談窓口あるいはパソコン相談窓口を作りました。それで県庁の職員が専門家と一緒になって、情熱を傾けて少しでも悩みのある若者がいたら、それを救ってあげようということで頑張っています。
 それから若者対策と言えば、このかつらぎ町こそ和歌山県の行政の若者対策モデルに既になっている、そういう所なんです。青少年対策をどうやってやるか、これは私が知事になってからずっと懸案でありました。初めの2年間ぐらいは、どうもいい名案が無い。平成21年度から遂にやり始めたのは、リレー式青少年対策という形です。つまり、立派な先輩が後進を指導する。後進が成長してくると、またその後進が次の後進を指導する。例えば「お前なあ、変なことをしたらあかんで。こういう時は、こうやって親切にせなあかんやないか」と先輩が後輩に説教をしたら、その説教をした大体の先輩は本当にそのとおりの人生をやると私は思います。色んなところで例があります。例えば、ちょっと非行とも言えないけども、先生の言うことを聞かなくなって、ちょっと悪さもするという高校生がいる地域がありました。そこで、その高校生に、例えば地域の建物をきれいにする、公共の建物をきれいにする、自分でペンキを塗ったりする、そういうボランティア活動をやってもらった。そうしたら、絶対に自分はそこを汚さない。何となれば、自分で塗ったんですから。それで「汚すなよ」とみんなにも言っている。そう言ってどんどんその地域は良くなってくるわけですね。そういうことを発見させてもらったのも、このかつらぎ町でありました。これは、大橋知事の時代に随分とこの対策が盛んで、それで和歌山県を挙げて頑張っておられた。ここにいらっしゃる門県議会議員もその経験者です。その経験者が1人減り2人減り、あるいは地域として1つ減り2つ減り、最後まで盛んだったのがこのかつらぎ町です。このモデルを今また全県にもう1回復活させようとして、今努力をしている。こんな感じになります。
 それから、明日(8月29日)、県立医科大学附属病院紀北分院の開院式があります。あとひと月ぐらい院内の慣らし運転をして、診療を始めるのは1か月後ぐらいになるんですけども、遂にできました。私が一番初めに予算の査定をした時に、これがもうほとんどできかけの形で上がってきて、それで行革だけを考えれば、今和歌山県は大変ですから「止め」という自由はあったかもしれないけど、言いませんでした。しかし、医師不足というのも1つあります。建物があればいいというわけじゃない。近隣の橋本市民病院とか公立那賀病院でも医師不足は物凄く深刻です。そうすると、紀北分院に全部集めてしまったら、橋本市民病院の機能が無くなるとか、そういうこともあるわけです。だから、そういう点は物凄く懸念する声もありました。だから、その辺をうまく調整して、それでちょっと規模は小さくしました。それによって、例えば「救急の外科なんかもうできないんじゃないか」というような懸念も出てきていますが、そんなことはありません。胃癌の手術みたいな本格的な外科は橋本市民病院へ行ってもらうけれども、骨折して救急で運ばれたような場合に、紀北分院で対応できないというようなことは決してありません。したがって、今のところ、こういうちょっと小さめのスマートなスタイルにして、それで研究機能も少し強化して、和医大の本院でやっていたことを少しこっちへ移してというようなことで再編しました。ただ、これは今のところの再編です。またやってみて、やっぱりちょっとこう直した方がいいなというようなことであれば、また、皆さんと相談しながら直すことはやぶさかではありません。とりあえずそれで発足してみようじゃないかということで、きれいな病院になって、それで地震の恐れも無くなり、それから立派なお医者さんが詰めて来る。それによって皆さんの健康が守られるんじゃないかと期待しております。

 6 もっとインフラと安全を
 それからインフラ。これはですね、高速道路。これがもう本当に大変です。資料の2のところに高速道路の三大話みたいなものが載っています。例えば資料2の3ページ、日本は実は高速道路のネットワークで随分遅れているんです。もう道は要らないと言うけども、まだ要るぞということです。それはなぜかというと、その国の競争力がその輸送力に正比例するからであります。中国を見ていただきますと、1990年にあの広い中国で500キロメートルしか高速道路が無かった。今なんと5万キロメートルある。日本はその頃、中国も遅れているねと言って、5千キロメートルあったのが、今約8千キロメートル弱くらいしかありません。その当時、ドイツなんてのは昔からアウトバーンがあって「あんなものはもう昔からあるよね」と言って我々は了解していました。だけど、そのドイツが、もちろん1990年を見ると日本の倍ぐらいあったわけですが、更に増やして、絶対量でいうと日本より増やしているというようなこともあるわけです。ですから、これから世界の中でどうやって生きていくかということを考えると、なかなか「もうコンクリートは要らない」というのも簡単に言ってはいけない話かなと思っています。ましてや「東京のコンクリートは良くて、和歌山のコンクリートはあかん」と言われたくないなというのがありまして、これは後で申し上げます。それで、高速道路は大都市と国土軸から進められてきたわけです(資料2:4ページ)。最後に残された所が和歌山みたいな所で、資料2の5ページを見ていただきますと、和歌山の今まで高速道路に投資していただいたお金はうんと僅かです。和歌山は単位人口当たりの面積が広く、山あり谷あり、コストもいっぱいかかる。にもかかわらず、本当は人口は昔で言うと全国比では1%、今0.8%ぐらいですが、その関係からいうと、人口比よりももっと多くのお金が来て普通ということだと思いますけども、人口比と同程度だけしか従前は来ていない。ようやくこれからという時に、5ページの右側なんですけども、人口比よりもうんと出始めたという時に「はい、コンクリート終わり」と言われるとかなわんわけです。東京は昭和20年代、30年代、本当に集中的に投資をしていました。そのお金はどこから来たか。高速道路を除きますと、ほぼ100%ガソリン税であります。和歌山の人は、ここ20、30年を考えると、車が無いと生活が不便なわけですから、車をどんどん使います。東京の人は公共交通機関、地下鉄とかそんなものに乗っている人が多い。そうすると、平成20年度の一世帯当たりのガソリン税の負担額は東京都の3.6倍、それでいただく方は程々にしかくれていなかった。昭和40年ですら、東京は人口比が11%のところ投資額比で15%ももらっていた。昭和30年代、昭和39年と言ったらオリンピックですからね、首都高速ができた時ですから、その前はこの数字が信じられないくらい東京に集中していたはずなんです。私は、東京から始めたということが絶対間違っているとは、そこまでは言いません。だけど、それならば最後までやってくれというのが、日本国民に対する政府の義務じゃないかというふうに思うわけです。それで、高速道路が無いとどうなるか、あるとどうなるかは6ページにありまして、これは前もご説明したかもしれませんが、日本の中で高速道路の走っている真上に赤い所があります。赤い所というのは、企業立地がガンガンされている所です。黄色い所は程々の所。和歌山県、紀伊半島はほぼ真っ白。もちろん高速道路もありません。やっぱり我々から、この紀伊半島から「チャンスを奪っている」というようなことが随分あります。
 それから、地方は高速道路を造っても「車なんか通らないやないか」と言われることもあります。これは嘘です。資料2の6ページの右側は高速道路を造る時に、どのくらい交通量が見込まれるか、結構甘く算定しています。これは黒の棒グラフで出ています。オレンジは何かというと実際の結果です。高速道路ができてしまうと、都会の方の、あるいは他所から来る人の意思決定が変わるわけです。「高速道路がある、便利や、そんならそこへ行こか」ということになって、高速道路ができると和歌山にバーと来る。高速道路が無いと程々にしか来ない。その程々の人以外はどこへ行っているかというと、他所の便利な所へ行っているわけです。ですから「同じようにしてくれませんか」というのが、和歌山県民の悲願だと私は思うんです。それで、京奈和自動車道を2015年の国体までに造ってくださいと言って、年に200億円ぐらい配分してもらってたんで、実は国体までにできる予定だったんです。それで阪和自動車道に接続するということなんですけど、残念ながら、平成22年度になって、200億円が150億円になってしまいました。そうすると、国体までにはできないなということで、辛い辛い。来年ぐらい、あと100億円余計に付けてくれないかなというふうに思っているんですけども、全体が「コンクリートから人へ」で、いっぺんに20%ぐらいカットしたもんですから、その中で和歌山へどのくらい持ってきてくれるかというのは、結構辛いところがあるかもしれません。だけど、先程のような理論を我々は構築して、常に正しいことを言っていかないといかん。正しいことを言い続けていたら、そのうち、いくら政権交代があったといっても、やってくれるんじゃないかなというふうに思っています。これは、ずっと言い続けてきたことであります。今、資料2の7ページに「和歌山県を襲う困難」というのがありますが、そういうことをそこに書いてあります。和歌山県は、この京奈和自動車道とは違いますけども、片側1車線の高速道路で使っている所としては、西日本一混んでいる高速道路なんです。ですから、紀伊半島一周道路の4車線化をさっさとやって当たり前だと思うんですけども、その4車線化の補正予算をとうとう取り上げられてしまいました。全国でそういう所が6か所あって、和歌山と長崎だけ取り上げられてしまいました。和歌山の理由が、少なくともしばらくの間、有田~御坊間が2車線の状態で放ったらかされるから、それは事実なんですけど、だから御坊~田辺間へ予算を付けるのは贅沢だと、こういう理由なんだそうです。けれども、どうせ混んでいるんだから、先にどっちからやったっていいじゃないかと私は思っていますけど。もっと腹が立つのは、東京の外環、これに1兆円かかります。和歌山は745億円でありました。東京の外環の1兆円も同時に凍結をされました。だけど議論の結果、これは復活しました。そうすると、東京ってもうほとんど全てのものは揃っています。そこは明らかに高速道路が欠けています。欠けていますけども、立ち退きとか何とかを考えてたくさんのお金が要ります。僅かちょっとの間の所が1兆円かかるわけであります。「コンクリートから人へ」と言っている時に、東京のコンクリートは良くて、和歌山のコンクリートはあかんのか。これが私はおかしいというふうに思って、ワーワー言っているわけであります。そういうこともだんだんと分かってくれる政府であってほしいなというふうに思いますが、それを虚心坦懐に受け止めない。弁護ばっかりしているとか、常に正当化しているとか、そういうことをしていたら、やっぱりダメ。我々は、こんなものは理論であって、論理であって、それで理屈であるわけですから、あるいは現実であるわけですから、現実に目を背けずに考えてもらわないといかんというふうに思います。  そういう辛いところがあるんですけども、良いところもあります。X軸ネットワークと府県間道路が次の重点でありましたが、それぞれ進展があります。X軸ネットワークは、今日、一番のネックであったところの龍神の入口の所、ほとんどすれ違いできなかった道が遂にスパーンと通りました(国道425号福井バイパス)。今日、開通式をやったんです。これでだいたい通れるようになりました。かつらぎ町ではご存知のように、このX軸の上へ乗っている所では、国道480号の志賀の辺りでまだトンネルを掘っています。すれ違えないというわけではないですが、やっぱりあれでは不十分だから、そこの所をスパーンと通すようにして、それで高野龍神スカイラインに上げて、それで田辺にもっていくというような、そういうX軸ネットワークがほぼ完成、あと仕上げをすると完全に完成ということになります。
 府県間道路も、橋下大阪府知事と色々打ち合わせをして、この国道480号についてはちゃんとやる。大阪もやりますよ。和歌山側はほとんど重要な所は完成していますから、もうトンネルの所まで行っているわけです。トンネルの所で、直轄代行で事業化の決定もしてもらっています。ところがお金が無くなったので、ちょっとそれが滞っている点が現状なんです。それで「滞らないで早くやってください。全国でいっぱい案件があるかもしれないけども、和歌山はとても辛いんですよ」というようなことを言い続けないといかんなというふうに思っているわけであります。それから国道371号についても、これから進展をさせていかないといかんというふうに思っています。それからX軸ができ、府県間道路ができても、血流を良くするために、まだ和歌山には整備しなければならない道路がたくさんあります。高速道路の完成はいくら政府が急いでくれても、やっぱり何年間か、まあ10年の単位でかかってくるでしょう。その間、和歌山の右から左というようなネットワークがちゃんとできていないといけない。和歌山は改良完成区間延長率が全国ワースト1で、道が、ひょっといい道だなと思ったらすぐ悪くなる。またちょっと行ったら、また良くなって、こっちの道も同じで、あっちの道も同じで、みんなそういう道ばかりあるわけです。これがやっぱり全体としては、動脈硬化、脳梗塞みたいになる可能性があるので、これはいけませから、ちゃんとスパッと行けるような道を造っておかないといかん。X軸と府県間道路をスパッと造ったら、次は川筋と紀の川左岸道路だと言っているわけでありまして、次の4年間の目標は、この川筋ネットワークと紀の川左岸道路なんかも含めて、そういうものをできるだけ早期に整備していって、X軸に繋いでいくということをやっていくことではないかと私は思っています。
 それから、その次の中小河川洪水防止というのがあります。先程申し上げましたように、我が県は、これは大変だということで方針の転換をしまして、今年度、県議会にお願いしてこの部分の予算を23%増やしました。できるだけ早くやらないといけないと。まあ1年ではできませんよ、23%増やしても。だけど、じわじわじわっと予算が減ってきた中では、パカッと一挙に増えて、もう革命的な出来事なんです。ところが、何が起こったかというと、この予算は国の補助金ももらってやるわけです。この国の補助金が、何にも配慮されないでいきなり約20%カットされたんです。そうするとどうなるかというと、我々は国の補助金を見込んで予算を23%増やして付けたのに、国の補助金が約20%カットされたわけだから、補助金がもらえた部分しか補助事業を実行できないということになってしまって「これはまずいじゃないか、とんでもない」と言って怒っているんですが、国は補正もまだ無いみたいですから、これはいけません。そうならば、県のお金で補助事業として使えない部分ができますので、これを県単独事業に今度の9月議会で変えてもらって、それで、とにかく中小河川の対策を1日も早くするということをやりたいというふうに思っております。それで、ちょっとこれは本当に腹が立っています。国は、何にも考えていないのかと。例えば、滋賀県なんてのは、もうダムも要らないし、川関係もそんなに力を入れなくても、自然を守った方が良いのではないかと、そんな感じにちょっとシフトしてきています。そうならばどうぞということで、ボコッと方針転換して大変大変と言っている所にちゃんと応援してくれればいいではないかというふうに思っているんですけども、そうもいかなかったわけです。これはちょっと腹が立っているんですが、腹が立っているだけが私の仕事ではありませんので、やるべきことをやるということで、今回の議会にお願いすることになっています。

 7 平成23年全国植樹祭と27年国民体育大会
 それから、全国植樹祭が来年の5月にあります。(資料2:9ページ)天皇皇后両陛下を迎えて、主会場は田辺。これはうんとお金をかけないようにして、しかし、県民みんなが参加する。特に県の小学生が全部参加して自分で植樹をしようと、今、竹ポットというものを作って、学校で水をやって苗木を育てています。それを両陛下にご覧いただいて、それを皆さんに持って帰ってもらって、自分の家の裏山とか、そういう所に豊かな和歌山の木を育ててもらおうではないか、そういう催しをやっていくわけです。天皇皇后両陛下は、その後多分熊野古道をずうっとご見学になるということになると思います。我々としては、これを機会に「木の国の復活じゃ」ということで頑張っていきたい、こんなふうに思っております。
 それから、平成27年国体。(資料2:10ページ)これは全県挙げて頑張りたいと思います。けれど、下手にやると、無茶苦茶やり散らかして、国体が終わったら県が疲弊するというのが、結構今まであったとのことです。そうならないように、ちゃんと綿密に計算をして、役割分担をして、贅沢なことをしないようにして、それで、かつ絶対に総合優勝したいということで、これから選手の強化をしていきたい。幸い、高校生を指導してくれている指導者の方、こういう方が物凄く今燃えてくれています。その結果、高校生ももちろん燃えてくれておりまして、少年の部の成績がずんずん上がってきました。でも、まだまだこれでは足りません。したがって、最後は強化選手も来て、その選手は和歌山でまた働いてもらえるようにしないといかん。けれど、仕事も無いのに来てもらうというわけにはいきませんから、そういうことをうまくやっていくということをこれからの課題にしていこうと思います。

Ⅳ 和歌山を取りまく政治・行政課題
 1 地方分権(地域主権)と関西広域連合

 それから、和歌山を取りまく政治・行政課題ということなんですが、ここで昨日(8月27日)会議が行われました関西広域連合についてちょっとご説明したいと思います。資料2の12ページです。これはよく道州制と勘違いされます。県単位で協力しようという試みなんですけど、道州制は県が無くなってしまいます。県が無くなるんですから、皆さんを和歌山県民として大事にするということができなくなります。それで良いのかという議論は随分たくさんあると思います。関西広域連合は、県は無くなりません。和歌山県は顕在であります。それで、一部の権限を関西広域連合に移します。これは初期はごく少しです。例えば、資格試験があります。僅かの資格試験をみんなで一緒にしようと。そのために、資格免許を交付する権限を広域連合にしようと、こういうような考え方です。
 残りは協力です。例えば、広域防災。東南海・南海地震が来た時に、多分紀伊半島中皆アウトです。その時に他所から助けに来てくれる。北近畿は多分そんなにひどくはなってないだろう。そうすると、助けに来てくれる計画をどうやって組んでおくかによって、亡くなる方とか、守るべきものとか随分違ってくる。そういうことをやっておこうと。もちろん、北近畿で何かあった時は、私たちが助けに行かないといけません。その他、広域観光は和歌山県は素晴らしいものがたくさんあります。例えば、高野山。私は断然世界でナンバーワンだと思っていますけども、うんと遠くのヨーロッパやアメリカなどから来る観光客が高野山だけに来るかというと、そうでもない。近畿・関西というのを考えて、京都も行きたい、奈良も回って、それで高野山にも行きたいと考えるのではないかと思います。そうすると、そういう古都を回るようなプランを作ってみんなでPRする。それによって、京都に来たいと思っている人が高野山にも来てくれる可能性がある。もちろん、その逆もあります。そういうことを考えて一緒にやろうというのが、ここの考え方です。
 3番目は、国が権限移譲してくれるだろうということです。どれくらいしてくれるか分かりませんが、その時に受け皿になる。県も受け皿になれます。町も受け皿になれます。だけど、県や町は受け皿たり得ないじゃないかと言って、国が抵抗する話があります。例えば、大きな河川の淀川を考えていただきますと、淀川の流域の首長さん、橋下知事、嘉田知事、山田知事とかは、権限移譲しろと言っているわけです。ところが、国土交通省はできない。なぜならば、例えば、淀川の水害を考えた時に、上流にダムを造らなければ、下流に水がどっとくる。そうすると、大阪府の辺りで堤防を高くしておかないと、やられるぞと。そういうことを、全体として考える人がいないじゃないかということで、あなたたちには権限はやれないというわけです。それならば、広域連合を作ったんだから、ちょうだいと言えるじゃないか、そういうことを考えて作りましたと。私は、そんなに大きな問題ではないと思います。むしろ、先程言いました広域観光とか、広域防災、広域産業、広域医療、そういうものを地道に協力してやっていくということの方が、とりあえずは大きいかなと。
 それから、我々も懸念があります。人口は100万人しかおりません。ちょっと100万人を切れそうになっています。大阪の8分の1とか、兵庫の6分の1とか、そういうことです。そうすると、多数決で何でも決められたら、和歌山が「こんなことをやってください」とか言ってもなかなか聞いてくれない。それから「こういうことをやるんだぞ、分かったか、多数決だ」と言われたら、「そんなの和歌山の得にならないじゃないか」と言ったって、「協力しろ、お金も出せ」と言われるとちょっと困りますね。だから、そういうことにならないように、止める手立てが無いと心配だというのが、県民の皆さんの気持ちだなと、県議会で議論していても、そういうふうに思いました。そこで、工夫をいたしまして、まず意思決定は基本的には全員一致だと。知事の会合を作ってそこで全員一致だったらやろうと。けれど、それをやっていると、1人が反対して全部できないとなったら困る。だから、普通の日常的な業務は多数決で良いけれども、和歌山は関心が無いからどうしても嫌だと言うなら抜けてよろしいと、そういうふうに保証しろ。こういうふうなメカニズムを提唱して作りました。私が説明したもんですから、それが本日の日本経済新聞に載っています。ちょっと読みます。仁坂吉伸・和歌山県知事「議会や県民には『和歌山県は人口が少ないため、人口の多い府県の意向に引きずられるのでは』という恐れがある。少数の意向も反映されるようにしてほしい。」と書いてあります。ちょっと不正確であります。そのとおりなんですけど「してほしい」とは何だと。私は何も知恵も無くて、みんなにお願いしたのではなくて、ちゃんと原案を作って、このとおりにやるんだぞと言って、他の知事を説得してちゃんと話を付けたんです。ですから、会場では「そういうふうになっておりますから、奈良県も心配ないからお入りよ」と言ったんです。どうも日本経済新聞は、和歌山県というとお願いするばかりで、初めから知恵も状況打開力も無いというふうに思い込んでいるらしくて、何という記事を書くんだと言って腹が立っているんですけど、そうやって知恵を出しながら、自分の有利になるように図っていかないと、皆さんをお守りすることができないと思っております。これは関西広域連合で、できれば9月の議会に提案させてもらいたいと、議会の中で揉んでもらいたいと思っておりますので、県議会の先生方どうぞよろしくお願いします。

 2 願望と技術
 それから願望と技術です。「ああすれば、こうなる」というのは、結構行政とか政治で大事です。一番端的なことを言えば、ばらまいたら財政が潰れる。例えば、ばらまくと皆さん喜びます。選挙で勝ちたいと思ったらばらまきたくなる。だけど、その後、和歌山県の永続性というのが、大いに傷ついたら、我々の子孫にどういう申し訳ができようか。ああすれば必ずこうなる。こうなることを、どう評価して、あるいはこれを副作用と考えて、この副作用を消すための方策を別途考えて、政策というのはやらないといけない。そういうことを、我々行政のトップは常に考えないといけません。これは、結構技術が要ります。「こうやったら、ああなるぞ」とか、「これはこういうことだなあ」とか、「こっちで無茶苦茶になるじゃないか」というような話がある。情熱と心だけでは、ああしたい、こうしたい、というのはいくらでも考えられます。だけど、ああすれば、こうなる。こうなるけれども、勇気を持ってやってみて、ここの副作用は必ず出るから、これはこうやってカバーする。そこまでやらないと、きっと皆さんを無茶苦茶にさせてしまうということを政治や行政は自分の中にメカニズムとして持っているということを申し上げておきたいと思います。
 そうすると、どうすれば可能か。こういうことをやりたい。やりたいけど、その手段が思いつかないとなかなかできないわけです。例えば、私が30何年間の悲願であった医科大学の定員を、一気に解決しました。当時、60人だったのを、いっぺんに85人にしました。実は、その前に閣議決定があって、1人たりとも、医科大学の定員はどこの県であろうと増やしてはいけないということになっていました。それをどうやって打ち破るか。そのため、その理由を調べました。そうすると、その時の閣議決定の理由は、医者を増やしたら、医療費が増える。つまり、余計な医療を進めるから医療費が増える。(これはちょっと非人道的な閣議決定だと思いますけれど。)財務省か何かが無理矢理やらせたのでしょう。だけど、それならば、例えば病院の勤務医を増やすのはいいじゃないか。別に病院が患者を増やしているわけではありません。救急医療の医者が足りない時に出すような人を我々は養成すればいいのであって、開業する人というのは、私はそんなことないと思いますけども、その論理にはまるのです。だけど、和歌山県の地域医療のために貢献してくれる人を増やすのに、何で医療費高騰という話になるのですかという理屈を言いました。それともう1つは、和歌山県の100万人の人口に対して、和歌山県立医大の60人の養成数というのは、実は日本最少であります。もっと、小さい県、例えば、鳥取県、島根県でも和歌山県よりもっと多くの人を養成している。そんなのおかしいじゃないですかというような理屈は通用するんですね。そういうことを我々は言って、粘り強くやっているうちにズボっと通っちゃったということでありまして、そういうことを考えつかないと、いくら頭を下げたり、あるいは政権と仲良しであったり、かわい子ちゃんであったりしてもなかなかやってくれない。なぜやってくれないかというと、それをやってあげたら必ず隣の県もあるし、他所の利害関係者があります。その人たちに、政権を持ってる人は説明して、「これはこうだから仕方が無いのだ。だから、あなたを苛めているわけではないのだ」と言わないと、身が保たない。ですから、そういうことをちゃんと言えるような理屈をこちらで考えて、どうすれば可能かということを考える構想力が無いと、絶対に県政は何もできません。要するに技術が必要なのです。そういうことを「いつも考えていないといかんのだ」ということではないかと思います。

 3 政治家と官僚
 それから、政治家と官僚ですが、今新聞で官僚叩きがいっぱいあります。私も昔は官僚であったんです。それで、そんなこと言ってんのかと言ったら、大間違いで、今の官僚は、はっきり言うとけしからんと思っています。なぜけしからんというと、提案する勇気が無くなったからです。提案する勇気が無くなったら、結局、県で言えばトップの私一人。部下がみんな提案してくれなかったら、トップが全部考えないといけない。そんなのありえないです。それから、国で言うと政権党であるところの人たちの中の政務官以上になっている中央省庁のトップです。その人たちが全部考えないといけない。そんなことは無理です。その頭の良い役人が何百人、何千人、何万人とその下にいるんですけど、政策立案に直接携わっている人だけでも何百人もいます。その人たちが必死になって提案をして、大臣たちが良いと言ったらやって良いのが今までの政治ですね。県庁もそうしたいと思っています。私一人で考えるんじゃなくて、みんなで考えていこうと、これが新政策を導入した理由であります。中央省庁も本当はそうしないといけないんだけども、政治主導と政治家主導というのが、混同されていて「考えちゃいかん」、「生意気」、「そんなものは官僚支配だ」というふうなのに、自分たち役人も安易に乗っかっているなあと。だから「大臣、政務官、こうしたらどうですか」と提案して、ダメって言ったら議論して、どうしても最後政治決断でダメって言ったら、その人に責任を取ってもらって引き下がればいいんです。だけど、そのために初めから考える力と提案をする力を無くしてはいけない。和歌山県は今みんなで提案して、みんなでやっていく。だけど、県庁は4,000人しかおりません。4,000人しかいない外側に100万人の県民がいるわけです。だから、県民の皆さんからどんどん提案してもらって、県庁の諸君にも提案してもらう。最後は「ああすれば、こうなる」とか、それをどうやったら可能かなとか、そういうことを色々考えて、それで私が決断して議会に諮って、責任を取るしかない。そういうことだと思います。和歌山県庁の挑戦というのは、そういうふうにしたい。だから、私は県庁の職員は本当に立派だと思っているし、立派であるということを期待している。県庁の役人も官僚ですから、政治家じゃないわけですから。だけど「あんた勝手にと言っちゃいかんぞ」ということを言っているわけであります。

 4 政治家の役割
 それから、政治家の役割というのがありますが、これは和歌山県の将来を見据えて頑張らないといけない。これをどうやったら将来を見据えられるかというと、これはどうやったら良くなるんだという診断がついて、治療法が分かって、これはお医者さんと一緒だと私は思っています。お医者さんはいくら口が上手で明るい人でも、治してあげると言って熱心な人でも、結局はちゃんと診断してくれて、どこが悪いと言ってくれないと話にならないし、それは正しい治療法でないと間違った投薬をされたら話になりません。そういうことを本当は期待されていると思います。だけど、その能力をお医者さんは患者を救うために使うべきであって、あんまりそんな人いないと思いますけど、お金儲けとか、ごまかしとか、そういうことに使っちゃいかんというのは当たり前であります。だから、心とか情熱とか県民のために尽くすということはやっぱりちゃんと考えないといけない。だけど、それだけで留まったら、ひょっとしたらその人は職業的な人間として政治家たり得ないかもしれない。特に首長たり得ないかもしれないというふうには思います。
 もう一つ大事なことは、見返りモデルから、ひたむきモデルへというのがあります。これは、例えば、選挙の時なんかに応援してくれたら後でお仕事あげるとか。逆に、お仕事を打ち切られたくなかったらちゃんと応援せんとあかんでとか。こういう話をやり始めたら、世の中は無茶苦茶になってしまいます。うまくいっても、こっちの人に行く仕事をこっちにあげているだけで、社会全体はちっとも伸びていません。それから非効率な人にあげたら、社会全体は落ちてしまいます。したがって何がいいかというと、そういうこととは関係なく、ちゃんと真っ当にひたむきに努力する人がちゃんと報われるようにしておけば良い。ということで、これは、色々と難しいことがたくさんあるんですけど、こいつを忘れたらいかんし、こういうことをやろうとしている政治家とか何とかがもし仮にいるとすれば、それは物凄く危険な状況じゃないかと思います。ですから、このひたむきモデルだけは絶対に崩しちゃいかん。見返りモデルを導入しないというのが、この4年間私が言ってきた姿勢なんで、これを崩したらきっと無茶苦茶になってしまうと思っているというのが申し上げたいことであります。

資料

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